日本を占領する手段(国防の脆弱性について その4)

 
北朝鮮が韓国を武力併合したとして、次に日本を攻めようとしたらどうするか。

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まず、次の手順が考えられる。

1.ミサイル攻撃で相手の反撃力を削ぐ。司令部、主要都市、自衛隊基地が目標。
2.上陸して首都圏を制圧

1に対する日本の対策は、対ミサイル防衛網、または敵ミサイル基地先制攻撃。
2に対する日本の対策は、制空権、制海権の確保。

1について述べると、核が相手だと、一発でも着弾したらアウト。数十万単位で死者がでる。MD体制がどれくらいの防御力を示すか分からないけれど、一発でも着弾したら駄目だから、求められるべき撃墜率は100%以上。

だけど、戦争になって、ミサイルを撃つときに、敵国に知らせてから撃つバカはいないから、いきなり撃つはず。しかもMDで迎撃されないために、一度に大量に撃つ可能性が高い。

北朝鮮は日本の大半を射程に収めるノドン型を200基から320基程度保有しているとされている。

これらが一斉に発射されても日本は迎撃対応できるのか。

ただ、脅しにつかう場合は、知らせてから撃つこともあり得る。たとえば、10発だか100発だかミサイルを撃つぞ、そのうちの1発は核だとかなんとか言って脅しをかける。通常弾に1~2発、核を混ぜておかれるのはとても厄介。どれが”当たり”か分からないと、大パニックになるし、迎撃するほうは全部完璧に撃墜しないといけなくなるプレッシャーを負うから。

もっと狡猾にやるなら、撃つぞ撃つぞと言うだけで、ちっとも撃たない狼少年の振りをして、油断させておいてから、いきなり本命を撃つことだってあり得る。そうなったときのパニックは想像する必要さえない。政府はそうしたことすら見越して準備しておかなくちゃいけない。

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今の日本のミサイル防衛体制は、SM3とPAC3との2段構え。近々、PAC3より射程の長いTHAAD(サッド)を導入して、3段構えの体制をとろうとしているけれど、仮にそれぞれのディフェンス網でミサイルを半分づつ落とせたとしても、撃墜率は2段構え体制で75%、3段構え体制で87.5%。やはり10発に1発は着弾してしまうことになる。

仮に、各々の撃墜率が90%あったとしても、現行の2段構え体制で、トータルの撃墜率は99%。100発撃たれたら1発は着弾する。

実際は、相手の1発のミサイルに対して、迎撃ミサイルを複数発射することで、命中率を高める努力をする筈。計算上では、相手の1発に対して、こちらが10発撃てば、一発あたりの命中率が50%であっても、トータル命中率は99.9%にはなる。

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もちろんその分だけ大量のミサイルが必要になることは避けられない。北朝鮮がノドンを300基持っているとするなら、日本は最低でもその10倍の3000基ぐらいの迎撃ミサイルを持つ必要はあるだろう。

だけど、その肝心の迎撃ミサイルを使おうと思ったら、4月のテポドン発射時の破壊措置出動のように日本海にイージス艦を展開して、首都圏や都市部を防衛できるようにPAC3を配備しておかなくちゃいけない。警告なしで、いつミサイルを撃ってくるか分からない状況になったとしても、きちんと迎撃準備体制を整えられるのだろうか。

一番簡単なのは、相手がミサイルを撃つ前に叩いて撃たせないこと。敵ミサイル基地の先制攻撃。ミサイルは発射台で動かずに鎮座していてくれるのだから、簡単に破壊できる。だけど今の自衛隊にはそのための装備はない。

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画像情報BOX:北朝鮮のミサイルプログラム、保有量や精度 2009年 06月 2日 18:57 JST  

[2日 ロイター] 韓国メディアの報道によると、北朝鮮は中距離および長距離ミサイルの発射を準備している。以下は北朝鮮のミサイルプログラムの詳細。 

 ◎保有量

 北朝鮮は優に1000基を超えるさまざまな種類のミサイルを保有している。ミサイルやミサイル技術を海外で売却しており、イランもその主要購入国の1つ。保有する800基以上の弾道ミサイルには、多種多様なスカッド型ミサイル600基と200基のノドン型ミサイルが含まれる。国連決議は北朝鮮の弾道ミサイル発射を禁止している。 

 ◎短距離ミサイル

 北朝鮮は地対空、地対艦ミサイルなど、射程が150キロ以下の非弾道ミサイル数百基を保有している。先週発射が相次いだのはこれらのミサイルで、こうしたミサイルの発射実験を北朝鮮に禁止する国際的取り決めはない。 

 ◎スカッド型

 射程約300キロのファソン5号と同約500キロのファソン6号。スカッドB型ミサイルの最初の発射実験は1984年4月に実施された。北朝鮮はスカッド型の弾頭搭載能力に関し、着々と改良を重ねている。 

 ◎ノドン型

 ノドン型の最初の発射実験は93年で、実戦配備は98年。推定射程は1000─1400キロ。射程には韓国全土と日本の大半が入る可能性がある。 

 ◎中距離弾道ミサイル(IRBM)

 北朝鮮が最近実戦配備した新型の中距離弾道ミサイル(IRBM)は射程が約3000キロで、名称はない。グアムの米軍基地が射程に入る。 

 ◎テポドン型

 テポドン1号は多段式ミサイルで推定射程は2000─2500キロ。液体燃料を使用し、98年に日本方向に発射された。

 テポドン2号の最初の発射実験は06年7月で、爆発する前に40秒程度飛行した。多段式ミサイルで推定射程は6700キロ。

 今年4月に改良型が発射され、海上に落下する前に約3000キロ飛行した。アナリストはこの実験について、北朝鮮のミサイルの飛行距離が延びたことを示しているが、米国を射程に収めるミサイルを製造するにはなお数年かかるとみている。

 テポドンXは固体燃料を使用した開発中のミサイルで、推定射程は2500─4000キロ。

 北朝鮮には、米本土が射程に入り、実戦配備されているミサイルはない。 

 ◎精度と最大搭載可能重量

 大方のエコノミストは北朝鮮がミサイルに搭載可能な核弾頭の小型化に成功するまでまだしばらく時間がかかるとの意見で一致している。中距離および長距離ミサイルの精度も疑問視されている。

URL:http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-38351420090602?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true

この記事へのコメント

  • 西牙

    気持ち玉にお笑いマークがついていると思います。
    これは、武器を全部使う燃料代を北朝鮮は持っていないという現実があります。
    衛星写真には夜の北朝鮮には平壌以外の地域には光がありません。
    発電機の燃料代を無理にミサイル発射に使っているというのが実状のようですね。
    「エネルギー支援を求める」が外交官の要望なのも
    それを意味しています。
    2015年08月10日 16:50
  • 日比野

    こんにちは。西牙様。コメント有難うございます。
    >武器を全部使う燃料代を北朝鮮は持っていないという現実があります。
    確かに、ミサイルを撃つのが、北朝鮮「単独」なら、仰るとおりです。しかしながら、一点だけ、見落としておられる点があるように思われます。
    それは、ミサイルを撃つのは、「韓国を併合した」北朝鮮だ、ということです。
    この記事の冒頭でも、「北朝鮮が韓国を武力併合したとして、次に日本を攻めようとしたらどうするか。」とかきましたが、そういうことです。
    つまり、燃料は韓国のものを使えばいい、ということですね。
    もっといえば、この間韓国は、kslv-1ロケットを打ち上げましたが、あれに核弾頭を乗せて撃ってもいいわけです。
    2015年08月10日 16:50

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