民主主義のコスト(政治家の世襲問題について考える その1)


政治家の世襲問題について考えてみたい。 全9回シリーズでエントリーする。

「基本的に、企業も社会の中において、民主主義のコストを払うべき立場にあるんではないかと。したがって、その、企業団体の、いわゆる自由というもの、認めてしかるべきだし、企業団体側から献金が政党に出されて、なされたということを、禁止っていうのが、よく私には理解ができないところですけどね。」


4月28日のぶら下がり会見での麻生総理のコメント。

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この総理のコメントの中で注目したいのは「民主主義のコスト」という言葉。まず、この民主主義を成立させるためのコストをいうものについて考えてみる。

民主主義とは、諸個人の自由意思の集合をもって物事の意思決定を行なう政治体制のこと。だからその条件として、国民一人ひとりに表現の自由と選択の自由が与えられ、保証されていないといけない。

選挙の場合でいえば、何者にも制約されることなく、個々人独自の判断によって、自分で選んだ候補者に投票できるということ。

そのためには、なんらかの方法で候補者を選択できるための判断材料を手に入れられる環境があるということと、選択した結果を投票行為として示すのに何の制約も課されないという2点が必要になる。

前者は選挙活動、選挙公報を通して公開され、後者についても有権者には全て投票用紙が配布されることで一応どちらも保証されている。

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だけど、前者と後者について、それぞれコストという面で考えるとその内容に大分差があることが分かる。後者は各有権者に投票用紙を配布して、投票所を設けて、投票管理人に立ち会ってもらって、集計して、といった一連の決まった作業しかないから、それに必要な費用は、同一選挙区毎でみれば、大体いつも似たり寄ったりで大差ない。

ところが前者となると、選挙活動に限ってみてもその議員なり、候補者なりの活動の程度によって、必要なコストは全然変わってくる。

一人でも多くの有権者に自分の政策を伝えたいと思えば、公民館なり施設を連日借りては有権者と討議したり、選挙カーの大量投入による呼びかけや、電話攻勢なんかをバンバンすることになる。

公民館だって、いつもタダで借りられるとは限らないし、選挙カーのガソリンや電話代が空から降ってくるわけじゃない。

選挙って、頑張れば頑張るほどお金が必要になる。それは事実としてそうなっている。金のかからない選挙なんて、NHKの政見放送だけで当選するくらい難しい。

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画像企業献金は民主主義のコスト 28日の首相(2/3ページ)2009年4月28日21時24分

 【企業団体献金】

 ――武部・党改革実行本部長が来られましたが、今日、民主党の小沢代表が企業団体献金について「即時全面禁止しても構わない」という発言をされました。これについて、総理、どのようにお考えですか。

 「あの、この前も、同じ質問を、同じ新聞社から頂いたと思うんですが」

 ――改めて、ちょっと。

 「あの、違う答えがくることを期待して、同じ質問をされるんですか」

 ――あの、小沢代表の発言がありまして、改めて。

 「小沢代表は、この前も同じような趣旨を言っておられたと思いますが」

 ――今日は、あのー、ま、即時禁止してもいい、というような発言をされています。

 「これに対する答えは、この前とおんなじ答えしか、申し上げようがないんですけどね。あの、基本的に、企業も社会の中において、民主主義のコストを払うべき立場にあるんではないかと。したがって、その、企業団体の、いわゆる自由というもの、認めてしかるべきだし、企業団体側から献金が政党に出されて、なされたということを、禁止っていうのが、よく私には理解ができないところですけどね。いわゆる議論なされて、あのー、ご自分のところは受け取らないというなら、そら、それで、あの、受け取ってられないといわれるような話だと、なんとなく、ちょっと、えっ、という感じがしますよね。はい」(立ち去る)

 【訪中】

 ――次です。あ、すいません、総理。

 (振り返って)「それでいいだろ? 2問だったよ? え?」

 ――中国の話がありまして。すみません。

 (戻ってきて)「中国、明日やろうよ」

 ――いや。

 「はえ? 明日で間に合わないって? みんなの都合に合わせて、おれやらされてるわけで……。ハッハッハッハッハッ。NHKらしいね。はい、どうぞ。ハッハッハッハッハッ」

URL:http://www.asahi.com/politics/update/0428/TKY200904280312_01.html

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