「マスコミ3分の計」絶賛発動中


民主党のマニフェストが波紋を呼んでいる。もちろん、友愛党首の、正式でないだの、出しただのといった発言ではなくて、その内容そのものが各界に衝撃を与えている。

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7月29日には、日本医師会が、消費税を全額「最低保障年金」としたことに対して、「医療、介護の財源をどうするのか、と批判の声をあげ、7月31日には、農業9団体が、日米の自由貿易協定(FTA)締結を盛り込んだことについて、日本農業を壊滅させるとして抗議声明を出した。

無駄を省くという言葉は受けはいいのかもしれないけれど、それを実際にやろうとすると、いろんなところに軋みが出てくるのが普通だから、慎重に調査と精査を繰り返しつつマニフェストとして作っていくものだと思っていたのだけれど、ここまで杜撰だと、どこをどう弄っても、最早どうにもならないのではないか。

批判が強い項目をマニフェストからどんどん削っていけば、最後にはなにも無くなってしまう。27日に発表したマニフェストは、外国人参政権など、政策INDEX2009から削除された項目がいくつかある。

都合が悪いものは削除して隠してしまったのだろうけれど、医師会のいう「最低保障年金」や農業団体が声をあげている「日米FTA」なんかも、《正式でないらしい》マニフェストから外すのだろうか。

そんなことを続けていけば、公示日には、民主党のマニフェストは真っ白になっているかもしれない。

「しんぶん赤旗」によれば、アメリカとのFTAに関する批判のあまりの大きさに、民主党は大慌てだという。それにしても、今になって慌てているあたり、此処まで批判が集まるのを、予測できなかったのか、それとも何も考えていなかったのか。

もしかしたら、マニフェストを此処までチェックされるとは、思っていなかったのかもしれない。

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勿論、今回の選挙は政権交代がかかっているから、今まで以上にマニフェストに注目が集まる部分はあるのだろうとは思う。だけど、それだけでここまでの注目を集めるとも思えない。

その原因として、自民党が、民主党の政策の欠陥、外交や財源の部分のあいまいさを執拗に批判した、ということがあるように思う。

また、幸福実現党が、互いの政党の政策を相対化しつつ選挙戦を展開していることも大きく影響しているかもしれない。たとえば、幸福実現党は、街頭演説などで、

「貧乏になりたかったら自民党 核ミサイルで死にたかったら民主党 生命を守り、豊かになりたかったら 幸福実現党」

というキャッチコピー・チラシも使って選挙運動を展開しているようだけれど、これは、「幸福を実現する3つの三分の計」で指摘した「政策三分の計」に従って、有権者への各党の政策への意識づけを行っているのだ、と考えると見事にそれに合致した選挙戦略だと言える。

もともと、麻生総理は、民主党の財源もそうだけれど、外交政策に関しても、党首討論で議論しようとはしていた。だけど、2回の党首討論では、その部分について十分な討論が行われることはなかった。だから、その続きをマニフェストでしているのだ、と言えなくもない。

麻生総理は今回の選挙の争点を「どの党が国民の生活を守り、国を守るかだ」として、民主党の政策の弱点の部分を争点にすることに成功した。

自民党のマニフェストもそのキャッチコピーを「日本を守る、責任力」としているから、この方針で選挙に臨もうとしていることは明らか。

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テレビなどの大手マスコミは、友愛党首の「鳩サブレ」な発言の数々をあまり報道せず、民主党のアシストに励んでいるけれど、アシストできるのはあくまでも、「鳩サブレ」な発言までであって、マニフェストそのものを消すことはできない。

だから、今の民主党のマニフェストそのものに批判が集中すると、フォローのしようがなくなってしまう。そうなると、どうやってアシストするようになるかというと、民主党に対する批判そのものを「なかったこと」として報道しないようにして、良いことばかりしか流さないようになる。そして、これまでは、それが通用していた。

だけど、今はインターネットがあって、しかも選挙戦に突入している。マスコミがどんなに報道管制を引いて、民主党に都合の悪いことを流さないようにしていても、ネットでその部分を掘り出されて、指摘されるし、選挙活動という口コミ型マスコミュニケーションで、自民党にその弱点を大いに宣伝される。

これは、正に「幸福を実現する3つの三分の計」の、2番目の三分の計である「マスコミ三分の計」と構造的には同じ。

民主党のマニフェストの中身は、既存マスコミ、ネット、自民党の選挙活動という、3つに分けられた、マス・コミュニケーション手段によって、展開されることになる。

だから、民主党のマニフェストに限って言えば、「マスコミ三分の計」も既に発動してる。

従って、今回の衆院選挙に関しては、既存マスコミの弊害は、ネットと選挙活動という二つのコミュニケーション手段によって、多少なりとも緩和されることになると思う。それがあと1ヶ月の選挙戦で何処まで効力を持ってくるか分からないけれど、この点には注目したい。

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画像日本医師会の常任理事、民主党の政策を批判

 日本医師会の中川俊男常任理事は29日の記者会見で、民主党の政策集(インデックス2009)に消費税5%税収相当分を全額「最低保障年金」の財源として投入することが明記されたことについて「医療、介護の財源をいかに確保するのか」と述べ、医療財源を明らかにすべきだとの考えを示した。民主党が中央社会保険医療協議会の改革で国会の関与を検討していることについては「国会で診療報酬を決定することは現実的でない」と批判した。(29日 20:30)

URL:http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090729AT3S2901D29072009.html



画像農業9団体が民主党マニフェストに抗議声明 8月には緊急集会 2009.7.31 19:06

 民主党がマニフェスト(政権公約)に日米の自由貿易協定(FTA)締結を盛り込んだことについて、全国農業協同組合中央会(JA全中)やJAグループの政治団体、全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)など農業関連9団体は31日、抗議する声明を発表した。8月7日には、東京都内で全国代表者緊急集会を開催する方針だ。

 民主党が7月27日に発表したマニフェストでは、「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める」としている。

 これに対し声明では、「米国は自らの関心品目であるコメ、麦、豚肉、牛肉などの関税撤廃を求めてくることは必至で、わが国の農業に壊滅的な影響を与えることになる」と指摘。さらに「所得の増大を望む農家や、自給率向上を望む国民を裏切る公約だ。断じて認められない」と激しく非難している。

 JA全中の茂木守会長は同日、東京都内のホテルで開かれた全国農業協同組合連合会(JA全農)通常総代会で、「生産者は大変な驚きと憤りを感じている。全国の代表者のみなさんの結集をお願いしたい」と呼びかけた。

URL:http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090731/biz0907311910006-n1.htm



画像2009年7月31日(金)「しんぶん赤旗」

民主党マニフェスト“日米FTA締結”明記 農業壊滅 批判に大あわて

 民主党が27日発表したマニフェスト(政権公約)に「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結」すると明記したことが、農業関係者の反発を呼び、各党から批判を受けるなど、大きな波紋を広げています。批判の強さに驚いた民主党は、対応に追われています。

 日本農業新聞は28、29両日、民主党マニフェストを大々的に報じ、「許されない日米FTA」と題した29日付の論説は、「米国とのFTA締結は米国依存を強め、食料安保上の危険さえある」と警告しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は28日、記者団の質問に答え、「米国とのFTAは日本農業を壊滅させる。絶対に反対だ。そんな道に踏み込んだら食料自給率がかぎりなくゼロに近づくことになりかねない」と批判しました。

 農林水産省の試算によると、経済連携協定(EPA)やFTAで関税などの国境措置が撤廃された場合、日本の農業総生産額の42%に相当する3兆5959億円が失われ、食料自給率が12%に低下します。米国とのFTAが、日本の農業に大打撃を与えることは必至です。

 批判に対し、民主党の29日の声明は、「日本の農林漁業・農山村を犠牲にする協定締結はありえない」と釈明しました。菅直人代表代行も同日の記者会見で、「米などの主要品目の関税をこれ以上、下げる考えはない」などと述べました。

 しかし、世界最大の農産物輸出国であり、金額でみて日本の農産物輸入の32・5%(08年)までを占める米国とのFTAが、農産物抜きで成り立つはずがありません。実際、日本経団連アメリカ委員会と在日米国商工会議所(ACCJ)が21日発表した共同声明も、「FTAプラス」の協定として日米EPAを求め、実施すべき非関税措置の中に農業分野を含めています。

 民主党はこれまで、「あらゆる分野で自由化を推進する」(「政権政策の基本方針」2006年12月)という立場で、“自由化”を前提に、「米がたとえ一俵5000円になったとしても、中国からどんなに安い野菜や果物が入ってきても」(07年の政策ビラ)、「所得補償制度」を導入すればよいとしていました。

URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-07-31/2009073102_03_1.html



画像【09衆院選】民主マニフェスト 政策集に比べ“左派”色控えめ 2009.7.27 18:14

民主党が発表したマニフェスト(報道用資料)の表紙 民主党が27日発表した衆院選のマニフェスト(政権公約)は、党の政策集「INDEX2009」で濃厚だった左派・リベラル的色彩が薄められている。これは政権奪取後を見据え、現実路線にかじを切った結果といえる。一方、永住外国人への地方参政権付与など有権者の反発が大きい政策は、選挙で争点化しないよう隠したいとの思惑も透けてみえており、慎重に見極める必要がありそうだ。(阿比留瑠比)

 「われわれが選挙で国民に示して約束するのはマニフェストであり、政策集は公約ではない」

 民主党の政調幹部はこう強調する。さしずめ、マニフェストは選挙で掲げる「旗印」で、政策集は表立っては主張しない「本音」という位置づけだろうか。

 今回のマニフェストでは、鳩山由紀夫代表が繰り返し意欲を表明してきた米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外(海外)移設が盛り込まれていないなど、外交・安全保障面の現実路線ぶりが目立つ。米側の理解と協力が不可欠な「米軍再編や米軍基地のあり方の見直し」についても、政策集では「進める」と明言していたものを「見直しの方向で臨む」と柔らかい表現に改めた。

 また、外国人参政権に関しては、政策集で結党時の「基本政策」だとして早期実現をうたっているのにマニフェストでは全く触れていない。同じく早期実現を主張していた選択的夫婦別姓も抜け落ちた。

 国会図書館に過去の日本の「罪」を追及する恒久平和調査局を設置▽元慰安婦に謝罪と金銭支給を行うなど慰安婦問題への取り組み▽靖国神社に代わる国立追悼施設の建立-など論議を呼びそうな諸課題もマニフェストには入っていない。

 このほか、マニフェストでは表現がぼかされているものもある。例えば、「子育て・教育」の項には「教員免許制度を抜本的に見直す」とあるが、「これは日教組の運動方針に沿って安倍晋三内閣で成立した教員免許更新制を廃止するという意味」(元神奈川県教組委員長で元社会党参院議員の小林正氏)だという。

 ただ、人権侵害救済機関の創設はマニフェストに残った。内閣府の外局として人権侵害救済機関をつくるというもので、民主党の支持団体である部落解放同盟の主張と一致している。

 マニフェストに明記していなくても民主党政権誕生後には優先的に実行される政策もあるとみられる。マニフェストと政策集の双方を重ね合わせて実態を判断した方がよさそうだ。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090727/elc0907271814006-n1.htm

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