公共投資とGDP


GDPを増やす方法について考えてみる。

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GDPの定義は次のとおり。

GDP 【国内総生産】フルスペル : Gross Domestic Product

 一定期間内に国内で新しく産み出された商品やサービスなどの付加価値(儲け)の総額のこと。略称はGDP(Gross Domestic Product)。「国土」に着目した統計方法で、国内に居住している日本人の生産量だけが統計される。国外居住の日本国籍の人の分も合わせたものは「国民総所得(GNI:旧GNP)」という。

 内閣府が作成、発表していて、経済を総合的に把握するための国民経済計算の中の一指標。

 GDPの伸び率が経済成長率に匹敵し、一国の経済の大きさを表している。


GDPって、単純にいえば、いろんな商品を売買したときの儲けの総額。

例えば、あるスーパーが100円で仕入れた大根を110円で売ったとすると、差し引き10円の儲けが出る。この10円の利益を上げたスーパーが全国で3万店あるとすると、スーパーのGDPは、10円×3万店=30万円。

同じように、車とか家電とか、いろんなサービスや商品で上げた利益のうち、国内分を全部足したのがGDP。各国は、こういう計算を四半期毎とか年毎にやっていて発表している。

GDPが増えるとか成長しているというのは何かというと、国内の儲けが増えているということだから、その儲けを誰かが独り占めしない限り、まわりまわって、国民が豊かになっていることを意味してる。

GDPが増えるためには、ものすごく単純化して言えば、商品の取引量全体、株でいうところの出来高が増えればいい。

普通、商品の値段(定価)には「利益分」が含まれているから、売れれば売れるほど、儲けも足し算で増えてゆく。だから、一般的に好況のときにはGDPは増大して、不況のときにはGDPは減少する傾向にある。

そのためにはどういう方法があるかというと、大雑把にいって次の二つの方法がある。

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ひとつは、市場を開拓して広げることで、売買高を増やしていく方法。いわば、田んぼの作付け面積を増やしていって、収穫量を増やそうという発想。

もうひとつは、消費サイクルを活発にして、回転を上げることで売買高を増やす方法。いわば、田んぼの作付け面積は増やさなくても、二毛作とか三毛作をして、単位時間あたりの収穫を増やすことで、トータルの収穫高を増やそうという考え方。

前者の「田んぼの作付面積」を増やして、GDPを増やす代表的なものは、公共事業や企業などの設備投資。文字通り、新しく田んぼを作るというやり方。

これまで日本では、特に、社会インフラ整備の需要が高かった、高度経済成長期などを中心に、政府公共事業としての公共工事が、景気・雇用対策として使われてきた。

ところが社会インフラが整備されてくると、工事して道路を作るのはいいけれど、タヌキしか走らないような、誰も使わないところにしか作るところが無かったり、天下りや利権の問題があったりして、批難されるようになってきた。

自治体問題研究所の試算によれば、一兆円の投資に対する、社会保障、医療・保険、公共事業のそれぞれの生産効果は、どれもおおよそ、2兆8千億円で大差なく、雇用効果は、社会保障、医療・保険が公共事業のそれを上回り、社会保障に至っては、公共事業が約20万人の雇用効果に対して、社会保障は約29万人とおよそ1.5倍にもなるという。

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生産効果の内訳を見ると、医療・福祉分野への公共投資は、公共事業と比較すると、直接の経済効果 ( 一次効果 ) は公共事業に及ばないものの、一次効果によって生産が促進された各部門の雇用者所得増による経済波及効果 ( 二次効果 ) と、二次効果による経済波及効果 ( 三次効果 ) は、公共事業を上回り、トータルでは同程度になる、ということのようだ。

民主党の政策スローガンである「コンクリートから人へ」というのは、このあたりを念頭にしていると思われる。

だけど、医療・福祉分野への公共投資が、直接の経済効果(一次効果)という面において、公共事業のそれに及ばないのであれば、今のように、緊急の対策を要するような世界的不況の最中では、「コンクリートから人へ」の切り替えに慎重を要することはいうまでもない。

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画像日本における公共事業 [編集] Wikipedia

公共事業費の動向 [編集]
日本政府の一般歳出の公共事業関係費をみると、高度成長期には他の項目同様、名目数値ながらに年率10%以上のペースで増加を示した。ただ、政府の財政悪化から第2次橋本内閣時に削減が計画されたが、関係官庁や建設業界、社会資本整備が遅延することを懸念した地方の反発を受け、また景気の悪化により、改革は実現しなかった。その後、小渕内閣時には一転して景気てこ入れ策の一環として、地方に公共工事の上積みを求め、この時発行した地方債の償還が後に地方財政の悪化を招く結果の一つになったと言われている。2002年度(平成14年度)からは、改革を掲げた小泉内閣の一連の施策により、公共事業関係費は毎年減少を続けている。政府が2006年7月に閣議決定した「骨太の方針2006」に盛り込んだ歳出入改革案においても、今後5年間で1 - 3%ずつ削減していく方針が明記されている。このため、現在公共事業費はピーク時の半分に減少し、今なお減少傾向にある。

過剰論 [編集]
削減が図られているものの、依然として多額に上っている。GDPに占める公的固定資本形成の割合をみると、1970年代には約10%で推移していたが、1980年代に入ってからは緩やかに低下し続け、バブル崩壊後には再び景気対策としての事業が進み、再びその比率は上昇した。その後、財政改革から6%前後にまで低下しているものの、欧米諸国は1.5 - 3%の範囲に収まっており、なお先進国中突出した割合である。面積比に至っては、米国との比較は無理にしても、欧州各国の10倍となっている。

ただし、こうした比較は、大陸と比べての日本の急峻な地形、台風の飛来、豪雪の発生、世界有数の地震国といった地勢的要素(同一機能を持つ施設を作ろうとしても、構造を強固にするために諸外国よりも単価が高止まりせざるを得ない)のほか、大陸より多い人口密度といった要素を無視した議論であることにも留意しておく必要がある。もっとも、人口密度が高ければ人口比で見ると効率的に整備できるはずなので、地域圏内での整備に限ってみれば、むしろより少ない比率で済むはずではないかという反論もある。また、整備率という観点でみた場合は(算定根拠となる整備計画の妥当性を割り引いて考えても)現在も欧州に比べて劣る状況を踏まえた場合、「高速道路を造りすぎ」というのは、批判のための批判になっているという見方もある。

なお、経済統計上の「公共事業費」と「公的固定資本形成」との違いについては、公的固定資本形成を参照のこと。

波及効果・景気対策 [編集]
近年日本においては経済の成熟化によって公共事業の経済に占める割合が低下し、このことで直接的な経済波及効果が低下しており、景気対策としての効力は低下しているとの研究がみられるが、1998年から2000年にかけて行われた景気対策としての公共事業費の増加は直接的な経済浮揚効果をもたらしているという評価もある。一方で、公共事業のために建設国債などの債券を発行した場合、本来であれば公共事業に起因する経済発展により税収増で債務が償還されるべきものであるが、これが機能しないと政府の赤字が拡大し、債務の償還のために増税を行った場合には増税による経済への悪影響が生じ、トータルではプラスにならない可能性もある。公共事業費削減を続ける2004年から2006年にかけて、ゆるやかながらも景気が上昇傾向を示しているという指標もみられるが、高所得者のみが利益を享受し、低所得者のさらなる貧困化が進んでいると、公共工事による所得分配機能の低下を問題視する見方もある(もっとも、公共事業に携わる建設業においても、企業内での利益分配が十分でなく、現場の労働者の給与は低いという反論もある)。

特に、第一次産業や観光業など天候や景気に左右されやすい産業が主で、過疎地を多く抱えている自治体(特に北海道、北東北、山陰、東九州)にとっては公共事業の減少は「死活問題」となっており、これらの自治体は「公共事業が主要産業」とも揶揄されている。しかしながら、これはプラザ合意以降、日本銀行が為替介入や通貨供給量を絞るなどの手段で円高誘導したため地方に立地すべき工場が海外に流失、地方が産業空洞化して(円高のため円建て価格が不変でも、ドル建てでみると賃金・農産物価格・家賃が3-4倍に高騰して、工場が海外に流失した)地方の失業が深刻であるという背景がある。(2009年現在迄、日銀が円高・デフレ政策を取ってきたのは、インフレを織り込んでいない日本の金利システムでは、インフレは資産家に不利だからと言われている。しかし、「都市資産家のために国家の統合と地方の雇用を犠牲にしている」と言う批判もある)

また、公共事業により整備された高速交通網によってストロー効果をもたらし、むしろ周辺地域の地域経済を疲弊させるのではないかという視点もある。

一連の批判に対し、1990年代には社会福祉、情報通信基盤投資の波及効果との比較を試みる研究がなされ、また国土交通省や建設業界等からは反論するデータも出されている。また、「国土計画」という観点に基づく長期的視野で考えた場合の波及効果が考慮されていないことに批判的な見方もある。しかし、波及効果が本当に生じるのか疑問も呈されている。

URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E4%BA%8B%E6%A5%AD



画像公共事業の縮小で年間6兆円の税金節約

医療・福祉は経済効果をもたらし、公共事業より多くの雇用を生む

 従来、公共事業は雇用を生み、景気を回復させるために必要不可欠であるといわれてきました。その一方で、医療・福祉などに対する公財政支出は、経済発展を阻害する、単なる「金食い虫」とみなされてきました。     しかし、実際には全くそうではありません。さまざまな調査・研究で、医療・福祉分野への公共投資は高い経済効果を生み、公共事業を大きく超える雇用効果を生みだすことが明らかになっています。以下、その一部を紹介します。

社会保障 ( 福祉など ) 、医療・保健と公共事業の経済的効果

 投資が直接及ぼす経済効果 ( 一次効果 ) は公共事業の方が高いのですが、一次効果によって生産が促進された各部門の雇用者所得増による経済波及効果 ( 二次効果 ) 、二次効果による経済波及効果 ( 三次効果 ) は、社会保障や医療・福祉のほうが高くなっています。すなわち、社会保障や公共事業は単に経済効果を生むだけでなく、多くの人々・分野に対してその効果をおよぼすのです。

 社会保障の雇用効果は、公共事業の約 1.5 倍となっています。 br />  特筆すべきは、社会保障分野は女性の雇用を多く創出することです。老人ホームなどで、多くの女性が活躍できます。さらに、保育園の充実は働く女性を支え、女性の労働人口が増加し、高い経済効果をもたらします。

URL:http://wiki.tokyolife.jp/wiki/%E5%85%AC%E5%85%B1%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%81%AE%E7%B8%AE%E5%B0%8F%E3%81%A7%E5%B9%B4%E9%96%936%E5%85%86%E5%86%86%E3%81%AE%E7%A8%8E%E9%87%91%E7%AF%80%E7%B4%84

この記事へのコメント

  • 美月

    不況になると、どうしてもお金の循環が滞るので、収入が如何なるものであるかにもよりますが、個人個人で努力するのでは、やっぱり活動レベルに限界がありますね。それで公共事業が活用される…というのに、納得です。何だか「貨幣流通=血液循環」みたいですね。となると「心臓」って、まさか…。公共事業のありようが、時代によって変わりえるのかどうか、そこがポイントであるような気もしてきました。
    つくづく現代経済のスタイルも、一旦マスコミを離れて、冷静に現実の両面を見ないと分からないものですね。お勉強になります(お恥ずかしい事に、GDPって今までチンプンカンプンでした)…^^;
    2015年08月10日 16:50

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