覚悟という試金石(総選挙の争点 最終回)

  
民主党では「覚悟」は示さないし、示せない。

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単に記者会見なり、街頭演説なりでの発言を聞いているだけでは、自民党と民主党の外交政策に違いはそれ程無いように見えるかもしれない。だけど決定的に違う部分がこの「覚悟」。

麻生総理が指示したように、こうした「覚悟」を選挙公約に盛り込むというのは、自民党と民主党との違いを浮き彫りにする上ではとても効果がある。だけど、それを総選挙の争点に据えるというのは一種の賭けでもある。それは国民がどこまで、国家の安全保障というものに意識が向いているかの程度に依存することになるから。これは普段から平和ボケだといわれる日本人が本当にボケているのかどうかを示す試金石となるだろう。

それ以前にこの「覚悟」が選挙の争点になるのかどうか、という話もある。民主党は自身に不利となる国家安全保障にはできれば触れたくないだろう。岡田民主党幹事長は毎日新聞のインタビューで総選挙の争点について聞かれ、「政権交代そのものが争点だ。官僚中心の政治から、政治家が中心の国民のための政治に転換する。そのほか具体的な争点はもう少し近づいたところで設定すべきだ。」と答えている。

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国家安全保障は目的だけど、政権交代は単なる手段。政権公約に手段にしか過ぎない政権交代なんぞを掲げるのは筋が違う。

世間の様子を見ながら、争点を決めるのも良いかもしれないけれど、万が一、北朝鮮のミサイルが国内に着弾するに及んで、慌てて安全保障をマニフェストに盛り込んだところで、付け焼刃になる可能性が高い。

あとは、マスコミがどう報ずるか。麻生総理がどんなに「覚悟」を示したところで、それらを一切無視して、選挙の争点は世襲問題だとか官僚政治の打破だ、とか、無論それらも大切なことなのだけれど、どれかに偏った報道しかしないのであれば、日本の安全を危機に陥れる可能性だってある。

「覚悟」という試金石は、国民だけでなくて、民主党にもマスコミにもその存在を問うことになる。

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画像岡田・民主幹事長:毎日新聞インタビュー 単独政権目指す

 ◇民主党幹事長に就任した、岡田克也氏(55)

 --次期衆院選の争点は。

 ◆政権交代そのものが争点だ。官僚中心の政治から、政治家が中心の国民のための政治に転換する。そのほか具体的な争点はもう少し近づいたところで設定すべきだ。郵政民営化だって解散するまで多くの人は争点だと思っていなかった。

 --民主党のマニフェストは財源が不明確と批判されている。

 ◆自民党に言われたくない。今回の補正予算案も埋蔵金、国債発行でやっている。ただ、高速道路無料化など党の具体的政策を裏付ける財源は「200兆円の1割」ではなく、もう少し具体的に(マニフェストで)出した方がいい。

 --基礎年金の税方式化を消費税財源でと主張しているが、鳩山由紀夫代表は消費税増税を「議論しない」と言っている。

 ◆我々は消費税を(次期衆院選後の)4年間上げることはない。徹底的に無駄を省き、予算の配分を変えて対応する。将来それで足りなくなれば、消費税だけでなく全体の財源の確保という視点で議論する。

 --「財源なくして政策なし」では初年度に実行できる政策が限られてしまうのでは。

 ◆政権交代すればかなり前倒ししてやる。当面は埋蔵金という選択もあるし、(09年度)補正予算(のうち複数年度にわたる基金など)を削ったっていい。

 --小沢一郎前代表の秘書が起訴された西松建設の違法献金問題にはどう対応するか。

 ◆小沢代表が辞任され、代表選をやって鳩山代表を中心とする体制ができた。これが答えだ。事件は基本的に個人の問題だ。

 --衆院選の獲得目標議席は。

 ◆景気づけみたいなもので、細かく言っても分からない。とにかく政権交代するに尽きる。できれば単独で政権を取りたい。5議席上回るか、あるいは10か50か、やってみないと分からない。

 --選挙の時期は。

 ◆8月上旬の可能性が高いと思うが、都議選とのダブルも十分考えられるし、もう少し後も考えられる。早ければ7月12日(投開票)という可能性は排除できない。【構成・野口武則】

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090527ddm005010123000c.html

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