お灸は何処に据えられたのか

 
「民主党は意志決定をする前に、米国だけではなく、世界の主要国に意見を聞いてから決めるべきだ。」
CSIS(戦略国際問題研究所)日本部長 マイケル・グリーン


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今回の選挙では、民主党が大勝したけれど、それは決して民主党が支持されたというわけではなくて、自民党の批判票が流れた結果だといわれている。

秋田での出口調査では、政党支持率では、自民党が民主党を上回っていたにも関わらず、自民党支持者の3割以上が今回は民主党に投票したという。

だから、やはり、民主党の勝利は、自民党にお灸を据える、という有権者に助けられた部分も大きいと思われる。

ところが、民主党が補正予算の執行停止を言い始めたり、その経済政策がマスコミなどで取り上げられて、これは大増税になることが、だんだん明らかになってきた。

民主党に投票することで自民党にお灸を据えた積もりが、実は国民自身がお灸を据えられたのだ、と思い知ることになるだろう。

となると、得をしたのは、民主党の議員だけか、というとそうでもない。冒頭のマイケルグリーン氏のコメントが、なによりもそれを示している。

それは、やはり日本は世界有数の大国であり、その意思決定は全世界に影響を及ぼす、ということ。特に今のように世界中が不況の最中にあり、どこの国も必死になって立て直そうとしている状況の中、日本だけが一番被害が軽く、またIMFへの1000億ドルの出資にも見られるように、日本が世界を支えている部分がかなりある。

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そして、8月のGDP成長率にも現れているように、不況からの脱出の目も見え初めていた。もちろん、それは、前麻生政権の功績であることは言うまでもない。

今の世界で、日本が一番に不況から立ち直るということが、どれほどの世界への貢献になるのか、どれほどの意味を持っているのか、世界各国で疑う人はいないだろう。

平たくいえば、世界は麻生政権下での経済政策の継続を望んでいる。

それを、民主党新政権は、引っ繰り返そうとしている。そんなことは世界が許さない。その意思表示を早くもアメリカが示した。

まぁ、アメリカが言うだけなら、日本から金を巻き上げるための脅しだ、なんて意見もあるかもしれないけれど、もし、アジア各国やEUからも同じ事を言われたらどうなるか。世界が日本を頼りにしていることが、はっきりと示されることになる。

そうしたときに、民主党は方針を転換して、麻生路線を踏襲できるのか。今まで自分達が、散々批判していた経済政策を自ら執行しなければならなくなる、という皮肉。それは、自らの「お花畑」だった考えの軌道修正を迫るものでもあるから、民主党自身もお灸を据えられることになる。

さらには、もし、民主党が麻生路線の継承をやむなく打ち出した場合、その理由として、世界が麻生路線を切望している、ということをマスコミも説明しなくてはならなくなる。畢竟、マスコミにもお灸を据えられることになる。

つまり今回の選挙でお灸を据えられたのは、自民党だけではなくて、日本全部であったといえる。

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画像選挙:衆院選 自民支持率41.6% 民主は25.7%--毎日新聞出口調査 /秋田

 ◇民主は4.4ポイント増の25.7%
 毎日新聞社が県内の投票所で30日に実施した出口調査(約2600人)によると、政党支持率は自民党が41・6%(前回44・3%)と一番高く、民主党が25・7%(同21・3%)で続いた。わずかだが民主支持層が増えた。ただ投票先は自民支持層が民主党候補に入れるのも目立った。

 自公政権の「継続」か、民主党を中心とした政権への「交代」か、「政権選択」で2大政党に注目が集まり、事前調査で“反自民”や“民主の風”の傾向を見せたが、支持層は大きな変化を見せなかった。

 このほか、社民党3・6%(前回5・1%)▽公明党3・2%(同3・4%)▽共産党2・4%(同2・6%)▽みんなの党0・6%▽国民新党0・3%など。一方、支持政党なしは20・2%(同19・2%)と増えた。

 自民支持層は3区の46・7%が最も高く、民主支持層は1区の28・0%が最高。1区では自民支持層の3割以上が民主候補に流れ、2区でも無所属候補に約3割。保守分裂の3区も自民候補が固めたのは5割程度にとどまる。社民は旧社会党の地盤が残る2区が前回同様最高の5・7%。公明党は全区に広がりがあり、共産党は1区が3・4%。【百武信幸】

URL:http://mainichi.jp/area/akita/news/20090831ddlk05010106000c.html



画像4~6月期のGDP速報値 年率3.7%増、5四半期ぶりプラス 2009.8.17 09:08

 内閣府が17日発表した平成21年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期(21年1~3月)比0.9%増となり、5四半期ぶりにプラス成長となった。年率換算は3.7%増。アジアを中心とした輸出の回復に加え、経済対策の効果もあって個人消費が持ち直し、公共投資も堅調に増加した。戦後最悪水準のマイナス成長だった前期までから一転、大幅なプラス成長へと回復した。

 政府は6月の月例経済報告で景気の底打ちを宣言した。GDP統計は最悪期から脱したことを裏打ちした形だが、経済対策と外需依存の回復には先行き懸念もくすぶる。

 輸出は前期比6.3%増と5四半期ぶりのプラスになるとともに、14年4~6月期(6.4%増)以来、7年ぶりの大幅増となった。中国の内需拡大策などを背景に、アジア向け輸出を中心に回復を牽引(けんいん)した。

 加えて国内の経済対策も効果を現した。GDPのおよそ6割を占める個人消費は、定額給付金の支給やエコカー減税・補助、エコポイント制度の導入などが自動車や家電製品などの販売を押し上げ、前期比0.8%増となった。3四半期ぶりのプラスで、20年1~3月期(1.3%増)以来の高い伸び。

公共投資も前倒しの効果などから同8.1%増と大きく伸びた。一方、住宅投資は9.5%減、設備投資は4.3%減、輸入は5.1%減だった。

 実質GDPを押し上げた「寄与度」は、輸出から輸入を差し引いた外需がプラス1.6%、個人消費、設備投資など内需がマイナス0.7%となった。

 また、生活実感に近く、税収を左右する名目GDPは0.2%減、年率換算で0.7%減だった。総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で0.5%上昇した。

 内閣府は同日、21年1~3月期の成長率を、実質で前期(20年10~12月)比3.1%減(改定前は3.8%減)、年率換算で11.7%減(同14.2%減)へと上方修正した。この結果、前期は過去3番目の下落幅にとどまり、過去最悪は20年10~12月の3.5%減(年率換算で13.1%)となった。

 林芳正・経済財政担当相は同日記者会見し、「経済対策はあくまでも景気回復の呼び水」と語り、政策効果に下支えされた回復から自立的回復へ移行することに期待感を示した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090817/fnc0908170910000-n1.htm

この記事へのコメント

  • 丸山光三

    だれが言い始めたのか「お灸をすえる」、これが民意を唆したとすればたいした奴がいるものです。もうこれで「民主主義」を根本から問い直す秋になった、そのようにも思います。「民主主義」を重んじるあまり国が溶解したり他国に内側から操作されたのではかないませんからね。かといってかってあったシステムでは絶対悪として定着したものがほとんどで「民主主義」がいちばん、となってしまっているわけですが、巨大な一党独裁の隣国や巨大なマネーモンスターを規制緩和して野放しにしてしまった「民主国家」の大ボスを前にしていったいどんな選択肢があるのかわかりません。あれら新帝国主義のグレートゲームから実を離し生き延びることが日本の課題ですが新与党にはそのような危機感はいっさいないようですね。事態は急速に変化しまたぞろ選挙となる可能性があるのではないでしょうか?そのときは「灸をすえる」などというふざけた心構えで投票してほしくはありませんね。
    2015年08月10日 16:50
  • MASASI

    昨日も私の勤務する会社の労組支部幹部に散々皮肉を言ったところです。
    会社が経営的に厳しく、景気がよくならないとどうにもならない。
    景気を悪くする民主党を支持してどうするんだ。
    増税もあり、労働者のためにならないぞ。
    と言いましたら上部団体の支持でどうにもならないと逃げました。
    そのうち特定の政党に肩入れする政治活動の中止を提案しようかとも思ってます。
    来年の今頃提案したら可決されるかも。
    2015年08月10日 16:50
  • 日比野

    丸山翁。ご無沙汰です。
    マスコミの弊害もここに極まれり、ですね。どうも、民主党のお花畑には非常に危惧を覚えます。世界恐慌の引き金を引いてしまっているかもしれないのに。しばらくはかなり厳しいことになりそうですね。
    2015年08月10日 16:50
  • 通行人

    マイケル・グリーンは、ブッシュ共和党政権時代の日本担当ですね。
    息子ブッシュ一期目の国家安全保障会議の日本担当。つまり、清和会を使って、日本を操っていた当事者。
    9月2日のCSIS日本分析セミナーでは、一番騒々しい奴と報告されている。(副島サイトを参考にしてみて下さいね)
    米国で、野党になった共和党系。日本での民主党に変って、自分の「知日派」という立場が怪しくなった。だから、大騒ぎするしかないのです。

    米国の政権本流は、もう少し、民主党の対米政策を冷静に見極めようとしていますよ。(例えば、カート・キャンベルの同じセミナーでの発言ですね。)
    2015年08月10日 16:50
  • タカダ

    明治新政府も徳川慶喜の構想をかなり引き継きましたね。
    2015年08月10日 16:50

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