しおかぜ抑止力(対北朝鮮抑止力について その2)

 
では、北朝鮮に対して、核が抑止力でないとすると、何が抑止力に成り得るのか。

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北朝鮮政府が、人民や物理的な被害で、戦意を喪失しないとすると、残るは金正日、本人をターゲットにするしかない。朝鮮人民の命には意も介さない将軍様でも、流石に自分の命は気にする。

独裁国家では、その独裁者がいなくなれば、簡単に瓦解する危険を孕んでいる。だから将軍様は、自分の居所を秘密にしたり、影武者を何人も用意したりして、命を狙われないように注意を払う。

その意味においては、金正日に対して、いつでもやれるんだぞ、という構えを見せるのが一番効く。ピンポイントで狙撃できる手段が一番効果がある。

といっても、ゴルゴ13はいないし、自衛隊は、空対地ミサイルすら持ってない。

それに、飛行機を飛ばしたら、すぐ山の中とか、地下基地とかに隠れてしまうだろうから、簡単にやられてくれるはずもない。

とすれば、何ができるか。

たとえば、少しSFチックな話だけれど、衛星軌道から高出力のレーザーを照射して地表目標物を攻撃できるような兵器なんかがあれば、かなり有効と思われる。

衛星高度だと領空侵犯の心配もないし、いつでもどこでもとは言わないけれど、それに近い攻撃が可能になる。

SFチックとは言ったけれど、似たような兵器はすでにあって、アメリカのボーイング社と米ミサイル防衛庁は空中発射型戦略レーザー兵器「エアボーン・レーザー(Airborne Laser)」の地上発射実験に成功してる。もっとも、今年になって開発中止が決定されてはいる。

もしも、衛星軌道から地上の車を攻撃して焼いたりすることができるようになれば、金正日へ相当なプレッシャーになるだろう。

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現実には、そこまで行かなくても、金正日の動向を監視して、その情報を北朝鮮に流すだけでも、ある程度の牽制になる可能性がある。

北朝鮮による日本人拉致問題を契機として、特定失踪者問題調査会が、北朝鮮向けに、拉致及び拉致の可能性がある失踪者名前読み上げて、アナウンスを行っている「しおかぜ」という短波放送がある。

これに対して、北朝鮮は妨害電波を発して邪魔をするから、「しおかぜ」は常に周波数を変えて放送しているという。妨害電波を出すということは、多少なりとも嫌がっている証拠。

これを少し応用するという手がある。たとえば、スパイ衛星かなにかで金正日の動きを逐一監視して、「今日の金正日」とかなんとかいって、天気予報みたいに、今日は何処どこの基地にいる確率30%、とかいった情報を毎日ラジオで北朝鮮に放送するという手がある。

要は、お前の居所なんていつも分かってるんだぞ、いつでもやれるんだぞ、というプレッシャーを与えてやる。もちろんその情報は別に当たってなくても構わない。

大切なのは、スパイ衛星からの情報を、逐一北朝鮮全土に放送して差し上げること。

たとえ、将軍様の居所が分からなくても、たとえば、事故であるとか、火事であるとか、平壌に何時頃こんな車が走っていたなんてことくらいは、スパイ衛星でキャッチできるはずだから、それも放送する。そうしたことは事実だし、北朝鮮側も事実だと確認できることだから、彼らは、常に監視されているんだ、という圧力を味わうことになる。

そこへ、毎日、将軍様の居所はここだ、なんて放送されようものなら、気が気でなくなってくるだろう。

北朝鮮人民は受信そのものが規制されているだろうけれど、軍部が100%将軍様に忠誠を誓っている人達だけでもないだろう。そちらからもプレッシャーを与えてやる。

まずは、金正日の動きを掴むこと。諜報活動、スパイ衛星の充実など、情報戦での打つ手を考えておく必要がある。それも形を変えた抑止力の一種。

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画像事実上の開発中止が決定したエアボーンレーザー 2009/5/14 18:55 UTC −

ボーイングは今年に入ってからは、B747に搭載が完了した高出力レーザーを使って地上でのレーザービームの発射実験に成功。次段階として飛行中の機体から地上の静的目標に対する空中発射実験が予定されていたが、4月6日に開催された記者会見の席上で国防総省のゲーツ長官はブースト段階の弾道ミサイル迎撃構想としてのエアボーンレーザーの開発は事実上の棚上げ状態とし、現在進められているエアボーンレーザーの開発計画は研究実験目的に限ることにすること、2機目のエアボーンレーザーの開発は中止とすることを発表した。

ゲーツ長官は同時にキネティック弾頭を搭載したスタンダードミサイルによるミッドコース段階の弾道ミサイル迎撃システムの発展系として地上実験が進められてきたMultiple Kill Vehicle(複数迎撃体)の開発に関しても中止とすることを同時に発表。

今後は、SFチックな迎撃手段の開発は取りやめとし、今後は極めてオーソドックスな迎撃方法に限って開発を進める方針を明らかにしている。

これは一体どういうことなのだろうか?

一言でいうとこれらの開発にはあまりにも資金がかかりすぎるということのようのようだが、この決定、恐らくサブプライムローン問題を発端とする米国経済の急速な減速がなければ行われなかったのかもしれない。

今回の金融危機が起こらなければ未来の世界は一体どうなっていたのだろう?

URL:http://www.technobahn.com/news/200905141855



画像NKC-135 【ALL - エアボーンレーザーラボ】(USAF)

NKC-135 ALLはボーイングB707旅客機(初飛行1954年)を原型としたC-135系列機に空中攻撃レーザーの武装を施した研究機である。実質的にはKC-135ストラトタンカーを母体としている。ALLとはすなわちAirborne Laser Laboratoryの略。

1973年にKC-135にニューメキシコ州Kirtland空軍基地にて出力150キロワットの高出力二酸化炭素レーザーを搭載する改修が行われ、デッキの上部に機銃座のような形で装備した。
同年に地上照射テストを実施された。この試験では高度60mの低空を150ktで水平飛行するレシプロエンジンのMQM-61カルディナル無人標的機がターゲットで、NKC-135はこれを焼き落とし実験を成功裏に終えた。地上での発射とは言え、航空機に搭載したレーザーで航空機を撃墜したのはNKC-135が世界初である。
ミサイル防衛を目的に開発されたAL-1 ABLは攻撃用レーザーに3メガワットの酸素沃素レーザーを用いているが、NKC-135と同原理の二酸化炭素レーザーを測距用に装備している。

1978年には高出力化した400-500キロワットの二酸化炭素レーザーが搭載され、ターゲット追跡システムも大きく改良が施されたNKC-135によって飛行中に艦艇発射型BQM-34ファイアビー標的機を空中で破壊した。
NKC-135にはさらに、警戒機やSIGINT機といった高価値目標を超音速で飛翔する空対空ミサイルから護る事を想定した空対空ミサイル迎撃試験が課せられた。
同78年にAIM-9サイドワインダーを標的としたが失敗している。しかし、1983年。A-7コルセアから発射されたサイドワインダーを撃墜する事に成功し、NKC-135は合計5基のサイドワインダーを破壊した。なお本試験に於いてサイドワインダーは13発が発射されている。

BQM-34ファイアービーを標的とした試験は続けられたものの、照射距離が延びると殆ど表面を焦す程度の効果しか見られず、1983年の末にNKC-135の試験は終了した。記録された“戦果”はMQM-61、BQM-34、AIM-9が5基。

本機は最初から実用を目的とした試験機ではなく、あくまでも技術研究機に過ぎない。その点に於いてNKC-135は十分に当初の役割を果たしたと言える。88年には米国空軍博物館に寄贈され、現在も展示されている。

URL:http://weapons-free.masdf.com/air/usa/nkc135.html



画像「しおかぜ」に北朝鮮から妨害電波

→特定失踪者問題調査会の北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」
 ついに北朝鮮がジャミングを発射(アジア放送研究会)

特定失踪者問題調査会が北朝鮮の拉致被害者に向けて放送しているラジオ「しおかぜ」に対する妨害電波の送信が始まった。確認されたのは5月5日夜からで、すぐに関連する掲示板では日本国内から受信状況が報告されている。

→近隣諸国放送情報板(アジア放送研究会)
→★北朝鮮拉致被害者向け日本語放送しおかぜ実況★31(2ちゃんねる)
→しおかぜだより(戦略情報研究所)

この情報を受けてまず日本テレビが取材しニュースで放送。安倍官房長官が記者会見で「遺憾」とコメントし、妨害電波が「北朝鮮からのものと認められる」と述べた。

→拉致被害者 短波ラジオ「しおかぜ」に妨害電波(NNN NEWSリアルタイム)※ニュース動画(WMP)
→妨害電波 安倍官房長官「極めて遺憾」(日テレNEWS24 2006/05/09)
→拉致被害者向け短波放送に妨害・官房長官が遺憾表明(NIKKEI NET 2006/05/09)
→拉致関連の短波放送、北朝鮮が妨害電波発信(YOMIURI ONLINE 2006/05/09)

実際にWebRADIO@anyPlaceを通じて放送を聞いてみると、やはり妨害電波がかぶっていて、たまに何を言っているかがかろうじてわかる程度。以前聞いたときは最初から最後まで普通に聞くことができたので、明らかに受信状態が悪くなっている。放送が終わると、妨害電波も止まった。

北朝鮮は90年代前半にIAEAからの離脱(→関連)を表明した際のわずかな期間、NHKの朝鮮語国際放送に対して妨害電波を送信したことがあるという。また、脱北者が韓国から放送している自由北韓放送に対しては、放送開始の時点から妨害電波が出されているそうだ。

関連:
→ジャミング(ウィキペディア)
→「しおかぜ」と「自由北韓放送」の間(PKIS blog 2005/12/17)
→「自由北朝鮮放送」について(Blue jewel 2006/04/13)

「しおかぜ」の放送は昨年の10月31日から始まったが、これまで妨害電波はなかった。その後、朝鮮語と英語も加わって拉致問題に関するニュースや論評も始まり、朝鮮語番組では元工作員の安明進氏が北朝鮮人民に対し決起を呼びかけている。妨害電波はこれらの放送内容の変化への対応のようだ。

「しおかぜ」を拉致被害者が聞いているという“不確かな”情報はあるらしいが、今回の妨害電波発射を受けて調査会は「これで少なくとも北朝鮮で1人は聞いていること、北朝鮮当局がこの放送を気にしていることは分かりました」としている。

放送への妨害電波は当初から予想されていたことであり、直ちに周波数の変更・複数化で対処しながら「しおかぜ」の放送は続けられる。


URL:http://s2tf2.seesaa.net/article/17609725.html



画像しおかぜ (放送) 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

しおかぜ(英称:ShiokazeまたはRadio Sea-Breeze) は、日本の民間団体である特定失踪者問題調査会が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)向けに行っている短波放送である。

2005年10月、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致被害者への呼び掛けを目的として放送が開始された。

なお、しおかぜを聴取する為には、短波帯が受信できる受信機(短波ラジオや無線機など)が必要である。また、日本国内でも聴取は可能だが、短波特有のスキップ現象により、明瞭に受信することは難しい。また日本国内で販売されている短波ラジオでも「ラジオNIKKEI専用」のラジオの場合、周波数がラジオNIKKEIに固定されている為、これらの受信機では受信は出来ない。

2008年に入り、北朝鮮からのジャミング(妨害電波)対策のため、周波数の変更が頻繁に行われている。

URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%9C_(%E6%94%BE%E9%80%81)

この記事へのコメント

  • ニック

    将軍さまには影武者が沢山いるそうです。
    2015年08月10日 16:50
  • eva

    世の中の「空気」に惑わされず、冷静に判断し記事を書いていらっしゃると
    感心しています。日比野庵さんのようにマクロとミクロと両方の見方の
    できる人が増えていくことを願います。

    ピンポイント、いいですね。
    将軍さまは場所を移動する際、最低車3台で3方向に走らせるそうですから、
    3つのピンポイントなら3.3割の確率!

    これからも良質の記事をよろしく!
    2015年08月10日 16:50

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