埋蔵金と貯金(役人の仕事についての雑考 その2)

 
少し前、国会で霞ヶ関の埋蔵金なるものが取り沙汰されたことがあった。

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埋蔵金とは所謂特別会計のことを指し、毎年発表される一般会計とは別の扱いになる予算。特別会計は全部で28あるとも言われていて、そのうち、道路公団(道路整備特別会計)、グリーンピア(年金特別会計)、KSD事件(労働保険特別会計)などで巨額の無駄使いが発覚している。

特別会計の総額は莫大で、予算規模は約175兆円(H19年単年度)とも言われている。

特別会計が裏帳簿なのかどうかは分からないけれど、あるのかないのかで騒がれているということは少なくとも表に出ているものではないことは確か。

その年で予算を使い切らないと、翌年の予算が減らされるから無理やり使ってしまうのはあまり感心できる態度ではないのだけれど、だからといって余ったから隠れて積み立てしていたとしたら、実質ヘソクリしているのと変わらない。

裏でこそこそやるから無駄遣いしても誰も咎めるものがいない。好き勝手し放題。だからヘソクリなのだけど。

だけど、見方を変えれば、税金という収入の中から一定部分のお金を積み立てして貯金していた、と見ることもできる。貯金をするのは将来に備えるためとか、何か大きい買い物をするため。

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本当に埋蔵金なんてものが作れるのなら、隠して埋蔵なんてしなくて、きちんと通帳を作って、内容をオープンにして貯金すればいい。その貯金は、百年に一度の危機にこそ取り崩して使えばいい。

もっといえば、毎年合理化を進めて倹約して、どんどん貯金したっていい。年末に意味のない道路工事をするくらいなら、その分の費用を浮かせて、貯金して特別会計に繰り入れて、毎年通帳を公表すればいい。

好況のときは税収が増えるから、そのときにせっせと貯金して、不況のときに取り崩して使うようにしていけば、やれ消費税を上げるとか財政再建とかいう議論は無くなっていくだろう。国家破産だとか返済不能の借金があるからどうしようもないなんて騒ぐだけではなくて、今年の収支は黒字なのか赤字なのかという経営の観点でみるようになる。

現に橋下知事はあれほど借金まみれで赤字体質だった大阪府財政をたった一年で黒字にしてみせた。府にできて、国ができない理由はない。

経営の巧い人がやらせれば、貯金と取り崩しをうまいことバランスさせて、毎年国家予算を黒字にしてくれるかもしれない。

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画像「霞が関の埋蔵金」は裏会計か?

国会では2009年度予算案の審議に入っています。通常、国家予算といえば一般会計を指すことが多いのですが、この近年は、「霞が関の埋蔵金」も注目されるようになりました。この「霞が関の埋蔵金」とは、どのようなものなのでしょうか。


▼今ではもう埋蔵金と呼べない、「霞が関の埋蔵金」

「霞が関の埋蔵金」は、もはや埋蔵金とは呼べない?

国語辞典で「埋蔵」の意味を調べると、「地中にうまっていること。うずめかくすこと」とあります。江戸幕府が密かに地中に埋めたとされる金塊もしくは金貨を「徳川埋蔵金」と言いますが、「霞が関の埋蔵金」はこれを倣って呼ばれるようになったのでしょう。

「霞が関の埋蔵金」と呼ばれるのは、各省庁が管理している国の予算、「特別会計」のうちの余剰金や積立金のことです。

以前、特別会計のバランスシート(貸借対照表)は国民に公表されていませんでした。2007年に、元財務官僚だった高橋洋一氏が特別会計のバランスシート(貸借対照表)を公表したことで、「霞が関の埋蔵金」は発掘されたのです。

なので、実は、今では「霞が関の埋蔵金」は「埋蔵金」とは言えなくなっています。

発掘されたとはいえ、それまでうずめかくされていた埋蔵金です。いったいどのぐらいの額が埋蔵されているのか、客観的な数字は定かではありません。確実に掘り出せる額は15兆円とも言われていますが、高橋洋一氏の著書によれば、町村派の清和政策研究会では50兆円の埋蔵金があると明言したそうです。

何かと話題に上る「霞が関の埋蔵金」。国家予算についておさらいすると共に、かつて埋蔵金と呼ばれていたお金について、理解しておきましょう。


▼一般会計、特別会計とは

国の予算には、一般会計と特別会計があります。

一般会計とは、国の基本政策に使われるお金のことです。通常、毎年の予算として年度の始まる直前に国会で決められます。一般会計のうちの主な収入は、国民の税金収入と国債発行によって集められたお金です。このお金が国の事業のために振り分けられ、外交や社会資本の整備、社会保障、警察、教育などに使われます。

この収入源はどこからか、そしていくら入ってくる見込みで、使い途は何にいくらにするのかを決めるのが、毎年の予算審議です。今まさに、国会で2009年度の予算案を審議しているところです。

一方、特別会計とは、各省庁が行う特定の事業に使われるお金のことです。資金の運用はそれぞれの省庁で個別に管理しているため、運用されたり無駄な使い方をされているのでは、との指摘もあります。各省庁に任されているのは、財務省も国会も、一般会計予算だけでキャパシティオーバーになってしまい、特別会計まで管轄するほどの余裕がないといった理由のようです。

しかし、特別会計の予算規模は、重複分を除くと一般会計の倍ほどの金額です。厳密に言えば、そのうち半分は国債の償還に充てられているため、実質、一般会計と同じ金額程度なのですが、いずれにしろ、国民にとっては無視できない規模なのです。

具体的には、財政融資資金、厚生保険、外国為替、国債整理基金、労働保険、国民年金、産業投資、道路整備、国有林野事業などの特別会計が存在します。名称を聞けば、身近なお金で国民生活に欠かせない会計だということがわかるでしょう。

国民の身近なお金だというのに、「裏会計」などと悪く言われることのある特別会計。埋蔵金は、裏会計なのでしょうか。


▼「霞が関の埋蔵金」は裏会計か?

一般会計に比べてないがしろにされている上、国の予算は単純な帳簿。それだけに、ダークな印象の特別会計
メディアなどでは、特別会計は不透明で、裏の帳簿だという論調で伝えられることもあります。しかし、企業会計から見れば単純な帳簿様式ではあるものの、特別会計は正式な国の予算ですし、基本的には一般会計と同じチェックや手続きが行われています。ただし、必要に応じて、法律で定められた異なる処理をすることはあります。

それでも、決して裏の予算と呼ぶべきものではありません。

では、なぜ「埋蔵金」だったのでしょうか。それは、前述のとおり特別会計そのものは以前から公表されていたのですが、この中身についてのバランスシート(貸借対照表)が公表されていなかったからでしょう。

バランスシート(貸借対照表)を公表したことで、特別会計の積立金や余剰金の額が掘り当てられたというわけです。


▼塩ジイの「すき焼き発言」で知れ渡った、埋蔵金の存在

特別会計が注目されるようになったきっかけの1つに、塩ジイ(塩川正十郎元財務相)の「すき焼き発言」がありました。

2003年のことです。小泉内閣の塩川財務大臣は、「母屋(一般会計)では節約をしてお粥をすすっているというのに、離れ(特別会計)では子供が贅沢にすき焼きを食べている」というような内容の答弁をしました。

この答弁で、特別会計に余剰金という埋蔵金があることが発覚、その後、道路公団の改革の中で公団の資産を査定することになり、埋蔵金の存在が広く知られるようになってきたのです。

それまでも、政治家や政治の専門家、一部の国民の間では「霞が関の埋蔵金」の存在は知られていたでしょう。しかし、一般会計で手いっぱいの財務省と国会、政府。それをそのまま伝えるだけのメディア、という情報公開の状況では、一般の国民にとっては、埋蔵金の正体どころかその存在すらも知られていなかったものと思われます。


▼掘り当てた埋蔵金の使い道

「霞が関の埋蔵金」が公表され国民の目に触れられるようになった今、その存在自体や積み立ててきた経緯の疑義を議論する時期ではないでしょう。むしろ、厳しい納税や社会保険料の負担をカバーできるような「霞が関の埋蔵金」の使われ方を、政府に求めていくべきでしょう。

2009年度予算案では、雇用支援や子育て支援、中小企業支援などで予算の増額が予定されています。

国民の一人一人が、一般会計のみならず特別会計についても、「自分たちの納めた税金、または国債として貸し付けた資金、納めた社会保険料など」として意識することでしょう。予算案審議など国会に関心を持ち、有意義な使われ方がきちんと議論されているかどうかのチェックも欠かせません。

URL:http://allabout.co.jp/career/economyabc/closeup/CU20090130A/

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