今日は軽めの話を・・・・
麻生総理のぶら下がりインタビューを聞いていて、これまでの総理と明らかに違っている受け答えの特徴があることに気づいた。
それは、質問の意図を質すところと、具体的数字が含まれているところ。
前者については、総理自ら相手の質問を復唱したり、突っ込みを入れる場面があったりする。たとえば、5/18のぶら下がり会見での《「官僚目線の麻生政権」と「市民目線の」…》という質問には、「市民? はい。国民じゃないのね」と突っ込みをいれているし、《日本郵政の人事の関連だが、》という質問には、「日本郵政、はい」と復唱を入れている。
こうした事はこれまでのぶら下がり会見で何度も見られる。
質問を質すということは、質問の意図を確認したり、正しい答えをするために言葉の定義を確定したりする意味があるのだけれど、それだけ正確なコメントをする、という意識が強いのではないかと思う。
少なくとも聞かれもしないことをベラベラと喋る気はないということだろう。ぶら下がり記者は少しでも総理の本音を聞きたいものだから、わざとぼやかした質問を投げかけて意外なコメントを引き出したいと思っているのかもしれない。
だけど、そんなやり方は、正確な答えをしたい気持ちがあって、それにはきちっとした情報の入力がないといけないと考えるタイプの人とは反りが合わない。曖昧な質問という不正確な入力から答えが出るわけがないと思っているから。
ゆえにそういうタイプの人は、自分が持っている情報がない場合は、「情報がないから答えらない」とはっきりとそう言うか、自分の手持ちの情報がないけれど、今聞いた範囲だけで考えるとこうこう思う、というような限定した答えをすることになる。
また、後者については、特に経済関係がそうなのだけど、具体的数字が含まれているところが麻生総理のコメントの特徴。これは結構すごいこと。数字って年々刻々と変わっていくもの。統計値も4半期毎に発表されるし、株価なんて毎日変わる。
だから、ぶら下がり会見なんかで数字を口にできるということは、最新の情報が常にインプットされているということ。そして、それに基づいてコメントするからとても説得力がある。これまでの総理で社会状況の指標をいちいち口にしてコメントする総理なんて、とんと見なかった。凄いものだと思う。もちろんカップ麺の値段のような国家運営に対して特に関係ない情報は覚えておく必要なんかない。
麻生総理のコメントは実にロジカルで、コメント内に、定義、データ、結論(仮定)の3要素がきちんと含まれている。あの短い間に。だからとても分り易いし、隙がない。
そういう目で、記者の質問を振り返ってみると、「何々についてどう思われますか?」とか「最新の支持率ついてどう受け止められますか?」というような、前提も定義もない、何を聞きたいのか不明な質問が、如何に不毛なものかが見えてくる。
そうではなくて、「いついつの誰それの発言はこうだった、それに対して現在のデータはこうだと出ている。それについてはどうするのか?」といった、前提や定義が明確で、データを明示しつつ、疑問点をぶつけるような質問には実に丁寧かつ明解に答えている。時には、記者の述べる定義やデータをそれはこれこれの定義だとそうだけど、実際は、こちらの定義のこのデータで考えるべきだ、と修正をいれることさえ。驚くべき丁寧さだと思う。
だから、質問者のレベルが高ければ高いほど、それに応じた答えが返ってくる。
打てば響く。麻生総理のコメントの特徴ではないかと思う。


麻生太郎首相は18日夜、代表選を終えて新執行部の体制ができあがった民主党について、「安全保障の問題、財源の問題。政権担当能力を言われるなら、この2点は避けて通れない」と述べた。首相官邸で記者団の取材に応じた。
ぶら下がり取材の詳報は以下の通り。
【新型インフルエンザ】
--新型インフルエンザだが、兵庫、大阪で感染者数が130人あまりとなり、学校の休校など社会生活への影響も大きくなってきている。大阪府の橋下徹知事から「国として弱毒性(のインフルエンザ)を前提とした方針を出してもらいたい」という要望もあがっているが
「このH1N1っていう新型のインフルエンザの内容、細目については、まだきちんとした解明が終わっていないと、私自身は理解をしています。少なくとも今日本では、死亡者はおられない。幸いにして亡くなられた方はおられない、というのが現状です」
「いろいろ病気をお持ちの方が、この新型インフルエンザにかかると、悪くなる、重篤化するという確率は否定されていないという今の現状においては、対応を『弱毒性だから』『低毒性だから』といって、ただちに変えるという気持ちはありません。いずれにしても、今の状況をきちんと見極めたうえで柔軟に適切に対応していくことだと思いますが」
【民主党新体制】
--民主党だが、今月27日に鳩山由紀夫新代表と首相との党首討論が調整されている。鳩山代表は「官僚目線の麻生政権」と「市民目線の鳩山民主党」…
「何目線?」
--「官僚目線の麻生政権」と「市民目線の」…
「市民? はい。国民じゃないのね」
--はい。鳩山民主党の対決の姿を示したいというが、どう向き合っていくか
「『国民目線』『市民目線』といわれるんだったら、やっぱり市民の気持ち、国民の気持ちとしては、小沢(一郎)代表代行になられてますけども、小沢さんとの金の話っていうのが一番国民としては聞きたいところじゃないんですかね。そういった意味では、民意と民主党の話、少しねじれがあるかなぁと思いますね。今の話を聞いただけで、あなたの話だから正確にはわかりませんよ。だけど、今の話だけをうかがえば、そんな感じがします」
--小沢前代表が代表代行として執行部に残ったが、西松事件を含めた総括を示せていないとの考えか
「私自身はそう思っていますけれども。御社の世論調査でもそうなっていません? 各社、そうなっているように、僕は側聞してますんで。正確にどういう内容か知りませんが、『説明が足りていない』という答えの方が多いと。かなり多いというように聞いています。民意としては、そこらのところの説明がキチンとされないと、何となく、国民目線というのと、何となくチグハグな感じがします」
【各社の世論調査】
--世論調査だが「首相としてふさわしい人物」という調査項目で、鳩山新代表が麻生首相を上回る結果が出ているが、どう受け止めるか
「どう受け止めているか。あの、鳩山党首のお話は、これまた極めて短い話でしか聞けなかったんで、もう少しいろいろ説明をしていただくと、われわれとしても対応の仕方があります。この間の短い話の中だけでいきますと、『消費税の論議はしない』と言っておられました。で、われわれは少なくとも財源というものを長期的に考えたときには、少なくとも社会保障の問題等々、少子高齢化のなかにあっては避けがたい。そう思っています」
「従って、この社会保障の財源を考えたときには、長期的に見た場合、消費税を充てるというのがわれわれの基本的な考え方です。その前には、景気をきちんと良くしておかねばならん。色々なことを考えていますよ。『そういう財源の問題がいかがなものかなぁ』というのが一点」
「少なくとも、一国の責任を担われる場合においては、安全保障の問題っていうのは、今の朝鮮半島の話を含めていろいろ問題だという意識はかなりの方がお持ちだと思います。その安全保障の話については、これまでは少なくとも、民主党の対応を見てれば、国際貢献含めて、ソマリアの対応はよく分かりませんけれども、まだ。少なくとも、インド洋の給油も反対ということでした。また、日本の防衛は少なくとも、第7艦隊だけいれば十分と言っておられた方が代表代行におられます」
「色々な意味で、安全保障の問題、財源の問題。この2つだけは、党首としてそれぞれのお考えがあるんだと思いますんで、その点はわれわれとしては、どちらが政権担当能力ということを言われるのだったら、この2点は避けて通れない問題だと思ってますんで、ぜひ、論議をさせた上で、国民の方々に判断をしていただきたいと思っています」
【日本郵政の人事】
--日本郵政の人事の関連だが
「日本郵政、はい」
--今日、取締役を選任する指名委員会が、西川善文現社長の続投で一致して、取締役会に提案することを決めた。一方で、選任の決議には、総務大臣の許可が必要だが、鳩山邦夫総務相は西川社長の経営を厳しく批判しており、難航も予想されるが
「僕の所管外のことを言わせようとしておられるわけですか?」
--一応、政府も株主ということで
「あのー、少なくとも、その話は、鳩山総務大臣が担当だと思いますんで、鳩山総務大臣の下できちんと整理されてあげてこられた上で、私の方の話になるんだろうと思います」
URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/255322/

《前略》
◇無利子国債と政府発行紙幣
Q 総理、読売新聞ですけれども、今日の午前中にですね、自民党の政府紙幣・無利子国債を検討する議連のメンバーが訪れたかと思います。終了後に菅義偉議員が、総理が無利子非課税国債の発行と、相続税の減免に対して前向きに検討するというお考えを述べられたとおっしゃっていたんですが、総理の考えをお願いします。
A 無利子国債の話っていうのは、これは財政の健全化の問題と、それからいわゆる公平性の問題と、経済効果。こういったものを全部含めて検討しなくちゃいかんところだと思います。これはむかーし、政調会長のころから言ってたんだと思いますが、あのころ個人金融資産1400何十兆だったと思いますけど。今、1540兆超えてんのかな? そういったところ、今ちょっと正確な数字知りませんけれども、1500兆は超えていると思いますけれどもね。これが増える、っていう傾向にある状況っていうんで、やっぱりそういう個人金融資産というものが、いわゆる、じーっと寝ているという訳ですから、それが少なくとも、そのうちいくつかが動くだけで、何割かが動くだけで、経済効果っていうのは極めて大きい。それをどうやってうまく活用するかということを考える一つの方法として考えておられるんだと思いますけれどもね。
Q 政府紙幣の要望についても合わせてなされたかと思うんですけれども、総理は以前、政府紙幣の発行について、「今のところとてもそんな段階ではない」と、発行については否定的なお考えを示されていましたが…。
A 政府国債ってのは、太政官札の話でしょ?
Q ええ、そうです。
A その話、いろいろこういった時ですから、100年に1度ということでいろんなアイデアが出てくる。いいことだと思いますよ。ただ、現実問題としてこういったものをどういった形でやるかというのに関しては先ほど申し上げましたように、同じような、同じ答えですよ。基本的には公平性、財政の健全、そして経済効果。そういったものを考えた、3つを十分に考慮した上で考えるということだと思いますね。
2009年03月10日 午後7時15分ごろ~ ⇒動画@べらんめえ日記
《前略》
◇追加経済対策
Q 目先の経済対策については。
A 目先の経済対策。
Q 総理、何かご指示を下す予定については、さらなる経済対策。
A さらなる経済対策っていうのは、これ下手して答えると、いわゆるやっぱり、まだ予算も通っていないのに、補正の話を考えているようにあなたに作られる可能性が極めて大きいと思いますんで、発言には慎重のうえにも、慎重を期さなきゃいかんと思いますけど、まずは、予算というものを前倒しでやっていくという部分っていうのは、地方で仕事すると分かりますけど、上期の執行率60%ぐらいかな? んなもんだと思いますね、昔は70、73~4%あったと思いますけど、60%前半ぐらい。これを上期に配分を厚くすることによって、いわゆる地方における、工事、また仕事はずいぶん出て来やすくなるとは、思ってますけども、それだけでは、やはり、なかなか息切れして来るというのは、十分に考えなきゃならんと思っておるところですんで、十分に考えながら、いろいろアイデアは考えますけど、今この段階で、あれをするとか具体的に言える段階では、ないと思っています。
URL:http://www6.atwiki.jp/floppy/pages/129.html

《前略》
◇2次補正関連法案成立
Q 次です。次はですね、きょう成立した2次補正予算の関連法案についてですが、今日、再可決で衆院で成立した訳ですが、今後の景気対策についての意気込みをお聞かせ下さい。
A おかげさまで今日、2次補正の関連法案が成立することになりました。これで前から3段ロケットと申し上げてた部分の2段目までがこれで出来上がったことになります。従って話題になっていました定額給付金、各市町村で約70%くらいのところがほぼ準備を完了というのが、いろいろな話がありますけれども、まず、家族構成にもよりますけれども、一人当たりで、まあ1万2千円。お子さん、高齢者だったら2万円。そういったものがきちんと支給されていくことになる。そういったものがいわゆる還付されることになる。まあ、いろんな表現があるんだと思いますが、そういう状況になりますんで、ぜひこういったものを使って頂きたい。また高速道路料金の休日一律1000円ていうのも、春休みごろにはスタートできると思いますので、今回のこの給付金と合わせて家族で旅行などなど、いろんな形で消費をして頂きたいと思いますし。
また妊婦検診、14回無料というようなものも、そういったものも一つずつ出来上がりつつ、出来ましたので、こういったものを使って、いわゆる2次、何? 補正というものが、きちんと何? 効果を現していくような形につなげて行きたいと思っておりますし、合わせて本予算というものが続いてスタートしますんで、こういったものがきちんと出来上がっていくような、もので2段3段というのが続くことによって、いわゆる不況、景気というものに少なからずめどを付ければと思っています。
2009年03月02日 午後6時7分ごろ~
《前略》
◇定額給付金
Q よろしくお願いします、フジテレビです。あさって4日にですね。
A あさってね。
Q 2008年度の第2次補正予算の関連法案が成立して定額給付金の財源が確保される見通しになりました。総理は受け取りについては、その時に考えると明言を避けてきていますが、改めて今、定額給付金の受け取りについてどうお考えですか。
A きょう、自由民主党の、党の役員会で、あしたの役員連絡会で自由民主党としては、この定額給付金はみんなで受け取ることにしよう、という提言が幹事長の方からありましたので、わた、私としてはきめな、定額給付金は、受け取ります。受け取ります。直ちに、なに、使って、そして消費の刺激に充てるということにしたいとその場で答えました。
Q 総理は以前にですね、高額所得者が定額給付金を受け取ることについては、さもしいと発言されていました。そのさもしいという言葉を撤回される予定はあるんでしょうか。
A いえ、私は定額給付金は元々、2つの目的がありました。当時はガソリンは1リッター170円だったと思います。今105円、安いところはもっと、ものすごい安いのがありますが。7割も下がって、生活給付という部分の、部分がかなり減ってきている。比重はむしろ、消費刺激という比重が高くなった。2つの目的のうち比重が消費刺激の方が高くなったということだと思います。
従って、本来の比重がそういう具合に変わったんであれば、消費刺激というんであれば、私としては生活給付という部分が非常に大きい時は、私のような者がちょうだいするのは、いかにもさもしいではないか、という気持ちがあったのは正直なとこです。しかし、今は消費刺激という部分が非常に高くなったというんであれば、消費刺激というんであれば、私もそれを何らかの形で地元で消費に充てるというのに、私も参加するということだと思います。
URL:http://www6.atwiki.jp/floppy/pages/128.html

【麻生総理大臣冒頭発言】
アジア太平洋地域における戦略的な関係を、ロシアと構築する上で、重要な一歩を踏み出したんだと思ってます。
言っている意味がわかんない人もいるのかもしれないけれど、ロシアって大体西向いていたわけだから、東、アジア、太平洋にでてきて、日本と一緒にやったほうがよほどロシアの為になる。という話をこの前して、その話の続き。
特にこのサハリン2というのは、日本のエネルギーの供給源からいきますと、日本のLNGの7%を超えるものが入ってくる。
したがってエネルギーの供給源を、中近東などに偏るんではなく、多様化するという意味でも、非常に今回のプロジェクトというのは、有意義なものだ思っていますんで、(サハリン)訪問は大変その意味でも戦略的に有意義だったと思っています。
領土の問題についてというのは……ここ間違えないでね。
新たな、独創的で、型にはまらないアプローチを我々の世代で解決すべく、具体的な作業を加速していこうということで一致しております。
極東シベリアにおける具体的な進展については、ウラジオストックでAPECを今度やるんですけれども、その会場となります島に対して、ロシアのほうから橋を架けるんですけれども、此れはボスポラス海峡と同じように一番東の大きな橋、2kmなり1.8kmぐらいの所だと思います。
これに、橋をかける事に関して世界最先端の技術をもっております日本企業が参加することになったということを歓迎したいと思っております。
今後の日程、4月2日に行われますロンドンでの金融サミットというものに関しては、両方できわめて日程が込んでおりますけれども、双方とも、可能性を探ろうではないかと。
プーチン首相は5月に訪日するということでこれも一致しております。さらに、イタリアのG8サミットでも会談を行うという方向で調整をして行こうではないかという話をしたということです。
私のほうからは以上です。
2009年02月16日 午後7時10分ごろ~ ⇒動画@第2日テレ
◇GDP速報値
Q GDPの伸び率がですね、年率換算でマイナス12.7%となりました。総理はかねてから欧米と比べて傷が浅いとおっしゃっていますが、これはアメリカ、EUを大きく上回る数字なんですけれども、この数字についてと、あと補正予算など追加経済対策を出す考えはありますか。
A GDPが年率あの12%というのは、これは実質経済成長率の話ね。名目経済成長率で普通の方は生活しておられると思いますので、名目経済成長率では6.6だったと思います。いずれにしても年率でマイナス6.6の年率計算。名目でっていうのは大きなマイナスですから、これは大変憂慮しています。従ってそれに対応して、今、我々として予算関連の中でも、いわゆる学校の耐震化とか、ああいったものは予算関係なくきちんとやれるところがありますので、そういったものはさっさとやるようにという指示をしたところでもあります。
海外に比べてというのは、これは金融危機の話をしているんですから。金融に関しては少なくとも日本で銀行が倒れるとか、証券会社が倒産するとかいうようなことはありません。従って経済成長率というものが、内需が、極端に我々としては何て言うの? 足りない。外需に依存してきた分だけマイナス幅が非常に大きく出た。耐久消費財を売っている関係もありますので、そこが大きく出たということは事実ですけれども。それは全体としてみれば内需拡大やら、いろんな意味での今の景気対策を含みました、いわゆる予算、補正予算、そういったものがきちんと上がっていけば、きちんとした数字が上がって来るもんだと思ってます。
URL:http://www6.atwiki.jp/floppy/pages/126.html
この記事へのコメント
日比野
私も総理のコメントの特徴に気付いたのはつい最近でした。
総理の話し方のロジカルさは結構すごいと思うのですが。
海外ではもっと評価されているのではないでしょうか?
元気
とても良い記事です。
気持ち玉。入れさせていただきました。
これからも頑張って下さい。
高峰康修
興味深く拝見しました。言われてみれば、麻生総理のコメントにはお書きになっているような特徴がありますね。「なんとなく今までの首相と違う」と思ってはいたのですが…。
haji
憂国主婦の保守的ブログさんからお邪魔しました。
鋭い切り口、非常に参考になります。
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