国家100年の計か目先の小銭か
6月17日、2回目の党首討論が行われた。
一部の新聞では、あたかも鳩山党首が終始優勢であったかのような報道も見受けられるのだけれど、内容は、友愛論の鳩山党首と具体策は何だと問いかける総理の構図で前回とあまり変わっていない。
内容の概略の代わりに、毎日jpより見出しだけ列挙すると次のとおり。
党首討論:【詳細速報その1】鳩山代表、日本郵政社長人事で「総理は判断できない、ぶれる、間違える」
党首討論:【詳細速報その2】麻生首相「混乱を招いている感じはいかがなものかと思い」
党首討論:【詳細速報その3】鳩山代表「政権獲得したら西川社長には辞めていただく」
党首討論:【詳細速報その4】麻生首相 北朝鮮問題「与野党一致して早急な結論得たい」
党首討論:【詳細速報その5】鳩山代表「人の命の問題を総理はどのように考えているのか」
党首討論:【詳細速報その6】麻生首相「財源なければ無責任 財源の見解を」
党首討論:【詳細速報その7】鳩山代表「政権とっても消費税増税しない」
党首討論:【詳細速報その8】麻生首相「現実論言っていただかないと不安感持つ」
党首討論:【詳細速報その9】鳩山代表「細田幹事長からの公開質問状はいくらなんでも失礼」
党首討論:【詳細速報その10】麻生首相「アニメの殿堂は思いつきでない」
党首討論:【詳細速報その11】鳩山代表「アニメの殿堂のお金を生活保護母子加算に」
党首討論:【詳細速報その12止】鳩山代表「国民がなぜ麻生政権に愛想つかしているか明らかにしたい」
見出しだけみると、それほど大した内容を討論しているようには思えない。事実、全文を読んでみてもその印象は変わらない。
だけど、ただ一点気づいたことがある。それは、総理と鳩山党首とで、立ち位置というか見ている視点が違うのではないか、という点。どういう事かと言えば、先の4月9日に都内の日本記者クラブで「未来開拓戦略」を総理は提示したけれど、総理は先の先、格好いい言葉でいえば、国家100年の計を視野にいれた上で、今がどうあるべきかを考えているのに対して、鳩山党首は現在只今の状況をどうにかする、という視点の違いがあるのではないかということ。
もちろん、政権与党と野党というそもそもの立脚点の違いがあるから、鳩山党首としても政権交代の実現のために、今の与党には任せられないということを殊更にアピールするためにわざと今現在の問題しか取り上げていないという可能性はある。
だけど、そういうやり方は小政党のするべきことであって、政権を担おうとする政党であるのなら、政権与党と同じ立場で、国家100年の計を語ることができなきゃいけない。でないと国家を誤ってしまうし、国民が任せて良いのかどうかの判断ができない。それとも目先の小銭をちらつかせさえすれば、票が集まるとでも思っているのだろうか。
この問題は結構重要で、今ある生活や基盤が何に拠って立っているか、ということを何処まで国民が自覚しているかに直結している。毒餃子事件があって、ようやく食料自給率が40%に満たないことを知り、北朝鮮がミサイルをぶっ放してようやく、国家安全保障が危機に瀕していることを知るような状況は相当に危ういといえる。
今ある生活は何によって担保されているかを深く自覚するとき、党首討論の内容についての見方も変わってくるだろう。
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麻生首相、反転へ機会生かせず=再対決、鳩山氏に主導権-党首討論
17日に行われた麻生太郎首相と鳩山由紀夫民主党代表の2度目の「党首対決」。内閣支持率の急落などで窮地に立たされる首相は、反転攻勢への思惑を秘めて論戦に臨んだが、これといった有効打を放てず、意気込みだけが空回りした。これに対し、追い風を受ける鳩山氏は「国民の生活が第一」と民主党の姿勢を盛んにアピール。双方の置かれた状況が浮き彫りとなった。
論戦は冒頭から、鳩山氏が主導権を握る展開となった。「同僚議員からは止められたが、国民の最大の関心事に触れないわけにはいかない」。こう切り出した鳩山氏は、日本郵政社長人事をめぐる迷走劇を取り上げ、「(内閣)支持率が大きく落下した原因は、判断ができない、ぶれる、間違える、この三つ」と指摘。実弟の鳩山邦夫前総務相更迭については「間違った方のくびを切った」と断じた。
一方の首相は今回は「政策一本」(周辺)で臨むことを心掛けた。前回の討論で、小沢一郎民主党代表代行の秘書が逮捕・起訴された違法献金事件を執ように追及し、自民党内でも「みっともない」と不評を買ったからだ。
鳩山氏が社会保障費を抑制してきた政府の方針を批判、「最優先しなければならないのは命の問題」と訴えると、首相は「社会保障の財源で『消費税の話はしない』との話になっているようだが、無責任だ」と財源論で反撃を試みた。
しかし、鳩山氏は「官僚任せのペーパーを棒読みしている」と応戦。逆に「『アニメの殿堂』(国立メディア芸術総合センター)のカネがあれば、何で(廃止された)生活保護費の母子加算を戻してあげないのか」と切り返した。
「米第7艦隊だけで日本の安全が守れるという(小沢氏の)発言は明らかに偏っている」。首相は討論終了間際になって、それまでの議論の流れを無視して、民主党の「弱点」とされる安全保障問題で揺さぶりを掛けようとしたが、時すでに遅し。最後に首相は「財源問題、安全保障問題で改めて開催を」と再戦を求め、自ら劣勢を認める格好となった。
討論後、首相は「質問に対する答弁の形みたいになって、党首討論という形にはならなかった」と「不完全燃焼」だったことを認めた。一方、鳩山氏は「首相が論旨に合わない話を長くするから、時間を失った」と振り返った。
与党内の反応も「きちんと反論してもらいたかった」(自民中堅)といまひとつ。公明党の北側一雄幹事長は記者会見で「まだまだこれから。毎週討論をやってもらいたい」と不満げだった。(2009/06/17-21:28)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009061700956
【麻生ぶら下がり】「党首討論にならなかった」(17日夜) 2009.6.17 20:20
麻生太郎首相は17日夜、民主党の鳩山由紀夫代表と行った2回目の党首討論について、「質問に対する答弁の形みたいになったので、党首討論というような形にはならなかった。外交、防衛問題や施策の財源が論議できていない」と述べた。首相官邸で記者団に答えた。ぶら下がり取材の詳報は以下の通り。
【党首討論】
--今日、2回目の党首討論が行われたが、感想は
「感想? そうですね。郵政の問題など国民の関心がおありのところについては、十分に説明ができたと思っています。ただ、質問に対する答弁の形みたいになりましたんで、党首討論っていうような形にはならなかったんだと思っています。従って今、両党間で外交・防衛問題とか、またいろいろな施策に対する財源の問題など、これ、論議としてはできていないと思っていますんで、この点について、次回っていう話を今日、委員長にお願いをしましたけれども、こういった両党間の違いっていうのをきちんとする。そういった機会ができればなぁという感じが、感想っていやぁ、そういうとこかな」
--財源と安全保障を改めて議論したいと
「はい」
--国会であと、いつまでに何回くらい討論したいと
「さぁ、そらな。前々から申し込んであってもお受けになりませんでしたからね。何回といっても、こちらの希望通りになるわけではありませんので
【都議選】
--東京都議選についてうかがう
「何選?」
--都議選
「あっ、都議選。はい」
--昨夜、自民党幹部が首相があれだけ選挙区を回っているのだから、覚悟を決めているのだろうと指摘する声も
「覚悟? はい」
--このように、自民党内から都議選の結果と場合によっては首相の責任問題に結びつけるような声も上がっているが、こうした声について
「あの、都議選に限らず、千葉の選挙(千葉市長選)についても、また、静岡の選挙(静岡県知事選)についても、いろいろ選挙はありますけれども、党を挙げてやるという党の方針が決まってるんだと思います。従って、都議選に関して、(自民党の)総裁としてできる限り応援に行くということを決めておりますんで、党として当然のことだと思いますが」
--衆議院解散・総選挙を前に、結果は直接総理の責任には結びつかないと。都議選と衆院選は別だという認識でよいか
「地方選挙と総選挙は全然別です」
--6月7日だが、首相自身が、「引き続き都議会においても政権政党第一党でありつづけたい、ありつづけねばならぬ」と言ったが、都議選の勝敗ラインはどう考えるか
「地方選挙の勝敗ラインを総裁が決めるなんてことは、考えられませんけど。少なくとも総選挙の前の地方選挙において、地方選挙においてもぜひ、勝ってもらいたいという気持ちを言うのは当然だと思いますが」
【沖縄返還の密約】
--昨日の東京地裁の情報公開訴訟で、昭和47年に沖縄返還に関連して日米間で取り交わされたとされる密約について、東京地裁の裁判長が、文書を保有していないと説明する国側に合理的な理由を説明する責任があるのではないかと述べ、国として説明責任を果たすよう求めたが、どう説明するか
「少なくとも密約はありません。ずっと一貫して申し上げてきていると思いますが、それから、今の話は外交文書の話なんで、基本的には外務省に聞かれるのがアレで、いずれにしても係争中の話なんで、何とも答えようがありません」
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090617/plc0906172025014-n1.htm
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