WBC後遺症(報道と選択について その1)

 
報道とその選択について考えてみたい。全4回シリーズでエントリーする。

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侍ジャパン戦士にWBC後遺症が襲い掛かっているという。

イチローは3月30日の試合で眩暈を覚えて途中交代。

阪神の岩田稔投手は凱旋帰国後、左肩痛に襲われ、ヤクルトの青木は、筋肉痛と発熱でオープン戦を2試合連続欠場。そして岩隈は調整登板なし、ぶっつけで開幕を迎えるという。

ことほど左様に国際試合というものは選手に負担を強いるのだろう。今回のWBCでは真剣に準備して戦ったのはアジアのチームくらいで、辞退者が相次いだアメリカは全然本気ではなかったと言われている。勿論、代表選手自身は真剣に闘ったに違いないのだけれど、あそこまで辞退者が出たというのは、公式戦への影響を考えてのことであるのは疑いない。

それに対して、メジャーは少し趣きが違うようだ。松坂に関しての興味深い記事があったので少し引用する。


 アメリカから伝えられたショッキングなニュースだったのが、WBC2大会連続MVPの栄誉に輝いた松坂の先発3番手降格。しかし、松坂は覚悟していたフシがある。スポーツ紙記者の話。

 「球数を厳しく制限されていたのに、松坂はキャッチボールに見せかけるなど、隠れるようにして投げ込んでいた。それをわれわれ、日本のマスコミが書いたのですから、球団サイドに伝わらないはずがない。3番手は言ってみればペナルティ。個人主義の国だけに逆らえばどうなるかを、チームメートに示さなければならない。松坂は日の丸のためなら、それでもいいと腹をくくっていたでしょう」

 WBCの主催者は、米メジャーを統括するMLB。だから、投手に関しては球数制限や登板間隔など厳しい制約があった。投手の肩を消耗品と考える大リーグならでは。そこに、長嶋茂雄氏が言うような“フォー・ザ・フラッグ”はない。

引用先 内外タイムス URL:http://npn.co.jp/article/detail/00269195/


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ここで興味深いと筆者が感じたのは、球数制限があったにも関わらず隠れて投げ込んでいた松坂がペナルティとして先発3番手に降格したこともさることながら、隠れて投げ込んだ事実を日本のマスコミが書いたこと。

ここで、ひとつ設問を設定してみたい。

『マスコミはWBCで松坂が隠れて投げ込んだ事実を書くべきだっただろうか、それとも書かずに伏せておくべきだっただろうか。』

設問が持つ意味と注目すべき点については、明日のエントリーで詳述する。

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画像イチローめまいで途中交代、WBC疲れ?

 【メリーベール(米アリゾナ州)=木崎英夫通信員】イチローがダウン-。マリナーズ・イチロー外野手(35)が04年以来の「3番右翼」で出場し2打数1安打と4試合連続安打を放ったが、体調不良で途中交代した。ワカマツ監督は「軽いめまいを覚えたようだ」と説明し、イチローは「疲れた」と肩を落とした。疲労の蓄積で重症ではないようだが、メジャーでは1度も離脱したことがない“鉄人”。ここにきて、WBCでの激闘の後遺症が出たようだ。

 WBC連覇で日本中を熱狂させたイチローが、珍しく肩を落とした。体の異変は試合開始当初から起きていた。1回に守備を終えてベンチに戻ると、グリフィン・チーフトレーナーが隣に座り付き添った。ひざに手をつき、明らかにだるそうな姿…。2回の守備を終えダッグアウトに戻った後も同じ姿だった。

 この日、ドン・ワカマツ監督は故障者が出た際の緊急事態を想定し、イチローを「3番」にした。イチローは「チームのためならやります」とオープン戦では04年3月6日以来の3番に座った。3番は公式戦では02年に3回、04年に10回の計13回ある。1回、いきなり無死二塁の場面で打席が回ってきたが、初球の内角球をミスショットして平凡な遊飛に終わった。

 3回の2打席目ではスライダーを右前に運んで、オープン戦4試合連続ヒットをマーク。次への打席に期待は膨らんだが、ここで突然、代走を送られ、途中交代した。3番テストはわずか2打席で終了。試合途中にイチローはグッタリとした表情で、クラブハウスに引き揚げ、報道陣に「疲れた」とポツリ。「きょうはちょっと」とやんわり取材を制した。チームバスには乗らず、試合中に球団関係者の車で自宅に帰った。

 徹底した自己管理を維持し、メジャー入りから8年間で、体調不良での欠場のない“鉄人”が疲労困憊(こんぱい)だった。前日のロイヤルズ戦も6回に途中交代していた。激闘を重ねたWBCの後遺症であることは、察するに余る状態だった。イチローとともにサムライジャパンをけん引した城島も、マリナーズ合流2試合目の3月27日の試合でイチローと同じ症状で苦しんでいた。

 城島は「WBCあけで気持ちの張りつめてる部分がファって抜けてね。疲れでしょうね。それだけの戦いをしてきたんですから。オレも3日前は、マッサージも受けられないような状態でしんどかったです」と話した。ヤクルト青木が発熱するなど、ジャパン戦士たちに蓄積した疲れが出始めている。

 ワカマツ監督はイチローの症状について「3打席まで考えていたが、軽いめまいを覚えたようなので代えた。たいしたことはないようだ」と説明した。3月31日はイチロー、城島ともに遠征には帯同せずピオリアで軽い調整の予定で、疲労回復に努める。昨季、自己2度目の162試合全出場を果たしたイチロー。今季は日米通算3500本安打に大リーグ新の9年連続200本安打を目指す記録イヤーとなるが、4月6日(同7日)開幕のツインズ戦まであと6日。世界一の“代償”がシーズンに出なければいいが…。

URL:http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/p-bb-tp2-20090401-477577.html


画像岩隈「ホッとして疲れが…」

 侍ジャパンの凱旋を、日本中が祝福した。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で連覇を果たした原辰徳監督(50)以下、コーチ、選手らは25日夜、ロサンゼルス発のチャーター機で帰国した。

 やり遂げた仕事の大きさを心の底から実感できた。あのドジャー・スタジアムを埋め尽くした5万4846人よりも、25日に成田空港に出迎えてくれた約1200人のファンに岩隈も目を丸くした。「これだけたくさんのファンが応援してくれていたんだと…」と成田市内のホテルで行われた帰国会見で感激を口にした。JAPANの一員として戦えたことを改めて光栄に思えた。

 胸いっぱいに満たされた達成感と安堵(あんど)感。帰国会見では「ほっとして疲れが出てきています」と、正直な思いを口にした。決勝戦で韓国相手に投げた97球の蓄積疲労は想像以上だった。それでも、サムライの魂を持って早々と楽天に合流する。

 世界連覇の余韻に浸るのもこの日までだ。会見では岩隈の横に座っていたダルビッシュも、疲れた表情をのぞかせながら「チームに帰ってからが本当の勝負。自分のできることを1年間やっていきたい」ときっぱり。昨年パ・リーグの最多勝、防御率を争った2人は再びライバルに戻る。その戦いはすぐに始まる。

(2009年3月26日11時45分 スポーツ報知)

URL:http://hochi.yomiuri.co.jp/feature/baseball/20081016-4822204/news/20090326-OHT1T00058.htm



画像侍ジャパン戦士にWBC後遺症 2009年03月31日(火曜日)

 4月3日、プロ野球は6年ぶりにセ・パ同時に開幕する。WBCを2連覇して迎える球春。ファンをワクワクさせるのは、巨人の原監督率いた侍ジャパンの戦士。とりわけ注目されるのが投手陣の三本柱、松坂大輔(28=レッドソックス)、岩隈久志(26=楽天)そしてダルビッシュ有(22=日本ハム)。岩隈とダルビッシュは開幕戦で激突する。メジャーリーガーをはじめ、世界の強打者をねじ伏せた右腕2人の投げ合いは、WBCの興奮をまた思い出せてくれるのは間違いないが、一方でWBCの後遺症が懸念されてもいる。

 アメリカから伝えられたショッキングなニュースだったのが、WBC2大会連続MVPの栄誉に輝いた松坂の先発3番手降格。しかし、松坂は覚悟していたフシがある。スポーツ紙記者の話。
 「球数を厳しく制限されていたのに、松坂はキャッチボールに見せかけるなど、隠れるようにして投げ込んでいた。それをわれわれ、日本のマスコミが書いたのですから、球団サイドに伝わらないはずがない。3番手は言ってみればペナルティ。個人主義の国だけに逆らえばどうなるかを、チームメートに示さなければならない。松坂は日の丸のためなら、それでもいいと腹をくくっていたでしょう」
 WBCの主催者は、米メジャーを統括するMLB。だから、投手に関しては球数制限や登板間隔など厳しい制約があった。投手の肩を消耗品と考える大リーグならでは。そこに、長嶋茂雄氏が言うような“フォー・ザ・フラッグ”はない。

 さて、日本球団所属の侍戦士はどうか。球界OBが言う。

 「レギュラーシーズンが終了すれば一端、体を緩めるのがプロ野球選手。いわゆるオフにクールダウン、体の手入れをして自主トレ、キャンプ、オープン戦を経て次のシーズンを迎えることになる。メジャーリーガーもそうだが、侍ジャパンのメンバーにはオフがなかったに等しい。ずーっと、緊張しっぱなし。シーズンのどこかで、金属ならぬ“勤続疲労”が出て、なんら不思議のない状態にあるといっていい」

 WBCの試合中に故障でリタイアを余儀なくされたのが横浜ベイスターズの主砲、村田修一。阪神の岩田稔投手は凱旋帰国後、左肩痛に襲われた。この2人の戦列復帰は、早くて5月中旬になると見られている。
 そして、筋肉痛と発熱で予定オープン戦を2試合連続欠場したのが、その大活躍でポストイチローとしてメジャースカウトから絶賛されたヤクルトの青木宣親(27)。幸い、休養すれば開幕戦に出場できそうだが、周囲をヒヤリとさせた。

 「野手は実戦を積むにつれて感覚は戻ってくるから心配はない。まずは故障したところを治すのが先決。焦らないことです」(前出・OB)

 ところで、開幕投手としてマウンドで対決することになったダルビッシュと岩隈も、WBCの後遺症がなかったわけではない。ダルはオープン戦の登板時にマウンドの柔らかさに戸惑った。そして、岩隈は調整登板なし、ぶっつけで本番に臨むことになった。先のスポーツ紙記者が言う。
 「2人とも、万全の状態ではないことが図らずも明らかになった。本業の先発に加えて中継ぎ、抑えでも投げたのは、経験になったかと言えばそうとも言えない。精神的な疲労がシーズンのどこかで出ない保証はないからだ。とくに岩隈がそう。野村監督の口から『WBCのせいで…』みたいなボヤキがでなければいいのですが…」

 3日後、2人の対決はどんな結末になるのか。

URL:http://npn.co.jp/article/detail/00269195/

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