北朝鮮と戦争になったら、終結させるのは難しい(対北朝鮮抑止力について 最終回)

 
今日の内容はエントリーしようかどうか非常に迷ったのですが、思い切って書いてみることにします。

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所詮、戦争というものは外交手段としてみれば、最後の策であって、やらないに越した事はありません。出来れば書きたくないというか、正直気が進みません。それでも現状は、既に北朝鮮と、半戦争状態に突入していることも事実です。(…という認識でいます。)

まぁ、ただの素人の思いつきの戯言なので、その程度にお読みいただければ幸いです。



終に、北朝鮮との交戦になってしまった場合を考えてみる。

今、日本の世論および国際社会は、日本が核武装さえすれば、どうにか東アジアの平和は維持されるだろう、と思っているかもしれない。

だけど、これまで見てきたように、仮に日本が核武装したとしても、核ミサイルを持っているだけでは、北朝鮮に対する抑止力にはならないし、北朝鮮の軍事施設を破壊できたとしても、金正日に直接被害が及ばない限り、おそらくその戦意は衰えることはない。

だから、日本が、北朝鮮のミサイル攻撃や何やらを完璧に防ぐことが出来たとしても、北朝鮮から降伏してくる可能性は限りなく低いものと思われる。

仮に、自衛隊が北朝鮮の地上軍事施設を爆撃したとしても、地下からノドンを搭載した車両がわらわら出てきて、おそらく、日本本土に向けて、ミサイルを撃ってくるだろう。

それらを片端から迎撃して、ミサイル車両を潰していくうちに、金正日は中国の奥地にでも逃げてしまうのではないかと思う。一旦逃げてしまえば、あとは無線なり電話なりで、軍部の下っ端にでも指示を出して、戦争を継続させるのではないか。

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そんな状態で、一生懸命北朝鮮を爆撃したところで、空の城を攻めるようなもので、あまり意味はない。それに自衛隊に精密爆撃の装備はないから、ある程度数を撃たないと軍事施設を破壊することすら難しい。

だからといって、核を撃つことも、おいそれとは出来ない。市街地への核攻撃は被害が大きすぎる。いくら戦争だと言っても愚行の極みだし、国際社会の反発もある。何より金正日はそんなものは意に介さない。

そうなると、どうやって北朝鮮を降伏させるのか。やはり、金正日なり、その後継者なりを捕まえることが一番の近道になると思う。

その為には、まず戦争状態になったら、北朝鮮の軍事施設だけではなくて、中朝国境線に沿って北朝鮮側にクラスター爆弾とか空中散布型の地雷をばら撒いておくのがポイントになるのではないかと思う。

なぜかというと、空中から、広範囲に散布できる対人、対戦車地雷を中朝国境線にばら撒いて、国境線を面制圧することで、金正日を中国に逃がさないようにする効果と、中国の人民開放軍の介入を防ぐという二つの効果が見込めるから。

金正日は大の飛行機嫌いというから、空軍機で逃げる可能性は低いし、北朝鮮空軍相手なら、制空権は確保できるから、撃ち落すことはそれほど難しくない筈。

そうして、中国の介入を防いでおいて、自衛隊の特殊部隊かなにかを使って、金正日を捕まえるのが、多分一番被害が少なくて済む。電撃戦による金正日の捕獲と、北朝鮮軍のミサイルの破壊。この両面作戦。その前提としての中朝国境線の封鎖。これらがキモになるだろう。

ただ、現実問題として、中朝国境線を全部封鎖するなんてことはまず不可能だから、実際には鴨緑江の橋を全部破壊して、中国やシベリア鉄道につながる線路を分断。あとは、人民解放軍が展開している付近を狙って、地雷をばら蒔くくらいが精一杯ではないかと思う。

あとは、鴨緑江の水豊ダムを破壊して、人工的に洪水を起こさせ、一時的に足止めさせる、とか。

人民解放軍の介入をどう防ぐかについては、自衛隊のシュミレーションの範疇にとっくに入っているとは思うけれど、いずれにせよ長期間、人民解放軍の介入を防ぎ続けることは困難だと思われる。

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対北朝鮮戦では、長期戦が一番拙い。ベトナム戦争のように、中国から物資・弾薬・人員が無尽蔵に供給されて、泥沼に陥ることだけは避けなくちゃいけない。

だから、余計に中朝国境を地雷で封鎖して、中国の介入を防ぎながら作戦行動をするのがとても重要なポイントになる。ただ、生憎、日本は、福田前総理の時代に、対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)を批准してしまっているから、日本は、クラスター爆弾や地雷は使えない。だから、この手を使おうとしたら、オタワ条約を批准していない、韓国やアメリカに代わってやって貰わなくちゃいけない。

あとは、地雷以外の手段となると、焼夷弾か何かで炎の壁を作って、進入を防ぐという方法があるのだけれど、中朝国境のように、燃やせるものが殆どないところだと、使ってもあまり意味はない。北東山岳部なら多少の効果はあるだろうけれど、それでも燃え尽くしてしまったら、効果は其処でおしまい。

最悪の手段としては、中朝国境線に沿って、クラスター爆弾の代わりに、核ミサイルを撃ち込むか、核汚染物質をばら撒いてやって、周囲を放射能汚染することで進入を防ぐという方法も理屈の上では可能だけれど、日本としては、人道上使えないだろうし、使うべきじゃない。

金正日の健康問題を論(あげつら)って、もう、じきに死ぬから待っていればいい、なんて意見もあるかもしれないけれど、今のまま金正日が死んだとしても、現行の独裁国家体制のまま、後継者と目される金正雲に代替わりするだけであって、北朝鮮政府や軍部の内部対立で自己崩壊でもしない限り、脅威はちっともなくならない。

北朝鮮の体制が崩壊して、民主化への道でも開かれない限り、今のような半戦争状態はずっと続くものだと覚悟しておく必要があるだろう。

北朝鮮との戦争は、始めるより終わらせることのほうが遥かに難しい。

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画像ノドンの推進剤  

ノドンの推進剤は、不活性化赤煙硝酸(IRENA)と非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)の組み合わせで、何ヶ月間もロケットタンクの中に充填したままで置ける。よく言われる、「液体燃料だから、発射直前に燃料を入れなければならない」との説は誤りである。

とある書籍に書かれていました。非対称ジメチルヒドラジンは液体燃料ロケットの推進剤として有名ですが、 不活性化赤煙硝酸は知りません。この混合はどんな燃料になるのでしょうか? 素人ですのでまったくわかりません。
非対称ジメチルヒドラジンと液体酸素の混合が液体燃料なのですか?

となると不活性化赤煙硝酸(IRENA)と非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)の混合は何燃料になるのでしょうか?やはり分類としては液体燃料ロケットになるのでしょうか? 

簡単でもいいのでわかりやすく教えてください よろしくおねがいします

質問投稿日時:03/01/19 11:24


▼回答者:SCNK
うろ覚えの部分もありますが、充填しての保存は可能です。ただし毒性や腐食性があるのであまり長期間の充填は、やはり問題があるかもしれません。

赤煙硝酸は酸化剤であって、燃料であるヒドラジンとは別のタンクに充填されます。これをポンプや加圧によって燃焼室に圧送して燃焼させます。間違っていたら申し訳ありませんが、たしかこの燃料の組み合わせは自己燃焼性(ハイパーゴリック性)があったかもしれません。だとすれば混合したとたんに爆発します。しかし、ハイパーゴリック性燃料は確実性においては優れています。燃料と酸化剤の混合比に変動があると事故につながるときもあるからです。いずれにせよ酸化剤と燃料を事前に混ぜる事は危険であるので、固体燃料の場合を除いて行いません。

URL:http://oshiete1.goo.ne.jp/qa449306.html



画像準中距離弾道ミサイル「木星」(ノドン1)

《前略》

ノドンの先端は再突入を行う弾頭部分になっており、約1トンの高性能炸薬弾頭、核弾頭、生物・化学兵器弾頭などが搭載される。弾頭の後部は3基のジャイロコンパスから成る慣性航法装置を搭載する誘導部分になっている。その後ろは燃料の非対称ジメチルヒドラジン(UDMH:Unsymmctrical Dimethyl Hydrazine)と酸化剤の抑制赤煙硝酸(IRFNA:Inhibited Red Fuming Nitric Acid)を収めるタンク、燃料と酸化剤を燃焼室に送るポンプ、ロケット・エンジン(燃焼室)と繋がっている。液体燃料式は固体燃料式と比べて比推力に優れ燃焼状態の制御も容易だ。しかしノドンが使用する燃料の非対称ジメチルヒドラジンは、常温での長期保存が可能なものの毒性が極めて高く(発ガン性物質)扱いが難しい。酸化剤の赤煙硝酸は貯蔵タンクの腐食を抑えるために抑制剤が添加されている。燃料と酸化剤はポンプで高圧の燃焼室に送られて混合し、爆発的に燃焼てしミサイルの推進力となる。赤煙硝酸は燃料と混合されるだけで発火するため、点火系統は設けられていない。ロケット・エンジンはスカッドに搭載されていたものの拡大版で、推力は26,000kgとスカッドの約2倍になっている。ミサイル後部には軌道修正用の推力偏向ベーンと4枚の安定翼が取り付けられている。

《後略》

URL:http://www6.atwiki.jp/namacha/pages/220.html



画像対人地雷全面禁止条約 (通称 "オタワ条約")JCBL事務局  2007/11/28更新


オタワ条約(正式名称:「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」)は、対人地雷の被害を食い止めるために結ばれた条約です。条約を結ぶ交渉が1996年10月カナダのオタワで始まり1997年12月にオタワで終了したことから、この条約は通称オタワ条約、条約を結ぶ交渉過程はオタワ・プロセスと呼ばれています。現在、156ヵ国がオタワ条約に参加しています(2007年11月)。

オタワ条約では、使用や生産、移譲など対人地雷に関するあらゆる行為が禁止されています。また、地雷の除去や地雷の被害者の支援を進めることなどが決められています。さらに、地雷被害国でなくても、地雷対策のために資金や技術を支援しなければなりません。このような取り決めはこれまでの軍縮条約には見られないことであり、そのためオタワ条約は人道条約とも言われています。


■オタワ条約調印式の様子
オタワ条約にはそれ以外にも特徴があります。条約までの道のりでNGOが大きな役割を果たしたことです。地雷が埋められている紛争地で活動していたNGOが、1990年代の初めころから対人地雷の非人道性を訴え始め、対人地雷を完全に禁止する条約を結ぶための活動を始めました。このNGOの声に世界の市民や各国政府が動かされ、オタワ条約を結ぶことになったのです。NGOと世界の市民、各国政府のパートナーシップがオタワ条約を実現したと言えるでしょう(その詳しい過程は「市民が作った"オタワ条約"」ページをご覧ください)。

オタワ条約が結ばれたことにより、世界の地雷を取り巻く状況は改善しつつあります。例えば、1990年代半ばには131の国が地雷を持っていました。しかし、現在地雷を持っている国は50ヵ国です。地雷の使用や製造は少数の国を除きほとんどされていませんし、輸出入は事実上行われていません。また、地雷除去への資金、技術的支援も増えて除去された面積は少しずつ増えています。毎年の犠牲者の数も小さな増減はありつつも少しずつ減っています。もちろん地雷問題の完全な解決にはまだまだ長い道のりがあります。オタワ条約というツールを使って着実に地雷対策を進めることが必要です。

URL:http://jcbl-ngo.org/lmdatabase/ottawa/index.html



画像自衛隊の特殊部隊

 自衛隊の特殊部隊といっても、まず特殊部隊の定義から知る必要があります。でないと、陸上自衛隊のレインジャー部隊や空挺部隊を、これが特殊部隊だと勘違いするからです。彼らは特殊な技能を持っていますが、あくまで歩兵部隊の一種であって、特殊部隊ではありません。 

 特殊部隊は、母体となる本隊と遠く離れて単独(あるいは小部隊)で行動する部隊のことです。レインジャーや空挺部隊は、医療や補給、それに通信など支援は、師団や旅団など本隊から得ることを前提に作戦を行なっています。レインジャーは普通の歩兵では通過が困難な場所や、自然環境が厳しい場所であっても、作戦を遂行できる能力があります。空挺部隊は敵への接近経路を、空路から進入することができる部隊と位置つけられています。ですから、あくまで特殊な技能を持った歩兵部隊といことになります。しかし特殊部隊の隊員は、そのようなレインジャー部隊や空挺部隊の中から選んで、さらに専門的な戦技や特技を身に付けさせます。

 本来の特殊部隊の特徴は、本隊から数百、数千キロと離れて単独チームで作戦を行ないます。そのために特殊部隊の隊員には高度な医療技術、広範囲な通信能力、敵の武器を含む各種武器の知識、長距離を自力で走破できる高い機動性、そして敵の支配地域で作戦を行なうために、その地方の言葉が話せたり、高い戦闘能力が必要になります。米軍の場合は、エチオピアの高地に特殊部隊の隊員が深夜にパラシュート降下し、地上で小型の無線機で衛星通信の回線を確保し、地上の詳細な地図などの情報を米本土の司令部から得ながら、ゲリラに人質となった米国人技術者の追跡を行ない、最後のゲリラの拠点であった洞窟を襲撃し、人質の米国人を救出したという作戦例もあります。その救出後には、下の写真のように気球を上げて体とロープで結び、そのロープをMC-130特殊作戦機で引っ掛けて回収するという方法がとられました。ヘリの短い航続距離では回収が不可能だったからです。

 この例のように、自衛隊に特殊部隊を作るといっても、隊員には簡単な手術もできる医療知識、地球規模で画像を含む通信を回線の確保、隊員の潜入や回収を可能にする特殊作戦用の航空機、そのような広範囲の高い戦闘能力が必要になります。単にレインジャーや空挺の経験者を集め、人数だけの部隊を編成しても、あくまでそれは特殊部隊の母体となるもので、特殊作戦の能力があるとはいえません。しかし今後の展開によっては、自衛隊の離島派遣部隊、空挺の邦人救助警備部隊、海上自衛隊の特別警備部隊が、自衛隊の特殊部隊の母体になることは確実です。日本の防衛政策を知る上で、注目していい部隊といえます。(しかし自衛隊は離島派遣部隊の取材を許可していません)

 日本の警察には、人質事件やハイジャックに対応する部隊がいますが、これも特殊部隊というには無理があります。正確には戦闘能力の高い人質救出部隊(HRU)と言います。あまり知られていませんが、同じような部隊は海上保安庁にもできています。(1999年12月26日)

 写真(上)は、装備年鑑に掲載されている9ミリ機関拳銃です。なぜか装備年鑑では、航空自衛隊の分野で掲載されています。製作はミネベアです。警察の人質救出部隊はMP5を装備していることは有名です。やはり海上自衛隊の特別警備隊員もこの9ミリ機関拳銃を装備することになるでしょう。狭い不審船の中で撃ち合うには、銃床を折り曲げた89式2型小銃でも大きすぎますからね。

URL:http://www.kamiura.com/abc10.htm



画像中朝「血盟」の深層=真相を激撮! 中国人民解放軍が鴨緑江で北朝鮮へ渡河訓練!北朝鮮崩壊の予行演習か、核の挑発に対する圧力か、難民流入への瀬戸際作戦か……

 北朝鮮の民主化を目指し、中朝国境地域で情報収集活動を続けている現地協力者から、今回、RENKのもとに注目すべき情報が届けられた。中国と北朝鮮の国境となっている豆満江と鴨緑江のうち、南側の鴨緑江で7月初旬から、中国人民解放軍が渡河訓練を行っているとのことである。その後、協力者からは、訓練の模様をカメラ付き携帯電話で撮影した画像と簡単なメモが送付されてきた。RENKは協力者の努力と勇気をたたえ、以下に画像およびメモの要点を紹介する。

 件のメモによれば、撮影日時は7月中旬であり、撮影場所は中国遼寧省丹東市から鴨緑江の上流方面におよそ30分ほどの河畔。中国に限らず、軍事訓練は基本的に非公開であり、現場に接近すること自体が「スパイ容疑」に問われかねない御法度である。協力者は、さすがに訓練最中の軍隊の動きまでは撮影できなかったものの、訓練が一段落し軍人が現場を離れた段階を見計らって、決定的な瞬間を我が物とした。協力者が目撃した渡河訓練の様子は次のようなものである。

(1)鴨緑江の河畔に人民解放軍部隊が結集し、訓練時の兵舎となるテントを設営した。設営されたテントはおよそ100幕で、1幕あたり10名ほどが寝起きできる大きさだった。そこから類推して、訓練に参加した兵士の数は1000人近くになると見られる。

(2)訓練の実際は、鴨緑江の中国側から北朝鮮側へ向けて仮設の浮き橋をいくつも浮かべ、それらを連結したり分離したりする、いわば設営訓練である。目視に依れば、仮設橋梁1組あたりの長さは約20~30m、幅は5~7mほど。訓練現場には、こうした橋梁がおよそ7~10組ほど用意されていた。

(3)これらの仮設橋梁をすべて連結した場合、長さは約300m前後となる。鴨緑江の川幅は、丹東付近ではおよそ500mであり、場所にもよるが中朝の国境線はだいたい中間に引かれているため、今回の訓練ではまさに北朝鮮との境界ギリギリまで仮設橋梁を設置したことになる。

(4)近隣住民に話を聞いたところ、土地の古老さえも、こうした訓練の存在は初耳だと語った。また、知人を通じて他の箇所でも同様の渡河訓練を行なっているか尋ねてみたところ、現時点では他に渡河訓練が行なわれているという事実は確認できなかった。(豆満江の場合、中朝国境の需要地点の川幅が狭いため、特別に渡河訓練の必要はないものと考えられる。)

 ここで問題となるのは、歴史的に見ても異例と言うべき、今回の渡河訓練の意味である。

 従来、中国は北朝鮮に対して「社会主義の友邦」との位置づけから、国境警備には正規軍を配置せず、武装警察の傘下にある「辺境防衛隊」で対応してきた。しかし、周知のように昨年8月、辺境防衛隊に代えて突如、正規軍である人民解放軍に国境警備を移管した。これについて、中国当局は当時、「他の地方の国境警備と整合性を保つため」と説明したが、いかにも取って付けたような印象は免れず、メディアや識者の間にさまざまな解釈を惹起した。そのほかにも、核問題を巡る6者協議に関連して、原油や援助食糧の供給を調節したりするなど、表面的な「血盟関係」の打ち出しとは裏腹に、中国は北朝鮮に対して戦略的な対応を強めている。

 こうした中国の姿勢について、アメリカ国防総省が5月に発表した『中国の軍事力に関する年次報告:2004年版』は、次のように指摘している。「北京は、北朝鮮の核の袋小路が朝鮮半島における危機ないし不安定を導く可能性があると懸念している。これに対して、北京は合衆国の軍事行動の機先を制するために外交的アプローチを続けているが、北朝鮮に圧力を加えるための実質的な行動をとることを避けている。しかしながら、不確実性に対する潜在的な防護策として、人民解放軍が2003年秋に東北部国境沿いの国境警備に対する責任を引き受け、抜け穴の多い中朝国境沿いの警備を増強し、難民流入をくい止めるための、また北朝鮮体制の崩壊に備えるための、中国側の能力を強化している」。

 以上を踏まえれば、今回の渡河訓練は戦略的側面から言って、短期的には、9月に予定されている第4回6者協議で北朝鮮が謙虚な態度を示すよう促すための圧力であり、中長期的には、すでに末期状況を呈している金正日政権の崩壊に備えた「予行演習」と捉えることができる。と同時に、戦術的側面で言えば、かつてと比べて少なくなったとはいえ、未だに途切れることのない脱北者=北朝鮮難民の流入に備えた対応の一環でもある。

 いずれにせよ、金正日政権の行く末にとって、中国はアメリカと同等以上の重要な位置を占めている。RENKは今後とも、難民問題を含めた中国の対北朝鮮動向に注意を促すべく、情報収集を継続していく所存である。

2004年8月7日 救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク(RENK)

URL:http://www.bekkoame.ne.jp/ro/renk/040807.htm

この記事へのコメント

  • 日比野

    Antithesis様、こんばんは。コメントありがとうございます。

    勿論、日本の核武装は北朝鮮(正確には金正日)には効果はないでしょうが、中国にはあると思います。その意味では、日本のニュークリアシェアリングは全く無意味というわけではない。

    ただ、アメリカは北京まで届くミサイルは必要ない、と言っているようですから、ほぼ見せかけの抑止力ですね。

    あと、北朝鮮が中国の傀儡政権になる、ということですが、これは最悪とは言わないまでも、長期的には警戒を要することだと思います。

    傀儡政権といえば、聞こえはいいかもしれないですけれど、かの国的には、半分は自国の領土みたいなものです。次には、朝鮮自治区の半島への拡大とウイグル、チベットのような民族浄化がやってくると予想されます。

    更にいえば、地続きの半島の南も圧力を受けて、中国圏に組み込まれてしまうことは十分にありえます。そうなると日本も安穏とはしていられない。

    在韓米軍の撤退は、こうした事態にまで繋がっていく可能性を考えて置かなければいけないと思います。

    最後に、北にトドメを指すのは、経済というお話には同意します。ですが、完全に経済封鎖す
    2015年08月10日 16:50
  • Antithesis

    日本核武装して一番困るのは中国かも。
    もちろん中国もかつて石原都知事がワシントンで講演したように命の値段が非常に安い国ではありますが、核の優位を誇れなくなるのは困るかも。
    最悪の場合は中国から侵攻して傀儡政権を打ち立てるのでは?

    また、北朝鮮の息の根を止めるにはやはり経済ではないだろうか?
    交戦が始まって中国が支援を続けることができるかどうかそこがポイントでは?
    2015年08月10日 16:50

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