鳩山首相の退屈な会見に対して、質疑を見ると、なかなかいいものがあったと思う。いくつか列挙してみる。
Q1.議員バッジを付けていないようだが、その意味があるなら?
Q2.過去に秘書の責任は国会議員の責任だと言っていた。今回の発言の整合性は?
Q3.今回の責任の取り方について何を考えているか?
Q4.今回の件で国民が許さなければ辞めるのか?
Q5.国民のどういう声があれば、許してくれたと考えるのか?
Q6.「鳩山システム」についてはどう考えるのか?
Q7.自分の言葉の軽さについてはどう思うか?
Q8.責任を果たすとか、国民の期待に応えたい、とかは政治家の常套句だ。他の責任の取り方はないのか?
Q9.部下の問題は上司の責任、という結果責任の観点からはどう考えるのか?
Q10.自分の政治資金の使途を把握できないのに、一国の総理大臣が務まるのか?
Q11.国民の支持が無くなったら責任を取るというが、総辞職か解散かどちらなのか?
結構質問は頑張っていたと思う。過去のブーメラン発言と、今回についての責任の取り方、鳩山システムから、自分の発言の軽さをどう考えているか、など、国民が不満に思っているであろうことを大体、質問していると思う。
これらに対して、きちんと納得のいく説明をしなければ、国民は理解してくれないだろうことは容易に予想できる。
これらに対する鳩山首相の答えは次のとおり。
A1.バッジは国会の中でつけるべきものだと思っているから、国会の外では基本的につけないようにしている。他意はない。
A2.あの発言は「私腹を肥やしたり、不正をする」のを黙認する事に対してのものだ。今回のケースには当たらない。
A3.政治を遅滞させてはならない。辞めないことが責任の取り方だ。
A4.鳩山辞めろという声が圧倒的になった場合は、聞かなきゃならんだろう。
A5.政権運営を続行しろという支持だ。
A6.訴追されればそれを受ける。鳩山システムは使わない。
A7.過去の言葉について言い訳しない。信じてくれないかもしれないが記者会見の開放はやる積りだ。
A8.大きな支持を受けて政権交代を果たした。だから辞めない。
A9.結果責任がないとは思ってない。辞めないことが責任の取り方だと結論を下した。
A10.把握していなかったのは事実だと言う他ない。
A11.まだそんなことは全く考えてない。
A1については、御本人は自分で何やら格好良いことを言っているのかもしれないけれど、一国の宰相の発言としては適当じゃない。首相は24時間公人なのだ、という意識がない。総理は普通の勤め人とは違う。プライベートなど原則ない。なぜなら、総理は国民全部の生命と財産を守る責任を負っているから。
災害も戦争も、時と場所を選んでなんかくれない。昔、不祥事を起こしたどこかの社長は「私は寝てないんです。」なんて発言して、周りを激怒させたことがあったように思うのだけど、民間会社の社長ですらそうなのだから、日本の総理ともなれば、何をか況や。厳しい言い方になるけれど、総理は、寝不足だろうがなんだろうが、国民のために24時間身を捧げるべき存在。畳の上で死ねれば幸運の極み。その責任の重さゆえ、絶大な権力を国民から預かっている。
A2については、典型的なすり替えだろう。秘書の責任は政治家の責任といっておいて、その責任は私腹を肥やしたときだ、と責任の定義の矮小化をしている。野党時代に「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきなのです」と言っている。
罪は定義を矮小化することはできない。なぜかというと、罪は法に照らし合わせて、判定されるから。個人が私腹を肥やすつもりがあろうがなかろうが関係ない。罪は罪。その罪に秘書が問われた時点で、自動的にその罰を政治家が負うべきなのだ。野党時代の自身の発言を撤回しない限り。今回の質疑でも過去の発言は否定しない、と言っているのだから、まだ撤回はしていないのだろう。であれば、秘書の罪に対して、御自身が如何なる罰を受けるのか、それを答えなければいけない。
A3は、何の冗談なのか。何も決めない先送り首相と散々指摘されているのに、政治を遅滞させないために辞めない、という。もう既に遅滞しまくっている。続けたところで、何がどう進展するのか疑わしい。
A4以降は繰り返しなので、とりあげないけれど、一点注目したいのはA6の「鳩山システム」は使わない、と発言した部分。これが本当であれば、この部分に関してのみ潔いと評価できる。
ただ、記者の質問にもあるように、「総理がいくらきれいな言葉を並べても、また鳩山さんがうそをついているとしか世の中は取りません。」ともう思われている。
会見まで開いて殊勝なことを言っていても、その発言自体が信用できないものだから始末に負えない。
「『クレタ人は嘘つきだ』とクレタ人が言った。」という有名なパラドックスがある。これは、自己言及のパラドックスとも呼ばれるもので、自己を含めて言及しようとすると発生するパラドックスのこと。
もし,『クレタ人は嘘つきだ』が正しいなら、クレタ人が発した『クレタ人は嘘つきだ』自体が嘘になるから、クレタ人は嘘をつかないことになって、『クレタ人は嘘つきだ』が正しいという仮定と矛盾する。
また、『クレタ人は嘘つきだ』が嘘なら、クレタ人は嘘をつかないことになるから、今度は、『クレタ人は嘘つきだ』が正しいことになってしまって、『クレタ人は嘘つきだ』が嘘という仮定と矛盾する。
『クレタ人は嘘つきだ』の真偽がどちらに転んでも矛盾が起こる。これが「クレタ人のパラドックス。」
もちろん、鳩山首相はクレタ人ではないけれど、このパラドックスは、自分で自分に言及する限り発生する。たとえそれが宇宙人であったとしても。
鳩山システムは使わないと、うそつきだと思われている御身が仰っても・・・ねぇ。
←人気ブログランキングへ
首相「説明できないことがもどかしかった」 会見質疑応答 2009年12月25日0時50分
【質疑応答】
――この記者会見は内閣総理大臣ではなく衆議院議員として開いたと聞いた。意味するところは。議員バッジを付けていないようだが、そのことにもし意味があるなら。
「はい。お答えをいたします。これは総理大臣としての行為ということではなく、1人の政治家鳩山由紀夫という国会議員としての、政治資金問題だという理解でございまして、そこで今日も司会も政府関係者ではない方に、奥村(展三)総務委員長にお願いをしたところでございます。また、わたくしはバッジは国会の中でつけるべきものだと思っておりまして、国会の外では基本的につけないようにしておりましたので、そんな他意はございません」
――過去に秘書の責任は国会議員の責任として辞任を求めたケースがあった。そうした発言と今回の発言の整合性は?
「わたくしは先ほど申し上げましたように、過去の発言に対して、そのことを否定するつもりはありません。逃げてはいかんと思っております。事実は事実として申し上げたいと思います。ただ、わたくしがその、過去の発言というものを顧みて思っておりますのは、私腹を肥やしたり、不正の利得というものを陰でいろいろと見ていながら、それを黙認、公表しないというような事象が中心であったと、そのように思っておりまして、先ほど申し上げましたように、今回の件に関して、そのような私腹を自分が肥やしたという思いは一切ないと。不正な利得を得たぞという思いも一切ないものでございますので、わたくしは責任の取り方として、先ほど申し上げましたように反省すべきところは当然反省をいたします。改めなければならないところも多々あると思います。しかし、今、政権交代をしろと多くの方々がご支持いただいたこの連立政権の歩みを止めるわけにはいかんと、その思いのもとで苦しくともこの身を、職を投げ出さずに存続していただきたい。この思いを決意として持っているところでございます」
――もし首相でなかったら、議員を辞めていたということか。また、今回の責任の取り方について、具体的に形として考えているものはないのか。
「仮定のことでありますので、いま十分お答えできないかも知れませんが、わたくしは過去の発言というのは確かに、自分なりに発言したことは理解しております。くどいようですが、自分のポケットマネーを増やすとか、そういう私腹を肥やすために秘書が犯したことでないと、そのように確信しておりまして、そこの意味において、今までのわたくしの過去の発言と、今回のわたくしの事象との間で違いがあるのではないかと思っております。したがって、仮定のことで答えることはできませんが、どのような立場に立っていたらこの職業を降ろしていただくか、あるいは議員を辞めたかということになると、辞めていない可能性もあると、このように考えております。それから具体的な責任の取り方ということでありますが、これは当然、2人の人間に対しての処分の仕方というのがあるわけでありますが、わたくしとしてはいま政治の遅滞を許すことはならないという思いのもとで、少なくとも、しっかりと新たな決意で行動することが責任の取り方だと、そのように考えているところでございます。国民の皆さんがどこまでご理解されているか、それはわかりませんが、それこそ初心に立ち返って真剣に仕事をおこなう姿をお認めをいただくことによって、ある意味でご理解を深めて頂くしかないかと、このように思っております」
――税金の使い方を決める最高責任者が結果として6億円を免れていた。一部世論調査では8割の人が納得していない。今後、国民が納得していないと感じれば進退を考え直すことはないか。
「結果としてこのような形になったということが判明をいたしました。でも、ご案内の通り、これは普通の家庭であれば、母親から1カ月に1500万円という、その巨額のことだけでもとんでもない話だと、知らないはずがないだろうという思いがあると思います。で、わたくしもなぜ母も黙っていたんだろうと、このことは今更のように思います。ただ迷惑をかけたくないと、余計な心配を重ねてやりたくないという親心だったと思います。皆さん方に、たぶん国民の皆さんにもそのことがおわかりにならないと思いますし、なぜという気持ちがわたくしの中にもまだ抜けてはおりません。したがって、まだお礼もおわびも母にも伝えることができておらないというところでございます。したがって、国民の皆さんがなかなか信じていただけないというのはわたくしにもわかります。事実は事実として正直にお伝えをしなければならないということで、お伝えを申し上げております。だから、いまお話がありましたけれども決して免れたいということでなかったわけであります。結果としてそうなっていたということであります。事実が判明した以上、法にのっとって、当然のことながら、こうなれば贈与ということになろうかと思いますので、贈与税を支払わせていただくということ、行わしていただくということでございます。ご理解をいただけないかも知れません。わたくしとしては、この説明を自分なりにできる限り尽くしてまいりたい、そう思っております。それでもご理解をいただけない、鳩山辞めろという声が圧倒的になった場合、わたくしはやはり国民の皆さんのお声というのは尊重しなきゃならない、そのようには感じております。そうならないように、努めてまいりたい、そう理解しております」
――それだけ巨額のお金をどう使ったのか。その中におかしなお金があったのではないかと思ってしまう
「あまりにも巨額なので、そのようなお考えになることもわからないわけではありません。ただわたくしは、勝場がどうしてもわたくしからだけでのお金では足りなくなったということで、経理のうそということでわたくしは直接か間接かわかりませんが、ついていたと思う。それは決して何か不正なことをやりたいということではないとは信じております。むしろ、トータルとしてお金が足りなくなったと。鳩山は裕福だから鳩山のところにお金を寄付してやろうという方がなかなか現れなかったのかもしれません。いろんな努力が足りなかったのは事実だったと思いますが、圧倒的に足りなくなったという状況の中で、これを埋め合わせるためにやったと、わたくしは理解をしたいと思います。それとも具体的な、いまいちどのようなところに使われているかというところに関しては、むしろわたくしには細かいところがまだわかっておりません。むしろ、弁護士の方からお話しいただければと思います」
――政権で難題が山積のなかで、政権運営にどう影響を与えると思うか。
「すべて政権運営に全く影響がないとは思っていない。それだけに色々とご迷惑かけることもないとは思わない。しかし今、政治空白を招くよりも、しっかりした責任をはたす方が、より政権運営にとってではないかと考えている。極力、従って国民のみなさんに、この問題に対して説明責任を果たすよう努力はしているが、このようなことを行う中で、国民のみなさんにご理解を深めていただくことに尽きるのではないかと思う。あるいは国会の場で、様々あろうかと思うが、そこはしっかり行動して、むしろ前向きに政権運営を進めていく。国民のみなさんのために、しっかりと社会保障の問題とか、予算の問題など議論通じて、この政権のすばらしさが出るようにご理解深めて頂くことが肝要ではないかと思う」
――世論調査で総理が説明責任を果たしていないが過半数。国民が理解した、と判断される基準は。
「私は、この、いくら真実を正直にお話し申し上げても、この種の問題はなかなか国民のみなさんにわかったとご理解いただけないことだと思う。ただ事実は事実なものですから、私は事実を正直に今日もお話し、わかっていることはすべて自分の思いを申し上げているつもりだ。なにせ額が大きいとかいうことも含めて、また、なぜ勝場がこのようなことを行ったのか原因もまだご納得頂けないかたも多いと思う。従って説明責任も、私はいくらも正直にお話を申し上げているつもりだが、なかなかわかったと言って頂けないのではないかと、そのことは大変つらい思いがある。そのことと合点がいかないなということと、しかし、でも政権運営はしっかりやれよという思いも、また必ずしも同じではないと思っている。しっかりがんばれよと言うお気持ちをどこまで国民のみなさんにお示し頂けるかということを一つの基準に考えたいと思う」
――総理の原点はクリーンな政治を掲げてきたが、それへの影響は
「私自身、全くこのようなことが行われていることを理解してなかった。その意味で、クリーンな政治を行いたいと言ってきた私にとって、まさに汗顔のいたりだ。従って、こういうことも起きるということも、自分自身の反省として学ばせていただく中で今まで以上にどうすればよりクリーンな政治が行われるのか。一方では、企業からいろんな思いも含めて献金を受けることよりは、個人の方々からよりクリーンな献金、寄付をして頂くことの方が、私はよいという判断を、党としても判断した。その方向はこれからも変えていくべきではないと基本的にはそう思っている。それは、献金を受けていないのにもかかわらず、受けたように虚偽記載したという事件だ。それだけに、このようなことが起きないような仕組みを、より厳しく作り上げていかないとならないのは事実だ。しかし、方向性として、様々な企業団体の要望を受ける政治と、それによる献金の政治のなかで、癒着が行われてきた経緯がある。そこはやはり絶たないとならない。私どもとすれば、基本的な方向性は曲げずに進めていくべきだと考えている」
――使い道だが正当に使われたと信じているというが、どのようなことに使ったのか。クリーンだったのか、どうしても説明が必要だ
「そのことが、もし国民のみなさんの疑念に強くあるなら、やはり調べて私どもから何らか調査する必要があるかもしれない。ただ、弁護士からお話あったように、すべて領収書なども含めて提出すべき資料は提出を申し上げているところ。検察の判断として、そのような支出に不正はなかったという風に理解したいと思っている。そこに何らか問題というものがあるかどうかも含めて、必要ならばとの思いはあるが。この件に関して、弁護士から一言あるとすればどうぞ」
弁護士「今の段階では、これ以上のことを今の段階で申し上げることはない。これから公判があるので、私どももきちんとみてみたい。そのなかで、私どもが調べないとならないこと、あるいは勝場さんの弁護士さんから、もう一度聞くか、必要な時はやっていきたい」
――政治家個人としてというが、総理として憲法上訴追を同意ないと受けない特権的地位にある総理が在任中に捜査対象になった責任はどう考えるか
「憲法の問題については、これは私は検察の捜査にすべてをゆだねる、すなわち、検察の判断にすべてをゆだねる、すべての必要な限りの情報を提供して、検察で正確にご判断を頂きたいということで捜査に協力してきたし、その判断にゆだねる。従って、たとえ総理の身であったとしても、訴追をうけることがあればそれは当然受けるべきだと判断して参った。すなわち、検察に身をゆだねて参るということを申し上げて参ったところだ」
――鳩山辞めろの国民の声が圧倒的になればその声を尊重すると述べた。鳩山に任せられないとの国民の声が多くなれば総理を辞任するのか
「仮定の話だが、私はそうならないように最善を尽くして参りたい。先ほども質問に答えたが、このようなこと自分自身にとっても青天のへきれきというか、何でこんなことがという思いがあっただけに、なおのこと国民の皆様方にいくら説明してもわかってもらえない部分があろうかと思う。その思いが、それで政治が停滞し、こんなことではやってられないよというふうに国民のみなさまがたが本当にそのように多くのお気持ちが、そのような方向に傾いて参ったときには、当然総理職を続けていることが、国民のみなさんにご迷惑をかけることになろうかと思う。そうならないように、今私は努めて参りたいと思うが、万一そのようなことになった時に、もともと総理の職にかじりついてもやりたいという思いでいるわけではありません。しかし今責任を果たす道は、むしろここでしっかりと国民のみなさまがたから頂いた、日本の政治を大きく変えてくれという国民の気持ちに答えて参りたい。まだ辛抱づよく、国民のそのようなお気持ちを持っておられることを思いながら、続けさせて頂きたいと思う」
――今回の件で現職総理と政府与党の実力者である小沢幹事長2人ともが秘書の件で刑事事件を抱えるという異常事態だ
「率直な感想とすれば、非常に申し訳ないなという思いです。そして、なかなかこれから政権運営も厳しいぞと国民の皆さんもそう思っておられると思いますから、それだけになおのこと、しっかりと身を慎みながら、また、行動としては国民の皆様方の気持ちというものをしっかり受け止める政権運営をしていかないといけないという思いを強く感じているわけでございます」
――使い道が分からないとおっしゃるが、せめて友愛政経懇話会に使われた分、その他の政治活動、プライベートな支出の比率は
弁護士「まだ正確なことまで分かりません。おおざっぱに申し上げますと、北海道での北海道友愛政経懇話会と、北海道での鳩山由紀夫の個人としての政治活動、個人としての活動、これがだいたい1億円、年間1億円ということになります。秘書などの給与が6千万円台。これは東京の友愛政経懇話会が原則として負担している。その他もろもろの活動。実はもともと勝場氏のやり方というものが、これは友愛、これは個人の政治活動、これは全くのプライベートというきれいな分け方ではなくて、全部一緒にして収支をつけている。その中で友愛、それから個人の政治家の活動、プライベートの分、あとで振り分けるというやり方でやったもんですから、そこらへんのところが非常にはっきりしないという形です。いずれにしましてもそういうような残りの政治活動の分が、4千万円、だいたい2億円強というようにだいたい踏んでおります。だからその点に関しましては検察のほうがいろいろ調べていると思いますので、そこらへんまた私どもと少し違う認定をされるのか、そこはちょっと今の段階では私どもわかりません」
――この件が参院選にもたらす影響、それについての責任についての考えを。やめろという声が国民の中から高まったと判断するラインは。そのときには辞任なのか解散なのか
「参院選に対して全く影響がないとは考えておりません。やはりこういうことに対して、国民の皆さま方の厳しい視線というのは当然あると思います。ただ、この影響をこれから選挙までの間に極力ふっしょくするように最大限の努力をして参りたいと、そのように思っております。したがって勝敗ラインがどうだとか、いうことまで考えている、まだ段階ではございません。支持率がどのぐらいということに関しても、私が今、具体的な数字でそのような考えを持ち合わせているわけではありません。しかし、やはりこのままいったら政治が停滞をするという、そのようなときに、我を張ってでも続けることよりも、ひいたほうがという思いが、ある意味で自分の心の中に、そういった、私は国民の皆様方に、極力丁寧に、また正直に自分の思いを、できたら申し上げたいと、そのようにも思っておりまして、そのような中で今お話あったような事態に陥らないように、最善の努力をして参りたい、そのように考えています」
――首相は20年前に仲間の議員とユートピア政治研究会をつくり、政治に一体どれだけお金がかかるのかを明らかにした上で、お金のかからない政治を目指していた。当時の思いを振り返り、今回の事態をどのように思われるか。あのときの理念が今に生かされているとお考えか
「正直に申し上げれば、悔しいです。あそこで、あそこまで、ある意味で裸になった形で国民の皆様方にご批判を覚悟で、自分たちの政治にどのぐらいお金がかかるかということで告白をいたしました。そのとき、自分が一番使っていたことも判明をいたしました。そこで、私自身も反省をして、だからこそ、中選挙区制ではなく小選挙区制だという、選挙制度の改革まで立ち至ったことも事実でございます。しかし、小選挙区になったということで、本来ならば選挙区が小さくなったら経費も少なくなるだろうと期待をして、一時的にそのような、事務所としてもそのように傾向があったんではないかと期待をしておるんでありますが、必ずしもそうではなかったということは、本当に悔しい思いをしておりまして、お金がかからない政治をもう一度原点に立ち返って作り上げる努力をしていかなければいけないと、思い改めているところでございます」
――総理の言葉の軽さを指摘する向きがあるが、一例を挙げると秘書の責任は政治家の責任だと、私だったら潔く議員をやめるとおっしゃっていた。かつて民主党が政権についたら記者クラブはフリーだと、ネットメディアにも開放すると言っていながらその気配はない。総理がいくらきれいな言葉を並べても、また鳩山さんがうそをついているとしか世の中は取りません。自分の言葉の軽さについての見解を
「軽いと言われれば反省をしなければならないと思います。今お尋ねがありましたけれども、私は、従って過去の言葉に対しても言い訳をするつもりはありません。その上で今日、お話を申し上げました。それから、記者クラブというか、記者会見の開放に関しては、来年からもっと開放されるように、やるようにと申し伝えているところであります。本来であれば100日前に行われなければならないことでありましたが、なかなか諸事情、スペースの問題も含めて進んでいないことは申し訳なく思っておりますから、どうせ信じていただけないかもしれませんが、そのことに関しては私の決意は変わっておりません」
――民主党の重要な公約の中に、警察、検察の取り調べの可視化、総理は幹事長時代に小沢一郎代表の秘書が逮捕されたときに、国策捜査という言葉まで使われて検察の捜査のあり方、情報公開のなさを批判していた。今回、このような形で首相自らが検察の捜査の対象となったことで、民主党政権の検察、警察のあり方を改革する能力、方針に影響は出ることはないか。
「ひとことで申し上げますが、そのようなことで影響があってはならないと、そのように考えております」
――首相は先ほどから責任を果たすとか、使命を果たすとか、国民の期待に応えたいと言ったが、その言葉は政治家が問題を起こしたときによく使う言葉だ。この責任を果たすにはほかの方では果たせないのか。鳩山総理でなければ責任を果たせないという判断をされた理由は何か。
「それは、私でなければ、という思い上がった思いはありません。しかし、私が代表という状況の中で、国民の皆様方から、この問題はもうすでに起きていたわけではございますけれども、多くの支持をいただいて、政権交代を果たさなければいけない。そしてもっと国民本位の政治というものを作れという大きなご期待をいただいた。その期待に応えなければならないというのも、その大きな責任の一つだと思っているからこそ、その意味での責任を果たしたいと申し上げているのでございます」
――首相がこうやって会見するのは6月以来半年ぶり。この間説明いただけなかったのが残念だ。半年前と中身は同じで、秘書であった勝場がやったことで私は責任ないと。結果責任について話していない。部下が問題を起こすと上司が責任をとる。その観点から責任について説明を。
「それは、私の過去の発言もその趣旨で申し上げてきたと思っております。それに対してさきほどから申し上げておりますように、一つは過去の、秘書の責任は当然議員の責任であるという思い、責任は当然ないとは思っておりません。あると思っております。その責任の取り方をいかようにすればいいかということで、うなりながら考えた結論でございます。その結論として、私としては、この状況の中でしっかりと国民の皆様方のために、今まで以上にもっと正面に向き合いながら政治をすすめていくべきだという結論を私なりに下したところでございます。半年間、説明がなかったということでありますが、それはその半年間の中で、また検察の捜査が始まったり、あるいはその他に選挙があったりしたわけでございまして、何も隠したわけではありません。そして、前回と今回同じじゃないかという話がありますが、私は何一つうそを申し上げているつもりもありません。今私の知りうるすべてを正直に申し上げている段階でございまして、それがこのような言葉になってしまっている、なっていることは、ぜひともご理解を賜りたいと存じます」
――7年間で12億6千万円の首相の母上からのお金があった件について知らないとおっしゃっていたが、極めて不自然だ。7年間に、母上とコミュニケーションなり、どのぐらいの頻度で会い、どんな話をしていたのか。お金の話を直接することはほとんどないというが、少しはされていたということだと思うが、具体的にどのような話をしていたのか
「そこが、私にもなぜ母が一言も話をしなかったのかという思いは確かにないわけではありません。でも、それが不自然だといわれても、確かに不自然なんでしょう。しかし、事実は事実として正直にお話を申し上げているのでございまして、いくら国民の皆さんがそこのところがおわかりにならない、その通りだと思いますが、事実として、母から全くその話はありませんでした。1年に何度ぐらい会っていたかといえば、たぶん1年に1回か2回、母に会っていたと思います。母もかなり高齢になってきておりましたから、ある意味でのお見舞いのような形で行っておりました。しかしその中でも一切、母からはこのような話はありませんでした。私は、そのことを全く、したがって、勝場自身も母からはそのようなことはないと、私が問いつめてもそういうものですから、そういうものだと安心をしていたぐらいで信じ切っておったのも事実でございます。母とはそういう意味での金銭的な話は一切しておりません。むしろ勝場との間ではほとんどなかったということでございまして、すべて任せているから信じ切っていたというのがすべてでございます。お金が足りないというときに、金の話がそのとき、その都度は出ておりましたけれども、一切、そのような細かい話を秘書との間でもしたことがございませんでした。それがある意味ですべての過ちだといわれればその通りだと思います」
――元鳩山事務所に身を置いた者として、本日は極めて残念です。政治資金として当初扱ったと、(首相の母の)安子奥様から流れたお金ということだったと思うんですが、実際は贈与ということで鳩山さんのほうからも説明がありました。となると例えば平成19年度に平野官房長官に1千万円の政治献金が友愛政経懇話会から渡っていると。そのあたりの他の議員に配ったお金に関しての処理は今後どうされるのか
弁護士「大変申し訳ないんですが、私どもはそこのところ、何も考えていません。私どもとしては事実を調査しておりますので、今後そういうようなお話があればまた私どもがやる必要があればそれについての調査をいたします」
――総理が政治資金の使い道をご存じなかったことについて。政治資金は政治家本人の政治活動の裏打ちであって、当然政治家本人が支出、収入ともに把握されているべきものだと思う。使い道についてご存じなかったということは、自分がどのような政治活動をしているのか全容を把握していなかったということになるが、総理はご自身の政治活動を把握してなかったという解釈でいいか。また、自身の政治活動を把握していない人が一国を預かる総理大臣の任にあたることができるのか
「私自身の政治活動については、私が活動しているわけですから、当然存じ上げております。しかし、それにどのぐらいのお金がかかっていたかということになると、それは、今お話がありましたように、たいへん信じられないというふうに思われるかもしれませんが、十分に把握していなかったというのは真実でございます。そのことによってしかし、私は一番大事なことは、確かにどのぐらいお金が使われているかということも把握をするべきだったと、今から見ればそう思います。しかし、そのことをすべて任せてしまっていたのでありまして、自分としては政治活動に専念をいたしていたと申し上げるしかございません」
――国民の支持が得られなくなったときには責任をとると。その責任の取られ方だが、総辞職するか、それとも衆院解散して国民の信を問うという、どちらをお考えか
「まだ私としてはそうならないように全力を尽くしたいと思っておりますので、今、そのような過程の状況の中でどのような決断をするか、全く考えてはおりません」
――資産報告とか、およそ、総理が公開されてきた資産および政治資金は、ほとんどすべてうそだったということになると思いますが、この点について、どうお考えになるか。また、さきほど、私腹を肥やしていないとおっしゃいましたけれども、表で使えるお金は確実に増えているわけですから、政治家としての十分なメリットはあったはずでは
「私は、いま、おたずねではありますが、決して、いわゆる、一般に言われているような形での私腹を肥やしているということは行った思いもありませんし、また、今回の事実も、そのようなものではないと、理解をしているところでございます。すみません、最初の部分に関して」
――資産報告など、書類がほとんど全部うそ。
「あのー、確かに、元秘書が、そのようなことを行っていた。苦し紛れに、実際にもいただいていないにもかかわらず、そういった方の支持者などの方のお名前を貸して頂いたことも含めて、多くパーティー券の購入に関しても、5万円以下の件の関しても、虚偽記載がきわめて大きかったというのは、事実でございます。したがいまして、この件に関して、当然のことながら、できる限り、真実というものが判明をいたしたときに、出来る限り、正直に、修正をしなければならないと、そのように考えています」
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1224/TKY200912240380_02.html
「鳩山政権は危険水域に」? 野党から批判続出 2009.12.24 23:17
元秘書の起訴を受け、記者会見に臨む鳩山首相=24日夜、東京都内のホテル鳩山由紀夫首相の資金管理団体をめぐる偽装献金事件で元秘書が在宅起訴されたことを受けて、野党からは首相の政治責任を問う声が一斉にあがった。民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体の土地取引をめぐり、元秘書の石川知裕衆院議員の立件方針も固まり、鳩山政権が「危険水域に入った」(自民党幹部)との見方も強まっている。
自民党の谷垣禎一総裁は24日夜、緊急に記者会見し「首相は即刻に内閣総辞職か、衆院を解散して国民の信を問うべきだ」と厳しく批判。首相の記者会見を見た感想を「首相の『トラスト・ミー』という言葉を信じる人は今や世界中、誰もいないだろう。白々しいと思うのが大方の感想だろう」と述べた。
秘書が脱税容疑で逮捕された際、首相に「自分ならば議員バッジを外す」と追及された自民党の加藤紘一元幹事長も記者団に対し「政治家は、どんな昔であっても自分がしゃべったこととの整合性が問われる」と皮肉った。
公明党の山口那津男代表も「筋の通った責任を取るべきだ」と批判。中曽根康弘元首相は記者団との懇談で「私財であっても公金に転用したのだから、政治資金の処理を厳密に意識していなかったような気がする。ルーズであった」と苦言を呈した。
一方、政府・与党は首相の擁護に懸命だった。平野博文官房長官は記者会見で「日本の総理大臣として国政にあたることが使命だ」と述べ、辞任の必要はないとの考えを強調。国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融担当相は「そこまで国民は首相を責めないと思う」、民主党の山岡賢次国対委員長は「(通常国会への)影響はさほどはない」と強弁。渡部恒三元衆院副議長も産経新聞の取材に「政治権力を利用して金をもらったとか資産を残したのなら非難されて当然だが、お母さんからもらった話だからな…」と述べた。
小沢氏は一度国会内に姿をみせたが、石川氏の件には沈黙を守った。社民党の重野安正幹事長は記者団に「(実母から受け取った額は)われわれの常識にはない額だが、首相は記者会見でかなり正直に語っていた。小沢氏も国民にわかりやすく丁寧に説明すべきだ」と述べた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091224/plc0912242301024-n1.htm
クレタ人が「クレタ人は嘘つきだ」と言う
拓生 最近,「クレタ人が『クレタ人は嘘つきだ』と言う.」という文の矛盾を知りました.
もし,『クレタ人は嘘つきだ』が真ならば,クレタ人が発した『クレタ人は嘘つきだ』自体が嘘で,クレタ人は嘘をつかないことになり,『クレタ人は嘘つきだ』が真という仮定と矛盾する.
もし,『クレタ人は嘘つきだ』が偽ならば,クレタ人は嘘をつかないことになる.つまり,『クレタ人は嘘つきだ』が真となってしまい,『クレタ人は嘘つきだ』が偽という仮定と矛盾する.
『クレタ人は嘘つきだ』の真偽がいずれであると仮定しても,矛盾が起こる.
南海 これは昔からよく知られた逆理(パラドックス)だ.もちろんこれが矛盾であるためには,「嘘つき」とはつねに嘘をいう人のことであり,その否定は「正直者」,つまりつねに嘘をつかない人,という前提が必要だ.
参考書にあげておくが,『ふしぎな数学』という本によれば,紀元前6世紀,クレタの有名な詩人で予言者であったエピメニデスが「すべてのクレタ人は嘘つきである」との見解を述べたのだそうだ.
これは,新約聖書のパウロ書簡で「テトスへの手紙」の最初の部分にもたとえとしてもちだされている.もっとも,手元にある新約聖書では,
クレタ人のうちのある預言者が
「クレタ人は、いつもうそをつき、たちの悪いけもの、なまけ者の食いしんぼう」
と言っているが、この非難はあたっている.
とあって,エピメニデスの名は出ていない.パウロが,クレタでのキリスト教の布教がなかなか困難であることから,クレタの人々を非難する例えにエピメニデスの言い伝えをもちだしたのだ.新約聖書にもちだされたために,この話は有名になり,クレタ人はとんだ迷惑である.
パウロの時代には,すでにこのエピメニデスの話がよく知られた伝説になっていた.
エピメニデスはいなくなった羊を探しに山に入り, 57年間昼寝をして帰ってきたという伝説があるくらいなので,話そのものは本当のところどういうことなのかはわからない.
パウロが「クレタ人」の一般的性質として,例え話にもちだしたものだから,『すべてのクレタ人は嘘ばかりいう』か『すべてのクレタ人は真ばかりいう』のいずれかのみが成立する,という話として広く流布し,この前提のもとで,これは確かに逆理,つまりいずれにしても矛盾を引き起こす命題となる.
拓生 確かに,高校の論証からいえば『すべてのクレタ人は嘘つきだ』の否定は『嘘をつかないクレタ人が存在する』ですね.
南海 『すべてのクレタ人は嘘つきだ』の否定として『すべてのクレタ人はつねに嘘をつくわけでない』でもよい.「すべて」の否定は「成立しないものの存在」だから,「すべてのクレタ人」「つねに(すべて)嘘をいう」のいずれの「すべて」を否定しても否定命題が作れる.
この意味では「クレタ人の逆理」は本当のところ逆理とは言えない.
「クレタ人」というところを,個別の人間にし,嘘つきか正直者かは,これまで通りつねにいずれかであることにすればよい.
拓生 本質的には「太郎は『太郎は嘘つきだ』と言う」でいいのですね.太郎が嘘つきだとしても,正直者だとしても矛盾です.
南海 そうだ.
URL:http://aozoragakuen.sakura.ne.jp/taiwa/taiwaNch01/taikaku/node2.html
この記事へのコメント