市場の拡大と創造(自民党と民主党の経済対策について その2)

 
景気が悪くなって物が売れなくなったとき、どうするかといえば、値下げをするのが普通。だけどそれは値段を下げて買ってくれる人がいるから成立する話。

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以前、「市場が飽和するとき(価値と貨幣について考える その7)」のエントリーで、市場にものが溢れて売れなくなったとき取る方法として何があるかを列挙したことがある。次の4つがそれ。


1.普及しつくした商品を、全部捨てるかぶっ壊すかして、また同じ商品を売る乱暴な方法。
2.市場をよくよく調査して、今までお客さんとして考えていなかった購買層に売るか、または、今までの市場の外側に新しく市場を拡大・設定してそこに売る方法。
3.普及した商品の機能や目的を包含し、さらにそれを上回る新商品を開発して、従来のお客さんに買いなおして貰う方法。
4.3と少し似ているけれど、これまで全く考えも及ばなかったところにニーズを発見して、全く新しい市場を作り出して、そこへ売る方法。



1.は、はっきり言って戦争経済だから、日本の経済対策の対象にはならない。だから、2から4の間で、どういった対策をしているかが、彼我の経済対策を比べるひとつの指標になる。

自民党や民主党が提示している経済対策の中で、エコ減税や高速料金を値下げするなんかなどは、今あるモノからより高性能なものに買いなおしてもらったり、今あるものをもっと使ってもらったりする事だから、3にあたるといっていい。

また、民主党の掲げる、「環境・エネルギー技術の開発促進」や「グリーンイノベーション機構の創設」、「次世代科学技術を支える人材の育成等」なんかは4になる。この点については、自民党は未来開拓戦略の3つの柱の一つ「低炭素革命」として打ち出している。

ここまでは大体同じ。違うのはここから。2の部分があるかないか。

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自民党の未来開拓戦略では、麻生総理はアジアの成長構想として、アジアの経済規模を20年に倍増するとしている。その為に鉄道、道路などの広域的な社会基盤整備や産業開発を一体的に進めると共に、社会保障や教育を整備してアジア全体の内需を拡大するとしている。

日本の製品は確かに多機能・高性能で、信頼性も高く申し分ないものなのだけれど、如何せん経済成長途上にあるアジア諸国の国民にとっては値段が高すぎる。円が強すぎるのも一つの要因なのだろうけれど、庶民にとっては高嶺の華。

だから他の国が作る、機能がそれほどでもないけれど安い品を買うしかないし、それでも当座の用には間に合う。時には、某国で出回るニセモノなんかが幅を利かせてしまうことだってある。だけど、アジア諸国が全体で経済成長して、その国の人々の購買力が上がれば日本の製品だって買ってもらえる。

これなんかは、今までお客さんとして考えていなかった層に買ってもらう工夫。だから2にあたると言っていい。自民党の経済対策は、戦争経済以外の市場拡大・創造対策を全部やっている。

この2の市場開拓・拡大対策について、民主党の提言は寡聞にして知らない。もしかしたら根本の発想が違うのかもしれない。

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