「人類は当面、温暖化対策に取り組む必要がある。自分やその子どもの時代はともかく、さらに次の孫の時代にCO2で人類が滅亡することを想像すれば、現在、その対策に手をこまねいている時ではないことがわかるはずだ」
2008年3月に行なわれた、先端技術産業戦略推進機構(HIA)の国際シンポジウムでの西澤潤一首都大学東京学長の講演での発言。
西沢潤一氏はその中で、環境問題の少ないミニダムによる水力発電と、交流より50倍も遠くまで電力を効率よく運べる直流送電の技術を活用した電力システムを提唱している。
直流送電は交流に比べて、送電損失が少なく、長距離伝送に向いているとされている。ただこれまでは直流から交流への変換が難しいこともあって中々普及していなかったけれど、半導体技術の進展でこれらの問題が解決されてきつつある。
西沢潤一氏によれば、超高圧直流送を行なえば、1万km送電が可能であるという。実際、これも中国だけれど、中国西部大開発の中の「西電東送」プロジェクトでは、四川省宜賓県と雲南省水富県との境界を流れる金沙江の下流で発電した電気を2,000km離れた上海に送る計画だという。
この直流送電技術をシーレーンの補完として活用できないだろうか。
シーレーンで送るものは、何も石油でないといけないということはない。中東に超大規模発電所を作って、中東から海底ケーブルで直接日本に電気を送ってはどうか。無論完全に石油を輸入しなくてもいいなんてことにはならないけれど、全部が全部石油でなければならないこともない。
サウジアラビアと日本は直線距離にして、約9000Km。海底ケーブルなら一万数千キロになるだろうけれど、途中の島々に大型の燃料電池タンクを設けた中継所でも作ってやれば、十分日本に電気を送れるのではないか。
海底ケーブルなら、海賊の心配もしなくていいし、シーレーンの制海権も気にしなくていい。シーレーンじゃなくてサブマリンレーンを引いてやる。
もうひとつ、シーレーンとは、全く別のルートを開拓する方法もある。たとえばロシア経由とか。
ロシア経由で新幹線で石油天然ガスを運ぶ方法なんかもあっていい。
ロシアは2030年を目標とする鉄道整備計画を策定していて、その中にはシベリア鉄道の近代化もあるという。そのシベリア鉄道の近代化に向けて、日本に協力を打診しているそうだ。そこへ新幹線を使って、シベリア鉄道で天然ガスを運べばいい。、これもシーレーンの補完の一つになるだろう。
近く、プーチン首相が訪日し、麻生総理と会談するという。もちろん北方領土問題もあるだろうけれど、新幹線技術の協力を申し出て、エネルギーのシベリアルートの開拓も行なって置くべき。
それと同時にロシアとの経済協力条約的なものも結べればなおいい。これは、日印安保とあわせて、アジアでの地域覇権を狙い始めた中国への牽制にもなる。

この記事へのコメント
日比野
ハンドルネーム変わられたのですね。イラストも本当にうまくていらっしゃって感心しきりです。
ロシアが信用できないのは今に始まったことではありません。しかし、世界はそんなものでもあります。なのにロシアと結ぶことで、それ以上のプラスがあれば、差引きでプラスになれば良しと考えます。
今回の記事では、日本のシーレーンを押さえられたときのためのバックアップの意味合いで取り上げましたが、当然、対中国へのけん制にもなります。大切なのは、国として決然とした態度でしょう。
中国・ロシアも日本を舐めてかかっているように見えますが、潜在的には日本を恐れているところがあるように思います。それは先の大戦で日本に勝てなかったからです。
カッパ子改め、丸まる子
>ロシア経由で新幹線で石油天然ガスを運ぶ方法なんかもあっていい。
どうもロシアは信用できません。かの国が我が国にした仕打ち、現在も続行中の周辺国への嫌がらせ(真冬のガス供給ストップなど)の数々を見ていても、民族性は変わらない。 支那もそうですが、あまり深入りしない方が身のためだと思います。今の軟弱日本ではいいように振り回されそうです。