無人哨戒システム(エネルギー技術と戦略的活用について 最終回)
2009年2月になって、海上保安庁は尖閣諸島周辺の警戒監視活動に、ヘリコプター搭載の大型巡視船(PLH型)を常時配置する態勢に切り替えらている。
もともと尖閣諸島は、戦後しばらくの間は中国も台湾も日本領として認識していて、自国の教科書でもそう紹介していた。だけど、1968年10月から11月にかけて、東シナ海の海底を調査した結果、石油資源が埋蔵されている可能性があると指摘された途端に自国領だと言い出した。
尖閣諸島をめぐる領有権争いはこのときから始まるのだけれど、1979年に、日本の海上保安庁は、魚釣島に仮設ヘリポートを設置したのだけれど、後に中国の抗議によって撤去している。
だけど、今はヘリコプター搭載型巡視船が尖閣諸島に常時配置されているから、実質は仮設ヘリポートが設置されているのと変わらない。
これは、尖閣諸島周辺に、仮設ヘリポートの設置などの早期警戒システムの構築がどれだけ有効であるかを物語っている。
極端な話、偵察行動であればラジコン飛行機にカメラをつけた程度のものを沢山作って、領海を24時間飛ばさせたっていいはず。
実は、10年以上前に、宇宙太陽光発電衛星計画の基礎実験の一環として、地上からマイクロ波で電力を送ってラジコン飛行機を飛ばしたり、飛行船を浮かせたりする実験が行われ、成功している。
これを応用すれば、たとえば海洋温度差発電で起こした電気をマイクロ波で偵察用ラジコン飛行機とかラジコン飛行船に送ってやれば、24時間偵察哨戒活動ができるかもしれない。そこまでは無理だとしても、マイクロ波送信施設上空で勝手に充電できるようにでもしておけば、定期的に帰って充電しては、また偵察することもできるだろう。
ラジコン飛行機のように軍事兵器が小型化するということは、探知されにくかったり、撃墜されにくかったりすることを意味する。偵察には重要な要素。
何も偵察だけなら、今のように地上レーダーや対潜哨戒機の活動でもカバーできるじゃないかとも思うのだけど、2008年12月の中国調査船の領海侵犯は、魚釣島の西方沖と島周辺という巡視船の死角となる南東海域からだった。
今回のPLH型巡視船の常備配置も死角を突かれたことによる対策だそうだけれど、他にも同じような死角があれば都度同じ対策をしなくちゃいけなくなる。人も船も必要になる。
ラジコンとは言わないまでも小型の無人偵察機を沢山作っておいて、死角を無くす様に其処ら中を偵察させるようにできればずっと効率は上がる。
だけど、なんといっても一番の問題は、自衛隊が国内法でその行動が雁字搦めに規制されて思うように動けないということ。領海警備はいまだに海上保安庁がやっている。
中国が空母を持ちだして、領海侵犯してきたらもう海上保安庁では対応できない。
現実的に国土を守るということについて、真剣に考えるべきときが来ている。
尖閣諸島周辺にヘリ搭載巡視船を常置 海保、領海侵入監視を強化 2009.2.4 01:45
東シナ海・尖閣諸島周辺の日本領海で警戒監視活動で、海上保安庁はヘリコプター搭載の大型巡視船(PLH型)を常時配置する態勢に切り替えた。尖閣諸島警備では、これまでも状況に応じてPLH型巡視船を派遣してきたが、常時配置するのは初めてという。中国海洋調査船の領海内への侵入監視が強化された。
海保では、昨年12月から続けてきた巡視船3隻態勢を以前の2隻へと減少させる一方、PLH型巡視船の投入で「ヘリコプターによる機動力が活用でき、警戒能力はこれまで以上のレベルを維持できる」(海保幹部)としている。
中国海洋調査船が昨年12月8日、同海域の領海に侵入し、約9時間に渡って航行したことから、海保ではそれ以前の常時2隻態勢を、常時3隻態勢に一時的に強化し、石垣航空基地からの航空機による監視も続けていた。
しかし、昨年12月の中国調査船の領海侵犯は、魚釣島の西方沖と島周辺という巡視船の死角となる南東海域からだったことから、海保では「ヘリコプターを投入することで効率的に事態に即応できる」として、PLH型巡視船の投入を決めた。
PHL型巡視船の投入は1日から始まった。海保は新たな巡視船の配置について、「申し上げられない」としている。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090204/plc0902040146001-n1.htm
領土問題と領海警備
《前略》
■尖閣諸島問題
尖閣諸島は、石垣島の北北西約170キロの地点にあり、魚釣島、久場島、大正島、北小島、南小島などの無人島からなります。行政上は沖縄県石垣市に所属しており、1895年に日本が無主の地として領土に編入しました。その後国際的に問題となることもなく、日本の領土として支配され、鰹節の製造などが行われてきました。しかし1970年代に、周辺の海底に石油などの地下資源が埋蔵している可能性が判明すると、中国(中華人民共和国)や台湾(中華民国)が自国の領土と主張するようになりました。
1990年代から台湾活動家による尖閣諸島上陸を目指す抗議活動が活発化し、その後香港・中国の活動家なども加わり、2000年代前半にかけて活発な抗議活動が行われました。現在も抗議活動が続いています。
・尖閣諸島を巡る主な抗議船による抗議活動
1990年 10月、台湾地区スポーツ大会の聖火リレーを行っていた台湾船2隻が上陸を目指して領海侵犯するも、海上保安庁に制止される。
1996年 9月、香港の活動家を載せた抗議船が上陸を目指して領海に侵入しする。海上保安庁は50隻あまりの巡視船艇を集結させて警備を行い、制止する。活動家1人が海に飛び込み死亡する。
1996年 10月、香港・台湾の活動家らを乗せた漁船などの抗議船40隻あまりが上陸を目指して領海に侵入する。海上保安庁では巡視船艇や警備救難艇などを大量に動員して警備を行うも、台湾の活動家4名が魚釣島に上陸し、中華民国の国旗を掲げた。
1997年 5月、台湾の活動家らを乗せた抗議船約30隻が尖閣諸島に接近。うち3隻が領海侵犯するも、海上保安庁により退去させられる。
1997年 7月、台湾の活動家らを乗せた抗議船1隻が領海侵犯するも、海上保安庁により退去させられる。
1998年 6月、香港・台湾の活動家らを乗せた抗議船6隻が上陸を目指して領海に侵入する。うち釣魚台号が領海に侵入するも、海上保安庁により領海外に退去させられ、その後人為的作為により浸水し、海上保安庁による応急処置もむなしく沈没する。
2003年 6月、初めて中国人活動家が乗船した抗議船が領海に侵入。海上保安庁により退去させられる。その後2004年初頭にかけて、中国人活動家が乗船した抗議船による領海侵犯が続く。
2004年 3月、中国人活動家らを乗せた抗議船1隻が領海に侵入。警備の隙をついて活動家7名が魚釣島に上陸する。上陸した活動家は、海上保安庁によって輸送された沖縄県警捜査員により逮捕される。
・海上保安庁による警備
領土問題が発生した初期の頃は、海上保安庁では第十一管区海上保安本部を中心に常時1~2隻の大型巡視船を周辺海域に配備して警備を行い、抗議船出航の情報が得られると、1隻の抗議船に対してでも全国から大量の巡視船艇や特別警備隊・特殊警備隊を動員して、毅然とした態度を示す「見せる警備」を行っていました。また上陸された場合に備えて、警視庁機動隊200名を島の警備に付かせる案も検討されました。一時期魚釣島に仮設へリポートを設置していましたが、中国政府の抗議により撤去されました。
1990年代後半から2000年代に入ると、常時1~2隻の大型巡視船を周辺海域に配備して警備を行うことを継続し、抗議船出航の情報が得られると、抗議船の隻数にあわせて、小回りのきく小型巡視船や大型巡視艇を数隻から10数隻動員して警備を行っていました。
2004年、常時1~2隻の大型巡視船しか配備していなかったことと、抗議船の出航情報に頼り、その情報により小型巡視船などを集結させて行う警備の隙を突かれて、秘密裏に出港した抗議船により活動家の上陸を許しました。この教訓を元に、拠点機能強化型といわれる巡視船「はてるま」型を建造しています。「はてるま」型は、大型巡視船でありながらウオータジェット推進で小回りがきき、巡視艇やヘリコプターに給油ができ、それらの乗員の休憩スペースも持ち、自らもいろいろな大きさの抗議船のに対処できるように大小4隻の複合艇を搭載しています。現在はこの「はてるま」型を中心に警備を行っています。2004年の上陸事件以降、万が一活動家に上陸された場合は、警察が対処することになり、海上保安庁と警察の役割が明確に分担されました。
また、民間団体が設置した灯台も2005年から海上保安庁が管理しています。
《後略》
URL:http://www.os-dream.com/jcg/territory.html
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