脱・官僚(総理の一字 ~鳩山首相考~)

 
 「鳩山氏は極めて興味深い世界観の持ち主だ。一つとして同意する点はない」
米政府元高官


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アメリカが慌てている。鳩山首相のニューヨーク・タイムスに寄稿された論文を皮切りとして、その外交スタンスが反米的だと知れ渡るようになったから。

6月17日夜に、民主党の山岡国会対策委員長と会談したアメリカのキャンベル国務次官補は、会談の中で「日本の政権が代わり、日米関係がどう変化するのか心配している。鳩山政権は、アメリカと中国のどちらが重要だと考えているのか」と、なんともストレートに質している。それだけ不安に思っているのだろう。

いくら、鳩山首相が、政権担当は未知との遭遇だ、と、云い放っても国内では許されるのかもしれないけれど、外交の場にあたって、そんなことを言うようでは、相手にされないだけ。

先般の総選挙後に行われた、オバマ大統領との電話会談では、外務省の役人を同席させず、民間の通訳を使ったと言われている。更には、秘話装置などの盗聴防止への配慮も皆無であったとも。

また、「米流時評さん」によれば、鳩山論文を寄稿した、ニューヨークタイムズのOP-ED欄(政見投稿欄)は「外野的立場の人間が政府にもの申す」として捉えられることが多く、そこに出ただけで「米国政府に対する攻撃的意見」と受け止められる、という。

特に、外国首脳とのトップ会談を行うに当たっては、機密を保持するためには、盗聴防止への配慮は勿論のこと、その通訳には、守秘義務が徹底している、外務省の通訳を使うべきではなかったのか。

もちろん、その民間通訳会社との間で守秘義務契約を交わしているだろうけれど、それでも相手国の立場からしたら、トップ会談で民間の通訳を使われてしまうことを、どう受け止めるだろうかと考えてみれば、相互の信頼感を醸成する上で失点になることは避けられない。

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鳩山首相としては、「脱・官僚」ということで、単なる、官僚を排除した政治スタンスのパフォーマンスだったのかも知れないけれど、外交的配慮を欠くその姿勢は却って国益を毀損することになる。

鳩山政権においては、どことなく、その外交経験の無さが、足を引っ張る予感がするのは気のせいだろうか。

鳩山政権が外交においても、悉く「脱・官僚」を貫くのであれば、官僚・スタッフレベルでの所謂、事務次官協議というものの意味合いが大きく変わってくる可能性がある。

なにせ、官僚と政治家トップとの間で意思疎通が行われないのだから、いくら双方の国のスタッフが一生懸命に交渉して、ようやく合意間近に漕ぎつけた案件であっても、トップ会談で簡単に反故にされることだって、理屈としては在り得る。

トップ会談は、非常時で緊急を要する時とか、スタッフレベルでどうにも調整がつかないくらい拗れた案件に対して、政治的解決を図るときにこそ、威力を発揮するのであって、いくら政治主導だからといって、官僚すべてをスポイルするようなやり方は、却って弊害の方が多くなると思われる。

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画像民主 米に給油活動中止伝える 9月18日 4時59分

民主党の山岡国会対策委員長は、日本を訪れているアメリカのキャンベル国務次官補と17日夜会談し、インド洋で給油活動を行っている海上自衛隊を撤収させる代わりにアフガニスタンへの新たな支援策を検討する考えを伝えました。

アメリカのオバマ政権で対東アジア外交を担当するキャンベル国務次官補は、会談の中で「日本の政権が代わり、日米関係がどう変化するのか心配している。鳩山政権は、アメリカと中国のどちらが重要だと考えているのか」とただしました。これに対し、山岡国会対策委員長は「アメリカも中国もどちらも大事だ。鳩山政権は日米関係をよりよくしていきたいと考えている」と応えました。またキャンベル氏は、インド洋での海上自衛隊による給油活動に関連して「テロとの戦いに参加し続けてもらいたい」と要請したのに対し、山岡氏は「鳩山総理大臣が述べているとおり、給油活動は必ず中止する。ただ、その代わりにアメリカ政府も納得するアフガニスタンへの新たな支援策を検討したい」と伝えました。これを受けて、キャンベル氏は「オバマ大統領が来日を検討していることし11月までに、新たな支援策をまとめてもらいたい」と要請しました。

URL:http://www.nhk.or.jp/news/k10015577851000.html

この記事へのコメント

  • MIL

    民間通訳会社って、在日企業だったりして。。。と思うのは私だけでしょうか。
    2015年08月10日 16:50
  • かせっち

    「民主党の政策は労働組合的」という意見を見たことがありますが、それにプロットに則るなら、今までの経営陣から経営権を奪ったものの、経営的センスの欠片もない労働組合が、重要な業務提携先の企業の神経を逆なでするような発言を繰り返しているようなものです。

    その上、提携企業とライバル関係にあるブラック企業と関係を強めようと、経営トップが公然と言ってるわけですから、相手企業も警戒することでしょう。
    2015年08月10日 16:50

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