帰属確認と川奈提案(北方領土問題についての雑考 後編)
4月17日には、谷内正太郎政府代表が毎日新聞のインタビューに答え、「3.5島(返還)でもいいのではないか。北方4島を両国のつまずきの石にしない」と発言して波紋を呼んでいる。
麻生総理は外相時代に「面積2等分論」を持ち出したことがあるから、谷内発言にも総理の意向が入っているのではないかとの声もあるけれど、総理は、4月23日の衆院海賊・テロ対策特別委員会で、矢内発言は4島の日本帰属を確認する政府方針の枠内であるとの考えを示している。真相はどこにあるかは分からないけれど。
【5/13追記】 「面積2等分論」については、あくまでも前原氏の質問に答えたものとの指摘がありました。ありがとうございました。
※ 麻生外相(外相)は前原氏の質問に答え、ダマンスキー島で面積等分で決着をつけた例を挙げつつ、北方4島も半分にするなら、択捉島の西半分も入れて初めて半分になる。しかも彼らの人口分布は北東に集中しているからなおのこと都合がよい、程度のニュアンスの発言で自分から持ち出しているわけではない。しかし北方領土問題は何らかの形で解決する方法を考えるべきというのが第一で、面積等分論もその選択肢の一つだということであろう。
現時点では、北方領土を巡る交渉では、麻生総理が発言しているとおり、日本が4島、向こうは(歯舞群島と色丹島の)2島では進展しない状態にある。
領土問題を考える上で、どちらか一方の主張だけ100%通ることは普通はあり得ない。片方の主張だけが通るのは、戦争に勝ったときくらい。もしくは互いの主張がぶつかっている間に力のあるほうが実効支配してしまって、事実上主張を通しているとき。
戦争でもして取り返すことができない場合、交渉になるのだけれど、その基になるのは双方で合意した事。日本とロシアの場合は、サンフランシスコ平和条約と日ソ共同声明がその土台になる。
その土台は2島返還だから、それから如何に交渉によって積み上げていけるかが日本の立場。
麻生総理は、今年の2月に行われた、日露首脳会談でメドベージェフ大統領に帰属の問題がはっきりすれば、後は(返還の時期など)柔軟に考えられるという話はしていると国会答弁しているから、帰属問題さえ解決すれば後はなんとでもなるという考えなのだろう。
とすれば、4島を2島づつ分けたり、面積等分したりするのではなくて、4島の日本への帰属を確認した後、当面はロシアの施政権を認めるという、橋本元総理時代の川奈提案を基に交渉を進める可能性がある。
たとえば、北方4島を日本に返還したのち2島をロシアに50年間租借。邦人の在留を認め、かつ在住ロシア人についても租借期間は、日本・ロシアとの二重国籍を認める。また領海については両国の共同管理とする、とか。
ロシア外務省のノソフ在ユジノサハリンスク代表によれば「かつては色丹島の50~60%、国後島の30~40%、択捉島の約20%が日本への引き渡しに賛成していた」という。かつてというのは、ソ連崩壊後の混乱期のことらしいけれど、要は安全で豊かであるという実感と実績があれば、帰属意識は変わってくることを示唆してる。
北朝鮮から亡命者が出てくるのも、北朝鮮で暮らすよりも他国で暮らしたほうがいいと思えばこそ。
根室市では、平成四年から「日ロビザなし交流」を行って、友好関係を深め相互理解を進めており、ロシア側もそれを認めている。
50年なり100年なりたてば、ますます相互理解も進んでくるだろうから、その間に住民意識において、どちらの国に帰属しているのか決まってくるかもしれない。
また、ロシアのベールイ駐日大使は2月13日に北海道新聞のインタビューに応じて、領土問題を解決したいとのコメントをしているから、向こうもなんとかしたいと思っている。
アメリカの覇権後退の中、日本の安全保障を考える上でもロシアとの関係強化は重要な意味を持つ。進展を期待したい。
領土問題は「独創的なアプローチ」で 日露首脳会談後、麻生首相 2009.2.18 13:12
【ユジノサハリンスク=田中靖人】麻生太郎首相は18日午前、サハリン(樺太)南部のユジノサハリンスク市内でロシアのメドベージェフ大統領と会談した。首相は会談後、記者団に対し、北方領土問題について「われわれの世代で解決するために、新たな独創的で型にはまらないアプローチを具体的に加速することで一致した」と述べた。先送りされてきたプーチン首相の来日は5月に実現させることで合意した。
「独創的なアプローチ」に関連し、麻生首相は「日本が4島、向こうは(歯舞群島と色丹島の)2島では進展しない。これまでの宣言や条約を踏まえた、これまで通りのことでは(領土問題は)解決しない」と訴えた。その上で「この問題が日露のすべてにひっかかる。役人に任せるのではなく政治家が決断するより方法はない、という話の中で出た」と、日露関係構築の障害になっている領土問題の解決には両首脳の決断が必要との考えで一致したことも明らかにした。
麻生首相は18日朝、全日空のチャーター機で羽田空港を出発した。訪問は、日露両国の企業が参加する石油・ガス開発事業「サハリン2」の稼働式典への招待を受けたもので、戦後の首相では初めてとなる。
会談ではこのほか、大統領が今後の日露関係について「互恵的協力を拡大するために努力する用意がある」と言明。首相も「ロシアはアジア太平洋地域の重要なパートナーとしてとらえている。日露協力の象徴であるサハリン2が稼働するのは喜ばしく、重要な一歩だ」と応じた。
会談後は稼働式典に出席し、液化天然ガス(LNG)運搬船も視察。夕にも羽田空港に帰着する。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090218/plc0902181315009-n1.htm
谷内発言:ロシアが関心「北方領土分割論、日本で活発化」
【モスクワ大前仁】谷内正太郎政府代表(前外務次官)の北方領土問題に関する「3.5島返還」発言をめぐり、ロシア国内では、日本側が4島返還に固執しない解決方法についてシグナルを送り始めた、との観測が出ている。だが、ロシア側はプーチン政権時代に「2島引き渡し」を明記した日ソ共同宣言(1956年)を軸に解決したい意向を示した経緯があり、「面積等分論」に歩み寄る可能性は小さい模様だ。
タス通信のゴロブニン東京支局長はコメルサント紙への記事で、谷内氏の発言について「明らかに来月11、12日のプーチン首相の訪日に狙いを定めている」と指摘。麻生太郎首相が外相時代に面積等分論に言及した経緯などに触れ、日本の政界や専門家の間で「分割論」の議論が活発になっていると紹介した。
これに対し、ロシアの対日問題専門家の間では、谷内氏の発言が領土交渉の活発化につながるか疑問視する見方も多い。ロシア戦略策定センターのコーシキン上級研究員は、日露双方で世論の支持を得るのに時間がかかる点などを挙げて、「2国間の正式な外交上の議題にはならないだろう」と分析する。ロシア外務省元高官は面積等分論について「真剣な提案と思えない」と一蹴(いっしゅう)している。
プーチン首相は大統領だった04年に、日ソ共同宣言に基づく「2島返還」による解決を提案したが、07年に「日本に拒否された。領土問題の解決は困難だ」と態度を硬化させた。
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090425k0000m010148000c.html
麻生首相:「4島の帰属が一番の問題」 3.5島発言に
麻生太郎首相は23日の衆院海賊・テロ対策特別委員会で、谷内正太郎政府代表(前外務事務次官)が毎日新聞のインタビューで北方領土問題を巡って「(4島ではなく)3.5島返還でもいい」と発言したことについて、「外務事務次官として交渉をやってきて、4島の帰属が一番の問題ということは前提にしてしゃべっていると思う」と述べ、4島の日本帰属を確認する政府方針の枠内であるとの考えを示した。そのうえで、2月の日露首脳会談で「帰属の問題がはっきりすれば、後は(返還の時期など)柔軟に考えられるという話はしている」と語った。長島昭久氏(民主)の質問に答えた。【犬飼直幸】
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/aso/news/20090424k0000m010045000c.html
ムネオ日記 2009年2月14日(土) 鈴 木 宗 男
ロシアのベールイ駐日大使は13日北海道新聞の単独インタビューに応じている。一問一答は次の通りである。
―今年の日ロ関係の展望は。
「十八日に開催予定の日ロ首脳会談はとても重要だ。『サハリン2』の液化天然ガス(LNG)工場の稼働は、両国に相互利益をもたらす。日本のエネルギー供給源の多様化に貢献し、サハリンと北海道の地域間協力も加速させるだろう」
《中略》
―首脳会談は領土問題解決への突破口になるか。
「会談ではすべての問題を話し合う。領土問題も議題の一つになるのは間違いない。」
―新提案はあるか。
「ロシア側としては領土問題を解決し、日ロ関係のテーマから取りのぞきたい。両国が対立する唯一の原因であり、ネガティブな影響を与えているからだ。双方に受け入れ可能な解決を目指したい」
―出入国カード問題をどう解決するか。
「強調したいのは、ビザなし交流が日ロ間の相互理解を深めるのにとても貢献していること。出入国カードは技術的な問題だが、あまりにも政治問題化されてしまった。ロシア側には、法律を守りながら、可能な解決策を模索する強い意志がある。解決のため、日ロ専門家による協議が始まった。ロシア側は、カードに記入することを領土交渉における日本側の立場が変わったとはみなさない。ビザなし交流は、これまでと同様に行うことを強く望んでいる。」
―解決の見通しは。
「技術的な問題なので、専門家レベルで正しい方向性を見つけることができると思う。ビザなし交流がスタートする五月まで時間は十分にある。包括的な深い議論で、解決を模索するのが望ましい」
ビザなし交流における出入国カード問題についても、「ロシア側は、カードに記入することを領土交渉における日本側の立場が変わったとはみなさない。ビザなし交流は、これまでと同様に行うことを強く望んでいる。」と極めてバランスのとれた現実的な答えをしている。
それに比べ、我が外務官僚は出入国カードを提出すると、ロシアの主権を認めたことになると言って今回のビザなし人道支援を出来なくしたが、どちらが配慮された対応か、一目瞭然である。
18日の首脳会談は、領土解決への突破口になるかという問いに「会談ではすべての問題を話し合う。領土問題も議題の一つになるのは間違いない。」と言っている。
新提案はあるかとの問いに、「双方に受け入れ可能な解決を目指したい。」と言っている。これも配慮された言いぶりで外交は相手があることを十分考えている。
北方四島の解決にはまず、日本側からカードを切るべきだ。空想的解決ではなく、現実的解決をしていくには、56年宣言の遵守(じゅんしゅ)二島返還、東京宣言(細川―エリツィン会談)イルクーツクの森―プーチン会談に沿って話を進めるしかない。二島が帰ってきたら、残り二島も帰ってくる。二島が先に帰った場合、残り二島についても解決までの共同開発、共同管理等、お互いの立場を尊重してやれることがあるのではないか。
小泉首相、田中外相、川口外相で後退してしまった北方領土交渉を、麻生首相は少なくとも、森―プーチン会談まで戻し、さらに現実的対応をしていくならば、歴史の1ページを開くことが出来る。
国内的には郵政民営化発言等で、窮地に立たされている麻生首相だが、ここは国益の立場から乾坤(けんこん)一擲(いってき)の交渉を裂帛(れっぱく)の気合を持って、メドベージェフ大統領とやって戴きたい。元島民は、麻生首相の英断を待っている。
釧路は昨夜から雪が降り、今日の天気を心配したが、お蔭さんで晴れ。
13時から、予定通り釧路管内標茶町で新党大地・鈴木宗男後援会の新年交礼会を行う事が出来た。小選挙区では、仲野ひろ子、比例区では大地と強くお願いする。政権交代が地方を守り、第一次産業を守る唯一の道であることを説明させていただく。
15時20分釧路空港発で丘珠に飛び、車で旭川市に向かい、上川地区郵便局長会・夫人会総会懇親会に出席。郵政民営化見直しが1丁目1番地と強く訴え、小泉、竹中、武部ラインで行った郵政民営化で、地方が泣いている実態を話させて頂く。局長さんはじめ、出席者から「頑張れ、応援します。」と声をかけて頂く。次期総選挙での、大きな争点の一つにしていきたい。
URL:http://www.muneo.gr.jp/html/diary200902.html
ムネオ日記 2009年2月6日(金) 鈴 木 宗 男
昨日の予算委員会質疑の速記録が出来たので、全て掲載したい。
《中略》
○鈴木(宗)委員
《中略》
さて、時間がありませんから、次に移らせてもらいます。
総理、メドベージェフ大統領とお話をされて、二月の十八日、サハリンでの液化天然ガスの生産開始の記念式典に招待を受けたというふうに聞いておりますが、この式典には行かれますか。
○麻生内閣総理大臣
本人から電話がかかってきて、招待を受けたことは事実です。日にちは二月の何日だったか、という話だったので、こっちは国会の審議中という返事だけしておりますので、国会との兼ね合いを受けた上で判断をさせていただかねばいかぬところだと思っております。本人にはそのように答えております。
○鈴木(宗)委員
総理、ロシアとの間には北方領土問題があります。私は、やはりこれはトップ同士で信頼関係をつくって解決していくのが一番だと思うんですね。そういった意味では、国会の理解も得て、せっかく招待されたわけですから、私は行くべきだと思っておりますので、ぜひともここは、官房長官がきちっと根回しをすれば済むんですから、ここはあなたの仕事なんですから、総理を行かせるように努力していただきたい、こう思いますし、総理自身は国会の許しを得れば行くということでよろしいですか。
○麻生内閣総理大臣
基本的には、北京で一回、リマで二回、これまで個別にメドベージェフ大統領と会う機会がありました。
今、これは、昔から鈴木議員はこれを担当して、担当というかどっぷりつかっておられた。決してどっぷりというのは嫌な意味にとらないでね、まじめに言っているんだから、こういうところでは。
僕は、そういった長い長い歴史がありますので、御本人には、少なくとも、今、西の方に向かっていってうまくいっていないでしょうが、ロシアになってから。しかし、出ていくべきは、東の方に顔を向けてしかるべきではないのですか。そこには、少なくとも太平洋に来れば、韓国もある、日本もある、台湾もある、いろいろなものがそこにあるのであって、そういった国は、いずれも経済成長率また経済力というのは、悪いけれどもおたくの一人頭よりはるかに高いんですよ。そういった国ともっと手を組むことを考えるのであって、西側を向くのはそろそろという話をして、初めて、向こうがどういう意味だと言うから、そういう意味だ、これを正しく理解されたらいいんじゃないか。ただ、うちとおたくの間には、のどに骨がひっかかったところが、北方四島という問題を抱えているんだから、この問題を解決するということをしない限りは前に進まない。これはどう考えても双方にとって不幸なことなんだから、決断をする世代に、あの人は四十幾つだというんだから、決断をすべき世代に来ているのではないかと言って、役人に任せるつもりはないという話を自分でしていましたので、そういったところで本人の意欲は感じられたところです。
あそこは、もう御存じのように、お役所が出てくると、日本の役所の方がよっぽど民間に見えるぐらい役所ですから。かなりひどいのは御存じのとおりです。わあわあというのは毎回外務大臣のときにやらされていましたので、その意味で、今回はさらに出てきて、次の世代にこの問題を送るつもりはないという話だけしていましたので、では、話をしようかという話からスタートをさせていただきました。
○鈴木(宗)委員
総理、ぜひとも、次世代にゆだねないという両首脳の認識ならば私は進むと思うし、首脳会談を当然されますね。そのとき、やはり過去の宣言、過去の声明、首脳会談における合意、五六年宣言から始まって、東京宣言もある、イルクーツク声明もある、そういったものの上に乗っかって解決するということは共通認識なんですから、私は、交渉の中身は要りませんけれども、麻生総理の方から、私は現実的な解決をしたい、空想的な解決じゃない、現実的な解決をおれは考えているというカードを切るべきだと思いますが、どうでしょうか。中身は結構です。
○麻生内閣総理大臣
今言われておりますサハリン・プロジェクトもそのうちの一つではあったんですね。これは御存じのように1、2ありまして、がばっと途中からという事件が、長い歴史がございましょう、これは互恵的な協力という意味では、結構大きなものになる。我々としても、あそこから入ってくるキュービックトン数からいきましたら日本のLPGの一割ぐらいになりますので、これは結構エネルギーのバランスとしては大きいんだと思っていますので、ぜひそういった意味でこういうものを考えて、こちらにも決してメリットがないわけじゃないじゃないかと思っております。
いずれにしても、これまでの歴史というのは、外務省にいたときいろいろ何回も何回もラブロフとやらされてきましたので、十分踏まえて対応していきたいと思っております。
《中略》
○鈴木(宗)委員
大臣、ぜひともこれは生かしていただきたいな、こう思っています。
総理、北方領土問題解決のときの日本政府の基本的認識として、変わってはいないと思いますけれども、四島の帰属の問題が認められれば、島の返還の時期、態様については柔軟に考えるという九二年一月からの認識は変わっていないですね。
○麻生内閣総理大臣
そのとおりです。
○鈴木(宗)委員
なぜ私が今この話をしたかというと、よく国会議員の中でも、四島一括が日本の政府の方針だと言う人がいるんですね。共産主義、ソ連時代は四島一括と言っていたんですよ。
なぜかというと、領土問題がないからですね。だから、こっちは強く即時一括返還と言ってきたんですね。このことをぜひとも、委員の皆さん方も共通認識を持ってください。政府後援の会合なんかで、今でもよく内閣府主催の会合なんかでも四島一括返還という垂れ幕がかかっているときがある。これは間違ったメッセージを与えると思いますからね。この点もぜひとも、官房長官、また二月七日、北方領土の日もありますから、よくよく今の総理の答弁どおりやっていただきたいと思います。
時間がありませんから、次に、総務大臣にお願いします。
○麻生内閣総理大臣
一点だけ。これは主権は譲れないということははっきりしていますからね。
《中略》
○鈴木(宗)委員
最後に、総理、もう一つだけ。やはり総理にお願いしたいのは北方領土問題。
やはり麻生総理の手で、外務大臣も経験されている、外交に精通している、外交と経済の麻生と言われているうちに、私は、即、目に見える、わかりやすいのは日ロ外交だと思っているんです。北朝鮮とも関係が深いのはロシアですよ。拉致問題も、ロシアを使うという手もありますね。そういった意味でも、ぜひとも領土問題解決にかける総理のかたい決意をお尋ねしたいと思います。
○衛藤委員長
総理、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○麻生内閣総理大臣
外交というのは相手のあることですから、外交を政局の具にするつもりもありませんし、政争の具にするつもりもありません。
外交は常に国益を考えてやるものだと思いますので、しっかり受けとめてやらせていただきます。
○衛藤委員長
これにて鈴木宗男君の質疑は終了いたしました。
以上をもちまして基本的質疑は終了いたしました。
30分の間に多岐にわたる質問をすることが出来た。
定額給付金制度では首相のぶれがわかったが、日ロ関係、北方領土問題解決に取り組んでいく姿勢は感じられた。これからの動きを注視するしかない。
《後略》
URL:http://www.muneo.gr.jp/html/diary200902.html
ニュースナビ:北方領土のいま 動くか「平行線」
日本とロシアの間で未解決の北方領土問題で、谷内(やち)正太郎政府代表(前外務次官)が「(4島ではなく)3・5島返還でもいいのではないか」と発言し、波紋を広げている。5月11日にはロシア前大統領のプーチン首相が来日する。北方四島を取り巻く現状をまとめた。
■NAVI1・思惑は
◇「面積等分」発言に波紋
◇4÷2=3.5、首相本音か プーチン氏来日控え
日本政府は、北方四島が「一度も外国の領土となったことがない我が国固有の領土」であり、日本への帰属の問題を解決してロシアとの平和条約を締結する方針は変わっていないと繰り返し強調する。しかし、谷内氏の「3・5島」発言は、今月11~13日のプーチン首相訪日を前に、谷内氏がブレーン役を務める麻生太郎首相自身の「本音」を反映しているとの見方がくすぶり続けている。
首相は外相時代に国会で「択捉島の25%を残りの3島につけると、ちょうど(面積で)50-50の比率になる」と述べ、谷内氏と同様の発言をしていた。こうした面積等分案を首相が打ち出したのは、1956年の日ソ共同宣言以来、北方領土交渉が平行線をたどるだけで全く前進しなかったことに関係がある。首相は外相時代から「日本が4島、ロシアが2島では進展がない」と言い続けてきた。外務省幹部は「戦後処理を自分の手で、という強い思いがあるのだろう」と指摘する。
2月にサハリンで行われた日露首脳会談で、メドベージェフ大統領は「新たな、独創的で型にはまらないアプローチ」での協議促進を提案。これに対し、麻生首相は「今までのように役人にだけやらしておいたらできない。本当に動く用意がなければだめだ」と、具体的な解決策を示すように念押しした。
政府は7月のイタリアでのG8サミット(主要国首脳会議)の際に行うメドベージェフ大統領との会談を重視しており、「新アプローチの中身を回答するように求めている」(高官)。プーチン首相周辺は来日前に「領土問題の担当は大統領」と伝えてきており、外務省幹部は「大統領との会談を前に、プーチン首相には領土問題を後退させないように理解を得たい」と語る。
一方、ロシア政府は、最大限譲っても、56年宣言に基づく「2島返還」を落としどころとして決着を図る立場を崩していない。ロシア国内では2島返還でさえ反対意見が強い中、面積等分を受け入れる可能性は皆無に等しい。
ロシアは中国と長年係争してきた東部国境を04年に面積等分で解決したが、「戦略的パートナー」の両国が粘り強く交渉し、譲歩しあったことから実現した。また、中露の係争地は川の中州など無人地帯が多く、約1万7000人のロシア人が暮らす四島に同じ方式を適用するのは容易ではない。
■谷内氏の発言内容
日本側が4島(歯舞、色丹、国後、択捉)、あるいは2島(歯舞、色丹)、ロシアが0というのでは両国民の納得できる結果は出てこないと思う。(中略)私は3・5島でもいいのではないかと考えている。2島では全体の7%にすぎない。択捉島の面積がすごく大きく、面積を折半すると3島プラス択捉の20~25%ぐらいになる。折半すると(3・5島は)実質は四島返還になるんですよ。(4月17日付毎日新聞に掲載されたインタビュー)
■NAVI2・歴史は?
◇1945年以降、露が実効支配
北方四島をめぐる日本とロシアの領有権問題は、第二次世界大戦の日本敗戦時にソ連軍が四島を占領したことが発端だ。
両国の国境は、1855年の日露通好条約で択捉島とウルップ島の間に画定。その後、樺太・千島交換条約(1875年)とポーツマス条約(1905年)で変更されたが、四島は一貫して日本領であり続けた。しかし、ソ連は日本のポツダム宣言受諾(45年8月14日)の2週間後、四島に軍事侵攻。島に住んでいた日本人を強制退去させ、現在まで実効支配を続けている。
日本はサンフランシスコ平和条約(51年)で千島列島と南樺太を放棄した。ただ、ソ連が同条約の調印を拒否したため、戦後の日露国境は法的には未画定となっている。日本とソ連は56年の日ソ共同宣言で国交回復を果たした。同宣言には、平和条約交渉の継続と条約締結後の歯舞、色丹の日本への引き渡しが明記されている。だが、東西対立を背景にソ連はその後「領土問題は存在せず」と態度を硬化させ、交渉は長くこう着した。
◇冷戦後交渉も曲折
事態が動き出したのは90年代。91年にゴルバチョフ大統領がソ連のトップとして初来日し、四島名を列挙した日ソ共同声明を発表。ソ連崩壊後、日露は93年に四島の帰属問題を「法と正義の原則」により解決するとした東京宣言に調印し、日本側は「四島返還への足がかりを得た」と沸いた。97年には橋本龍太郎首相とエリツィン大統領が「2000年までに平和条約を締結するよう全力を尽くす」ことで合意(クラスノヤルスク合意)。橋本氏は翌98年、四島の日本への帰属を確認後、当面はロシアの施政権を認めると持ちかけ(川奈提案)、「領土問題の解決に最も近づいた」と言われた。
しかし、ロシアは同年11月、この提案を拒否。領土問題の解決機運は一気にしぼみ、日本国内では「4島一括論」と「2島先行論」が交錯し始める。
01年には森喜朗首相とプーチン大統領の会談で、日ソ共同宣言を「交渉の出発点」とするイルクーツク声明を出したが、翌02年に領土問題に関与してきた鈴木宗男衆院議員が逮捕され、日本の対露外交はその後、手詰まり状態に陥った。
「問題解決を次世代にゆだねることは考えていない」。昨年11月、ペルーで会談したメドベージェフ大統領と麻生首相は、今年1年で集中的に議論を行うことを確認した。だが、曲折があった交渉の歯車を再び動かせるか、楽観できない。
■NAVI3・地元は?
◇露・「親戚」と「他人」の間で 日・展望なくもどかしさ
北方領土返還要求運動原点の地・北海道根室市。領土問題について、根室青年会議所が4月中旬、市民1000人を対象に実施したアンケート(回答率61・6%)によると、政府の外交政策に「満足」と評価した根室市民は7・4%。不満は47・8%にのぼる。理由は「迫力がない」「見えない希望」など厳しい。
こうした中で飛び出した「3・5島論」。根室では「何島かでも戻ってくれば景気がよくなる」との期待も一部にあるだけに、択捉島出身の岩田宏一さん(80)は「限りなく四島返還に近い(3・5の)語感が怖い。領土問題をよく知らない人が支持しかねない」。3・5島論では最大の択捉島が大小二つに分割されるが、根室在住の元島民(1706人)のうち択捉島出身者は3%しかおらず、同島の重要性を叫ぶ声が十分に伝わらないもどかしさがあるという。
揺れる思いは四島在住ロシア人も同じだ。サハリンの通信社によると、ロシア外務省のノソフ在ユジノサハリンスク代表は先月、「かつては色丹島の50~60%、国後島の30~40%、択捉島の約20%が日本への引き渡しに賛成していた」と発言したとされる。これに対し国後島古釜布の男性(69)は「それはソ連崩壊後の混乱期の話。今は口にする人はいない」と語る。
四島では現在、9年間で約180億ルーブル(06年当時のレートで約800億円)を投入する社会経済発展計画が連邦主導で進行中。「遠くの親戚(しんせき)(モスクワ)より近くの他人(日本)」に向いていた島民の心をカネで取り戻そうとするかのようだ。だが、世界経済危機で、同計画への連邦予算は今年15%削減された。対日世論の動向が注目される。
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日露の領土交渉をどのように評価するか、日本の専門家に聞いた。
◇安易な譲歩避けよ/粘り強く交渉を
■袴田茂樹・青山学院大教授
「型にはまらないアプローチ」との発言はあったが、ロシア側は2島論から一歩も出ていない。麻生首相はこれを動かそうと本格交渉開始前に日本の基本的な立場を否定した。最近、日本側が一方的に譲歩する雰囲気になっている。経済危機下のロシアは、国民の不満と共に大国主義も高まっている。(ロシアが日本に譲歩できる)「機会の窓」が開いているとは言いがたい。
■木村汎(ひろし)・北海道大名誉教授
ロシアは深刻な経済危機から脱するために日本と協力する必要がある。プーチン首相も今回の訪日で極東・シベリア開発などで日本の支援が得られなければ、国内から批判されかねない。この絶好の好機に日本側から領土交渉の条件を下げるならば、ロシア側を喜ばせるだけだ。
■岩下明裕・北海道大教授
麻生首相と谷内政府代表が組めば「3.5島論」が出ても不思議ではない。確信犯でやっていると思う。(私は著書で)四島を分け合う発想を主張したが、具体的にどうするかは実際の交渉の現場で決まる。「3.5島」はイメージ操作であり観測気球だ。マスコミが何度も騒ぐと国民は驚かなくなる。
■中村喜和・一橋大名誉教授
日本はロシアという隣人と今後も付き合っていかなければならない。領土問題の解決は難しいが、交渉の過程でなるべく有利な条件を獲得するところに外交努力の妙味があることを認識すべきだ。四島一括返還だけに固執することは問題だ。領土問題では、ロシアと中国が粘り強い話し合いにより交渉をまとめた先例もある。
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■ことば
◇中露国境問題
1950年代後半から中ソ国境地帯の緊張が高まり、69年にはウスリー川の中州ダマンスキー島(珍宝島)を巡り軍事衝突が起きた。この後、約4300キロにわたる中露国境のうち、91年に東部国境の大部分を画定、94年に西部国境を画定。東部で未解決だったアムール川とウスリー川の中州についても04年10月、大ウスリー(中国名・黒瞎子)島の東部をロシアが所有し、同島西部と、隣接するタラバロフ(同・銀竜)島を中国領とすることで合意した。
URL:http://mainichi.jp/select/world/news/20090506ddm010010169000c.html
第165回国会 外務委員会 第7号 平成十八年十二月十三日(水曜日)
≪前略≫
○前原委員 民主党の前原です。
きょうは、中間選挙の後のアメリカの外交政策の変化、転換というものを、イラクそれからトランスフォーメーションを中心に議論させていただきたいというふうに思いますが、その前に、時間があったらまたロシアに戻りますが、ロシアの話を少しさせていただきたいというふうに思います。
ある新聞に、これは時評なんですが、安倍内閣発足直後の会見で、麻生外務大臣が、二島ではこっちがだめ、四島では向こうがだめ、間をとって三島返還というのは一つのアイデアとして考えられる、こういうお話をされたということであります。
これを直ちに私は批判をするつもりはありません。交渉事でありますので、どのぐらいの時間をかけるのか。ことしが日ソ共同宣言五十周年ということでございまして、スペインなんかは二百何年かけて領土問題を解決したという例もありますので、拙速にやって損したということ、タイムスパンをどれだけとるかということは大変重要な問題だというふうに思いますけれども、交渉事には、私はそれはアローアンスがあっていいと思うんです。
ただ、一つ私が気になりましたのは、例えば二島先行返還のときもそうだったのでありますが、果たして、そういう議論をされている方々というのは、島の大きさというものをちゃんとわかっておられるのかということなんですね。四島あって、半分は二島じゃないんです。
御存じであればお答えをいただきたいと思いますけれども、歯舞、色丹が四島のうち何%で、では三島、国後まで入れたら何%か、大臣、御存じですか。御存じなければいいですよ、私、お答えしますから。
○麻生国務大臣 御指摘は正しいと思いますが、半分にしようじゃないかといいますと、択捉島の二五%を残り三島にくっつけますと、ちょうど五〇、五〇ぐらいの比率になります。大体、アバウトそれぐらいの比率だと存じます。
○前原委員 二島が七%、歯舞、色丹で七%、国後を入れて三島で三六%。ですから、おっしゃるように一四%だから、択捉というのは六四%あるわけでして、すごく大きいんです。ですから、今まさに外務大臣がおっしゃったように、半々にしたとしても、択捉はある程度は入れなきゃいけないということで、そこは、三島という言い方をしてしまうと、自民党の議員さんで、モスクワで三島でいいんだなんておっしゃった方が、議長の息子さんでおられるようでありますけれども、これは私はよくない話だと思うんですね。
繰り返し申し上げますけれども、交渉事ですから、いろいろなアローアンスがあっていい。しかし、中国とロシアが国境線の画定をしたときに、お互い半々にしたんですよ、中ロは。だからそれに倣えということではありません。原則は四島でありますけれども、この問題を本当に解決するんだという意識があれば、今のことも含めて、三島と言い切ってはだめ。つまりは、仮に半分にまけたとしても、私はまけるつもりはありませんが、まけたとしても四島は入るんだというところの認識を持ってこの話はしておかなくてはいけないということであります。
その点、交渉されるのは外務大臣、当事者ですから、もう時間も三十分しかありませんので、公式見解はわかっています、それは当然あるとして、しかし、御自身の言葉で、では、臨むに当たって、今の私の指摘も含めてどういうふうに考えておられるのか、本音で答弁をいただきたいと思います。
○麻生国務大臣 御指摘のありましたとおりだと存じますが、基本的には、いわゆるこの話をこのままずっと二島だ、四島だ、ゼロだ、一だというので引っ張ったまま、かれこれ六十年来たわけですが、こういった状況をこのまま放置していくというのが双方にとっていいかといえば、これは何らかの形で解決する方法を考えるべきではないか。これはプライオリティーの一番です。
二番目は、そのときには双方が納得するような話でないといかぬのであって、今言われましたように、二島だ、三島だ、四島だという話になると、これはこっちが勝って、こっちが負けだという話みたいになって、双方ともなかなか合意が得られないといって、ダマンスキー、ダマンスキーというのは例の中国とロシアの間の島のことですが、あのダマンスキーのときも、いわゆるあれで話をつけたという例もあります。
確かに領土の話というのは、先ほどスペイン等の話も出されましたし、ほかにも、世の中いろいろ、世界じゅうありますので、そういうような国は、金で話をつけた例えばアラスカの例もあれば、またニューオーリンズの例もあれば、いろいろ例はいっぱいあります。
そういった例を引くにつけましても、この種の話をするときに、今言われたように、島の面積も考えないで二島だ、四島だ、三島だというような話の方が、私も全くそうだと思います。
したがって、半分だった場合というのを頭に入れておりましたので、択捉島の西半分というか、南のところはもらって初めてそれで半分よという話になるんだと存じます。幸いにして、右というか東方、北東の方に人口は集中しておりますので、そこらのところの人口比が圧倒的に多いというのも事実なんですが、いろいろな意味でこれは交渉事ですから、今いろいろ交渉していくに当たって、現実問題を踏まえた上で双方どうするかというところは、十分に腹に含んだ上で交渉に当たらねばならぬと思っております。
≪後略≫
URL:http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/165/0005/16512130005007c.html
この記事へのコメント
田中
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aoki
麻生総理の外相時の発言は、これも引かないと意味が無いかと存じます。
あくまでも、前原氏の質問の「半分だとどれぐらい?」に答えただけなんですが。
日比野
ご指摘のとおり面積半分でも、スタートが二島であることを考えると、事実上3.5島にはる面積等分案は理想的だと思います。
問題は帰属確認と、横やりです。今後の安全保障を考えるとロシアとの関係改善は必須と思われます。東アジアに消極的な感じがあるオバマ政権の今こそチャンスの時期ではないかと思います。絶妙のバランス感覚で弱小大名(党内基盤)でありながら生き残る手腕を見せつけた麻生総理に期待します。
ao
つまり、痛み分け。
これは台湾に対してもインパクトがある。
アムゼル
面積半分というのも主権の帰属を確認した上では現実的というより理想的な解決案ではないでしょうか。
シナも米国も固唾を呑んでプーチン訪日を注目しているはずです。ロシアとの戦略的関係構築は米「中」両帝国主義による「日本処分」(青木直人氏の用語)に対抗するわが国の外交手段としてまさに必要とされるべき事柄でしょう。
しかし米国からの水面下の干渉や工作が、端的にいえば身の危険が総理に及ばないか心配です。日露関係の鳩山一郎、日「中」関係の田中角栄の例がすでにありますからね。