ロボットレンタクシー(未来の車社会について考える 最終回)


朝日大学マーケティング研究所の調査で明らかになった「ちょっとした用事・買い物」の用途・目的で車を使う頻度が大きく増えているというニーズを考えたとき、車を持っていない人達にとって、それに応えるものがあるとすれば、タクシーとかレンタカーがそれにあたるだろう。

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バスはそのニーズを満たすには物足りない。バスに乗るには、まずバス停に行かないといけないし、時刻表どうりにしか運航しない。時間や場所に制約がかかっている。車がない人だって、欲しいのはそんな制約のない移動手段。

では、タクシーやレンタカー業界がもっと伸びるのかと言われるとそれも少し違う。現状では利用コストが高すぎる。

実際問題として「ちょっとした用事・買い物」程度であれば、半径10Km程度乗れれば十分。

それなのに、初乗り700円とか、6時間レンタルして5000円とか取られると、気軽には使えない。やっぱり高い。ジュース1本、ワンコイン100円で10kmくらい走れるお手軽な車であってほしい。

洞爺湖キャラバンでの電気自動車は満充電で80km走れて、850km以上走破して、電気代は1700円ちょっと。1kmあたりに換算するとたったの2円。10kmで100円しか取らなくても全然大丈夫。

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たとえば、タクシーのように向こうから自分のところに来てくれるのだけれど、レンタカーとして使える車。いわば無人ロボットレンタカーとか作れないだろうか。

アメリカのTORCテクノロジーズ社は、バージニア工科大学で自動操縦技術の研究開発を進めるグループ(USG)と提携し、世界初のロボットカー仕様のハイブリッドSUV「Ford Escape Hybrid」の提供を開始している。

このシステムは緊急非常停止装置「SafeStop」を搭載し、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作の自動化を実現しているという。

アメリカでは、市街地で競い合う無人ロボットカーレース「Urban Grand Challenge」も行われており、昨年11月に行われた決勝レースに、このロボットカー仕様ハイブリッドSUVも参戦し、見事に3位に入賞した。

こうした無人ロボット操縦技術やレーンサポートシステム、そしてバッテリー性能が飛躍的に向上している電気自動車を組み合わせれば、コストの安い無人ロボットレンタカーが実現できるはず。

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たとえば、こう。

電気自動車に無人ロボット操縦技術およびレーンサポートシステムを搭載したレンタカー(トロリーレンタクシー)を用意して、普段は駐車場で満充電して待機。

お客さんから電話があれば、GPSを利用した自動操縦でやってきて、そこからはお客さん本人が運転。

もちろん、本人確認や免許証の認証、その他、道交法の問題とかいくつかクリアすべき問題はあるのだけれど、いずれはこういったニーズに応えることができなければ、車離れを止めることは難しいように思う。

1コイン100円で10Kmくらい走るように設定しておけば、都会でもそれなりに使われる筈。

ともあれ、自動車の技術革新を怠らず、また社会のニーズをしっかりと掴むことができた自動車メーカーが、これから生き残ってゆくことになるだろう。


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画像完全自動操縦を実現するロボットハイブリッドSUV「Ford Escape Hybrid」発売 2008/06/13 湯木進悟

米TORC Technologiesは、バージニア工科大学(Virginia Tech: Virginia Polytechnic Institute and State University)で自動操縦技術の研究開発を進めるVirginia Tech Unmanned Systems Group(USG)と提携し、世界初のロボットカー仕様のハイブリッドSUV「Ford Escape Hybrid」の提供を開始した。

新たに発売されたロボットSUVのFord Escape Hybridは、TORC Technologiesが独自に開発を進めた「TORC ByWire」技術に、緊急非常停止装置「SafeStop」を組み合わせたパッケージシステム「ByWire XGV」を搭載。アクセル、ブレーキ、ハンドル操作の自動化が実現するとされている。基本パッケージのByWire XGVには、目的地までのルートナビゲーション操縦を可能にする「AutonoNav」や、ワイヤレスマニュアル操作が可能になるハンドヘルドコントローラ「WaySight」を、オプションでセットできるようになっており、より実走行シーンでの活用スタイルに近づけることもできそうだ。

すでにTORC Technologiesは、Virginia Techの「VictorTango」チームへと正式に参加し、DARPA(Defense Advanced Research Project Agency: 国防高等研究計画局)が主催した、市街地で競い合う無人ロボットカーレース「Urban Grand Challenge」に参戦。昨年11月に行われた決勝レースでは、見事に3位に入賞して、50万ドルの賞金獲得に成功したとされる。

VictorTangoが、Urban Grand Challengeのレースカー「Odin」のベースに使用していたのが、今回発売されたロボットSUVと同じFord Escape Hybridであり、幾千回ものシミュレーション走行をクリアして、購入後すぐに高い完成度でテスト活用できるロボットハイブリッドカーの提供が、大きな意義を持つとアピールされている。

なお、Ford Escape Hybridは、現時点では広く市販されるというよりは、各研究機関やメーカーの開発チームなどに向けて提供し、さらなるロボットカーの実用化を目指す取り組みを支援するとの位置付けになっているという。また、ByWire XGVを始めとする、TORC Technologiesの各種開発技術を、外部の研究者の助けを得て、一層洗練されたものに仕上げていくことにもつながるとされている。

URL:http://journal.mycom.co.jp/news/2008/06/13/025/index.html