「マニフェストというのは、実は、この間出したのは、あれは政権政策集です。正式なマニフェストというものではありません」鳩山由紀夫
民主党の鳩山代表は29日、記者団に対してこう述べて、マニフェストに更に追加をする意向を示した。
なんでも、全国知事会が唱える『国と地方の協議機関の法制化』がインデックス2009には入っていたのが、マニフェストから抜けていたことに対しての抗議を受けてのことのようだ。
後出しジャンケン合戦だ、とかいう非難もあるようだけれど、筆者には何も驚きはない。元々政策INDEX2009の段階から観測気球だったのだろうと思っていたし、そう記事にエントリーしていたから。
7月25日のエントリー記事「民主党の政策集INDEX2009」から、少し引用する。
それより気になるのは、なぜ、正式なマニフェストとして公表せずに、原案のINDEX2009なるものを発表したのかということ。
ひとつ考えられることは、おそらくは、原案を観測気球的に上げて、国民の反応をみるためだと思われる。多分、反対意見があるものと予想して、反対があったものについては、正式マニフェストで、修正をかけるのではないか。
それに観測気球だから、少しボンヤリした内容で、しかも一般公開せずに、マスコミや関係者だけに流せばいい。国民には、原案だからとかなんとかいって誤魔化しておく。あまりハッキリ書いてしまうと、有権者の猛反発が予想されるだろうから、目立たないように、気がつかない間にそっと出す作戦。
《中略》
自民党は自民党でマニフェストの作成が遅れているけれど、おそらく民主党のマニフェストをみて、その弱点を突くように、自分のマニフェストを仕上げるように思う。つまり、民主党のマニフェストを待ってから、自分のそれを発表する作戦。
民主党はINDEX2009に対する国民の反応をみてから、突っ込みが入れられない文言に修正した、最終版のマニフェストを発表するのではないかと思う。
鳩山元総務相が「民主公約はうそ八百」だとか、麻生総理が「聞いた方は混乱する」だとか批判があるけれど、これは、むしろ、本当の意味での政策討論をやり始めた、と考えるべきなのだろう。
4月8日の記事「政策論争をしてこなかったツケ(内閣支持率と政局について 後編)」において、民主党はいくらでも政策を訴える機会があったのに国会の場では「政権交代だ」としか言わなかった。これからそのツケを払うことになる、と指摘していた。次に引用する。
漸くにして、政策論争が始まることになる。だけど、民主党が全国行脚して政策を説いて回ったかもしれない支持層はさておき、これまで民主党はいくらでも政策を訴える機会があったのに国会の場では「政権交代だ」としか言わなかった。
民主党を応援していたマスコミもKY(漢字読めない)だの、ホテルのバーがどうだの、麻生総理のあげ足取りしか報道しなかったから、テレビの視聴者は、民主党の政策なんか誰もしらない。知らせたければ、一から始めるしかない。それに今ある民主党の支持層だって、景気がどんどん回復すれば、どうなるか分からない。
民主党がこの半年間、政権交代だとしか言わなかった事が、今度は自分達のハンデとなって降りかかってきてる。
与党の経済対策は、これから目に見える形で進んで、実効をあげてくるから、民主党は今からネジを巻いて政策論争をして、それをしっかりと国民に知らせる努力をしなければ、時間と共にどんどん不利になってゆく。
当時は、漸くにして政策論争が始まるものだと思っていたのだけれど、民主党はその更に斜め上を行っていた。4月から解散までの数ヶ月の間も政権交代としか言わず、そのツケを払うことはなかった。いよいよマニフェストを発表するにあたって、一気にそのツケを支払わさせられる羽目となった。
いかにマスコミのアシストがあるとはいえ、泥縄の感は否めない。無党派層にグダグダの党だとの印象を持たれるのは、最早避けられないだろう。
今の日本と国際情勢の中で、真面目に政策論争をすれば、どういう政策が良いのかは大体分かる。もっと前からやっておくべきだったのに、イザ選挙になってから、それをやることになった。
逆に考えれば、誰も見ない国会の中での政策論争よりも選挙戦でやってもらったほうが、かえって国民の為には良いのかもしれない。
ただ、マニフェストによる政策論争を始めた途端に、何度も修正を余儀なくされるということは、民主党の元々の政策が、如何に詰めの甘いものだったかを物語っている。
あと1ヶ月あまり。国民の審判が下される。


<テレビウォッチ>民主党のマニフェストを閣僚たちが批判するのは、まあ、やむをえない面もあるが、橋下大阪府知事も噛みついた。
『インデックス』には方向性が示されていた『国と地方の協議機関の法制化』が、マニフェストには入っていない、というのだ。『国と地方の協議機関の法制化』は全国知事会が唱える最重要項目。
「地方主権という割には、本当に地方主権を目指しているのか、非常に疑問」と知事は述べ、「地方に権限を渡したくないのではないか。国の形は国会議員が決めるという本質的意図を感じる」と怒りを見せた。
これが午前中の様子で、夕方になるとその態度は軟化する。「(民主党の)原口ネクスト総務大臣と話したら、マニフェストはバージョン2が出て、そこには(国と地方の協議機関の法制化が)盛り込まれるということです」(橋下知事)
意外な成り行きである。森永卓郎が言うように「民主党のマニフェストって最終版だと思っていた」人が多いのではあるまいか。
三反園訓は「外交を含めて安全保障問題などもっと詳しくドンドン出して行くということだろう。自民党がまだ出していないので、それを見てバージョン2を出すのでは」とし、「後出しジャンケン合戦になっている」と指摘する。
自民党のマニフェストは7月31日、麻生首相が発表する予定だ。今度は、民主党が厳しい声をぶつけることだろう。三反園は「批判とか非難は聞きたくない。ここがこっちのいいところだとか、特徴だというPR合戦にしてほしい」と語るが、売り言葉に買い言葉で、そうは行くまい。
URL:http://www.j-cast.com/tv/2009/07/29046233.html

民主党の鳩山由紀夫代表は29日、同党の衆院選マニフェスト(政権公約)に、国と地方の協議機関の法制化を追加する考えを明らかにした。協議機関設置を盛り込まなかったことに橋下徹大阪府知事や全国知事会の不満を踏まえた異例の措置だ。熊本県菊陽町で記者団の質問に答えた。
鳩山氏は「この間(27日)出したのは政権政策集で、正式なマニフェストは公示日からしか配れない」と述べ、追加は可能と強調した。
鳩山氏のこの発言について、麻生太郎首相は29日午後、「常識的には考えられない。聞いた方は混乱する」と述べ、マニフェスト軽視として批判した。災害視察のため訪れた福岡県那珂川町で記者団の質問に答えた。 (2009/07/29-18:57)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009072900687

自民党の鳩山邦夫前総務相は29日、川崎市のJR川崎駅前で街頭演説し、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)について「耳障りのいいことで票を集めようとする。うそ八百で固めた。兄(鳩山由紀夫同党代表)が政治資金収支報告書をうそ八百で固めたように、国民の目をだまくらかして目くらましを投げている」と批判した。 (2009/07/29-20:31)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009072900929

民主党の鳩山代表は記者団に対し、27日に発表したものは政権政策集で、マニフェストではないと述べた。一方、麻生首相は、「聞いた方は混乱する」と批判した。
民主党の鳩山代表は「マニフェストというのは、実は、この間出したのは、あれは政権政策集です。正式なマニフェストというものではありません」などと述べた。
さらに鳩山代表は、正式なマニフェストは公示日からしか配ることはできないとして、国と地方の協議機関の法制化を盛り込むなどの追加は可能との考えを強調した。
一方、麻生首相は、鳩山代表の発言について、「本当の話? 常識的には考えられないけどね。ただ、正直言って混乱しますね、聞いた方は」と批判した。
自民党は、次の衆院選のマニフェストについて、柱の1つである幼児教育の無償化を1年前倒しして、2012年から実施する方針を固め、31日、麻生首相が記者会見で発表する予定。
URL:http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00159999.html

麻生太郎首相(自民党総裁)は27日夜、民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)について「財源が極めてあいまいで無責任だ。安全保障という最も大事なところがころころ変わるのは危ない」と批判、今後の論戦で財源論と安保政策を争点に据える姿勢を示した。
「インド洋に自衛隊を派遣するのは憲法違反と何回も言っておられたが、今は憲法違反ではなくなったのか」とも指摘した。
細田博之自民党幹事長は党本部で記者団に「ばら色の内容になっているが、収支が伴っていない。(政権公約は)手品ではないし、夢を売るだけではだめだ」と強調。景気対策についても「目覚ましいものはない。麻生政権の方が具体的だ」とこき下ろした。
山崎拓前副総裁は「強硬に反対してきたインド洋での給油活動を付け焼き刃的に容認するなど、選挙目当てで場当たり的に政策変更している。『政策担当能力なし』と断じざるを得ない」と非難した。
公明党の太田昭宏代表は記者団に、子ども手当などが盛り込まれたことに「民主党は児童手当の拡充に反対してきた。安全保障、社会保障でも政策が変わる。今までの経緯をきちんと総括しないといけない」とけん制した。
一方、共産党の小池晃政策委員長は「後期高齢者医療制度の廃止など、一致する政策は少なくない」と協力姿勢を示したが、「衆院の比例代表定数削減など容認できない政策は断固として反対する」と、是々非々の立場を強調した。共同通信の取材に答えた。
2009/07/27 22:04 【共同通信】
URL:http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009072701000828.html
この記事へのコメント
小林 哲人
日本情勢で検索していたらここにたどり着きました。
とても興味深い記事を書かれていますね。
私の友人ですが、こちらも面白い記事を書いているので、是非遊びに来てくださいね。
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