ファンドを組まない政治(今の政局について 前編)


「国会で多数の議席をいただいた政権党が、立法府でイニシアチブを取るだけではなく、内閣も組織する。あえて言えば、立法権と行政権の両方を預かる。そして4年間のなかでその結果を、次の選挙で国民の皆さんに審判をいただく、そういうかたちの鳩山政権が誕生したことによって、これまでとは全く風景の違う政治の姿になった」    
菅副総理 於:10/9 連合結成20周年レセプション
  
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国会で多数の議席を持つ政権党のトップが、そのまま内閣総理大臣になる、今の議員内閣制においては、国会での自由な討論とその結果を汲み取るだけの度量が内閣にない限り、立法と行政の二権が分立することは難しい。本音が出たのかどうか分からないけれど、管副総理は、そのシステム的な問題を図らずも公言した。

あたしが全部決める」のエントリーでも指摘したように、民主党は、先日、議員立法を認めない通達を出しているから、民主党が300議席以上持つ現状では、国会は内閣の追認機関に成り下がりかねない。

勿論、国会で与党議員が反対票を投じることもできるけれど、無記名投票で、党議拘束を課さないくらいでないと、やり難い。面と向かって反逆すれば、あっという間に干されて、潰されてしまう危険がある。それは土屋都議に対する、執行部の態度を見る限り、その可能性は否定できない。

また、行政においても、官僚の答弁を認めず、政治主導にするとしているから、政策は殆ど内閣に一元化されると言っていい。

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こうした動きに対して、横路孝弘衆院議長は、10月10日の、民主党北海道連の会合で、政策一元化は「独裁国家」だと警告している。こうした発言が、身内の民主党議員であり、なおかつ立法府である衆院議長から出てくる意味は重い。
 
つまり、どの政策が実行されるかは、殆ど内閣の一存で決まる体制が出来つつある、ということ。

その是非は兎も角、こうした体制になったとき、内閣の能力、もっと突き詰めていえば、首相の能力が決定的な意味を持つ、ということが大事なポイント。

なにせ、内閣が決めたことが、そのまま国の政策となり、行政に反映される。首相が内閣をびしっと纏めて善政を敷けば、物凄く効率の高い、良い政治が行なわれるのだけれど、その反対になった場合は最悪になる。

株でいえば、ファンドやポートフォリオを組まずに、何か一銘柄だけの一点に全財産を投入するようなもの。ハイリスク・ハイリターンの政治。

内閣発足から一ヶ月あまり。これといった指導力を見せず、閣僚に好き勝手させている鳩山首相だけれど、今の体制下においては、下手に指導力など発揮しないほうが、却って良いのかもしれないなどとすら思えてくる。

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画像政策一元化は「独裁国家」 横路議長、小沢氏に苦言 2009年10月10日22時21分

 横路孝弘衆院議長は10日、札幌市で開かれた民主党北海道連の会合で「独裁国家では議会は政府が決めたことをただ追認する。日本は民主国家だから国会の自主性を持っていきたい」と述べ、鳩山政権が進める政策決定の政府への一元化を強く批判した。民主党出身の衆院議長が小沢一郎幹事長の党運営に苦言を呈する異例の発言だ。

 政策決定の一元化は9月中旬、鳩山由紀夫首相から党運営を任された小沢幹事長が党所属議員にメールで通達。「自民党政権でみられた族議員の跋扈(ばっこ)」(小沢氏)を排除するとして、党の政策関連会議を廃止し、議員立法も基本的に認めないとした。

 横路氏は「一体化の名の下に議員立法をやらないとの発言が聞こえる。国会活性化の柱として、今日まで(議員立法を)進め、先の国会では臓器移植法のような形で国民の声に応えた」と強調。「三権分立で立法府の役割は非常に重要だ」と述べ、法案提出権を政府が独占することに対し警戒感をあらわにした。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/1010/TKY200910100305.html?ref=goo



画像2009/10/09 菅副総理、小沢幹事長、連合結成20周年レセプションに出席

 民主党の菅直人副総理・国家戦略担当大臣と小沢一郎幹事長は9日午後、都内で「連合結成20周年記念レセプション」に出席し、連帯の挨拶を行った。

 古賀伸明連合新会長は「連合が結成されて20年、世界も日本も大きく様変わりしている。まさに私たちはまた再び、大きな歴史転換期の真っ只中に立っているといっても過言ではない」と述べ、民主党中心の政権が誕生して新しい政治が幕を開けたことに言及。

 「課題はたくさんある。課題があるからこそ、連合の役割と責任、そして真価が問われる。時代の変化はスピーディで、様々な流れを作り出していくが、しっかり現実を直視しながら、我々自身の知恵と行動で、新しい時代を切り開きたいという決意を新たにしている」と述べた。

 また「すべての事象を、現在の枠組み、価値観だけでない多角的な角度から検討し、自らの手で新しい政治を作りたい」と表明、「明るく元気に前向きに一歩一歩前進する」と挨拶を締めくくった。

 菅副総理は、連合結成20周年にあわせるように、民主党を中心とした政権交代ができたことについて「政権交代を実現する大きな力を、皆さんに与えていただいた」と心からお礼を述べた。

 そのうえで、国会議員は立法を行い、内閣の仕事は基本的に官僚に任せるという政治のかたちが、政権交代によって変わったと指摘。「国会で多数の議席をいただいた政権党が、立法府でイニシアチブを取るだけではなく、内閣も組織する。あえて言えば、立法権と行政権の両方を預かる。そして4年間のなかでその結果を、次の選挙で国民の皆さんに審判をいただく、そういうかたちの鳩山政権が誕生したことによって、これまでとは全く風景の違う政治の姿になった」と説明した。

 菅副総理は、様々な内外の諸課題に大きな責任を感じているとしたうえ、国民の皆さんや働く人々を代表する連合の皆さんと、これまで以上に政府としても民主党としても意見交換をしてご指導をいただきながら、あの政権交代は良かったといわれるような政権になるように頑張っていきたいと挨拶した。

 鏡割りには、民主党から菅副総理と小沢幹事長、細川律夫厚生労働副大臣が登壇。古賀新会長ほか連合新執行部の皆さん、来賓の重野社民党幹事長、亀井国民新党副代表らと木槌を握り、連合の活動が今後益々発展するように祈念した。

URL:http://www.dpj.or.jp/news/?num=17073

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