政権発足から1週間たって、混乱が続く鳩山民主党政権。
ニューヨークでの日中首脳会談後の松野官房副長官のグダグダな会見はいうに及ばず、亀井金融相のモラトリアム法案や、子供手当ての所得制限とか、閣内不一致と言っていいような状態が続いている。
これほど、混乱を見せているにも関わらず、剛腕幹事長は事態の収拾には何も動いているように見えない。どこ吹く風。まぁ、党幹事長であって、閣僚ではないから、関係ないといえばそれまでと言えばそれまで。
だけど、9/23,24のエントリー「「虚」の大臣、「実」の副大臣と政務官」」と「あたしが全部決める」で触れたように、剛腕幹事長の息の掛かった閣僚人事や議員立法原則禁止の通達等を考えると、ひとつの流れというか、ある狙いがあるようにも見える。
それは、多少穿った見方かもしれないけれど、混乱を放置することによって、財界や官僚が泣きついてくることを待っているのではないか、ということ。
八ツ場ダムの件もそうだけれど、民主与党の打ち出す政策によって、早くもいろいろな痛みが見え始めている。特にCO2の25%削減に至っては、各企業とも死活問題に関わってくるから、財界からなんとかしてくれとの声も出始めている。
経団連の御手洗会長は、米中の責任ある参加を強力に働きかけてほしいと言い、岡村会頭も、国民的合意形成を、と注文している。
国際公約してしまった以上、具体的にどうするのかという方策と、それに対する国民の理解を得るようにするべきだ、とプレッシャーを掛けてきている。
おそらくは、各地方選出の民主党議員に対しても、現場からどんどん突き上げがあるものと思われる。
だけど、残念ながら、下っ端議員(失礼)に物申しても埒は開かないだろう。閣内でさえ、意見が一致しないのに、与党とはいえ、大臣でもなんでもない議員が多少吠えたところで、何かが変わるとも思えない。
なにせ、議員立法からして禁止されている。また、新設される「各省政策会議」において、官僚と協力したりして、良い政策を提案出来たとしても、政策決定権は与えられていない。それ以前に「脱・官僚」と称して、官僚が口出すことを嫌って、そうさせないようにしているから、政策立案自体がとても難しい。
となるとどうなってゆくのか。権力を官邸の少数に集中させているから、尚のこと、官邸に言うことを聞かせられる議員が居たとしたら、彼が最大の力を得ることになる。
身も蓋もない言い方をすれば、次の参院選が近づくにつれ、党の金を左右できる権限を持った議員が力を増してくる。
官邸の首脳に睨みが利いて、かつ、党の金を融通できる権限を持った議員となると、そう何人もいる筈がない。
今のままの混乱が続くようなら、折角、麻生前政権の経済政策によって、回復の兆しが見えた日本経済は、また不況に逆戻りする。そして、その可能性は非常に高い。
だけど、剛腕幹事長は、逆にそれを待っているのではないかと思われる。財界や官僚が泣きついてくることを待っているのではないか。
そして、何でも言うことを聞くから、と彼らに泣きつかせておいて、ゆっくりと腰を上げて、党首脳部に話をつけて、現実路線への転換による政治的解決を狙っているようにも思えてくる。それこそが脱・官僚、政治主導なのだ、とかなんとか言って。
今の様に、官僚を排除するやり方は、話し合いを拒否する態度とよく似ている。つまり、昨年、国会で、自公連立与党になんでも反対するか、審議拒否をして、国会を空転させたやり方と同じ。
そして、現場から地元議員をいくら突き上げたところで、政府首脳が聞く耳を持たず、何の意味も為さないのであれば、これも国会を空転させた去年と同じことになる。
昨年、国会を舞台とした政局が、今は、各省庁に舞台を替えて行なわれている。そして、おそらくは国民に対しても。
今でこそ、民主党のその浮世離れした政策に不安の声が上がり始めているけれど、こうした、政治の空転を梃子にした、現実路線への転換が、来年の参院選までに行われれば、参院選で民主党が勝利する可能性も高まってくる。やれば出来るじゃないか、とか、やっと気づいてくれたか、と世論は安心する。
だけど、それまで、割を食う国民と経済はもつのだろうか。


【ニューヨーク=小林弘平】鳩山首相と中国の胡錦濤国家主席による日中首脳会談が21日夜(日本時間22日午前)に終了した後、松野頼久官房副長官が会談内容の説明を行った。民主党が推進する「政治主導」を示す狙いもあった。
だが、松野氏は冒頭、「鳩山外交のスタートの会談としては、いい中身だった」と感想を一言。記者団から首相と胡主席の具体的な発言について質問が相次いだが、松野氏からは不十分な回答が相次いだ。首相が「村山談話」を踏襲する考えを示したことについての胡主席の反応を聞かれると、松野氏は「非常に好意的な言葉があった」としか答えられず、「ちょっと待ってください。事務方でメモしていますか」と外務省幹部に助けを求める場面も見られた。
自民党政権下でも、官房副長官が首脳会談の中身を記者に説明することはあった。ただ、冒頭、テーマごとに会談のやり取りを詳細に説明し、説明に先立って外務省側と綿密な打ち合わせがあった。
「政治主導」を強調する民主党政権の方針に沿って、松野氏は「自分の言葉」で説明しようとしたが、準備不足は否めなかったようだ。
(2009年9月23日00時47分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090922-OYT1T00727.htm?from=ranking

亀井静香金融担相は24日、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンの返済を3年間、猶予する「モラトリアム法案」について「できるだけ早く法案を作り、臨時国会に提出する」と、改めて成立に向け意欲を示した。
法案を作るに当たっては大塚耕平副大臣を中心に各政党や金融界、中小企業などからも意見を聴取し、内容を反映させていきたいとしている。同法案については金融界が「経営を圧迫しかねない」などと反発しており、亀井担当相のもとには、すでに一部の金融機関から再考を求める趣旨の文書が届いているという。同日午前、開かれた副大臣、政務官との3役会議の後で記者団に対して語った。
URL:http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090924/fnc0909241256013-n1.htm

中小企業の借入金などの返済猶予(モラトリアム)制度を導入しようという亀井静香郵政改革・金融相の案に対し、銀行界に困惑と反発が広がっている。藤井裕久財務相が亀井担当相の構想の実現性を疑問視するなど、鳩山政権の「閣内不一致」の象徴にもなりかねない状況だ。
「(銀行が)借り手の立場を考えないから国が口出ししようという話だ」
モラトリアムの狙いについて亀井金融相はこう説明し、10月の臨時国会で金融機関に中小企業向け融資と個人向け住宅ローンの元本返済を3年猶予させる「モラトリアム法案」を提出する意向を示している。
昭和初期の金融恐慌のさい、3週間の返済猶予を認めた歴史はあるものの、長期にわたる例はない。国が借り手に有利になるよう条件変更を強いる制度は異例だ。
亀井金融相は18日、与党3党合意の「貸し渋り・貸しはがし防止法」を引きあいに、モラトリアムを疑問視する藤井財務相を「自分の仕事をすればいい」と批判。藤井財務相は19日、昭和初期と現在の景気を比べて「そこまでの状況か」と改めて疑問を投げかけるなど、足並みの乱れを露呈した格好だ。
「中小企業への貸し渋りや貸しはがしはない」
亀井金融相の方針について、全国地方銀行協会の小川是(ただし)会長は、こう話す。
国内銀行の融資全体のうち中小・零細企業への融資や住宅ローンは6割強を占めており、返済が滞れば不良債権処理額が膨らむのは間違いない。返済猶予を警戒して金融機関が新規融資を控える事態も想定され、「逆に貸し渋りや貸しはがしが増える」との見方も多い。金融機関としては「政治が混乱を引き起こす事態は避けたい」(大手銀行幹部)わけだが、亀井金融相の発言以来、銀行株が下落傾向にあることがいらだちを募らせているようだ。
民主党には、借入金の元本返済を2年間猶予する代わりに、日銀が金融機関に無利子で元本分を融資する「中小企業元本返済猶予法」制定を目指す動きがある。マニフェスト(政権公約)に盛り込まれなかったのは、返済猶予が「モラルハザード(倫理の欠如)を招く」ためだ。
モラトリアムを実行しようとする場合、難しいのは返済猶予対象の線引きをどこでするかといった制度設計。連休明けの24日、定例記者会見を開く全国銀行協会は、亀井金融相に「現実的な政策」を訴えることになりそうだ。
URL:http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090919/fnc0909192221018-n1.htm

民主、社民、国民新の3党連立政権発足5日目となる20日、3党の党首級が初めてNHK番組で顔をそろえた。少数勢力の社民、国民新両党には民主党主導の政権運営に不満がくすぶっており、番組中もさや当てが続き、「子ども手当」の所得制限の是非など個別政策をめぐっても対立が表面化。新政権の多難な船出をうかがわせた。
国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は番組冒頭から不満の矛先を菅直人副総理・国家戦略担当相に向けた。
「重要な課題は3党で合議して閣議に上げる仕組みを了解して連立政権に参加した。それが関係なく進むならば、おかしな話だ!」
3党は連立協議で政権の基本政策は、亀井氏や社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相が参加する「基本政策閣僚委員会」で協議することで合意している。にもかかわらず菅氏が国家戦略室や行政刷新会議の新設を「政治主導」の象徴として自慢したことが、かんに障ったようだ。
亀井氏の剣幕に、菅氏は慌てて「分かっています。基本問題は3党首クラスできちんと相談します」ととりなし、基本政策閣僚委の早期開催を約束したが、わだかまりは消えなかった。
不協和音の兆しは個別政策でも現れた。3党で合意した「子ども手当」について亀井氏は「(収入が)1千万以上などに(所得制限を)付ける方が財源的にもいい」と所得制限の必要性を強調。福島氏も「社民党は所得制限を設けるべきだとしている」と同調した。
これに対し、藤井裕久財務相は「3党合意は非常に大事だが、民主党のマニフェストには所得制限なしでやると書いてあり、断固守る」と応じたが、亀井、福島両氏が納得したようにはみえなかった。
その一方、3党は親密ぶりをアピールするのに躍起となった。特に民主党の閣僚らは社民、国民新両党に涙ぐましいほどの気配りを見せ、亀井氏らの発言には大きくうなずき、「おっしゃる通りです」を連発した。(酒井充)
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090920/stt0909201921009-n1.htm

平野博文官房長官は24日午前の記者会見で、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相が「子ども手当」に所得制限が必要としていることに関し、「(社民)党の考え方であって、閣内、政府としてどうするか、調整前の私見だと思う」と述べて距離を置く姿勢を示した。
民主党は所得制限を設けない方針だが、社民、国民新両党は所得制限を求める立場。福島氏は、子ども手当で厚生労働相などを含めた閣僚委員会の開催を求めているが、平野氏は「首相の指示で開催するのが基本」と述べるにとどめた。【横田愛】
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090924dde007010045000c.html

前原誠司国土交通相が八ツ場ダム予定地を視察し、建設中止を撤回しない考えを強調したことについて、埼玉県の上田清司知事は24日「代替案の開示がなく、極めて無責任だ」とあらためて批判した。県議会庁舎で報道陣の取材に答えた。
建設中止の場合に、国が埼玉県を含む関係自治体に負担金を返還する意向を示したことには「金を返せばいいというものではない。(他の方法と比べて)時間とコストがかからないことで、ダム建設が決まった経過がある。(完成予定の)6年以内に利水や治水の対策がとれるのか」と反発した。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090924/lcl0909241239000-n1.htm

鳩山由紀夫首相が20年までに温室効果ガスの90年比25%削減など地球温暖化対策を国連気候変動サミットで明言したことに関し、日本経団連の御手洗冨士夫会長と日本商工会議所の岡村正会頭は23日、それぞれ談話を発表した。鳩山首相が前提条件に挙げた全主要排出国の参加などの実現を求めたうえで、具体的な実行方法を国内に示して議論を深めるよう要望した。
御手洗会長はさらに「米中の責任ある参加を強力に働きかけてほしい」と指摘。岡村会頭も「国際公約としての表明を厳しく受け止める」とし、「環境と経済の両立に向けた道筋を示し国民的合意の形成を」と注文した。
URL:http://www.asahi.com/business/update/0923/TKY200909230152.html
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