曇りなき 心の月を さき立てて


民主党は、地方から政府への陳情窓口を党側に一本化する方針を固めたとの報道があった。

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この陳情のルール化は、小沢一郎幹事長が指示したという。地方からの陳情は幹事長室に集約して、優先順位を付けて政府に伝えることになるようだ。

以前「剛腕幹事長の狙い」のエントリーで指摘したけれど、どうやら、地元の民主党議員を突き上げても埒が開かなかったようだ。剛腕幹事長は、やはり混乱を放置することで、財界や地方が泣きついてくることを待っていた可能性がある。今回の陳情窓口一本化は、そのタイミングからみて、おそらく満を持してのことかと思われる。

陳情は、幹事長室に集めて、「優先順位を付けて」政府に伝えるとのことだけれど、陳情なんかの様々な要求をどこかに一元化するということは、その集約先の胸先三寸でどうにでもなる、ことを意味してる。

身も蓋もない言い方をすれば、君のところの陳情に対して「口きき」してやるから、自民支持なんかやめて民主党支持にまわれ、なんて迫ることだって在り得る。特に、全国規模の業界団体などの陳情は、党本部が窓口になるそうだから、益々、団体の支持とバーターで陳情を聞いてやる、という昔ながらの利権政治になる危険を秘めている。

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だから、その陳情の「優先順位」を何に従ってつけるのか、その基準は何か。それを明確にして広く検証できる形にしておかないと、たちまち利権の巣になる可能性がある。

集約された陳情をたとえば、国会なり、与野党含めた委員会なりでオープンに討論できれば、まだそうした弊害は多少なりとも緩和される余地があるのだけれど、政府の行政刷新会議の「事業仕分けチーム」を当初32人だったところを、新人が入っていると横やりを入れて、結果として7人にまでさせた剛腕幹事長だから、その見込みは薄い。

この、陳情窓口の一本化で、確かに族議員はなくなるかもしれないけれど、今度は、業界団体が丸ごと民主党「族」になり果ててしまうかもしれない。

というより、むしろそうやって、自民党の支持母体を切り崩して、完全に自民党を叩き潰そうとしているかにさえ見える。

そうして、どれが民主に転ぶか転ばないかを見極めたところで、政府に圧力を掛けて、一気に現実路線に転換させたとしたらどうなるか。

国民は安堵して、民主支持団体は喜ぶ、民主指示に転ばなかった団体は、恐れおののき、ひれ伏してしまうかもしれない。そして、剛腕幹事長の権力は絶対的なものになる。

そうでなくても、政治家は権力を握るもの。ましてや与党の実力者となれば、尚のことそう。

ゆえにこそ、権力者は、自らの心の曇りを取り去り、その月明かりで浮世の闇を照らしてゆかなきゃいけない。

剛腕幹事長の狙いは、予測どおりに着々と進んでいる。今後、各業界団体がどういう動きを見せるのか、注目したい。

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画像陳情窓口、党に一本化=政治主導へ新ルール-民主

 民主党は政府への陳情について、原則として各省庁では受け付けず、窓口を党側に一本化する方針を固めた。鳩山政権が掲げる政治主導を徹底するためで、2日にも役員会で新ルールを決定、早期に実行に移す考え。地方自治体の首長らが手土産を携えて各省庁に押し寄せる、年末の「霞が関」の風景は一変しそうだ。
 陳情のルール化は、小沢一郎幹事長が指示した。地方からの陳情はすべて各都道府県連で受け付け、幹事長室に集約。担当の副幹事長らが内容を精査し、優先順位を付けて政府に伝える。議員による各省庁への個別の働き掛けを禁止して、「族議員」化を防ぐ狙いがある。全国規模の業界団体などの陳情は、党本部が窓口となる。
 小沢氏としては、陳情処理を党で一手に取り仕切ることで、来年夏の参院選に向けて首長や業界団体の取り込みを図る思惑もありそうだ。 
 こうした党本部の動きを受け、都道府県連でも新たな試みが始まっている。岡山県連は、原則として東京では陳情者の面会を受け付けない方針を決めた。「地方自治体など陳情する側の旅費が浮き、経費節減につながる」(津村啓介県連代表)との理由からだ。
 鳩山政権発足後、各省の閣僚など政務三役には面会の申し入れが殺到しているが、業務に追われて対応し切れていないのが実態。このため、自治体などから「誰に要望すればいいか分からない」との声が相次いでいた。(2009/11/01-14:52)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009110100051



画像小沢氏立腹で「事業仕分けチーム」全面見直しへ

 平野官房長官は26日、国会内で民主党の小沢幹事長と会談し、政府の行政刷新会議が設置した「事業仕分けチーム」の人選を全面的に見直す方針で一致した。

 政府が党に断りなくチームのメンバーを決めたことに、小沢氏が立腹、仕切り直しとなったものだ。「内閣一元化」を掲げる鳩山政権だが、実際には政権運営の主導権は党が握る「党高官低」の構図が浮き彫りとなった。

 平野長官は26日夕の記者会見で、小沢氏との会談について「謝りました。政府として私の窓口機能、あるいは担当大臣との連携が不十分だったことについて、『申し訳ありません』と素直に」と述べ、仕分けチームの件で小沢氏に謝ったことを明かした。

 仕分けチームは、予算を削る対象の担当省庁ごとに3チームに分かれ、当初のメンバーで23日に聞き取り作業に着手したが、2チーム分の作業が終わったところで党側が異議を唱え、中断された。

 小沢氏が機嫌を損ねたのは、党を預かる立場の小沢氏の了承を得ないまま、仕分けチームが民主党議員32人を含めて発足し、しかも衆院当選1回の新人が14人も入ったことだ。

 小沢氏は26日の記者会見で「僕だって(議員を)40年やって、分厚い予算書を見て、何がいいとか悪いとか簡単に判断できない。プロセスも党が知らない間に進んだ」と行政刷新会議側への不満を隠さなかった。仕分けチームの仕事によって、小沢氏が新人議員に求めた、再選を目指した選挙区での活動重視の姿勢が崩れかねないとの思いも、不満の背景にあったようだ。

 政府側には、2010年度予算の概算要求が麻生政権でまとめたものをやり直ししたことで遅れたため、「早急に要求を点検し、削減しないと、12月の予算編成に間に合わない」という焦りもあり、「仕分けチームを早く軌道に乗せたい」と、党への根回しが遅れた。

 仕分けチームの統括役を務める枝野幸男・元政調会長と仙谷行政刷新相がともに、小沢氏の政治手法に批判的だったことから、「小沢氏は仙谷氏らの邪魔をしたかったのではないか」といった憶測も呼んでいる。

 一方、今回の仕分けチームの人選を巡るゴタゴタは民主党内で小沢氏への権力集中が進んでいることを印象づけた。行政刷新会議側に根回し不足の「非」があるにせよ、小沢氏の不満で人事がただちに白紙に戻された格好だからだ。「小沢氏に面と向かって反論できる議員は党内にいない」ともささやかれている。

 鳩山首相も26日夜、東京都内のホテルで開かれた民主党新人議員懇親会で「ぜひ、日夜、小沢幹事長の指導の下で励んでいただきたい。今日はそのことだけお願いに来た」とあいさつ、小沢氏に対する気遣いを見せた。

(2009年10月26日21時55分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091026-OYT1T01152.htm?from=nwla

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