ソース・ディバイド


11月10日付けのasahi.comに興味深い記事があった。

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鳩山内閣の高支持率の背景に、拡大する「情報源の世代間ギャップ」という記事なのだけれど、鳩山内閣発足を受けた新聞社・テレビ局の内閣支持率の世論調査と、ニコニコ動画のそれとが大きくかけ離れていることを取り上げている。

中でも注目したいのは、「政治に関する情報をどの媒体から多く入手しているか」という設問への回答別支持状況で、新聞・テレビの報道を主にする人は鳩山内閣を支持する割合が高く、ネットを主にする人はその逆という結果が出ていること。
・「新聞報道」から入手 :支持37%>不支持25%
・「TV報道」から入手 :支持38%>不支持14%
・「ネット」 から入手 :支持14%<不支持56%

このニコニコ動画のアンケートは、夜11時にすべての動画をストップして回答協力を要請するという方法で行われ、約3分間に約6万人が回答したという。そこらの電話世論調査とは比べ物にならないサンプル数。

尤も、夜11時にネットでニコ動を見ているような層だから、中高年というよりは若年層が中心だろう。少なくとも皆ネットユーザーであることは確か。

それであるのに、政治に関する情報源として、新聞・テレビの報道を主にする人と、ネット中心の人とここまでの差ができた。

ここで押さえておくべきポイントはふたつ。


ひとつは、新聞やテレビを情報源とした場合、鳩山内閣に対する判断はポジティブに働き、ネットを情報源とした場合はネガティブに働くということ。もうひとつは、人間は年代や媒体に関わらず、入力された情報によって判断を下さざるを得ないということ。

まぁ。至極当然のことを言っているのだけれど、前者に着目すれば、鳩山内閣という同じ対象を見ているにも関わらず、テレビ・新聞とネットでこれほど見解に差が出てくるということは、それぞれで流されている情報に大きな乖離があることを示してる。

以前「下位レイヤーに伝達する方法(S.A.C.について考える その7)」で指摘したように、やはり、今の日本では、自分の好む情報にのみアクセスして、それ以外の情報は受信しない、という選択をしても、まだ生きていける、という事実がそうさせているのだろう。

だけど、これからもそうであるとは限らない。それは、自らの生活、下位レイヤーを破壊されたとき、明らかになる。厭が応でも気づかされる。

これから鳩山危機が訪れるにつれ、なんとなくオカシイ、と思う人が増えてくるように思われる。

これをどうにかするには、どちらが正しいとか正しくないとかを問う以前に、情報に対して、大きな溝、ソース・ディバイドがあることを自覚することがまず出発点になる。

これは、あくまでも「情報ソース」によるディバイドであって、巷で良く言われる、ネットを使う人とそうでない人との隔絶を示す、所謂「ディジタル・ディバイド」とも異なる。

自分の見ている「世界」は、相手にも同じように見えているとは限らないというところから始めなければいけない。

その為には、まず共通の考えのプラットフォームを立てて、そこから議論をスタートしなければいけないのだけれど、人前で政治の話をすることは、なんとなく敬遠されていた。そこから変えなくちゃならない。

日本人の2/3がネットを使うようになっても、まだ政治の話をメインにしている人は少ない。それを打ち破れるか。なにか大きな転換点が近づいているような気がしてならない。

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画像【ネット】鳩山内閣の高支持率の背景に、拡大する「情報源の世代間ギャップ」2009年11月10日 筆者 萩原雅之

 鳩山内閣発足を受けた新聞社・テレビ局の世論調査では、内閣支持率が軒並み70%を超えた。小泉内閣に次ぐ「歴代2位」という見出しがあふれ、その報道をみて多くの国民や政治家も圧倒的な期待と支持があるように感じたことだろう。

 一方、前回(2009年8月号)のコラムでもとりあげたニコニコ動画上で実施されたアンケートでは、支持25%、不支持36%と、全く異なる結果になっている。

 新内閣が発足した翌日夜11時にすべての動画をストップして回答協力を要請するという方法で、約3分間に約6万人が回答した。マスメディアで結果が報道されることはなかったが、ブログやツイッターなどで一気に広がった。特徴的だったのは支持・不支持について「どちらともいえない」が約4割を占めたことだ。新聞・テレビの熱狂的な報道の中で冷静な対応をみせるネットユーザーの姿が浮かぶ。9割が支持・不支持の態度を明確にしている大手メディアの世論調査の方がむしろ不自然に思えてくる。

 この調査で注目されたのは、「政治に関する情報をどの媒体から多く入手しているか」という設問への回答別支持状況に無視できない違いがあるという分析だ。結果は次の通り。

・「新聞報道」から入手

 →支持37%〉不支持25%

・「TV報道」から入手

 →支持38%〉不支持14%

・「インターネット」から入手

 →支持14%〈不支持56%

 深夜にニコニコ動画を見ているようなネットユーザーでも、政治に関する情報源として新聞・テレビの報道を主にする人と、ネットを主にする人になぜこれほどの大きな違いが出るのかを考えることは価値があろう。

 例えば内閣発足の翌日、ブログ論壇では、鳩山首相が以前から、政権をとったら首相記者会見をフリージャーナリストやネットメディアにも開放すると言っていた約束が実現されなかったことに対して、「最初の公約破り」であるとの批判があふれた。私も当日、ツイッターで「民主党」のリアルタイム検索を行ったが、膨大なエントリーがこの問題に言及していた。個別の閣僚に関しても、期待も失望も、絶賛も酷評も、ごった煮のように流通していた。

 ネットの政治情報も新聞記事が元になっているケースは多い。同時に、ネットでは新聞などの報道内容に対する他人の反応も判断材料になる。それはアルファブロガーとよばれるネット論壇の著名人たちの投稿だったり、ミクシィやツイッターに流れる友人の日記だったりする。ネットのコミュニケーション空間では、新聞やテレビの情報をそのまま信じるのではなく、批判的にみるというフレームが自然に形成されており、それが態度保留という反応をもたらしているのではないだろうか。

 多くの新聞愛読者は購読している1紙しか読まないだろうし、そこに書いてあることが本当と思っている人は多い。新聞は信頼性の高いメディアであるとよくいわれるが、それが批評的に読む力を削いでいるとしたら皮肉である。

 テレビ報道もまた時代の主流に沿った情緒的なムードを増幅する機能がある。読売新聞の継続的な研究では、テレビ視聴時間が長い人ほど、郵政民営化を争点に自民党が大勝した前回の総選挙では自民を支持し、政権交代が争点の今回の総選挙では民主を支持する傾向がみられたそうだ。

◆若年層と高齢層との情報ギャップの顕在化

 情報源の変化についてはさまざまな調査で検証されている。カタカナ言葉の浸透や慣用句の意味の取り違いなどを毎年調査している文化庁「国語に関する世論調査」では、メディアの影響も継続的に測定している。9月に発表された最新の調査レポートでは、「毎日の生活に必要な情報を何から得ているか」という設問について、01年と08年のデータが比較されていた。掲載した図は、01年と08年の比較を年齢別にみたもので、ネットが上昇するのは当然としても、新聞の減少ボリュームがネットの増加分のボリュームと同じくらい大きい。若年層ではその変動がより大きいため、結果的に01年時点よりも情報源に関する世代間ギャップが拡大している。

 新聞記者出身のジャーナリスト佐々木俊尚氏は近著『2011年 新聞・テレビ消滅』(文春新書)のなかで、新聞の抱える問題を「どんどん読者が高齢化し、紙面もそれにあわせて高齢者向けになり、それがさらに若い読者の離反を招くという縮小再生産のスパイラル」と指摘した。文化庁の調査結果をみても、新聞読者は急速に高齢化しているのが現実だろう。若年層は新聞に何が書かれているかわからず、高齢層はネットで何が議論になっているかがわからないというケースが、今後さらに顕在化するだろう。

 電話世論調査(RDD調査)という手法はどうしても高齢者やテレビ・新聞接触率が高い層の構成比が高くなる。鳩山内閣の高支持率は、情報を批評的に読めるネット上のリテラシーの高いグループを把握できていないためではないだろうか。ネットアンケートに表れたような、民主党政権に対して厳しくチェックする人たちの動向も継続的に把握していくべきだろう。(「ジャーナリズム」09年11月号掲載)

   ◇

萩原雅之(はぎはら・まさし)

トランスコスモス株式会社エグゼクティブリサーチャー。

1961年宮崎県生まれ。84年東京大学教育学部卒。日経リサーチなどを経て、99年から約10年間ネットレイティングス代表取締役社長を務める。2009年8月より現職。

URL:http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY200911050306.html

この記事へのコメント

  • 日比野

    監督様。
    申し訳ありません。該当画像は削除いたしました。
    2015年08月10日 16:50
  • paka

    安倍元総理が、携帯受信のみですがメルマガを発行されていて、数ヶ月前に登録して読ませていただいています。
    本日、オバマ=鳩山 会談についての興味深い記事が配信されました。
    元総理としての安倍さんの意見、安倍さんのHPから見られます。

    なお、メールでは政治報告もされており、それはバックナンバーには乗らないのですが、「真・保守政策研究会」の会長になられたこと、先の総選挙で「80人以上いたメンバーが45人に減少していましたが、再出発にあたり、新入会員を加えて74人となりました。」とのことでした。

    お知らせまで
    2015年08月10日 16:50
  • 監督

    mixiでアレババという人に貴殿のブログを紹介され拝見いたしましたが、貴殿のブログは違反ではないですか?ポケモンの動画や静止画が貼り付けてありますが、これって著作権侵害になると思いますが、ネット社会の常識だと思いますがいかがでしょう?回答次第では映画は配給会社に通告いたします。
    2015年08月10日 16:50

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