9月20日のエントリー「無責任宰相ハトラー」で、鳩山政権の閣僚は、民主党の次の内閣と大きく違うものの、副大臣や政務官レベルになると話は違うと指摘したけれど、この点について触れて置きたい。
まず、鳩山政権の副大臣名簿は以下のとおり。
【内閣府】
大島敦 早大法卒。党「次の内閣」経済産業副大臣、国対副委員長。
古川元久 東大法卒。党年金調査会長、税調副会長。
大塚耕平 早大政経卒。党役員室次長、政調副会長。
【総務】
渡辺周 早大政経卒。党筆頭副幹事長、衆院議院運営委員会理事。
内藤正光 東大院修。党選対委員長代理、参院総務委員長。
【法務】
加藤公一 上智大理工卒。党「次の内閣」法務副大臣、国対副委員長。
【外務】
武正公一 慶大法卒。党選対委員長代理、党「次の内閣」外務副大臣。
福山哲郎 京大院修。党選対委員長代理、政調会長代理。
【財務】
野田佳彦 早大政経卒。党国対委員長、幹事長代理。
峰崎直樹 一橋大院修。党「次の内閣」財務担当、参院財政金融委員長。
【文部科学】
中川正春 米ジョージタウン大卒。党「次の内閣」財務担当、衆院財務金融委員会理事。
鈴木寛 東大法卒。通産省課長補佐、党「次の内閣」文部科学副大臣。
【厚生労働】
細川律夫 明大法卒。弁護士、衆院環境委員長。
長浜博行 早大政経卒。党「次の内閣」環境担当、同国土交通担当。
【農林水産】
山田正彦 党「次の内閣」農林水産担当、同厚生労働担当。
郡司彰 明学大社会中退。党参院国対委員長、参院農林水産委員長。
【経済産業】
松下忠洋 京大農卒。内閣府副大臣、衆院内閣委員長。
増子輝彦 早大商卒。福島県議、党「次の内閣」経済産業担当。
【国土交通】
辻元清美 早大教育卒。党政審会長、国対委員長。(社民)
馬淵澄夫 横浜国大工卒。会社役員、党政調副会長。
【環境】
田島一成 同志社大院修。滋賀県議、党政調副会長。
【防衛】
榛葉賀津也 米オタバイン大卒。党参院国対委員長代理、参院外交防衛委員長。
民主党の次の内閣で、副大臣又は所管担当だったのがそのまま副大臣として任命されているケースが多いことが分かる。
次に、政務官の人事とプロフィールを列挙する。
内閣府大臣政務官
・泉健太 参議院議員秘書/福祉施設職員
・田村謙治 大蔵省(現・財務省)課長補佐/衆議院議員政策秘書
・津村啓介 元日本銀行職員
総務大臣政務官
・小川淳也 元総務省課長補佐
・階猛 弁護士/みずほ証券株式会社総合企画部経営調査室主任研究員/新生銀行法務部次長
・長谷川憲正 郵務局長/郵政審議官/フィンランド大使
法務大臣政務官
・中村哲治 前衆議院議員/京都大学法学部卒
外務大臣政務官
・吉良州司 日商岩井株式会社医療システム部長
・西村智奈美 新潟県議会議員/大学非常勤講師/新潟大学大学院法学研究科法学修士修了
財務大臣政務官
・大串博志 金融庁銀行監督局銀行監督調査官
・古本伸一郎 全トヨタ労連顧問/トヨタ自動車社員
文部科学大臣政務官
・後藤斎 元農林水産省
・高井美穂元 ダイエー株式会社社員/早稲田大学第一文学部英文科卒
厚生労働大臣政務官
・山井和則 立命館大学政策科学部大学院講師/奈良女子大学生活環境学部専任講師/松下政経塾塾員
・足立信也 筑波メディカルセンター病院診療部長/国立霞ヶ浦病院消化器科医長/筑波大学外科助教授
農林水産大臣政務官
・佐々木隆博 元北海道議会議員
・舟山康江 農林水産省/北海道大学農学部農業経済学科卒
経済産業大臣政務官
・近藤洋介 日本経済新聞記者
・高橋千秋 参議院議員井上哲夫公設第1秘書/株式会社新東通信本社開発部長
国土交通大臣政務官
・長安豊 三井物産社員/会社役員/東京大学工学部卒
・三日月大造 JR西日本/JR西労組専従役員
・藤本祐司 UFJ総合研究所国土、地域政策部主任研究員
環境大臣政務官
・大谷信盛 元衆議院議員/ジョージワシントン大学大学院国際関係論修士課程修了
防衛大臣政務官
・楠田大蔵 住友銀行行員/衆議院議員羽田孜秘書/衆議院議員古賀一成秘書
・長島昭久 中央大学客員教授/米外交問題評議会上席研究員/東京財団主任研究員民主党HPより作成
政務官レベルとなると、元官僚はもとより、日銀の元職員であるとか、大学病院の助教授であるとか、それなりの経歴の人物を配置していることが分かる。
こうして見てくると明らかなように、大臣の人事はオールスター内閣だと揶揄されるように、派閥や連立与党との均衡人事であるのだけれど、副大臣は、ネクスト内閣に選出されていた人物を配置し、政務官に至っては、元官僚や専門家に近い人を当てている。
副大臣以下のレベルでは、非常に実務に重点を当てた人事をしている。だから、いわば大臣は見せかけとして置いておいて、その実、副大臣以下の人事は、官僚を御することができそうな人材を置いている。
大臣を「虚」として、副大臣以下で「実」を取るという人事のようにも見える。
こうした人事を、鳩山首相自らやっていれば、なかなかのものだと言えたのかもしれないけれど、このあたりは「剛腕」幹事長の意向が働いているのだろう。やはり、したたかである。
政務官クラスに元官僚や専門家を配置しているということは、そのレベルまでは、少なくとも官僚の言っていることは理解できる筈。だから、その分、官僚とじっくり協議したうえで、現実に即した政策を立てるだけの力量はあると見ていいだろう。
その意味において、人事を見る限り、政治主導を行える体制だけは整えつつあると見ていいように思う。
元々、民主党は、脱・官僚、政治主導と言ってきたから、こうした人事を行うのは、当たり前なのかもしれないけれど、そうなると、やはり何よりも大事になるのは、政治が何をやらんとするか、という大方針。政府の意向、党の公約が正しいものであるかどうかが鍵を握る。

この記事へのコメント
日比野
拙ブログもコメが増えて管理人として喜ばしい限りではありますが、その分、返信もままならず、心苦しく思っています。
さて、貼られた(2ch,平成床屋談義板?)の件ですが、ご指摘のとおりだと思います。『副大臣以下は、「官僚の言っていることが分かる」「御することができそうな、」』と、少々微妙な言い方をしているのはそのせいです。
問題は、大臣以上、政府首脳部がアレな場合なのですね。折角、副大臣以下が良い案を出しても、大臣以上が全く無視したら意味ないわけですから。
24日付のエントリーで触れていますが、どうも、今の鳩山政権は、政府首脳から官僚への「下り」の統制システムを整えているものの、官僚から首脳への「上り」はどうなのか?という疑問があるのですね。
官僚は政治家の言うことを聞いていればいいのだ、という割には、無茶な要求を官僚に丸投げしておいて、そのくせ実権は政府首脳だけが持つという印象が拭えません。
つまるところ、副大臣・政務官が板挟みになるだけではないのかな、と見ています。
調べた人がいらした
>>146
政務官の官僚出身者と在職年数を調べてみた。
内閣府大臣政務官
・田村謙治 大蔵省11年間
・津村啓介 日本銀行8年間
総務大臣政務官
・小川淳也 総務省9年間
行法務部次長
・長谷川憲正 郵務省32年間
財務大臣政務官
・大串博志 大蔵省―金融庁16年間
文部科学大臣政務官
・後藤斎 農林水産省14年間
厚生労働大臣政務官
農林水産大臣政務官
・舟山康江 農林水産省/10年間
早期退職者が多く、岡田の経産省12年という経歴を考慮すれば、
この経歴から「副大臣以下のレベルでは、非常に実務に重点を当てた人事」と判断するのは早計だろう。
そもそも大臣ー副大臣ー政務官の意思疎通がうまくいくという前提条件があり、
上がちゃらんぽらんでも下が仕事するなんて立ち上がったばかりの組織に期待できるわけない。
すでに暴走し始めてる大臣群に絶対的な権力があり、しばらくは大臣の尻ぬぐいに奔走という構図が関の山だと思われる。
丸井団子之助