北朝鮮制裁決議

 
6月13日、ようやくのことで、国連安保理で、北朝鮮に対する制裁決議案1874が参加15理事国による全会一致で採択された。

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決議は下記に示すとおり、貨物検査と金融制裁、武器禁輸を柱とし、物資と資金の封じ込めを図るもの。

1.北朝鮮に大量破壊兵器開発の関連物質の輸出入を禁じる
2.関連物質を運搬している可能性がある船舶などを検査する
3.大量破壊兵器の開発資金の流れを断つ(要旨)

日本はこれら3項目を新制裁決議に盛り込むように働きかけ、これらの要求が最終的にすべて盛り込まれることになったのは評価していい。

問題は、2の船舶などの貨物検査。

決議では、禁輸物資を積んでいると疑われる情報がある場合につき、自国の領海内では検査を求めることができ、公海上でも当該国が同意すれば検査ができることになっている。たとえ同意がない場合でも、「適切な港」への移動を指示することが義務づけられているというから、検査する気さえあれば、かなり確実に検査が行えることになる。逆にいえば、検査する気がなければ、いくらでもお目こぼしができるとも言える。この辺りは、最後まで貨物検査義務化に難色を示した中国とのギリギリ妥協できるラインだったのかも知れない。

その意味では、この決議は北朝鮮への制裁という意味は勿論のこと、加盟国がどこまで本気になってやるかを、逆に確かめられてしまうものでもある。採択した国にとっては、それなりにプレッシャーが掛かる決議であるのは間違いない。

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日本政府は、早々と自衛隊が貨物検査を実施できるよう国内法整備の具体的検討に着手した。現行法改正では対応困難との見方が強く、新法制定が有力とされている。

ポイントは自衛隊が貨物検査できるという点。当然相手からの戦闘行為をも想定してのこと。この法案が通れば、おそらく貨物検査の名の下にイージス艦を常時日本海に展開して、北朝鮮からのミサイル攻撃の監視および迎撃命令への即応体制をもしいておくのではないかと予想する。

少なくとも、日本政府は、日本領海及び公海上で北朝鮮に向かう船は、片っ端から検査するくらいの覚悟ではあるのだろう。

今後、北朝鮮に出入りする船舶がどのような航路を通ってくるかが意外と注目すべき点かもしれない。つまり、公海上では日本に捕まる可能性があるから、公海上の中国寄りギリギリとか、場合によっては中国の港をいくつか経由していくような航路変更が見られるようになったとしたら、それなりのヤバい品物を積んでいると周りからは見られることになる。中国もやり難かろう。

北朝鮮は、当然の如く反発をしてウラン濃縮を宣言した。一歩も引く気配はない。

ここはいち早く、新法を制定して、海上自衛隊の船舶の展開および監視を強化して、準戦時体制をも睨んだ準備を進めておくべき。何があっても対応できる準備は早いに越したことはない。

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画像北朝鮮制裁決議を全会一致で採択…国連安保理 6月13日1時19分配信 読売新聞

 【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会は12日午後(日本時間13日未明)、公式会合を開き、北朝鮮の5月25日の核実験に対する制裁決議案を15理事国による全会一致で採択した。

 決議は貨物検査と金融制裁、武器禁輸を柱とし、2006年の核実験で採択した制裁決議1718と合わせ、北朝鮮の核、ミサイル開発と核拡散阻止に向け、物資と資金の封じ込めを図る。北朝鮮の反発は必至で、核実験や弾道ミサイル発射などの挑発も予想される。

 決議は今回の核実験を「最も強い表現」で非難。安保理が、強制措置の根拠となる国連憲章7章のもとで行動し、経済制裁などを定めた7章41条に基づく措置をとるとした。

 金融制裁では、国連加盟国に対し、北朝鮮の核、ミサイル開発につながる資金移転の阻止や、人道・開発目的を除く北朝鮮への新規援助・融資を行わないよう求めている。また、資産凍結の対象となる北朝鮮の企業の追加指定を安保理の制裁委員会に指示した。

 船舶などの貨物検査については、禁輸物資を積んでいると疑われる情報がある場合、加盟国に「港と空港を含む自国の領内で検査することを求める」と規定。公海上では「船舶が所属する国の同意を得て検査するよう求める」としている。同意を得られない場合でも、船籍国は船舶に「適切な港」への移動を指示することが義務づけられ、港を管轄する国が検査できる仕組みになっている。

 北朝鮮による武器輸出の禁止は、決議1718が大型兵器に限定していたのに対し、今回はすべての武器に適用し、外貨獲得を封じ込める措置を取った。決議1718が実効性を欠いた反省から、制裁の履行状況を監視する専門家グループの設置や、制裁委が作業計画を作って履行を促進することも盛り込まれた。 最終更新:6月13日1時19分

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090613-00000110-yom-int



画像日米、中国と温度差 6月13日15時16分配信 産経新聞

 【ニューヨーク=松尾理也】北朝鮮が強行した2度目の核実験をめぐり、国連安全保障理事会が対北追加制裁決議「1874」を全会一致で採択したことを受けて、安保理に付属する北朝鮮制裁委員会は今後、資産凍結対象リストの策定など、具体的な制裁履行に向けての作業に入る。

 決議1874は核実験を「最も強い表現で非難」したうえで、核実験や弾道ミサイル技術を使った発射を2度と実施しないよう北朝鮮に要求。制裁措置として武器禁輸や各国への貨物検査実施の要請、金融制裁などが盛り込まれている。

 採択後、米国代表は「オバマ大統領が述べたように、挑発行為を行った者はその代償を支払わねばならない。新決議はそれに当たる」と指摘。日本の高須幸雄国連大使は「安保理のすべてのメンバーから理解と協力を得られたことに満足している」と、国際社会の結束を強調した。

 一方、中国の張業遂国連大使は、北朝鮮の行為への非難を明確にしつつも、決議に盛り込まれた貨物検査について「複雑で難しい問題であり、各国は慎重に行動しなければならない」と、北朝鮮を刺激することへの懸念を表明。また「決議には制裁だけでなく、いくつかの前向きなメッセージが含まれている」とも述べ、北朝鮮に配慮を示した。日米と中国とのこうした思惑の違いは、今後の制裁委員会の議論にも影響しそうだ。

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090613-00000120-san-int



画像北朝鮮船の貨物検査へ法整備着手 政府、今国会の法案提出も視野 2009年06月11日 23:32

 政府は11日、北朝鮮核実験を受けた国連安全保障理事会の新決議案に公海上での北朝鮮船舶への貨物検査が盛り込まれる見通しを踏まえ、自衛隊が貨物検査を実施できるよう国内法整備の具体的検討に着手した。現行法改正では対応困難との見方が強く、新法制定が有力。今国会の法案提出を視野に入れるが、慎重論も根強く調整に手間取る可能性がある。

 自民党の大島理森国対委員長は11日午後、麻生太郎首相と国会内で会い、貨物検査について「新決議が採択されたら、直ちに対応しないといけない」との考えを示し、首相も同調した。

 自衛隊による貨物検査は船舶検査活動法が根拠で、これを適用するには周辺事態関連法に基づき「わが国周辺地域で平和と安全に重要な影響を与える事態」(周辺事態)と認定しなければならない。このため法改正で対処するには、北朝鮮の核実験を周辺事態と認定する必要があるが、政府筋は「核実験は周辺事態の定義になじまない」と否定的な見解を示す。

 一方、新法案では安保理決議案で輸出が禁止されている大量破壊兵器やミサイル関連部品などを輸送している船舶への検査を可能にする案が浮上している。

URL:http://www.nnn.co.jp/knews/090611/20090611169.html



画像北朝鮮外務省声明全文

 【朝鮮通信=時事】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省が13日発表した声明の全文は以下の通り。
 6月12日、米国にそそのかされて国連安全保障理事会がとうとう、われわれの2度目の核実験にかこつけて反共和国「制裁決議」を採択した。
 これは、われわれを武装解除させて経済的に窒息させ、わが人民が選択した思想と制度を崩そうとする米国主導下の国際的圧迫攻勢のもう一つの醜悪な産物である。
 米国と日本は、この「決議」でも足らず「偽造紙幣」や「麻薬密売」をねつ造し、それぞれわが国に対する独自「制裁」を加えるための卑劣な陰謀までたくらんでいる。
 米国は自分らの反共和国圧殺策動に国連安保理をいっそう深く引き入れることにより、朝鮮半島にかつてなかった先鋭な対決局面を作り出した。
 この対決は、主権国家の合法的な衛星打ち上げ権利を否定した米国とそれに追従した国連安保理の不法・無道な強権行為によって発した。
 米国がねつ造した国連安保理の4月14日付「議長声明」には、何の国際法的根拠もなく、ひたすら制度が異なる国に対する敵意と拒否感、小国は大国に従順であるべきとのごう慢と専横が潜んでいる。
 わが国は小さいが政治思想強国、軍事強国である。
 米国の強権行為が容認されるなら、わが共和国は他の国すべてが行う衛星打ち上げを再びできなくなり、宇宙利用の権利を永遠に奪われることになる。
 われわれの2回目の核実験は、このような米国の敵対行為に対処して断行された、いかなる国際法にも抵触しない自衛的措置である。
 今日のこの対決は本質上、平和と安全に関する問題以前に、わが共和国の自主権と尊厳に関する問題であり、朝米対決である。
 自主と平等を離れて真の平和などあり得ない。
 誰であれ、われわれの立場に置かれれば、核保有が決してわれわれが願ったものではなく、米国の敵視政策と核の脅威による不可避な道であったということを知って余りあるであろう。
 いまになって核放棄は絶対に、徹頭徹尾あり得ないこととなり、われわれの核兵器保有を誰が認めるか、否かということはわれわれには関係ない。
 朝鮮外務省は委任によって、国連安保理「決議1874号」を断固糾弾、排撃し、米国との全面対決が始まった現段階で民族の尊厳と国の自主権を守るために次のような対応措置を取るということを宣言する。
 第1に、新たに抽出されるプルトニウムの全量を兵器化する。現在、使用済み核燃料棒は全量の3分の1以上が再処理された。
 第2に、ウラン濃縮作業に着手する。自前の軽水炉建設が決定されたことに従って、核燃料保障のためのウラン濃縮の技術が成功裏に開発されて試験段階に入った。
 第3に、米国とその追従勢力が封鎖を試みる場合、戦争行為と見なして断固軍事的に対応する。米国をはじめ敵対勢力がいくら孤立させ、封鎖しようとしても堂々たる核保有国であるわが共和国はびくともしない。
 「制裁」には報復で、「対決」には全面対決で断固立ち向かうのがわれわれの先軍思想に基づいた対応方式である。(2009/06/13-17:23)

URL:http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009061300260&rel=y&g=int



画像北朝鮮の動向、米韓などと連携で情報収集へ 6月13日20時15分配信 読売新聞

 北朝鮮が国連安全保障理事会の制裁決議採択に反発し、ウラン濃縮による核開発などを宣言したことを受け、政府は北朝鮮の動向について、米韓両国などと連携して情報収集に努める方針だ。

 自民党の細田幹事長は13日、名古屋市内で記者団に「(ウラン濃縮は)何年も前から動きがあると承知している。国際的に締め上げるというか、対応するしかない。決して許してはならない」と強調した。

 今回の決議に至る交渉で、政府は〈1〉北朝鮮に大量破壊兵器開発関連物資の輸出入を禁じる〈2〉これらの物資を運搬している可能性がある船舶などを検査する〈3〉開発資金の流れを断つ--の措置を盛り込むよう主張し、実現させた。

 今回の北朝鮮の反発は「厳しい決議が採択されたことに対する驚きと危機感の表れ」(政府筋)との指摘がある。

 ただ、北朝鮮が今後、どう動くかは読み切れないのが実情だ。

 決議は北朝鮮に6か国協議復帰を促したが、ある政府関係者は13日、「北朝鮮は核を放棄しないと言っている。協議に復帰することはないだろう」との見通しを示した。政府は、北朝鮮を除く協議参加国(日、米、中、韓、露)で早急に対応を協議したい考えだ。

 米韓両政府からは、北朝鮮が弾道ミサイルを発射する可能性があるとの情報も伝えられている。ミサイル発射についても引き続き警戒する方針だ。

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090613-OYT1T00769.htm?from=navr

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