政権交代が行われはしたのだけれど、与党民主党の正体が明らかになるにつれ、世論にも動揺が走っている。既存メディアはまだ平静を保っているほうだけれど、ネットと中心とした世論は沸騰してる。
以前、社会を構成する見方のひとつとして「縁起のレイヤー」という概念を述べたことがある。
縁起のレイヤーとは、場の理論を下敷きとした、社会を人と人との縁の繋がりによる場で出来ているという見方で、その縁の種類によって、階層構造を成している、というもの。
以下、「縁起のレイヤー」のエントリーから、それについて説明した部分を引用する。
国や世界を形づくっている縁起の織物は一枚だけじゃない。人は社会の中で色々な顔、役割を併せ持ちながら生きているから。縁は、人それぞれの役割ごとに発生していて、他の存在と縁の糸で繋がってる。
人は自分の子に対しては親であるけれど、自分の親から見れば、子でもある。また、同時に夫や妻でもあったり、地域社会の一員でもあるし、職場にいけば会社組織の構成員でもある。もちろん国民でもある。
縁はその個人の役割ごとに、個別に繋がるから、それぞれの役割別に縁起の織物をつむぐと、その織物は何枚もの縁起の織物を重ねた多層構造をもつことになる。
縁を表すのに、血縁・地縁・人縁という言葉がある。これらの言葉が示すように、縁にも種類がある。
血縁といえば家族や親類縁者の縁だし、地縁といえば、隣近所や職場での縁になる。人縁は友人知人の縁となるし、時には国家や民族、宗教・思想で繋がる縁までも含むことがある。
縁の層を個人的な縁から社会的な縁の順に下から並べてみると、血縁-地縁-人縁という順に社会的に広がる縁の層が出来上がる。
このうち人縁は個人的な友人知人関係から国家・民族思想まで幅広く存在するので、個人的な友人関係の縁と国家や思想レベルでの縁にわけて整理すると、血縁-友人知人の縁-地縁-国家・思想の縁の順になる。
こうした多層構造を持つ縁起の織物を上述したように縁の種類によって、おおきく4つに大別して考えてみる。
一番下層に位置し、かつ最も個人性の高い縁は、血縁関係による縁。これを仮に「家族レイヤー」と名づける。
その上にあるのが、隣近所・友人知人の縁の層。これを「知人レイヤー」と名づける。
その上に、仕事や社会、利害関係で知り合う縁の層がある。これを「経済レイヤー」と名づける。
最上位に、国民・国家、政治体制や思想、宗教や民族意識でつながる縁の層がある。これを「思想レイヤー」と名づける。
縁起のレイヤーという概念は、個人の生活・社会空間というものを縁の結びつきによって織りなされる織物だとみなし、その縁の種類によって階層分けしたもの。
政治の役目は、国民の安全と財産を守ること。だから、国家は、自国の縁起のレイヤーを下位から上位まで全て保持して、守っていかなくちゃならない。
そのためには、政府という統治機関を設け、外国の侵略から国を守るための軍事力と、国内の治安を維持するための警察力と、社会制度を維持するための法整備を行う。
例えるならば、縁起の織物を乗せるテーブル(領土)があって、その上で、個々の国民同士が互いの縁をつないでいって、縁起の織物を形成してゆくことで社会が出来上がっていくのだけれど、国家は、その縁起の糸同士がほどけてしまわないように、気を配る。
そのために、縁起の糸におかしなデータを伝送されて、混乱をきたさないように通信規格を設定したり(国内法)、また、誰かが、別の誰かの縁起の糸を勝手に切断させないようにしたり(警察力)する。更には、テーブルの外から手を伸ばして、自国の縁起の布を取られたりしないように(軍事力)、注意を配っている。
だから、国家は、自国に構築されている縁起のレイヤーを保持するための管理人だとも言える。

この記事へのコメント
オーパ
いつも、切れ味鋭い論考楽しませていただいてます。
地縁、血縁、人縁と、もう一つ法縁も拡げていくことが、
人間にとっても国家にとっても一番大事ではないでしょうか。
そのように感じている現在です。