保守の右側(政界再編について 最終回)
現在の麻生政権を見ていると、外交においては、多国間とのパワーバランスを睨みながら、じわじわと立ち位置を確保してゆくやり方を取っているようにも見える。したたかといえばしたたか。現実的といえば現実的。
先の田母神論文問題でも、日本として言いたいことはあっただろうに、現実を見据えると更迭するほかなかったように思う。
だけど、現実主義はどこまでも現実主義であって、理想を追求する力は相対的に落ちる。現実として打てる手を打ってゆくから。
だけど、今の日本で保守右派となると、自民党と民主党の一部にしかなくて、それぞれの自党内に左の人もいるから全体的には中道または中道左派に近い色合いになってしまってる。せっかく保守右派の人材がいたとしても埋もれてしまってる。
ところが、もしこの第3極の「保守理想派」政党が出来上がるのなら、その立場は、保守右派の人たちを糾合して、あくまでも日本としての立場を主張する政党としての色彩を帯びるはず。ポジションとしては、自民党の更に右に位置することになろう。
そうしてようやく、日本の政党に右派、中道、左派の存在が出来上がりバランスがとれることになる。
「保守理想派」政党は政権政党になるまでは、どんどん保守の理想をぶち上げるだけの自由度があるし、政権与党と連立与党を組んだとしても、自党としての保守理想を要望すればいい。現実的な判断と政策は政権政党に任せておけばいい。それに、この政党からなら、田母神元空将が議員として立候補できる可能性が高くなる。
田母神氏は空自を退職したあと、精力的に講演活動をしているけれど、何処の会場でも満員の聴衆で一杯になるという。少なくともそれだけのニーズが国民にあることは確か。
現時点では、自民党からでも、民主党からでも田母神氏は立候補できないし、仮に立候補したとしても、政党に丸め込まれたのかとしてしか見てもらえない。そんなリスクを冒すよりは、田母神氏が立候補しても、なるほどと思わせる政党があるほうがいいし、なにより国民に対する受け皿になる。
政権与党としても、連立を組んだ政権の要求を全く無視することは難しいから、多少は右側に引っ張られることもありうる。それでも今のように連立与党を組む相手が中道左派から左しかいない現状よりも選択の幅が増える分だけマシだろう。
その意味で、安倍元総理と前原氏の接近は、ある種の期待を抱かせるものがあっても不思議ではないかもしれない。
4月30日夜のBSフジ番組で、前原氏は小沢代表の進退問題について「われわれが主体的に考えないといけない」と述べ、反小沢勢力の“決起”をほのめかしたという。
もしかすると、もしかしないか。注目したい。
コップの中の嵐? 民主・前原、小沢辞任求め決起か 「連判状」署名集め検討
民主党の前原誠司副代表が30日夜のBSフジ番組で、小沢一郎代表の進退問題について「われわれが主体的に考えないといけない」と述べ、反小沢勢力の“決起”をほのめかした。同党では有志議員がGW明けにも小沢氏の辞任を求める「連判状」の署名集めを検討しているだけに、党内では「前原氏も連判状メンバーでは。まさに下克上だ」との見方が広まっている。
番組で前原氏は「早期の衆院解散もあり得る。タイムリミットを考え、今後の展開をどうするか、他人任せにせず、主体的に考えないといけない」と表明。さらに「政権交代のためには何が最善の道なのか、仲間と相談しながら考える」と述べた。
前原氏は西松建設事件の次期総選挙への影響について「残念ながら風化せず、ボディーブローのように効いている」と指摘。「国民がもやもやした状況で選挙に突っ込むのは最悪だ」と小沢氏への不満をぶちまけた。
前原発言について同党若手議員の1人は「6月選挙もささやかれるなか、連休明けにも小沢降ろし→岡田克也新代表という流れで動く可能性を示唆したものだ」と解説する。
世界中で新型インフルエンザが広がりつつある中、民主党のお家芸である「コップの中の嵐」が始まりそうだ。
ZAKZAK 2009/05/01
URL:http://www.zakzak.co.jp/top/200905/t2009050119_all.html
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