「優良放送番組推進会議」によるマスコミ浄化の一里塚


「優良放送番組推進会議」の第一回アンケート調査結果がテレビ業界に激震を及ぼしている。

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優良放送番組推進会議とは、優良な番組を推挙することが放送番組の向上に有効な手段の一つであると考え、放送番組の動向に関心のある企業がアンケート調査に協力し、その結果を世間に公表することでテレビの優良番組増加を目指す会議。

顧問に元文部大臣の塩川正十郎氏、委員長には元東京大学総長の有馬朗人氏が就任していて、トヨタ、NTT、パナソニック、東京電力など大手26社がアンケート調査に協力している。

4月28日にその第一回アンケート結果が発表され、ワールドビジネスサテライトが第一位に輝いた。

調査方法は、毎回分野を決めて一覧にした番組からアンケート回答者が適宜選んで評価する方式で、参加会員企業の社員が回答する。回答は3/2/1/0/マイナスの5段階で以下のとおり

   3     とても興味深く推薦したい
   2     興味深く推薦したい
   1     普通
   0     特に感想がない
   マイナス マイナス評価(集計上は0とする)


また集計は、性別・年代別に以下の6グループで集計し、集計内容は、回答者数、合計点、平均点としている。

     男性20~30代(m1)  女性20~30代(f1)
     男性40~50代(m2)  女性40~50代(f2)
     男性60代以上(m3)   女性60代以上(f3)

特に面白いと思うのは評価で「マイナス」の項目を設けていること。マイナスはマイナス評価としてしか記載がないけれど、これは文字通りマイナスであって、社会に害悪を与えているという評価に他ならない。

今回のアンケートでは、この「マイナス」評価についてもきちんと公開している。とても評価できる。

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今回のアンケートによる平均点でのベスト3とマイナス評価のワースト5は以下のとおり。


○平均点順位:番組名:平均点
一位:テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」 1.84
二位:NHK  「クローズアップ現代」     1.83
三位:NHK  「週刊こどもニュース」     1.61


○年代別平均点順位:番組名:平均点
・男女20~30代
一位:ワールドビジネスサテライト        1.86
二位:めざましテレビ              1.64
三位:クローズアップ現代            1.63

・男女40~50代
一位:クローズアップ現代            1.98
二位:ワールドビジネスサテライト        1.88
三位:週刊こどもニュース            1.77

・男女60代以上
一位:クローズアップ現代            1.97
二位:週刊こどもニュース            1.80
三位:サンデーモーニング            1.75

●マイナス評価のワースト5:番組名:回答人数
ワースト1:みのもんたの朝ズバッ!       35人
ワースト2:真相報道バンキシャ!        33人
ワースト3:報道ステーション          21人
ワースト4:みのもんたのサタデーずばッと!    8人
ワースト5:NEWS ZERO          7人
ワースト5:めざましテレビ            7人
参考   :ワールドビジネスサテライト      2人
参考   :クローズアップ現代          2人
参考   :週刊こどもニュース          1人

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ベスト3に上がった「ワールドビジネスサテライト」、「クローズアップ現代」、「週刊こどもニュース」はどれも地味ながらもまともな番組作りをしているものばかり。

中でも特に週刊こどもニュースが3位にランキングインしていることが興味深い。年代別平均点をみると男女20~30代ではTOP5にすら入っていないものの、男女40~50代では3位、男女60代以上では2位にランクインしている。子供ニュースと銘打っていながら全然子供じゃない人がしっかり見ているから、ターゲットの年齢層に関わりなく、良いものは良いということだろうか。

一方マイナス評価のワースト5をみると、ワースト3がぶっちぎり。ワースト4位の「みのもんたのサタデーずばッと!」が8人であるのに対して、ワースト3位の報道ステーションが21人、ワースト2位の真相報道バンキシャ!が33人、ワースト1位のみのもんたの朝ズバッ!が35人と他を圧倒している。

参考までにベスト3に対してのワースト評価をみると、「ワールドビジネスサテライト」と「クローズアップ現代」で2人、「週刊こどもニュース」で1人のマイナス評価があるから、5人以下程度のマイナス評価は誤差かもしれない。だけどワースト3のように20人以上も上がっているものは有意なデータと見るべきだろう。

これらは、大手26社からみて「社会に害悪を与えている」番組だと見られているという結果を突きつけられたことになる。

これは、CM収入に頼るTV局にとっては二つの意味で巨大なインパクトを与えたことだろう。

ひとつは、スポンサーは決して視聴率だけを見ているわけではないという意味。もうひとつは、害悪を与える番組は許されないという意思をスポンサーが示したという意味において。

このアンケートは毎月公開されるというから、ワースト3になった番組が今後もそのままワーストをキープするようであれば、番組そのものの存続も難しくなるはず。

日本の浄化は着実に進んでいる。





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画像優良放送番組推進会議

<主旨>
現在の日本は混迷状態にあるが、その一因は様々な領域で世界の趨勢から乖離した日本社会の状態 にあると思われる。とりわけテレビジョン放送の乖離は顕著であるが、これらを単純に良否で判断 することは困難であり、表現の自由に抵触することも予測される。そこで優良な番組を推挙することが放送番組の向上に有効な手段の一つであると考え、そのような 視点から、放送番組の動向に関心のある企業がアンケート調査に協力し、その結果を世間に公表す ることにより、テレビジョン放送で優良な番組が増加することを目指す「優良放送番組推進会議」 を設立し、賛同する会員により運営する。


○会員構成
顧問  塩川正十郎 学校法人東洋大学総長 (元文部大臣/元財務大臣)

委員長 有馬朗人 科財団法人日本科学技術振興財団会長・科学技術館館長、NPO法人ネットジャーナリスト協会会長 (元文部大臣  元東京大学総長  元日本放送協会中央番組審議会会長)

事務局長 月尾嘉男 東京大学名誉教授

会員企業 (50音順)
旭化成株式会社、旭硝子株式会社、 出光興産株式会社、大阪ガス株式会社、 関西電力株式会社、キヤノン株式会社、新日本製鐵株式会社、新日本石油株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス 、全日本空輸株式会社、第一生命保険相互会社、 大和ハウス工業株式会社、武田薬品工業株式会社、 中外製薬株式会社、中部電力株式会社、東京電力株式会社、トヨタ自動車株式会社、 日本電信電話株式会社、株式会社日立製作所、 パナソニック株式会社、株式会社みずほファイナンシャルグループ、三井物産株式会社、三井不動産株式会社、三菱重工業株式会社、森ビル株式会社、 株式会社リコー

URL:http://good-program.jp/



画像おバカ路線がスポンサーの我慢の限界を超えた!? (ゲンダイネット)

 4月28日に発表されたある調査がTV界で話題になっている。調査を行ったのは「優良放送番組推進会議」なる聞きなれない団体。トヨタ、NTT、パナソニック、東京電力など、テレビ局にとっては番組スポンサーとして喉から手が出るほど欲しい大手企業26社で構成する団体で、テレビ番組の質向上を図るため、今後、毎月1回テレビ番組に関するアンケート調査を公表する方針という。

 で、28日に発表されたのは、NHK、民放で放送される37の報道番組のうち、優良と思われる番組。この調査で1位に輝いたのが、なんと、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」(WBS)だったのである。以下、「おはよう日本」「クローズアップ現代」「ニュース7」(いずれもNHK)、「サンデーモーニング」(TBS)と続いている。

「この結果は仰天です。報道番組に限ったとはいえ、通常の視聴率調査なら『報道ステーション』(テレビ朝日)や『ニュースウオッチ9』(NHK)や『NEWS ZERO』(日テレ)などの方が上位に来るはず。『WBS』なんて5%前後の地味そのものの番組。それがいきなりトップですから、業界人が驚くのも当然です」(テレビ誌記者)

 中には「キャスターの小谷真生子がオジサンの好みにピッタリ」という冷めた見方もあるが、だったらNHKの青山祐子だって、日テレの小林麻央だってオジサン好みには違いない。それなのに「WBS」が1位に躍り出た理由は何か。

「この団体が設立された理由と大いに関係がある」とみるのは、ある放送評論家だ。

「視聴率を気にしすぎるあまり、おバカ番組だらけになってしまった現在のテレビ界に対するスポンサーからの強烈なメッセージということです。TVマンたちは“高視聴率=スポンサーが喜ぶ”と思って低俗番組を作り続けているのでしょうが、実は決してイコールではない。むしろ、スポンサーたちは徐々に“良質な番組を応援した方が企業イメージが上がる”と考えている。それがなかなか理解されないので、あえてショック療法に出たのではないか。分かりやすく言えば、今のおバカ路線がスポンサーの我慢の限界を超えた、ということです」

「WBS」は派手な効果音を使うことも、妙なアイドルタレントを起用することもなく、経済ニュースを中心に地道な番組作りを続けている。他局の制作スタッフは、今回の調査結果を肝に銘じるべきである。

(日刊ゲンダイ2009年5月7日掲載)

URL:http://news.www.infoseek.co.jp/entertainment/story/10gendainet07027376/

この記事へのコメント

  • 日比野

    りょう様、こんばんは。コメントありがとうございます。

    アンケート自体は参加26社の社員がそれぞれ回答する方式で、今回のアンケートも430人の回答結果です。

    無条件にマイナス扱いされる、という意味および方法が良く分かりませんが、少なくともアンケート結果を公表している限りは回答結果を捏造ないし偽造しない限りマイナス扱いは難しいと思いますし、回答した本人の目も光ってますからなおさら難しいのではないでしょうか?

    ベスト3にランクされたものであってもマイナス評価回答があるということと、それをきちんと公表している姿勢からみて、その心配は少ないと個人的には考えます。
    2015年08月10日 16:51
  • りょう

    塩川じゃ自民に批判的な番組は無条件にマイナス扱いされる危険性があると思いますが。
    2015年08月10日 16:51

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