皆様、昨日のアンケートにご協力いただきありがとうございます。
特に、コメントにて、次の一手を回答いただいた方に篤く御礼申し上げます。とても興味深い結果が出たかと思います。
さて、今回のアンケートの主旨は、実は日本の安全保障戦略に関するものでした。
次の図をご覧ください。
この図は、碁盤にアジアの地図を時計回りに90度回転させて、重ね合わせたものです。
盤面全体の位置関係について、少し説明します。
日本は、G2~J2~G5あたりを本土とし、D6の沖縄が領土ですが、領海となるとずっと広がって、左下の地(C1~D6~G6~G1)は大体、領海になります。
盤の左上隅辺りはインドで、盤の天辺中央から上、盤外は中東。天元から右の広い範囲がモンゴル・ロシアになります。
※もともと球面の地球を平面に置きなおしていますので、やや無理がありますが、ご容赦ください。
アメリカ本土は盤右下隅から更に右彼方に位置しますので、盤上ではみえません。
この位置関係からすると、中東から日本まで石油を運ぶシーレーンは、丁度盤左端B6~A19にかけてになりますね。
これに、昨日のエントリーの設問の局面に合わせて碁石を置くと、次のようになります。
碁石の位置を見て、気づかれた方もいらっしゃるかと思います。碁石は軍事拠点の場所を表しています。
具体的に言えば、白が日本・台湾・韓国の空軍基地の場所、黒が中国の空軍基地の場所です。
本当は中国の空軍基地はもっと沢山あるのですが、白石との数を合わせる便宜上、いくつか間引いています。ただ、実際の場所も図の黒石の様に、結構均等に配置されています。
航空自衛隊(白石)
G1=入間・中部航空方面隊司令部
H1=百里・第7航空団
J1=三沢・北部航空方面隊・第3航空団
G3=浜松・第1航空団
H3=小松・第6航空団
G5=春日・西部航空方面隊司令部
D6=沖縄・在日米軍
韓国空軍(白石)
H6=鳥山・アメリカ第7航空軍・韓国空軍司令部
台湾空軍(白石)
C8=清泉崗・空軍基地
中国(黒石)
D8=福州空軍基地
F8=上海大場空軍基地
H8=菜陽空軍基地
C10=陵水航空基地・鳳凰空軍基地
D10=遂渓空軍基地
F10=南昌向塘空軍基地
J10=北京昌平空軍基地
D12=西昌衛星発射センター
F12=成都飛機工業公司
J12=酒泉衛星発射センター
今回のアンケートの主旨は、軍事拠点を碁石に見立て、碁の一局面に置き換えることで、先入観をなくした上で、ニュートラルな立場で、一体どういう戦略がいいのかを考える機会にしたかった、というものです。
設問は、中国が台湾に対して圧力を強めている今(D8の黒がその意)、日本が次に打つべき手を考えるという設定です。
さて、ここで石を打つことを、現実に置き換えてみますと、当然第一義的には軍事拠点を持つ、または設営することになります。ただ、実際には、相手国内に基地を持つことは無理ですから、その場合は、経済的関係を強めて、資本投下なりを行い、自国の影響力・支配力を強める手段だと考えることにします。
こうした観点を前提として、昨日のエントリーに答えていただいた方の戦略を、みてみたいと思います。
mayo5様の戦略
回答:次の一手=Q16辺り(後から繋げる)、相手の予測=Q4辺り
Q16辺りはロシアなので、日本は、大局を見てロシア(又はその先のEUかもしれませんが)と連携と取るべきという戦略ですね。
それに対して、中国はQ4ですから、これもロシアですが、まぁ方向としてはアメリカなので、その方面へのロビー活動を強化する、ということでしょうか。
現実シナリオとしても十分考えられる戦略だと思います。
クマのプータロー様の戦略
回答:次の一手=E8(D8、F8、H8への牽制)、相手の予測=D9(D8の死守)
E8は上海から広州にかけてですね。ここに楔を打ち込むことで、沿岸部からの進出に対する牽制になるということでしょうか。現実の手段としては、上海閥とのパイプを太くして、沿岸部に資本投下して、上海閥をこちらの味方にしてしまうという戦略になるかと思います。
また、相手は次にD9に打つことでD8を守るという予測ですけれど、筆者は、とても面白いと思いました。なぜかというと、E8の白石にD8の黒石が脅かされている、と相手が見ていることになるからです。
つまり、台湾にとって中国は脅威かもしれませんが、中国にとっても台湾は脅威なのかもしれないということです。
GLOCK様の戦略
回答:次の一手=B9(この辺りが争地になると見て、領域を広くとる)、相手の予測=C7かF6(攻め合いか堅く地所を広げるか)
B9は、香港沖、東沙群島あたりです。まさにシーレーンですね。現実に「この辺りは争地」になっており、中国は海南島(B11)に原潜基地を建設しています。
また、相手の予測ですが、C7は与那国島、D7は尖閣諸島、F6は東シナ海ガス田辺りですね。既に思いっきり争っている地です。先入観なしの囲碁の局面に置き換えても、ここまで現実と合致するのは怖いくらいです。
ROM者様の戦略
回答:次の一手=L13(新しい場所の布石+黒の様子見)、相手の予測=K16
L13は、モンゴルですから、ここに布石を打つということは、モンゴルと協力関係を強めて、中国を牽制する、という手になりますけれども、今年の7月に麻生前総理がモンゴルとの協力関係を深め、ウランとの開発協力を提案していましたから、この戦略も現実の動きと合致しています。
これに対して、相手の予測の手がK16ということですが、これはウイグル自治区あたりになります。最近ここでも暴動があったばかりです。中国がここに手を入れてくることは十分あると思います。
半分遊びではありますけれども、軍事基地は、あるだけで、抑止力になりますから、囲碁に置き換えてみても、おおよその力関係や戦略、そして今の日本がおかれている立場が見えてくるのではないかと思っていました。
そこで、今回のアンケートをさせていただいたのですが、打つ手が驚くほど現実と一致するのに吃驚しています。
もしも、中国が台湾を併合し、沖縄の在日米軍が撤退して、民主党の沖縄1000万人移民構想が実現したとしたら、C8とD6の白石が黒石に置き換わることになります。
そうなったときの脅威はいうまでもありません。
現時点から、日本という白石を守るにはどうすればいいか、議論をしておくべきだと思います。

この記事へのコメント
mayo5
囲碁の領地(?)には、重みがありませんからね。開いている所を狙うスケベ心ですよ。太平洋ですが、南日本海と呼びましょうか、ここは白が囲っているようで、C3あたりに黒が打ち込んだら殺せるかどうかは??ですねえ。台湾を犠牲にした方が良いかも。C8に第七艦隊が派遣されても、取り込めるかどうか。
囲碁は分からない。三手先が読めない。
日比野
C3黒ですが、ここは沖ノ鳥島あたりですよね?中国の潜水艦が出没するとちらほら聞きますから、実際に黒を打たれつつあるのですよね。
ただ、領土は囲碁と違って、捨石なんてありえませんから、広く盤をみつつ、局地でも負けない強さが必要です。
最初から地図を重ねてしまうとどうしても、先入観が入ってしまいますから、碁に置き換えて、かつ90°回転させて、先入観を働きにくくしてみました。
御蔭さまでいろいろな「次の一手」を伺うことができて、とても勉強になりました。
石を置かれた4名の方の中で、一番盤を広くみていたのがmayo5さんですから、相当な戦略眼をお持ちではないですか?
クマのプータロー
領土なら、1ミリも失うわけにはいかないのが現実です。そう思える政治家が日本にいるのか、甚だ心許ない心境です。