地下農園

 
食の不安、食の安全が叫ばれるようになってから、地産地消という言葉が良く聞かれるようになってきた。

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地産地消(ちさんちしょう)とは、地域生産地域消費(ちいきせいさん・ちいきしょうひ)の略語で、文字通り、地域で生産された農産物や水産物をその地域で消費することを示す。この言葉自体は1980年代前半には、農水省の公報誌などでも使われていて、結構古くからある概念。

以前、「地産地消都市モデル」のエントリーの中で、ひとつのビルの中に、スーパーと飲食店と水耕栽培の畑を併設したらどうかと言ったことがあったけれど、ほとんどそれに近いものは実現しつつある。それも東京のど真ん中で。

人材派遣会社であるパソナは、就農支援の一環として、大手町のビルの地下にPASONA O2(パソナオーツー)という地下農園工場を作っている。

銀行の地下金庫だった空間を再利用したこの地下農園工場では、蛍光灯やLEDライトで野菜や花を育てる研究が行われている。

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施設内には6つの部屋があり、ライトも、温度も湿度も異なった設定で、それぞれ違う作物を栽培している。

稲を作る部屋や大根、トマトを作る部屋もあり、稲などは、年3回の収穫も可能らしい。

また、元地下金庫だったところで作るだけあって、害虫は病気の心配も少なく、無農薬で栽培可能だという。

今のところは、照明代のコストがかさむこともあって、サラダ菜1枚が1,000円くらいになるそうだけれど、こういった課題を解決していくことができれば、都心で農業を営むことも可能になってくるだろう。

また京都の北山では、自分の店の野菜を地下で作っているレストランもある。

地産地消都市モデルは、既にぽつぽつと実現しつつある。


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画像東京都心に農産物工場出現!

 このトマト、おいしそうですよね。
 大自然の中で太陽の光を一杯に浴びて育ってきたように感じませんか?
 でもこれ、地下に成ってるんです。しかも、東京のど真ん中、大手町のビルの地下に。
 トマトだけじゃないですよ。葱やハーブにお米。きれいな花も咲いてます。ここはもう、地下農園って感じですね。
 太陽光の届かない地下で植物栽培を行う新しい空間、それが
 
 「PASONA O2」(パソナオーツー)です。
 
 日本有数のオフィス街である大手町の中にある農園、最も土地のイメージから遠い存在かもしれません。

 今回は、この大都会にある地下農園、PASONA O2をご紹介します。


◆ 地下農園って誰が作ったの?

 大都会のど真ん中に、この地下農園を作ってしまったのは、人材派遣会社の(株)パソナです。(株)パソナでは、農業への人材派遣を始めており、人出不足に悩む農村と、農業をやってみたいと思う人とのマッチングを積極的に支援しています。平成14年度から、その一環として、農業に関心のある人々に対し、実際の農園で体験と勉強の場を提供する研修プロジェクトを各地で実施しています。また、ここPASONA O2では、屋内農場を利用し、そこで実施している新しい農業を体験してもらうことにより、農業への理解と興味を深めてもらう機会をつくっています。
 このPASONA O2というネーミング、いいですよね。これ、社内での公募により決定されました。「さまざまな植物が光合成を行うことによって、部屋中に酸素(O2)が溢れている癒しの空間」をイメージされて名付けられたそうです。

 PASONA O2に入ってみてまず感じたのは、とても洗練された空間になっていることです。ここで栽培されている植物の一つ一つが見事なインテリアになっていて、おしゃれなカフェのようでした。ちょっと(かなり)屋外の農場とはイメージが違うかも。ちなみに、この空間、以前は地下金庫だったそうです。激しい変わり様ですね。

 この地下農園には、6つの特別な部屋が設けられています。それぞれの部屋では、異なる植物が栽培されていて、その育成にはさまざまな最新技術が用いられています。

 それでは、この特色ある部屋の数々、一部屋ずつ見ていきましょう。


◆ ROOM1 花畑

 最初の部屋に入ると、まず巨大なプランターが目に飛び込んできます。その周りでは、赤、青、緑の鮮やかな光が。この部屋では、人工の光を利用し、土壌を使わない水耕栽培によって、いろいろな花が栽培されています。
 中央にあるプランターの頭上には、白色発光ダイオードが設置されていて、これによって葉や花などの植物の色を鮮やかに見ることができます。というのも、この白色発光ダイオードは、演色性(色の鮮やかさ)を表現するのに優れており、花たちを美しく観賞するにもとても適しているそうです。

 そのプランターの周りでは、赤・青・緑の発光ダイオードが妖しい光を放っています。これは、それぞれの光が植物の生育にどのような効果をもたらすかを調べる実験です。現在、植物は、光合成を行うために赤色の光が必要であることがわかっているそうで、確かに、赤色の光を浴びている植物は、他のものより発育が進んでいました。
 では、青や緑色の光は?こちらは、実を付けるときに必要となるそうです。やっぱりどの色の光も必要なんですね。
 
  でも、これらの色を使い分けると、さまざまな条件に合った植物の栽培が可能になったりするかも。とっても興味深い実験でした。


◆ ROOM2 ハーブ畑

 次の部屋へ行ってみると、入った瞬間にさわやかな香りが漂ってきました。この部屋では、ハーブが栽培されています。
 ここでのハーブ栽培の特色は、青色光を十分に含むメタルハライドランプが用いられていることです。多くのハーブ類は、その生育や育成成分の蓄積に青色光を必要とします。そのため、ここでは、このハライドランプを用いて、香りのよいハーブが約100種類栽培されています。また、この部屋ではハーブに直接触れることもできるため、さまざまなハーブの香りを楽しむこともできます。
 
ハーブの香り漂うこの部屋にいると、すごく癒されそうですよね。


◆ ROOM3 棚田

 3番目の部屋では、見事な棚田を見ることができます。そう、ここでは、日本人の主食、お米が栽培されています。


その栽培には、二つの人工光が使われているのですが、この光にも新しい技術が隠されています。 まず、メタルハライドランプ。これは、太陽光に近い色を発しており、イネの自然な発育を促します。もうひとつはナトリウムランプ。このランプは、寿命が長く効率がよいもので、継続的な光の照射を保つことができます。これらのランプのおかげで、イネは自然の状態より早く成熟するため、年3回の収穫を予定しているそうです。
 今回、ここでは「愛知の香り」という品種のお米を栽培されていましたが、今後は、コシヒカリなどの栽培も行う予定だそうです。じゃ~、その次は「岡山あさひ米」ですかね。


◆ ROOM4 果菜類栽培

 4番目の部屋、ここでは冒頭のおいしそうなトマトが栽培されています。
 写真を見ていただくとわかるかもしれませんが、たった3本の幹から部屋の天井一杯に葉が生い茂っており、色鮮やかなトマトがたくさん成っていました。このトマトは、自然の土壌を使わず生育に必要な栄養分を溶かした溶液を用いる水耕栽培(養液栽培)によって作られています。水耕栽培によって植物の栄養条件を常に最
適に保つことにより、植物を自然の状態よりも早く、大きく、効率的に栽培することが可能になります。その結果、通常は背丈ほどの大きさのトマトも、このように巨大化させ、多くの実を収穫することができるのです。

 しかし、トマトもさることながらこの部屋、全ての壁が銀色の壁紙で覆われていて、近未来の映画に出てきそうな雰囲気で、とても印象的でした。


◆ ROOM5 野菜畑

 次は、5番目の部屋です。この部屋では、京野菜の九条葱・壬生菜などが栽培されています。
 近年、野菜のハウス栽培が普及し、主要野菜の半分近くがハウスで栽培されるようになりました。この部屋での試みは、ハウス栽培を一歩進め、室内で人工的に野菜を栽培する野菜工場です。植物は土壌に植えられており、その光源としては太陽光に近い色であるメタルハライドランプを使用する等、自然の状態に近い形での栽培となるような工夫がなされていました。
 もちろん京野菜もいいのですが、ぜひ、黄ニラもお願いします。


◆ ROOM6 育苗室

 最後の部屋では、サラダ菜が栽培されていました。
 ここでは、光や温度などの環境条件を人工的にコントロールした栽培方法を実施しています。これによって、天候や場所に左右されずに、植物を連続的に収穫することができ、おまけに収穫までの時期も短縮することができます。写真のサラダ菜は、植え付けをしたものを部屋に入れて3週間で収穫できるそうです。また、栄養面でも路地物とかわらない野菜ができるとのことでした。
 うれしいことにここでとれたサラダ菜は、カフェテリアで試食することができます。もちろんこの後いただいちゃいました。 


◆ 食べてみました

 Room6で紹介したサラダ菜、食べてみました。これ、美味しいです、ほんとに。しかも室内で作られるため、害虫や病気の心配も少なく、無農薬の安全な野菜になっているそうです。サラダの材料として最適ですね。
 きっと、Room3のお米とRoom4のトマトも美味しいんでしょうね。食べてみたいな~。

 この野菜たち、しっかり会社の役にも立ってます。なんと、パソナの職員のみなさんの残業食として、食べられているそうです。う~、食べたいけど残業食か~。う~ん。


◆ 熱い思いを!

今回、PASONA O2を案内していただいたのは、館長の紙上さんです。
 現在PASONA O2では、紙上さんを入れて3名で維持管理を行っているそうです。みなさん、大変熱意をもって運営されており、PASONA O2だけでなく農業に対してとても思い入れがおありなようでした。
 紙上館長にPASONA O2について、お話をお聞きしたところ
 「PASONA O2には、農業情報の発信基地としての機能を期待しています。また、ここでいろいろな人が〔農業〕と接することにより、〔農業〕に対する関心、理解や興味を高めてもらうことも目的の一つです。そうすることで、農業分野への人材の育成や、様々な農業支援へつながって行けばうれしいですね。」
と話しておられました。また、PASONA O2の今後については、
 「現在の地下栽培実験は、まだまだ試行錯誤の連続です。今後ともさまざまな研究を続けていく必要がありますね。大手企業の中には大量栽培に成功し、販売等ができる段階までこぎ着けているところもありますが、ここでは、今のところ流通・販売計画は考えていません。あくまでも、農業に関心を持ってもらうことが第一の目的ですから。」
とのことでした。

 紙上館長も話しておられたように、PASONA O2の第1の目的は、ここで農業に触れることによって農業に興味をもってもらうことです。その上で、ここを訪れた人々の中から農業に従事する人が出てくることを期待されています。
 中でもフリーターやニートといった定職を持たない人々が農業に興味を持ち従事するようになれば、後継者不足が叫ばれて久しい日本の農業にとって一石二鳥ではないでしょうか。
  

◆ 室内農園の可能性

 このPASONA O2のような室内農場、将来の農業形態としてどのような可能性があるのでしょうか?
 「雨量や日照量など屋外では調整が難しい部分まである程度管理することにより、安定的な農産物の供給が可能になる」、「室内であることを活かした大幅な機械化を進めることより、農業従事者の手間の簡略化や削減が図れる」等、メリットはいろいろ考えられます。これにより自然災害等による不安が少なくなりますし、農業の後継者不足に対する対策の一つにもなるかもしれません。
 しかしながら、もちろんそこには維持や設備に対するコストという大きな問題が立ちはだかります。また、栽培方法についての更なる研究も必要です。
 なかなか課題も多いようで、まだまだ、農業形態の主流というまでにはならなそうですが、利用の仕方を工夫することにより商業ベースに乗せることは可能なようです。
 
 また、PASONA O2のような室内農場には、商業目的の農業としての活用以外にも様々な用途が考えられます。例えば、「マンション等に室内農場を設ける」、それにより、そのマンションの付加価値は大きくあがるのではないでしょうか。高齢者を中心に、個人農園に対する人気は根強いものがあります。都会でもそのニーズに応えることのできる室内農園付きのマンションがあったら、結構人気になるかもしれませんよ。
 
 東京のような都会では、普段の生活で農業に触れる機会はあまりありません。そのような中、ここPASONA O2は、数少ない農業との出会いの場です。しかも気軽に接することができます。熱意のあるスタッフの方と話しているうちに、ここでできるだけ多くの人が農業と接することにより、農業に対する理解を深め、農業の魅力を知ってもらいたいと思いました。
 また、ここは緑の多いとても癒される場所でもあります。気軽に、フッと立ち寄って気分転換でもしたくなるようなそんな場所でもありました。ぜひ、また訪れてみたいと思います。そのときは、あたたかいご飯とトマトサラダを期待して。

URL:http://www.city.okayama.okayama.jp/hishokouhou/tokyo/news/17fy/pasona/pasona2.html



画像地下で野菜を自家栽培するレストラン 天使のカフェ 2008年03月18日 11時06分53秒

休日、京都の予定だったんですが、花粉がひどいし、なんとなく中止にしました。
もし行ってたら、寄ろうと思っていたのがこの店。
「天使のカフェ」
なんか乙女チックな感じでしょ。エ・ビ・スには似合わないと言わないように。

「天使のカフェ」は何ヶ所かにあって、野菜ビストロレストラン、野菜ビュッフェレストラン、野菜イタリアンレストランとかになっています。

そう、メインは野菜。この店の野菜は「てんしの光やさい」といいます。栽培は、お店の地下でおこなっています。

エ・ビ・スでも何度か取り上げてきた、屋内での植物の水耕栽培。
東京・大手町のパソナの地下でも栽培されています。
パソナの照明は、岩崎電気の「植物育成システム」を使っていますが、「天使のカフェ」もそうなんでしょうか?
たしか800本の蛍光灯を使っているとか。「天使のカフェ」は無菌室になっているので、現場は電子部品を製造工場みたい。

京都・北山の地下のクリーンルームで栽培された野菜は、そのままお店へ。間違いなく地産地消。
地下で栽培された野菜は、安全・安心、安定供給、清潔で高い栄養価な上、長持ちするようです。

京都・北山といえば、日本のキューガーデン、京都府立植物園のそば。
イメージはいいんですが・・・
正直言って、エネルギーがかかりすぎじゃないか?
輸入物の野菜とどっちがエコか?
消費者のニーズをとらえた、といえばそうですが、
消費者が贅沢すぎじゃないの?
う~ん、エコなのか?

URL:http://blog.goo.ne.jp/ebisu7163/e/901bfe78411ba772fe01bc029b2c88ef



画像洞窟や地下倉庫で農産物を栽培 2005年04月26日

 米国の農地と聞けば、降り注ぐ陽光と植物の影が織り成すのどかな風景を思い浮かべるかもしれない。ところが、自然光も射さないひんやりと湿っぽい洞窟が、まさに農産物にとって最も生産性の高い環境になる可能性があるという。

 パーデュー大学の研究者たちと起業家のダグ・オーセンボー氏が地下に農地を作ったのは、収穫量が増えると考えたからではなく、医薬品成分を含む食用作物の栽培に使える安全な環境をバイオテクノロジー企業に提供するのが目的だった。しかしこの採石場跡地では、トウモロコシ、タバコ、大豆、トマト、ジャガイモなどの花粉が飛散しないだけではなく、温室や野外の農地で栽培するよりも収穫量が増えることが分かり、研究者たちは嬉しい衝撃を受けている。

 医薬品成分を含む作物を栽培すれば、現在行なわれているような遺伝子組み換えバクテリアが入った容器で培養する方法よりも、さらに安く、しかも簡単にバイオテクノロジーを応用した医薬品が作れると、一部の研究者たちは考えている。しかしこの方法を試みる企業は、政府当局による規制、環境団体からの抗議などに行く手を阻まれている。さらに少なくとも1件、医薬品成分を含む作物が危うく食糧に紛れ込みそうになったという事件があったことも逆風となっている。

 オーセンボー氏は昨年、米コントロールド・ファーミング・ベンチャーズ社を設立し、採石場跡地と地下倉庫で作物の栽培を開始した。ファーミング(PDFファイル)[pharming:「pharmacy」(薬学)と「farming」(農業)を組み合わせた造語で、医薬品目的の組み換え「分子農業」を指す]に固有のリスクを減らすのが目的だった。ところがインディアナ州マレンゴにある一見荒れ果てた石灰石採石場跡地(約24ヘクタール)でも作物がたくましく育つことを、どうやらオーセンボー氏は証明してみせたようだ。同氏は、パーデュー大学の研究者たちの協力を得るとともに、『インディアナ州21世紀研究技術基金』から資金助成を受けている。

 「正常な作物の生育過程を阻害するような微量の汚染物質やガスが空気中にあるかどうか、われわれには分からなかった。ところがそうしたものはなかった。すべてが順調に運んだ」と、パーデュー大学園芸・造園学部のケアリー・ミッチェル教授は電子メールでコメントを寄せた。

 この施設の中で栽培されている遺伝子組み換えトウモロコシ――Btトウモロコシと呼ばれ、アワノメイガの幼虫を殺すタンパク質を生成する遺伝子を有する――の平均収穫量は、1エーカー当たりおよそ337ブッシェル[トウモロコシの1ブッシェルは25.4キログラム]に達する。研究者たちは温室でもトウモロコシを栽培しているが、こちらは1エーカー当たり267ブッシェルになる。これに対して米国で栽培されている飼料用トウモロコシの平均収穫量は、1エーカー当たり142ブッシェルでしかない。採石場跡地の環境が制御されているために、こうした高い生産性を実現できるのだと研究者たちは説明する。

 人工的な環境で作物を栽培するには費用が余計にかかるが、収穫量の多さがコストを相殺するかもしれない。

 ミッチェル教授は、照明装置をもっと効率よくすれば、採石場跡地の栽培システムが米国の農業――遺伝子組み換えトウモロコシであれ、通常のトウモロコシであれ――に革命を起こすかもしれないと話した。

 たとえばミッチェル教授は、植物の堆積物を照明装置のエネルギー源として使う方法を研究している。この方法を利用すれば、採石場跡地の寒さ対策にもなる。さらにこの栽培システムは有機農業にも適している。洞窟の内部には昆虫がいないので、果物や野菜を農薬なしに栽培できるからだ。

 ミッチェル教授の潜在的な顧客としては、米ベントリア・バイオサイエンス社などの企業が考えられる。同社のファーミングの試みは、米農務省(USDA)、さらにはカリフォルニア州やミズーリ州などの農場経営者および環境保護団体が懸念を表明したことで頓挫している。

 環境活動家らは、遺伝子組み換え植物――本来のゲノムに別の種のDNAを加えた作物――が食用作物を汚染する恐れはないという主張に懐疑的だ。そしてこれまでのところ、ほとんどの汚染問題が、花粉の飛散によってではなく、出荷に絡む事故によって引き起こされている点を問題視している。そうした活動家たちは、医薬品成分を含む作物を洞窟で栽培しても問題は解決しないと考えている。

 想定外の人々に薬剤が与えられれば、悲惨な結果を招くだろう。このような事故が2002年、ネブラスカ州で危うく起こりかけた。米プロディジーン社が、動物用のワクチン(同社の説明)入りのトウモロコシを50万ブッシェルの食用大豆に誤って混入させたのだ。このトウモロコシと大豆はすべて破棄しなければならなくなった。アイオワ州では、同社のトウモロコシと通常のトウモロコシ(約63ヘクタール分)が交雑したため、焼却処分が必要になった。

 環境保護団体『地球の友』の調査アナリスト、ビル・フリーズ氏は「バイテク業界側の無責任さに問題がある」と非難する。

 何百トンものBt10と呼ばれる未認可の遺伝子組み換えトウモロコシが2001年以降、米国内外で食糧や飼料に混入していたと、『ネイチャー』誌が3月に報告している。Bt10は医薬品成分を含む作物ではなく、スイスのバイテク企業シンジェンタ社が開発した、害虫に対して抵抗力を持つトウモロコシだ。ネイチャー誌の報告やその他の事例は、遺伝子組み換え作物を封じ込めることの難しさを示していると、フリーズ氏たちは指摘する。

 米食品安全センターのメディア・ディレクターを務めるクレイグ・カルプ氏は次のように話した。「ほとんどの人々は、当然ながら医薬品成分が食糧を汚染することがないように求めるはずだ。汚染を防ぐ唯一の方法は、医薬品などを作り出す目的で食用作物の遺伝子を組み替えるのをやめることだ」

Kristen Philipkoski [日本語版:福井 誠/多々良和臣]

WIRED NEWS 原文(English)

URL:http://wiredvision.jp/archives/200504/2005042604.html