「集合知」とは、多様な知識の集積とその分別を行う「分析知」と選別された知識から最高の結論を導きだす「統合知」の和で構成される。
「分析知」と「統合知」には性質の違いがある。それはその使用目的に準拠してる。
分析知は食材の分別・選定に使用されるがゆえに、その食材が「傷んでいないか」とか「毒が入っていないか」といった、使える使えないというレベルでの分別が主な役割であって、食材そのものの味や栄養といった料理の美味しさに関わる部分にはあまり踏み込まない。分析・解析といった性質が強い。
それに対して、「統合知」は料理をどうつくるかといった目的に効力を発揮する、その食材の旬や味、栄養といった、より食材そのもの、本質に踏み込んで探究する知性という性質を持つ。どの食材とどの食材が相性がいい、とか、この食材にはこの味付けのほうがより美味さが引き立つといった、食材本来の美味しさを引き出す方向に発揮される。
集合知の二つの性質である「量」と「質」をそれぞれ良質なものとするためには「分析知」と「統合知」は欠かせない。どちらも無くてはならないもの。分析知がなければ、食材の質は落ちるし、統合知がなければ、美味しい料理は作れない。
分析して、切り分けで細かく分類する知性である分析知と、全然異なった分野を結びつけ纏めて行く知性である統合知はそれぞれ違った性質を持つけれど、これら二つの知性は、これからの社会でも必要とされるものだし、何かを思索するにおいても必要なもの。
最高の結論を導き出すところの統合知は、分析知の下支えがあってこそ、その結論の説得力は増す。分析知は、統合知の土台の役割として存在することを忘れてはいけない。
最高の食材と最高の料理人の二つが揃ってこそ、最高の料理が出来上がる。

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