ドラえもんで「タタミの田んぼ」という話がある。どらえもんのひみつ道具を使って、のび太が部屋の中で田植えして稲刈りしてお餅を作って食べるという話。
この話には端的ではあるけれど、ある意味経済思想を象徴しているようで面白い。
まず、冒頭で、のび太とドラえもんがお餅を4個づつ食べた後、最後に残った一個をどちらが食べるかで喧嘩するシーンがある。これは経済全体のパイが決まっていて、これだけしかないところを誰にどう配分するかという社会主義的、共産主義的発想を象徴してる。
ドラえもんは、それならお米を作ってもっとお餅を食べればいいとばかり、ポケットから「しゅみの日曜農業セット」を出してくる。これは、田植えして稲を育てて、米をつくるという秘密道具。道具のくせに、ご丁寧にも台風やイナゴまでセットされていて”適当に苦労するように”出来ている。
のび太とドラえもんは部屋の中でせっせと田植えして稲を育てる。稲は苦労した甲斐があって大豊作。出来たお米を機械に入れると自動でお餅が出てくる。その数259個。最初の4個だか9個だかと比べて全然多い。この経済全体のパイを広げていこうというのが資本主義的発想。富の総量は比較にならない。
余談だけれど、この話のオチがまた面白い。出来たお餅259個を二人でわけると130個と129個になるのだけど、どちらが130個食べるかでやっぱりのび太とドラえもんが喧嘩する。これは丁度、批難されるところの強欲資本主義にあたろうか。
※餅が足りなければ作ればいいと田植えして米を作るのび太とドラえもん。資本主義的発想をしている。
今や、世界同時不況で皆ものを買わなくなっている。市場が縮小してる。最後に残った1個のお餅という市場を誰が食べるかで喧嘩してる。
1個のお餅をはんぶんこするのか、田植えして大豊作にして259個のお餅を作ればいいと考えるのかで、富の総量、即ち経済・景気は大きく変わる。
麻生総理の未来開拓戦略で提唱している、アジアの経済規模を倍増する為に、鉄道、道路などの社会基盤整備や産業開発および社会保障や教育を整備するなんてのは、正にのび太とドラえもんのように、田植えをして稲を育て、収穫して餅をたくさん作るのと同じ発想。麻生総理は、アジアに田植えをして、”適当に苦労”しながらも稲を育て、将来の豊かな実りを目指す道を示した。
民主党の言うように、公務員の人権費の無駄を省いて、あっちからこっちへつけかえるなんていうのは、パイの大きさを変えることなく、内輪でやりくりする話にしか過ぎない。富は増えない。
確かに支出を減らすことは大事なのだけれど、支出を減らすことに注力するあまり、収入を増やすことを考えなければ、あちこちで、最後の一個のお餅を巡って、僕んだぞと喧嘩することになる。
※130個と129個で喧嘩するのび太とドラえもん。これは強欲。
イノベーションによる新市場の創造は確かに富を生むのだけれど、昨日今日でホイホイと出来上がるものじゃない。やはり同時に、全体のパイを増やしていく考えもなくちゃいけない。はたして、民主党は収入の増やし方をどこまで考えているのだろうか。もしもそれに対する考慮がないとしたら、その社会主義的な発想から脱却すべき。
「国内の生産というものを拡大することに固執するという発想よりも、国民の富が増大することを重視する。いわゆる国内総生産、GDP、Gross Domestic Productという発想から、国民の総所得、Gross National Incomeといった発想の転換が今後必要なんだと思っております。 」麻生太郎 平成21年4月9日「新たな成長に向けて」 於:日本記者クラブ
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この記事へのコメント
あかさたな
民主党に限らず世論やマスコミにも当てはまりますねえ。
これ以上パイは増えないと決め込んでしまっている。
確かに人口は減っていくという事情はあるにせよ、
ロシアは石油のお陰とはいえ、人口が減っている中でもBRICsの一角に数えられている。アメリカは日本よりも消費量がサブプラ以前は多かった。
そのことを考えたらまだ成長する余地はあると思うのですが・・・。
Alfee
ハナから「富の拡大」という選択肢を放棄する必然性がどこにあるのか……。
>内輪でやりくりする話にしか過ぎない。富は増えない。
象徴的なのが一般会計と特別会計を一つにして財源を見つける、というところでしょうね。ATMから預金を引き出して、懐が豊かになったと喜ぶのはおかしいと思います。
日比野
もし、タタミの田んぼの話が、マスコミ、世論にも当てはまるとするならば、それだけ共産思想に毒されているといえるのかもしれません。あまりいい傾向とはいえませんね。日本はまだまだ成長できる余地は十分にあると思います。