中国のIT製品情報強制開示問題
騒がれていた中国のIT製品情報強制開示問題で、中国当局は実施を一年延期すると発表した。日米欧の政府・企業が強く反発したのがその理由だと見られてる。
元々、この強制開示の方針は昨年の9月から言い出していたことで、その段階で2009年5月に実施すると言っていた。それが今年の3月16日の段階で当面延期するといい、4月になったら、いややるといって、いざ直前になってやっぱり延期。
4月にやると言い出したのも、世界的経済不況まっただ中の今の時期なら、仕方なく靡いてくるんじゃないかという読みがあったのではないか。中国は米国債を購入しまくっているから、アメリカが強く当たれないところを狙った典型的な駆け引きの一環。駆け引きだから、相手が強硬とみるやすっと引いてみせて、次の機会を狙ってる。全然諦めてない。やる気満々。
日立製作所の古川一夫社長(当時、現副会長)は昨年9月の段階で、中国が2009年5月に予定通り新制度を導入した場合には、中国とそれ以外で(製品を)分けることを検討するとして、中国向けの高度なデジタル製品の製造・販売を停止することも視野に検討する考えを明らかにしている。
要は型落ち製品しか売らなくなるということ。
今回でまたやると言ってみたり、延期してみたりフラフラしている中国当局の動きを見て、中国へ進出した企業は大きな選択を迫られることになった。中国からはすっぱり撤退するか、開示しても問題ない程度の型落ちしか売らない体制にシフトするか。すでに各国企業は来年にむけて、その準備に取り掛かっているかもしれない。
以前、「北京五輪が失敗するとき」のエントリーでも触れたけれど、世界は中国なしでは成り立たないのだ、と中国自身が考えているように思えてならない。先進諸国がこの問題で中国に反発したとしても、一時のことでやがて戻って来ざるを得ないのだと多寡を括ってる。中国と付き合うことによる経済的見返りには勝てないだろうと思っている。
これは、人の欲や「利」につけこんだやり方。今回は延期になったけれど、全世界的にやれば、おそらく目先の利益に目がくらんだ企業や国が抜けがけする可能性は否定できない。
ソースコードを開示しない他の国が躊躇する間に、抜けがけしてコード開示した製品を売りさばいてひと儲けすればいいやと考える輩が現れても無理はないのかもしれない。けれど、それはやっぱり一時のことで、開示コードをパクった自国製品を作って、逆に低価格路線で輸出を掛けてくるにきまってる。
一時の欲につられてばかりいると、いつかは自分の首を絞めることになる。
中国:IT製品情報開示、「強制認証」1年延期--日米欧の反発受け
【北京・浦松丈二】中国国家認証認可監督管理委員会は29日、IT(情報技術)セキュリティー製品の情報を企業に強制開示させ、認証されない製品の流通を禁止する「強制認証制度」について、当初予定の5月1日実施から、来年5月まで1年間延期すると発表した。また、範囲を政府調達に絞ると発表した。
同制度は、外国企業が通信ネットワークのファイアウオール(安全隔壁)などの製品13品目を中国に輸出する際、製品情報の開示を義務づけている。中国政府が昨年1月に導入方針を発表したが、ソフトウエアの設計図などIT製品の「頭脳」と言われる機密性の高い技術が含まれるとして日米欧の政府、企業が強く反発。日本政府は、世界貿易機関(WTO)などを通じてこの制度の導入撤回を求める姿勢を示していた。
URL:http://mainichi.jp/select/world/news/20090430ddm002030034000c.html
IT製品情報強制開示、中国が5月公表へ 日本は再考求める
河村建夫官房長官は24日の閣議後の記者会見で、中国政府が同国で生産・販売するデジタル家電などIT(情報技術)製品の技術情報を、メーカーに強制開示させる制度を5月に公表する方針を日本側に伝えてきたことを明らかにした。日米欧は企業の知的財産が自国外に流出する危険性が高いとして、制度導入の撤回を求めていた。
河村長官は「国際的に例のない強制的な制度が導入されると、日中間の通商貿易関係に悪影響を与える」と指摘。「日本側はあらゆるレベルで(中国政府に)再考を求めている」と語った。
二階俊博経済産業相も記者会見で「現在、中国側に問い合わせている」と述べ、今月末に開かれる見通しの日中首脳会談でも取り上げる可能性を示唆した。(12:31)
URL:http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090424AT3S2400K24042009.html
国家機密漏洩も?中国がIT製品の根幹となる「ソースコード」をメーカーに強制開示へ 2009年04月24日15時26分 / 提供:GIGAZINE
中国政府が近いうちにデジタル家電やIT製品の根幹となるソフトウェアの設計図「ソースコード」を各メーカーに強制開示させる方針であることが明らかになりました。
実現すればデジタル家電だけでなくICカードやATMといった生活に欠かせない製品の暗号解読のきっかけとなるほか、国家機密の漏洩につながるおそれがあるようです。
読売新聞社の報道によると、中国政府が自国内で生産・販売される外国製のIT(情報技術)製品について、製品を制御するソフトウエアの設計図である「ソースコード」の開示をメーカーに強制する制度を5月に発足させるそうです。
この制度の導入はソフトの欠陥を狙ったコンピューターウイルスの侵入防止などが目的であるとされていますが、ソースコードが分かればICカードやATM(現金自動預払機)などの暗号情報を解読するきっかけとなるとのこと。また、ソースコードの強制開示にあたっては、中国当局の職員が日本を訪れ製品をチェックする手続きも含まれます。
ソースコードの強制開示は企業の損失につながるだけでなく、国家機密の漏洩につながる可能性もあるため、日米欧の政府が強く反発していますが、拒否するとその製品の現地生産や販売、対中輸出ができなくなるとしています。つまり中国政府は自国が海外企業にとって安価な製造拠点であることや巨大な市場であることを盾にしているということなのでしょうか。
すでにドイツのシーメンスの技術供与を受けて製造した中国の新型高速鉄道が「中国が完全に知的所有権を保持している」と発表されているなど、中国の知的財産権政策には問題点があるように思われますが、ソースコードがICカードやATMの暗号情報などの解読に用いられる可能性や、競合する中国企業に流出する可能性は本当に無いのかどうかも気になります。
なお、この件に関して河村建夫官房長官は本日午前の閣議後会見で「中国政府にはあらゆるレベルで再考を求めている」と述べたそうです。また、中国から5月1日までに強制認証制度を公表するとの説明があったことも明らかにしたとのこと。
ちなみにマイクロソフトはWindowsの技術情報などを非商用目的のオープンソース開発者に無料で公開していますが、はたしてこの制度の導入でWindowsのソースコードがすべて強制開示されるようなことはあるのでしょうか…?
URL:http://news.livedoor.com/article/detail/4125840/
中国、ソフト設計図に固執 IT情報強制開示、来月に詳細 (4/25)
【北京=多部田俊輔】中国政府は5月までにIT(情報技術)セキュリティー製品の技術情報をメーカーに強制開示させる制度の詳細を公表する。日米欧の各国政府は知的財産が流出する恐れがあると反対してきたが、「IT強国」を目指す中国政府は導入の意欲を改めて示した。対象範囲などによっては、日米欧企業が大きな影響を受ける恐れがある。
中国が導入にこだわるのは、独自の安全基準である「強制製品認証制度(CCC認証)」にITセキュリティー製品13品目を加えること。ICチップ用OS(基本ソフト)やネットワーク監視システムなど、情報システムや情報機器の安全性確保に不可欠なソフトウエアだ。日米欧企業が強みを持つ分野で、認証を受けられなければ中国で販売できなくなる。(09:27)
URL:http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090425AT1C2400N24042009.html
中国、IT製品情報の強制開示を延期 (3/17)
【北京=多部田俊輔】中国政府は16日、IT(情報技術)セキュリティー製品を対象とした強制認証制度導入を当初予定の5月から延期することを明らかにした。同制度のを巡っては設計情報の強制開示につながり、知的財産権を侵害されるおそれがあると、日米欧などの政府や企業が反発。中国政府は見直しを余儀なくされた格好だ。
中国は08年1月、中国独自の安全基準である「強制製品認証制度(CCC認証)」に09年5月からITセキュリティー製品13品目を加えると発表していた。同制度を管理する中国の国家認証認可監督管理委員会(CNCA)は16日、日本経済新聞に対し、「ITセキュリティー製品への適用は当面延期することを決めた」と答えた。(07:00)
URL:http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090317AT2M1602816032009.html
「IT製品の機密開示せよ」…中国が外国企業に要求へ
「暗号筒抜け」日米猛反発
中国政府が外国企業に対し、デジタル家電などの中核となる製品情報を中国当局に開示するよう命じる新制度を2009年5月から導入する方針であることが18日わかった。
対象はICカードやデジタル複写機のほか、薄型テレビなども含まれる可能性がある。開示を拒否すれば、その製品の対中輸出や中国での現地生産、販売が一切禁止される。企業の知的財産が中国企業に流出するおそれがあるほか、デジタル機器の暗号技術が中国側に筒抜けとなる安全保障上の懸念もある。経済産業省や米通商代表部(USTR)などは制度の撤回を強く求める構えで、深刻な通商問題に発展する可能性がある。
中国は、新制度を「ITセキュリティー製品の強制認証制度」と呼んでいる。具体的には、対象となる製品について、デジタル家電などを制御するソフトウエアの設計図である「ソースコード」の開示を外国企業に強制する。対象製品は、開示されたソースコードに基づく試験と認証機関による検査に合格しないと中国で製品を販売出来ないという、国際的に例のない制度だ。
新制度の対象としては、ソニーが開発した非接触ICカード技術「フェリカ」や、デジタル複写機、コンピューターサーバーなど、暗号機能が含まれる製品が有力。
中国政府は、ソースコードの開示を求める狙いについて、ソフトの欠陥を狙ったコンピューターウイルスや、コンピューターへの不正侵入を防ぐためと説明している。
しかし、開示内容が中国政府を通じて中国企業に漏れる恐れはぬぐえない。そのうえ、日本製デジタル機器の暗号情報も見破られやすくなり、中国の諜報(ちょうほう)活動などに利用される懸念も指摘されている。
業界団体の試算によると、日本企業の対象製品は、現在の中国国内での売上高で1兆円規模に上る可能性がある。在中の日米欧の経済団体は、連名で中国当局に懸念を表明する方針だ。
ソースコード
コンピューター言語で書かれたソフトウエアの設計図。企業の重要な知的財産で、マイクロソフトは基本ソフト「ウィンドウズ」のソースコードを機密情報として扱い、巨額の利益につなげた。ソースコードが分かると、ソフトの欠陥を突いたウイルスの作成などが容易になるため、ハッカーなどに狙われてきた経緯もある。
(2008年9月19日 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20080919nt07.htm
中国IT規制実施なら販売停止も 日立製作所・古川一夫社長
日立製作所の古川一夫社長は30日、読売新聞のインタビューに応じ、中国が検討している情報技術(IT)製品の機密情報開示を強制する新制度について、「デジタル製品にとって(ソフトウエアの設計図である)ソースコードは命。(開示なら)極めて危機的だ」と強い懸念を示した。
中国が2009年5月に予定通り新制度を導入した場合には、「中国とそれ以外で(製品を)分けることを検討する状況になりうる」と述べ、中国向けの高度なデジタル製品の製造・販売を停止することも視野に検討する考えを明らかにした。
中国の新IT規制は、日本の技術情報が中国側に流出し、企業の知的財産権が脅かされる問題が指摘されている。古川社長は、「中国は世界貿易機関(WTO)に加盟し、知的財産権を尊重すると言っている。新制度がどう発動されるのか(詳細は)まだ分かっていない」とも指摘し、政府間の交渉で新制度が改善されるかどうか推移を見守る考えを示した。
プラズマテレビに使うパネル生産から事実上撤退することについては、「パネルが差別化要因になる時代ではなくなった。テレビは放送と通信の融合が進む方向で進化する。そういった点での差別化を考えている」と述べた。
(2008年10月1日 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20081001nt04.htm?from=nwlb
この記事へのコメント
日比野
アムゼル
この自らの首を絞める愚の骨頂のような政策の非を中共指導部も知らないはずはないと思うのです。にもかかわらず出したり引っ込めたりする、これはつまり権力闘争の反映だと思うのです。胡現指導部の外交政策とくに親日政策にあてつけて反対派が足を引っ張ろうとしているのでは、と思っています。
しかしまあこれでシナのカントリー・リスクの大きさがより明確化したので外国とくにオオボケの日本企業にはよい薬となったことでしょう。最近の情報では深玔地区からはすでに1400社が撤退したそうです。移転先はおもにヴィエトナムだそうです。これがこれからの大きな潮流になることでしょう。
丸まる子
中共のことですから遅かれ早かれ実行するでしょう。この延期された一年間は、日本企業が支那から撤退するための準備期間と認識しております。いくら支那市場が魅力的(に見える)とはいえ、政治家じゃあるまいし、むざむざ中共に喰われるのを放っておくほど日本企業はア○とも思えませんが…日立製鉄所以外から声が聞こえないとこ見ると…実はア○なのか???