スマートグリッドと広域ユビキタスネットワーク
オバマ政権が推し進めようとしている、「グリーン・ニューディール」政策。その中で注目されている技術のひとつとして、「スマート・グリッド」というものがある。
これは、米ゼネラル・エレクトリック社とGoogle社とで共同事業している技術のことで、電力網をIT(情報技術)と融合して電力の供給・利用の効率を格段に高めるしくみのこと。
簡単にいえば、各家庭に使用電力を逐一監視するメーターを設置して、電力をあまり使わない夜間に、電気自動車などの蓄電池に充電したり、他の電力をつかいたい家庭や施設に太陽光・風力なんかで自家発電した電気を回してあげたりして互いに電気を融通しあって、効率的な電力網を形成しようというもの。
要は発電設備を電気会社の発電所だけでなくて、各家庭にちっちゃなものをおいて、電気全体をコントロールできればもっと効率があがるんじゃないかという考え。
ネットワークというものが、単にPC端末同士やサーバなんかに繋ぐというのを意味するのではなくて、電力計などのなんらかの情報を持つもの同士を繋いで、個々の情報を共有化して、効率を高めたり、新しい価値を生み出していこうという風に拡大しようとしている。
日本でも、このスマートグリッドに似たしくみの実証実験が今年の3月から墨田区、葛飾区、江戸川区を中心に進められている。だけどこちらの方はもっと凄い。
「広域ユビキタスネットワーク」と呼ばれるこのシステムは、ありとあらゆる日用品に無線通信機能をもたせた超小型チップを組み込んでおいて、定期的にその状態をモニタ監視するという仕組み。
ガスメータにユビキタスチップをつけておけば、ガス漏れ異常を検知してガス会社に自動連絡したりするようにできるし、自転車に貼り付けておけば、盗難されても場所が分かるという。傘につけたら、置き傘を無くすことなんかもなくなるだろうし、自動車のライトの点灯をモニタすれば消し忘れでバッテリーが上がることもない。
また、ペースメーカーをつけてる人に適用できれば、外出時の異常にも対応できるかもしれない。尤もペースメーカ自身がチップの無線発信で異常を起こさないことが条件だけれど。
要は人がいなくても、人に代わって機械に見て貰って安全を確保しましょうということ。
これは考え方的には、昔の日本では当たり前だった何かあった時に町内や近所の人に知らせてもらったり、対応してもらっていたりしていた事と同じ。近所の人にお願いしていたことをユビキタスチップに肩代わりして貰おうとするだけのこと。
その意味では、向こう三軒両隣、江戸時代風に言えば五人組のデジタル化。それが「広域ユビキタスネットワーク」と言っていいのかもしれない。
スマートグリッドも広域ユビキタスネットワークも各家庭のガスメータなどの端末をネットワーク化して監視するという点では同じなのだけれど、その使い道が大きく違っているのは面白い。
日本の核家族化が進んで、近所付き合いが億劫になって、日本の良さが失われつつあるというのは事実だけれど、日本の良き伝統は、こうやって科学技術に一部シフトしてゆくのかもしれない。この広域ユビキタスネットワークシステムが、失われつつある日本の伝統を補完する役割を担えるのかどうか注目したい。
グーグルとGE、クリーンエネルギー共同事業へ
【9月21日 AFP】米インターネット検索大手グーグル(Google)と米ゼネラル・エレクトリック(General Electric、GE)は17日、米電力網の「洗練化」とクリーンエネルギーの推進で共同事業に乗り出すと発表した。
両社は自然エネルギー技術の開発を共同で進めるほか、再生可能エネルギーについて明確な政策を支持するよう政治家たちにロビー活動を行っていく。
過去2年にわたりグーグルは地熱発電、太陽光発電、風力発電への投資など数々のクリーンエネルギー構想を立ち上げてきた。社内には「石炭よりも安い再生可能エネルギー」プロジェクトに取り組む専門チームを設置し、温暖化ガスを排出する化石燃料による発電よりも地球に優しく、価格も手ごろなエネルギー源からの発電を目標に掲げている。
■送電網の世代交代が不可欠
グーグルによると、再生可能電力の恩恵は、米国内の送電線網を世代交代させなければ十分に得ることができない。巨大な発電所からただ送電するだけの機能しかもたない現在のシステムから、どの種類の電力をいつ使ったかを利用者が自分で追跡・管理できる「賢い」電力網、スマートグリッドに変える必要がある。
しかし技術面ではなく、政治的な問題や規制が電力網改修の障害となっていると、グーグルの気候変動とエネルギー・イニシアチブを担当するDan Reicherディレクターは語る。「ダコタ地方(Dakotas)の風やモハベ砂漠(Mojave Desert)の太陽光を利用して作った電力を遠くの都市に送るために送電線を増やしたいというとき、ワシントンの政策をどう動かせばよいだろう?来年1月に新政権が発足し、新たな議会が始まれば、こうした障害を打破していくうえで大きく前進するだろう」。Reicher氏は、プラグイン式自動車が電力システムにとって「損害ではなく利益」となるためには、国内送電線網をコンピュータ時代にあわせて更新することが不可欠だという。
電力網がスマートグリッドになれば、例えば1日のうち利用量が少ない時間帯に電気自動車のバッテリーを充電したり、太陽エネルギーなどの余った再生エネルギーを電力会社が買い取ることも可能になる。例えば、電気自動車搭載のソフトウエアで、需要の低い時間帯に充電し、需要ピーク時には電力を送電線に送ることが可能になる。
■多くの企業の参加を
大手自動車メーカー各社は、2010年までに米市場でプラグイン式の電気自動車を販売開始すると発表している。グーグルではプラグイン式電気自動車の技術開発にこれまでも投資し、試験を行ってきた。
「電気機器の王者」GEとの今回の提携では、グーグルの熟練コンピュータ・プログラマーらが、GEの専門家らとのチームに合流する。スマートグリッドの整備さえ進めば「貢献できるものは多いと思う」とReicher氏は語る。
両社では、この共同事業を巨大化させ独占するのではなく、他社も参加して利益と目標の重なる部分を共有することを期待している。(c)AFP/Glenn Chapman
URL:http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2519840/3360584
Google、GE と共同でスマートグリッド技術のセミナーを開催 Kenneth Corbin
よりクリーンでエネルギー効率の高い経済への期待がインターネットにかかっているとすれば、検索大手 Google のような企業がそうした議論の中心にいても不思議ではない。
Google はワシントンの支社において17日、General Electric との共催で、新たに成長しつつあるスマートグリッド技術を強く推進するためのセミナーを行なった。
Google と GE の両社は、動的に調整可能な送電線網 (スマートグリッド) の夢は電力の問題であると同時に IT の問題でもあるという認識のもと、スマートグリッド技術の開発とその省エネ効果についての啓発を目的として、2008年秋から共同作業を行なっている。
GE のエネルギー部門を担当するバイスプレジデント Bob Gillian 氏は、次のように述べている。「スマートグリッドとは、本質的に情報技術とプロセス自動化技術を既存の電力ネットワークに融合させるものだ」
スマートグリッドのメリットは十分に明らかだ。先進的な電力メーターによって顧客は、自分がどれだけのエネルギーを消費していてどれだけの費用がかかっているかを、より明確に把握できる。また、センサーや新しいソフトウェア アプリケーションその他の技術により、家庭の電力消費を調整して、電力需要のピーク時にグリッドの負担を軽減できる。さらに、電力会社は、ブロードバンドによる消費電力量計測などの技術を通じて効率性を高められるほか、高度なネットワークにより、太陽光エネルギーのような再生可能エネルギーの貯蔵や配給が可能となる。
「GE は大手エネルギー企業であり、Google は大手情報技術企業だ。それぞれの業界において革新的な企業であり、革新的なリーダーである両社が手を組むことにより、われわれはこうした変革を実現し、グリッドの運用方法の転換を促す絶好の機会を得ると確信する」と、Gillian 氏は述べた。
この議論は時宜を得たものだった。このセミナーのパネリストたちが新たなエネルギー体制に関する自らの構想を説明していたそのときに、オバマ大統領が大規模な景気対策法案に署名していたのだ。この景気対策法案では、スマートグリッド技術への45億ドルを含め、数百億ドルがクリーンで効率的なエネルギー構想に支出される予定だ。
URL:http://japan.internet.com/busnews/20090219/10.html
コンピューターと電話のような「進化」が電力網で起きる スマートグリッド~ダイナミックでエキサイティングな未来 飯野将人、堤 孝志
スマートグリッド時代の生活
我が家の屋根の太陽電池兼小型風力発電機は働き者だ。真夏日の今日は、発電メーターがドンドン増加している。その電気でエアコンが動いているので真夏日なのに快適な週末、部屋で高校野球観戦中だ。
一昔前は真夏日と言えばエアコンの使用を控え、ピーク電力対策で節電が呼び掛けられていたものだが、電力網のスマート化が進んだ今は違う。
家電やオフィス機器からの電力消費情報に基づいて、電力需要予測システムが電力需要をきめ細かく予測し、電力が余っている地域から足りない地域へ電力が自動的に補給され平準化がはかられる。それでも足りずに本当にピークに近づけば、システムが自動的に家庭やオフィスの電気機器の消費を抑制する。おかげでピーク電力に合わせて計画されていた大型発電所の建設も、今はその必要がなくなった。
電力が不足した地域への電力補給源は、何も日本国内に限らない。超電導技術が導入された今日の電力網では、中国の太陽電池発電所から、クリーン電力が届けられることだって珍しくない。国内の補給も発電所でなく、家庭やオフィスの蓄電システムから、余剰電力を供給することだってある。我が家では売電で稼いだお金で旅行や外食などちょっとした贅沢に使っているので電力需要は大歓迎だ。自家発電から新興のクリーン電力専門事業者まで、電力の選択肢も増えて電気代も昔より安くなった。
スマートグリッドには家庭やオフィスの太陽電池だけでなく、全国各地の風力発電所や太陽光発電所、バイオマス発電所もつながっている。昔は代替エネルギーなどといわれていたものだが、今や原子力や火力にならぶ存在で温暖化ガスの排出もだいぶ抑制できてきた。
スマート電力網には我が家のマイカーである電気自動車もつながっている。夜間等電力が安いときを選んで自動充電するのはもちろん、停電の時にはバックアップ電源にもなるのだ。さてと、野球も終わったので充電完了した車で買い物に出かけるか…。
…これはもちろん、現在の話ではない。「スマートグリッド」と呼ばれる次世代電力網がフルに実現した未来の話である。
スマートグリッドとは
「デジタル情報分野の最新技術を活用して、さまざまな集中型・分散型エネルギー源を効率的に管理、供給するもの」。これが、拙訳書「クリーンテック革命」における、スマートグリッドの定義だ。具体的には次のような効用が期待される次世代の電力網とその周辺システムということになる。
ITやエレクトロニクスの先端技術を活用して電力網を一気にアップグレードする、これがスマートグリッドの本質だ。「電力網全体のアップグレード」とは巨大な話だ。
URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20080917/170808/
NTT、次世代ネットワークの実証実験を開始--ガス検針や自転車監視システム構築へ 2009年04月02日17時57分 / 提供:CNET Japan
NTTは3月31日、総務省が推進するユビキタス特区事業の一環として、「次世代無線ネットワーク」の実証実験を開始した。モノ同士をネットワークでつなぐことにより、安全とエコをサポートする通信インフラを構築したい考えだ。
次世代無線ネットワークの実証実験では、新たに開発した「広域ユビキタスネットワーク」を利用。これに、移動体(自転車)管理サービス、ガス検針サービス、遠隔監視制御サービスといった3つのサービスアプリケーションサーバを接続させる。これにより、ガスメーターの検針情報収集や盗難自転車の追跡などが可能になるとのこと。
実証実験は、280MHz帯を用い、3月31日から2011年3月31日までの期間に実施。墨田区、葛飾区、江戸川区を中心に展開するという。
NTTでは、今回の実証実験を通じ、広域ユビキタスネットワークの有効性を検証するという。
URL:http://news.livedoor.com/article/detail/4091950/
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