『私は最悪の民主政治でも、最良の専制政治にまさると思っている。』ヤン・ウェンリー
政策一元化による「独裁国家」の危険を孕む現体制にあって、首相が指導力を発揮せずに「漂う」ことによって、逆に民主制が保たれているかもしれない、という見方が事実であれば、相当に皮肉な現実ではある。
鳩山内閣で、閣僚が好き勝手に発言していて、閣内不一致でバラバラだ、とはよく指摘されることだけれど、これは、これまで国会で論戦していたことが内閣に移ったのだ、と捉えるべきなのかもしれない。
そういえば、閣内には国民新党の亀井金融相もいれば、社民党の福島担当相もいる。むしろ、鳩山内閣ではなくて、議員20人足らずの鳩山国会なのだ、と考えた方が分かりやすい。それならば、自民党所属の大臣も居て欲しいところだけれど、詮無きことか。
こうしてみてくると、どこか、これまで国会が果たしていた機能や、行なわれていたことが、内閣と各省庁に分離していっているような気がしてならない。
それは、どういうことかというと、立法・論戦機能が内閣に移り、昨年、参院で民主党が審議拒否を繰り返して空転させたような政局が、各省庁または現場で行なわれているということ。
前者は、先ほど述べたとおり、鳩山内閣は鳩山国会と化しているし、後者については、「剛腕幹事長の狙い」のエントリーで指摘したように、官僚に口出しさせずに、内閣が実権を握る体制にすることで、話し合いを簡単に拒否できる体制にシフトしていることに相当する。
とどのつまり、それは国会が空洞化することを意味してる。付け加えるなら、首班指名以後、国会は開かれてもいないし、鳩山首相の所信表明演説も行なわれていない。
国会が空洞化するということは、野党の意味がどんどん無くなるということに等しい。つまり、野党第一党の自民党が、その存在まるごと締め上げられることを意味してる。その他野党は、語るまでもない。
自民党の谷垣総裁は、鳩山首相の個人献金問題や、財源問題について徹底的に追求する、と息巻いているけれど、この観点からみれば、民主党にとって、衆院はもはや戦場じゃない。勝敗の決したあとの、ただの焼け野原でしかない。追求なんて適当にお茶を濁して、とっとと閉会して、あとはマスコミだけ抑えておけばいい。
唯一恐れるのは、過半数を抑えていない参議院で審議拒否されることくらい。
だから、次の参議院補選が重要な意味を持つし、自民党の存在意義は、おそらくはもう参議院にしかない。
本能寺は参議院。
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谷垣総裁:首相の献金問題、臨時国会で追及へ
自民党の谷垣禎一総裁は3日午前、鳩山由紀夫首相の献金虚偽記載問題で東京地検が捜査を開始したと報道されたことについて、「首相はきちんと説明すべきで、国会の場でも説明を求めるのが当然だ」と述べ、臨時国会などで首相を追及する考えを示した。「捜査は曲げずにきちんと遂げられるべきだ」とも語った。
一方、鳩山首相は同日、IOC総会からの帰国後、東京・田園調布の自宅に戻る予定を変更し、首相官邸で平野博文官房長官と約1時間協議した。その後、記者団から献金問題の報道について問われ「真実が明らかになればいい」と語った。【田所柳子】
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091003k0000e010071000c.html?inb=yt
民主党路線に伴う財政負担の問題を追及=谷垣自民党総裁 2009年 09月 28日 18:49 JST
[東京 28日 ロイター] 谷垣禎一自民党総裁は28日夕刻に党本部で会見し、今後は野党として、民主党の大きな政府路線に伴う財政負担の問題を追及していく姿勢を明らかにした。また党人事については、適材適所で判断していくとしたうえで、シャドー・キャビネットを作る必要性も指摘した。
谷垣総裁は「(民主党が)大きな政府を志向すれば、当然それに伴う負担があるはず。この点は民主党は全然言っていないようにみえる。これが続けば財政破壊にもなりかねない」と指摘したうえで、その問題をしっかり追及すると語った。
また鳩山首相の献金問題については「ご自身が説明責任をきちっと果たすことが大事。7割以上の方が、総理は説明責任を十分果たしていないという感じ方をしているということは、総理も重くみるべき」と述べた。
今後の党人事については「私の目で見て適材適所であるという方を指名したい」と述べた。静岡・神奈川の参議院補欠選挙が目前に迫っていることなど人事決定のための時間が限られていることもあり「今晩ゆっくり、そのへんを考えて結論を出したい」と述べた。
今回、総裁選挙を戦った河野太郎・元副法相と西村康稔・前外務政務官の処遇については「全員野球でやる。2人の活躍の場を当然作っていく」と述べた。またシャドー・キャビネットを作る必要があるとも語った。
派閥解消については「野党になるとあまり配分するポストもないので、ますます派閥というものは、本来持っていた意義は薄れていく」としたものの、「仲の良い議員、考え方の共通する議員が政策の勉強をしようというのは、あってしかるべき」と述べた。
本日午後の自民党総裁選挙では、1回目の投票で谷垣氏が有効投票数の過半数を獲得した。獲得票数は谷垣氏が300票、河野氏が144票、西村氏が54票だった。自民党総裁選は党所属の国会議員票199票と党員票300票の計499票で争われた。有効投票数は498票、無効が1票だった。
URL:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11686920090928
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