大臣は兎も角、副大臣以下がしっかりしていれば、それなりに政治は巧くいくのではないか、という考えも当然あるはずで、それはそれで理解できるものがある。
だけど、それは、党内や官邸の風通しが良く、若手の意見であったとしても、たとえそれが、執行部に批判的な意見であったとしても、頭ごなしに押さえつけることなく、十分に議論して汲み取れるところは汲み取るという自由な気風と器があって始めて、成り立つもの。
剛腕幹事長は、9月18日に、政府・与党の政策決定システムとして、副大臣が主催しする「各省政策会議」を新設すると通達した。
これは、政府機関で、副大臣のほか政務官、各省に対応する衆参両院委員会の与党委員で構成し、その他の与党議員も参加可能な会議で、政府側が政策案を説明して意見交換するほか、与党議員が政策提案を行う場としている。
ただ、政策の決定権は持たせていないから、政策案を出させることはするけれど、それを採用するかどうかは、政府官邸が決める、という性格のもの。
そして、もうひとつ注意する点がある、それは、民主党が議員立法を原則禁止し、それを全国会議員に通知したこと。
これは、自民党政権での慣習であった、党内の事前審査を経ないと政府が法案を提出できない弊害を除くためのもので、族議員のせいで法案がゆがめられたり、提出が遅れたりすることを無くすためだとしている。
その反面、改正臓器移植法や水俣病救済特別措置法なんかのように、超党派や党内有志による立法活動ができなくなる、という指摘もされている。
これらを考え合わせると、政策の最終決定権の殆どは政府首脳、官邸が握ることになり、かなりの権力・権限がそこに集中することになるのだろう。
政治主導といえば、聞こえはいいけれど、実態は、ほんの少しの官邸の人達だけで政策が決定されるシステムになってしまう可能性は念頭においておくべき。
副大臣以下の事情通・政策通の議員がいくら現実的な政策を出したとしても、その政策を採用するかどうかは、政府首脳の胸先三寸であり、かつ、有志議員の立法も認めない制度になるということ。
政府首脳の考えが、そのまま国の政策になるがゆえに、党内の風通しの良さの有無が決定的な意味を持つことになる。民意なり、有識者の意見がどんなに政府に上がったところで、政府がその意を汲むこともなく、自分に都合の良い政策だけを採用するのなら、民主主義は形だけのものになりかねない。


民主党の小沢一郎幹事長が同党所属の全議員に対し、政府・与党の政策決定システムを通達した文書が18日、明らかになった。内容は、副大臣が主催し与党議員が参加する「各省政策会議」を新設することが柱だ。通達は「議員必見」と明記され、小沢氏の幹事長就任で二重権力との批判を払拭(ふっしょく)するねらいもありそうだ。
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通達は18日付で、各省政策会議について、政府機関で、副大臣のほか政務官、各省に対応する衆参両院委員会の与党委員で構成し、その他の与党議員も参加可能とした。
政府側が政策案を説明して意見交換するほか、与党議員が政策提案を行う場とする。政策の決定権は持たない。副大臣が会議内容を閣僚に報告し、透明性確保のため議事録要旨を公開する。
通達はこのほか、(1)「次の内閣」など党政策調査会の機能は政府(内閣)に全面移行する(2)閣僚、副大臣、政務官の「大臣(閣僚)チーム」が政策案を策定し、閣議で決定する-などとなっている。
「選挙・国会等、議員の政治活動にかかわる政治的な問題」については、党内で議論し、党役員会の決定を経て法案を議員立法で国会提出。必要に応じ常任幹事会や議員総会で協議すると明記した。
一方、社民、国民新両党からは「連立政権の意思疎通ができていない」(重野安正社民党幹事長)と政策決定での民主党主導に不満が出ている。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090919/stt0909192041012-n1.htm

民主党は18日、政府・与党の二元的意思決定を一元化するため、議員立法は原則禁止し、法案提出は原則、政府提案に限ることを決め、同党所属の全国会議員に通知した。政策決定がスムーズになり、族議員の誕生を防ぐといった効果が期待されるが、政治主導が不完全なままでは従来の政府見解にとらわれて自由な立法活動が阻害される可能性もある。
民主党は、自民党政権では党内の事前審査を経ないと政府が法案を提出できないといった弊害があったとして、政府・与党一元化を主張しており、すでに党政策調査会の廃止が決まっている。これにより、族議員の関与で法案の内容がゆがめられたり、法案の提出が遅れたりすることがなくなるとみられている。
議員立法が認められる例外として「選挙・国会など議員の政治活動に係る、優れて政治的な問題」にかかわる法案とした。公職選挙法や政治資金規正法の改正案といった「政治とカネ」の問題に関連する法案などが該当するとみられる。
ただ、議員立法がこうしたケースに限られ、原則禁止されれば、超党派や党内有志による立法活動ができず、政策決定の幅がこれまでより狭まる可能性がある。例えば、改正臓器移植法や水俣病救済特別措置法など今年の通常国会で成立した弱者救済にかかわる法律は有志議員によって成立にこぎつけた。臓器移植法は党議拘束を外すことで採決が可能になった経緯もある。だが、議員立法の原則禁止により、こうした法案の提出が難しくなる恐れがある。(金子桂一)
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0919/TKY200909180379.html
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