自衛隊がF22を持つ意味(国防の脆弱性について その5)
次に制空権、制海権の確保について。
島国の日本で領海の制空権、制海権を持つことはとても重要。相手国を占領しようと思えば、最後には陸軍が必要になる。上陸して、政府中枢機能を抑えるだけの最低限の兵が要るから。
今も昔も大量の兵を上陸させるには、船を使うしかない。輸送機や潜水艦では大量の人は運べない。
となると、最低限日本に上陸させてはいけないことになる。その為には、制海権と制空権を握っておかなくちゃいけない。
相手の船を沈める為には、対艦ミサイルを積んだ戦闘機と相手の戦闘機を蹴散らす制空戦闘機が必要になる。次期主力戦闘機の選定問題がここに絡んでくる。
なぜかというと、もしも韓国が北朝鮮によって併合されてしまったら、韓国軍の武器弾薬一式まるごと北朝鮮のものになってしまうから。
北朝鮮空軍のMig-23とか、Mig-29は合わせても80機もなく、その程度であれば、現状の空自の戦力で十分対応できるけれど、これに韓国空軍のF16、150機以上、更にF15Kが加わることになる。
まるで、将棋で飛車を取られた直後に、その飛車をいきなり打たれて攻撃されるようなもの。
海岸線が長い日本において、敵兵の上陸を阻止するには、足の長い戦闘機が要求される。
航空自衛隊の飛行場が全部使用可能であればいいけれど、たとえば、敵国の先制ミサイル攻撃かなにかでいくつかの飛行場が使用不能になっていたとしたら、別の基地から救援に飛ばなくちゃいけない。最低でも日本列島を往復できるくらいの足は欲しい。しかも即救援にいけるためには、巡航速度もうんと速くあって欲しい。
だから、スーパークルーズ機能がある機種のほうが望ましい。F22とかユーロファイターとか。
特にF22は格闘戦闘力は他を寄せ付けないから性能的には申し分ない。
F22は一機でF15を同時に5機相手にできるといわれている。それはすなわちF22を100機持てば、格闘戦においてF15が500機あることと同じだということ。
仮に戦闘力を別機種との模擬戦闘結果をベースに見積もったとすると、対F15、対F16の模擬空戦成績は、対F15で、144機撃墜して損害なし。対F16では241機撃墜して、損害2機だから、おおよそ150から250倍の戦闘力があることになる。
この戦力比の圧倒的な差は、パイロットの養成を考えるとこの上なく大きい。とくに隣の人口大国のように人だけはやたらいる所とは違って、自衛隊の人員は不足してる。ましてやパイロットとなったら言うまでもない。
だから、たとえば、F22を100機調達して、そのパイロットを養成できれば、戦力比をそのまま掛けると14400機分のF15に相当する戦力を持つことになる。
中国空軍は、最新鋭のSu-27/Su-30MKKシリーズを300機以上持っていると言われているけれど、仮にそれが3000機になっても十分対応できる。
確かに、格闘戦になれば撃墜される可能性はゼロじゃない。だけど、実際の戦闘では、いちいち格闘戦に入らなくたっていい。相手機が探知できない距離から、ミサイルをぶっぱなして反転離脱すればいいだけのこと。それを何回か繰り返せば、ほぼ無傷で勝てる。イラク戦争でアメリカ空軍が使用した精密誘導弾のような使い方をするだけでいい。
仮にもし、F22が駄目でユーロファイターにするのなら、パイロットの養成および自衛隊の人員拡充の可能性をも考えておかなくちゃいけない。場合によっては徴兵制だってあるかもしれない。
F22を輸出してくれたとして、その値段は一機250億と言われてる。100機で2兆5千億。それでも定額給付金程度。それに、戦争の危機が迫って、株価が暴落したら、2兆円、3兆円なんてあっという間に吹っ飛ぶ。それを考えたら、F22調達に10兆円使っても安い買い物だと思う。
ただし、次の選挙で民主党が政権を獲ったとしたら、ただでさえ、反米だと見なされている日本の民主党相手に、F22なんか絶対売ってくれなくなることだけは間違いない。
その状態で統一北朝鮮軍と空戦をすることになったら、旧韓国軍のF16やF15Kと、空自のF4、F15、F-2が戦うことになってしまう。双方の機体の性能はほぼ互角、機体数も同じくらいだから、かなりの被害がでることを覚悟しなくちゃいけない。
北朝鮮が韓国を併合することは、日本の安全保障を根本から揺るがす程の事態を引き起こす事を知っておくべき。だから、結局のところ、F22を導入できなかったとしても、ユーロファイターなり、何なり、第4.5世代か第5世代の主力戦闘機の配備を急がないといけない。残された時間はあまりにも少ない。
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