政府見解(田母神論文問題について その2)

  
政府見解はとても重い。それは国を代表しての意見になるから。国を代表する意見ということはそのまま他国に対するメッセージになるということ。国家間でやり取りされるメッセージは、外交や国際情勢にダイレクトに影響する。

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だから、政府見解は、すべからく他国との関係を睨みながら慎重に行うべきであって、安易に連発すべきものでもない。一旦出したら、取り消したり、修正したりするのが大変になる。

特に、外交交渉なんかだと、政府見解に基づいて、会談が設定されたり、交渉が進んだりするから、状況に合わせて見解がころころ変えてしまう相手とは、マトモな交渉は出来ない。北朝鮮の瀬戸際外交がいい例。

国際関係にも影響を及ぼす政府見解は、逆にいえば大きくは世界秩序の影響を受けているとも言える。もし政府見解が、世界秩序の基となっている何がしかの価値観を否定するものであったら、その政府を奉じる国は、現在の世界秩序に対する反逆児になる。

今通用している世界秩序に公然と反発して、それを跳ね返してゆけるだけの力がその国にあれば、まだ良いかもしれないけれど、現実にそんなことは殆どありえない。たいていは現状の世界秩序を乱さない範囲でのものになる。

ここで問題になるのは、その世界秩序の基となっている価値観、正義というものは戦勝国によって作られているということ。

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今であれば第二次大戦の戦勝国によって形成されているところの正義。自由と平等がそれ。そして第二次大戦の戦勝国側からみた論理でいえば、民主主義がファシズムを打ち倒したことになっている。こうした価値観が基にある。

戦勝国によって確立し、構築された世界秩序は、それが多くの人々に恩恵を与え続ける限りにおいて、正義になり是とされる。それは、必ずしも真実であるとは限らない。

真実と正義は別のもの。

だから、歴史認識なんかのように今の世界秩序を支える要素となる価値観の下敷きは、原則、戦勝国側の見方に沿ったものになっている。それは世界秩序を維持するための絶対条件。

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