アメリカによる人民元切上げ圧力(人民元切り上げとガイトナー発言について その1)


ガイトナー発言と人民元切り上げについて考えてみたい。全3回シリーズでエントリーする。


「オバマ大統領は中国が為替を操作していると確信している」

先月の米上院財政委員会への書簡の中で明らかになったガイトナー財務長官の発言。

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人民元がその実力に対して不当に低く操作されているのだ、と。このガイトナー発言は無論狙って行なったものだろう。

元をドルに対して高くしたいという意図がある。

その理由として大きくふたつ考えられる。

ひとつは、いまや日本を抜いて世界一の外貨準備高、その大半をドル国債で持っている中国に対する借金を減らしてしまうということ。もちろん第二位のドル国債を保有する日本に対しての借金も減らすことができる。

もうひとつは、元の購買力を上げることで、よりアメリカ製品または、更なる米国債を買ってもらうということ。

前者は説明の必要がない。これから国内経済の立て直しで、NEWニューディールの名の下に更なる政府支出をしようとしている。タダでさえ、膨大な赤字を抱えるアメリカがその資金を調達しようとすると、ドルをバカスカ刷って、米国債を買い取ってもらうくらいしかない。

また、後者についても同様にアメリカの経済対策の一環。サブプライム問題発生後、アメリカ国民が倹約し、貯金をするようになっている。これまで借金してまで世界中からモノを買いまくっていたアメリカの消費がどんどん無くなってゆく。アメリカが買ってくれていた分をどこかが買ってくれない限り、適正規模まで経済は縮小するしかない。

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そんなとき、人口があって市場が見込める国の通貨を切り上げて、購買力を高めてやれば、その分経済縮小を補完することになる。

ガイトナー発言に対して、中国は当然の如く「根拠のない批判」だとして反発し、米国債の購入見直しを示唆して牽制しているけれど、結局は元の切り上げに踏み出さざるを得ないのではないかと思う。

中国国内では、米国債の購入見送りのみならず、米国債を売ってしまえという声も上がっているという。だけど、売ったところで、やっぱりドルは下がって、元は上がってしまう。ガイトナーの目論見どうりになってしまう。

だから反発するとしたら、別の嫌がらせに出る可能性が高い。


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画像「中国は為替操作国」オバマ大統領…ガイトナー氏書簡で
 
 【ワシントン=岡田章裕】ガイトナー米次期財務長官は22日、「オバマ大統領は中国が為替を操作していると確信している」との見解を米上院財政委員会への書簡の中で明らかにした。

 中国との対話路線を貫いたブッシュ政権と異なり、オバマ政権が人民元への切り上げの圧力を強める可能性が出てきた。

 書簡では「中国の為替政策を変更させるために、大統領自らが、あらゆる外交手段を積極的に活用することを誓った」としている。

 ただ、「強いドルがアメリカの国益だ」との見解も示し、中国人民元以外の通貨一般では、ドル高政策を取る方針だ。

 米財務省が例年、春と秋にまとめる為替政策報告書で中国を「為替操作国」と認定するかどうかが焦点になる。

 認定すれば政府間交渉に入る。対中貿易は年々増加しており、過小評価された人民元のために米国からの輸出が妨げられ、雇用が流出しているとの不満が議会内に高まっている。

(2009年1月23日14時35分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090123-OYT1T00549.htm



画像中国が為替操作を否定、ガイトナー氏の発言に反論=通信社 2009年 01月 24日 10:23 JST

[ニューヨーク 23日 ロイター] 次期米財務長官に指名されたガイトナー氏が22日、中国の為替操作をオバマ大統領は確信していると発言したことについて、中国商務省は23日、為替を操作していないと反論した。AFPが報じた。

 中国商務省は声明で「中国政府は国際貿易で利益を得るためにいわゆる為替操作を行ったことはない」と言明。「根拠のない批判」だとし、米国の保護主義的な反発を招きかねないと述べた。

 さらに「為替レートの基本的な安定」を維持するとの意向を示し「輸出を支援するために人民元切り下げに依存することはない」とした。

URL:http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-36066120090124?feedType=RSS&feedName=businessNews



画像中国が「米国債の購入」見直し示唆 温家宝首相 配信元:2009/02/02 18:54更新

 【上海=河崎真澄】ロイター通信によると、ロンドンを訪問中の中国の温家宝首相は1月31日、英国の華僑関係者との会合で「今後も米国債を買い続けるか、どの程度買うかは、中国の需要や外貨資産の安全性と価値を保つ必要性に基づいて決める」と述べ、米国債を大量に買い増してきたこれまでの方針を見直す可能性を示唆した。

 中国は昨年末段階で約7000億ドルもの米国債を保有しており、オバマ米政権は中国の外貨保有策の動向を注視している。

 また、英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、温首相は2日までの同紙とのインタビューで、中国政府が追加の景気刺激策を検討していることを明らかにした。

 中国は昨年11月に4兆元(約52兆円)の大規模な対策を発表ずみ。温首相は「断固とした新たな対策を実施するかもしれず、景気後退に先手を打つ必要がある」と述べた。

 また、経営が悪化している中国農業銀行に300億ドル(約2兆7000億円)の資本を注入する方針も明らかにした。農民や農村支援の一環として、農業銀行の経営立て直しが急務と判断したようだ。

URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/218319/




画像中国が米国債売却を検討 その可能性はあるのか 2009/1/26

オバマ米大統領の指名した財務長官のガイトナー・ニューヨーク連銀総裁が2009年1月22日、「大統領は中国が自国通貨を操作していると信じている」と述べ、中国側の反発を招いた。一方で、中国で「保有する米国債の残高を減らすべきだ」との議論が活発になっているという報道もあって、米国債は市場で大量に売られた。世界一の米国債保有国の中国は本当に売却に踏み切るのか。

政府のシンクタンク所長が米国債売却論
ガイトナー・ニューヨーク連銀総裁の発言は、対中貿易赤字の拡大を背景に、オバマ政権が人民元の切り上げへ、圧力を強める可能性がある解釈される。これに反発した中国が今後米国債の購入を控えるとの懸念が高まり、債券売りが進んだ。

さらに、中国で「保有する米国債の残高を減らすべきだ」との議論が出てきた。米国が金融危機の対応で国債を大量に増発し、今後の価格下落が見込まれるためだ。中国社会科学院世界経済政治研究所の余永定所長は1月初めに中国紙上で、米国債が供給過剰になるリスクに触れ、

「米国債をある程度売り、ユーロや円の資産を増やすべきだ」
と指摘した、と伝えられる。

余永定氏は、中国政府のシンクタンクである中国社会科学院世界経済と政治研究所の所長であり、しばしば日本を訪問し、日本との交流も深い。

中国社会科学院は中国政府のシンクタンクであり、政府の政策決定機関と緊密な関係にある余所長は、その発言自体が政府の思惑を感じさせる。「2008年9月に中国は米国債を436億ドルも多く購入し、同時期に日本はむしろ128億ドルの米国債を売却した。中国は5850億ドルの残高で日本の5732億ドルを上回り、世界一の国債所有者になった」(余所長)。08年11月ごろから、これ以上の米国債を持つべきでないと余所長は主張している。その後もほぼ同様の話を繰り返している。

米国新政権を困らせて、中国が得するところがあるだろうか。

米国債の問題については、08年12月4日と5日に北京で開かれた米中戦略経済対話の中でも議論されたと言われている。詳細は中国でもアメリカでも報道されていないが、「アメリカはこれ以上中国人民元の切り上げについて触れない。その一方で、中国もアメリカの金融安定に協力する」という内容で両国政府は合意したとされる。

北京にあるアメリカ問題の専門家は、

「アメリカの新政権はスタートしたばかり。オバマ政権自体が中国に難題を投げたわけではないし、中国もオバマ氏に困らせるつもりはないはず」
と答えた。

中国は、満期前の国債を多く抱えており、それを売って利益が出るかどうか。仮に、国債を売った米ドルをアメリカの社債、株などの購入に使うとする。それは現在の国債と比べて果たして安全だろうか。さらに米国新政権を困らせて、中国が得するところがあるだろうか。中国は売却に今のところ否定的だ。

(J-CAST 北京)

URL:http://www.j-cast.com/2009/01/26034209.html

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