ガイトナーの罠(人民元切り上げとガイトナー発言について その2)
中国は反発をすると、抗議の意思を示すのに全然別の事で直接的な嫌がらせをしてくる傾向がある。対象国の製品に禁止薬物が検出されたとかなんとかいって輸入を止めたり、高率の関税をかけたりとか。一種の指桑罵槐の手口。
だけど、それこそがガイトナーの罠のように見える。その鍵を握るのが「バイ・アメリカン条項」。
「バイ・アメリカン条項」とは、米下院が1月28日に可決した約8200億ドルの景気対策法案に盛り込まれた「アメリカ製品を買う」という条項のこと。具体的には、景気対策での公共事業には米国製の鉄鋼しか使用を認めないというもの。
この条項は保護貿易に繋がるものだから、当然、欧州・カナダなどアメリカの貿易相手国から強力な反発があった。それを受けてか、条項の再検討しているとギブズ米大統領報道官が発言し、オバマ大統領も反対を表明したのだけれど、最終的には、同条項に「国際的協定のもとでの米国の義務に整合する方法で適用される」という一文を加えて表現を和らげた修正案とすることで決着することになった。上院には、バイ・アメリカン条項の削除案も同時に提出されていたのだけれど、こちらは否決されてしまった。
しかも上院で可決したバイ・アメリカンの対象品は鉄鋼だけでなく、すべての工業製品にまで拡大されている。この「バイ・アメリカン条項」が中国に対する罠になっているのではないか。
どういうことかというと、もし中国が人民元の切り上げに反発して、アメリカ製品の輸入をストップさせたり、関税率を引き上げたりしたら、それを理由として「バイ・アメリカン条項」を持ち出してくるのではないか。
もっと言えば、中国製が殆どを占めるような品目があれば、そこから「バイ・アメリカン条項」を適用してしまえば、モロに中国を狙い撃ちすることができる。
そうなると、中国「製」製品でなければいいことになるから、中国に進出した外資系企業は工場を次々に畳んで、他国に逃げ出すことになる。そうやって、あの手この手で産業を自国に呼び戻すのではないか。
バイ・アメリカンをやらせた責任を中国に擦り付けて、自分は保護貿易。あくまでも建前上の正義はアメリカにあることにするガイトナーの罠。
景気法案にバイ・アメリカン条項、公共事業の鉄鋼は米国製
【ワシントン=岡田章裕】米下院が28日に可決した約8200億ドルの景気対策法案に、「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買う)」条項が盛り込まれていたことが分かった。
景気対策での公共事業には米国製の鉄鋼しか使用を認めないというもので、国際的な反発を呼びそうだ。
ただ、米上院が同様の条項を盛り込んだ法案を可決するかは分からず、大統領が拒否権を発動する可能性もあるため、実施されるか不透明だ。
景気対策には、高速道路などのインフラ事業が含まれており、世界的な不況で米国鉄鋼メーカーの経営が苦しくなっていることに配慮したとみられる。米商務省や経済界から強い反対があったにもかかわらず、米下院民主党が主導して盛り込んだ。上院の議論では、対象製品が拡大する可能性もあるという。
昨年開かれた金融サミットの首脳宣言では、今後1年間は各国が保護貿易措置を取らないと打ち出しており、国際的に批判の声が広がりそうだ。
(2009年1月29日14時07分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081107-5171446/news/20090129-OYT1T00543.htm
米国、バイ・アメリカン条項を再検討 2009年01月31日 09:44更新
ギブズ米大統領報道官は30日、下院で可決された経済対策法案の「バイ・アメリカン(Buy American)」条項について再検討していると明らかにした。「バイ・アメリカン」条項は、景気対策としての公共事業では米国製の鉄鋼製品だけ使用するように義務付けたものである。
欧州・カナダなど米国の貿易相手国は、同案を保護貿易主義と規定し強力に反発している。欧州委員会(EC)のパワー報道官は29日、米国で欧州製品の販売と消費を禁ずる法案の通過は黙認できるものではないと、同委員会の立場を示した。欧州の通商担当理事会がWTO規定の違反可否を綿密に検討するという。
鉄鋼生産量の40%を米国に輸出しているカナダのハーパー首相も同日、同条項がカナダ鉄鋼産業の対米輸出を大きく阻害する可能性があるため、2月19日のオバマ大統領との会談で異議を提起する予定であると明らかにした。
米国の経済界からも、同条項は貿易摩擦を起こし、輸出を一層悪化させるだけだと懸念されている。
しかし、同国の鉄鋼業界と労働組合は、同案に強力な支持をみせている。
URL:http://jp.ibtimes.com/article/biznews/090131/28231.html
景気法案にバイ・アメリカン条項、公共事業の鉄鋼は米国製
【ワシントン=岡田章裕】米下院が28日に可決した約8200億ドルの景気対策法案に、「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買う)」条項が盛り込まれていたことが分かった。
景気対策での公共事業には米国製の鉄鋼しか使用を認めないというもので、国際的な反発を呼びそうだ。
ただ、米上院が同様の条項を盛り込んだ法案を可決するかは分からず、大統領が拒否権を発動する可能性もあるため、実施されるか不透明だ。
景気対策には、高速道路などのインフラ事業が含まれており、世界的な不況で米国鉄鋼メーカーの経営が苦しくなっていることに配慮したとみられる。米商務省や経済界から強い反対があったにもかかわらず、米下院民主党が主導して盛り込んだ。上院の議論では、対象製品が拡大する可能性もあるという。
昨年開かれた金融サミットの首脳宣言では、今後1年間は各国が保護貿易措置を取らないと打ち出しており、国際的に批判の声が広がりそうだ。
(2009年1月29日14時07分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081107-5171446/news/20090129-OYT1T00543.htm
オバマ大統領、バイ・アメリカン条項に反対表明
【ワシントン=岡田章裕】オバマ米大統領は3日、米テレビに出演し、景気対策法案に含まれた「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買う)」条項に反対する考えを表明した。
オバマ大統領が同条項に対する見解を表明したのは初めて。
オバマ大統領は米FOXテレビで、「自国のことばかり考えて、保護主義的なメッセージを送るのは誤りだ」と述べた。
下院が可決した景気対策法案は、公共事業に米国製の鉄や鉄鋼製品を利用することを義務づけ、上院が審議中の法案は、「一般工業製品」まで対象を拡大させている。
(2009年2月4日13時25分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090204-OYT1T00510.htm
バイ・アメリカン条項修正可決 米上院、削除案は否決 2009.2.6 01:18
4日、ホワイトハウスで演説するオバマ米大統領(AP) 【ワシントン=渡辺浩生】公共事業に米国製品の使用を義務付ける「バイ・アメリカン条項」が米景気対策法案に盛り込まれた問題で、米上院は4日夜の本会議で、同条項の修正案を可決した。保護主義的な政策として欧州連合(EU)など諸外国が反発し、オバマ大統領が見直しを求めたことに配慮したとみられる。ただし、同時に提出された削除案は否決された。
修正案は、同条項に「国際的協定のもとでの米国の義務に整合する方法で適用される」という一文を加えて表現を和らげ、世界貿易機関(WTO)の政府調達協定などは順守するという姿勢を示す内容。
一方、共和党の大統領候補だったマケイン上院議員は「米国が保護主義に回帰するというメッセージを世界に発信することになる」として同条項を削除する修正案を提出。31対65の反対多数で否決された。
上院の景気対策法案に盛り込まれたバイ・アメリカン条項は、公共事業で調達される鉄鋼など工業製品すべてを米国製に限定する内容。外国製品が排除される恐れがあり、EUやカナダ、日本が国際協定違反として見直しを求めている。
URL:http://sankei.jp.msn.com/world/america/090206/amr0902060118001-n1.htm
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