奸計と赤心と (小沢幹事長の首相発言について 後編)
剛腕殿にとってみれば、政府の現実路線への転換、自身の保身、自民党の切り崩し、この3つの目的が達成できれば、必ずしも自分が首相になる必要はない。なってもならなくてもどちらでもいい。
剛腕殿の、首相をやってもいい発言にしても、「国民の皆様が望むなら」という枕詞が付いている。
剛腕殿は、自身の人気のなさを自覚しているから、それを逆利用して、国民の皆様が望まないからとかなんとかいって、首相をやらないでいることもできる。
むしろ、これまでのように、自分は表に立たず、自分の意のままになる別の御輿をたてて、傀儡政権を作る可能性のほうが高いかもしれない。
いずれにしても、剛腕殿の思いのままであることには変わりはない。
今の日本は、殆ど剛腕殿の手中にある。それは先の、鳩山首相のマニフェスト撤回を見ても分かる。これからは、今以上に剛腕殿の意に沿った政治が為されるだろう。それは、たった一言「首相をやってもいい」という発言によって決定的なものになった。奸計ではあるけれど見事なものではある。
だけど、奸計は人を堕落させる。なぜかというと、奸計とは、字義のとおり「悪だくみ」であって、人の慾望や保身の気持ちにつけ込むことが多いから。
今回の剛腕殿の奸計は、鳩山首相にひそむ「いつまでも首相で居たい。今の地位を失いたくない。」そんな慾望や保身を突いている。
自身の慾望に負けるような人は、奸計には脆い。簡単に嵌ってしまう。
鳩山首相は、あっさりとマニフェストを反故にして、暫定税率を据え置いたけれど、気になるのは、国民の生活と首相の椅子を天秤にかけて、首相の椅子を選んだのではないかという、考えたくもない疑念。
万が一そうだったとして、この程度の脅しに屈するような人が、いざ戦争となったとき、外敵に立ち向かえるかどうか甚だ心もとない。
奸計に対する最大の武器は赤心。無私の心。自らを捨てて、国民のために最適な選択を考えることが最大最強の武器。
今回のことだって、暫定税率だけは、なにがなんでも国民のために守り抜く。そのためには、首相の首を掛けても構わない。剛腕だかなんだか知らないが、閣僚でもないものがガタガタいうのは言語道断。これ以上口出しするのであれば、解散総選挙に打って出ようじゃないか。
鳩山首相にこれくらいの意地と赤心があれば、もっと違った展開になっていただろう。
現実は、朝まで暫定税率を撤廃しようとしていたくせに、剛腕殿からの電話に恐れおののいて、あっさり暫定税率維持へとひっくり返るような人物。それは期待するほうが無理というもの。腹が据わってないし、覚悟もない。
もはや、剛腕殿にとって、鳩山首相は鴻毛の如く軽いものになった。
それは、なんでも言うことを聞いて、いつでも首を挿げ替えられる羽のごときもの。
もしかしたら、鳩山首相も、参院選までの使い捨てになったのかもしれない。
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鳩山首相が方針転換した背景は 記者解説 < 2009年12月22日 20:17 >
判断が注目されたガソリン税などの暫定税率で、鳩山首相は21日、いったん税率を下げる方針を示したが、その後、マニフェストに反して税率維持に方針転換した。その背景には、民主党・小沢幹事長の強い反発があった。政治部・青山和弘記者が解説する。
鳩山首相は、ガソリン税を下げることにこだわりを持っていたが、このこだわりも小沢幹事長の強い意向の前に吹き飛んだ。小沢幹事長に近い民主党幹部は、鳩山首相が最後まで税率の引き下げにこだわったことに「せっかく助け船を出したのに、腹が立つ」と話している。
一方、子ども手当に所得制限を設けないという決断は、官邸関係者によると、小沢幹事長の要望をすべて丸のみはしたくないとの思いがあったようだ。また、事務的に無理だったという事情も強いとみられる。所得制限を設けると、予算の抑制効果は低いのに行政の事務手続きは煩雑になり、政府が目指している来年6月の子ども手当支給が難しくなるとの見方も出ていた。
いずれにしても、鳩山首相が小沢幹事長の影響下にいるという構図は明らかで、今後も政府が振り回されることは間違いなさそうだ。
URL:http://news24.jp/articles/2009/12/22/04150258.html
暫定税率“維持”首相謝罪 マニフェストより財政優先 12月22日8時16分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
2010年度予算編成は、鳩山政権が掲げたマニフェスト(政権公約)の重点施策の「軌道修正」が相次いだ。鳩山由紀夫首相は21日夜、廃止を掲げていたガソリン税などの暫定税率について、仕組みを見直して事実上、税率を維持する方針を表明した。子ども手当は、焦点だった所得制限を原則的には設けない方針だが、高速道路無料化の予算の大幅削減も含め、税収に対応するため、衆院選で国民に約束したマニフェストの理念は骨抜きにされた形だ。
鳩山首相は暫定税率の事実上の維持などを表明するにあたり、記者団に対し、「おわびを申し上げないといけない」と語り、マニフェストを守り切れなかったことを国民に謝罪した。
鳩山政権は、自民党政権下で続いた公共事業主体の財政運営を「税金の無駄遣い」と批判した。そして、直接給付によって家計を支援し、内需の柱である個人消費を拡大することで経済の安定的な成長を目指した。その方針を象徴的に打ち出したのが、衆院選のマニフェストだ。
最大の目玉が子育て世帯に直接支給する子ども手当と、ガソリン価格の大幅値下げにつながる暫定税率の廃止で、まさに、「鳩山政権誕生の原動力だった」(民主党議員)。
しかし、子ども手当は2兆3000億円の歳出増、暫定税率の廃止は2兆5000億円の減収になる。大規模な歳出増と、減収による財政面へのインパクトは予想外に大きく、マニフェスト予算は、10年度予算の概算要求規模を過去最大の95兆円超まで膨張させた。
予算の無駄を洗い出す「切り札」と期待された行政刷新会議の「事業仕分け」などによる歳出削減額も、6770億円と小幅にとどまり、鳩山政権の主張した「予算の組み替え」による財源確保は難航した。
政府は、新規国債発行額を「約44兆円以下」に抑える方針も示しており、閣内でも、「マニフェストを守り切るのか、部分修正するのか、最終決断は首相がする」(藤井財務相)といった声が強まっていた。
「決断できない首相」-。財源確保に悩み、リーダーシップを発揮できない姿は内閣支持率の低下にもつながったが、そうした中で出された16日の民主党の「重点要望」は、大きな「助け船」になった。民主党自ら、マニフェストの大幅修正を政府に促す内容だったからだ。
ただ、鳩山首相はこれまで、「マニフェストを守るのも国民との誓い」と強調してきた。政権の「致命傷」にもなりかねない今回の決断に対し、今後の税財政運営で、きちんと国民に誠意を示すことが求められる。
URL:http://www.sankeibiz.jp/macro/news/091222/mca0912220502013-n1.htm
小沢、ついに立つ「首相やる」“迷走”鳩山に見切りか 2009.12.22
民主党の小沢一郎幹事長が存在感を爆発させている。2010年度予算編成に党としての「重点要望」を突き付け、鳩山由紀夫首相に総選挙マニフェスト破りを飲ませたうえ、天皇陛下の特例会見問題でも強気の姿勢を貫き、挙句の果てには首相就任への意欲まで示したのだ。これまで裏方に徹してきた小沢氏の変身と、東京地検特捜部の動き。その政治的影響力は日に日に強まっている。
「本当に皆さんのためにやれると(有権者が)思ってくださる時があれば、拒む必要はないとは思っている」
小沢氏は21日、テレビ東京の番組収録で「首相ポストに魅力を感じるか?」と聞かれて、こう語った。西松建設事件で断念した「総理の椅子」に意欲を示したともいえるが、今やその存在感は完全に首相以上といえる。
来年度予算編成をめぐり、首相は今年夏の総選挙で掲げた公約実現と、10兆円以上の財源不足のはざまで揺れた。米軍普天間飛行場の移転問題の迷走も重なり、内閣支持率も下がり続けた。
こうした中、「自分は選挙担当」「政策には関与しない」と公言していた小沢氏がついに動いた。16日、10年度予算に関する「重点要望」を首相に提出し、「暫定税率の水準維持」と「子ども手当への所得制限導入」を求めたのだ。
「そもそも、暫定税率と子ども手当は全国からの陳情にはなく、小沢氏が嫌われ役になって、決断できない首相に『マニフェストを見直せばいいんだ』と助け舟を出したもの。財務省も『このままでは予算の年内編成ができない』『公約にこだわれば国債の大増発にもなる』と危機感を持ち、最高実力者の小沢氏とともに働きかけたようだ」(民主党関係者)
重点要望を提出した際、小沢氏は「政治主導といいながら、政治主導になっていないじゃないか」と言い放った。首相の尻を叩いたつもりだったが、首相の反応は鈍く、「暫定税率廃止とずっと言ってきたので…」と記者団に語るなど、再び迷走した。
怒り心頭に発した小沢氏。17日の首相と与党幹事長との会談を一時欠席する構えまでみせた。最終的に会談には出席したが、首相とは目も合わさなかったという。
「小沢氏としては『俺が舞台をつくってやったのに、鳩山はどうして分からないんだ』と、ブチ切れ寸前だった」(同)
週明けの新聞で内閣支持率が50%を割り込み、背筋が寒くなった首相は「小沢裁定」に乗った。ガソリン税などの暫定税率は事実上維持するが、子ども手当に所得制限を設けないと決断。21日夕、首相は小沢氏と官邸で面会し、「このような結論になった。ご理解をいただきたい」と語りかけ、小沢氏は「それで結構です」と答えた。
「小沢氏は当初、要望を100%飲ませるつもりだったが、子ども手当に所得制限を導入した場合、給付作業にあたる市町村の手間や費用が膨大になることが分かった。『小沢独裁』と批判されようと、年内に予算編成が決められたことで、民主党政権は守られた」(政治評論家の有馬晴海氏)
一方、多方面から批判が噴出した天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例会見についても、小沢氏は強気の姿勢を崩していない。
特例会見について「天皇陛下の政治利用」との懸念を表明した羽毛田信吾宮内庁長官に対し、前出のテレビ収録で、「政府がこういう判断だと言っているのに、一部局の役人がどうだこうだと言い、会見まで開いて悪態をついてとんでもない。官僚主義の最たるものだ!」と、再び厳しい口調で批判したのだ。
まるで、「天下に怖いものはなし」といった威圧感。小沢氏の権勢は衆参400人を超える民主党だけでなく、いまや鳩山内閣の政策決定にも及んできた。史上最年少の47歳で自民党幹事長を務めた当時より、その政治的影響力は増しているが、これまで裏方に徹してきた小沢氏が突然、突出し始めたのはなぜか。
予算の年内編成へのタイムリミットが迫る中、迷走してと決断できない首相に堪忍袋の緒が切れたとの見方もあるが、気になるのが、日本最強の捜査機関・東京地検特捜部の動きだ。
小沢氏の資金管理団体「陸山会」による土地購入疑惑をめぐり、特捜部は近く、同会の会計事務担当だった民主党の石川知裕衆院議員に、任意の事情聴取に応じるよう要請したとされる。永田町では「迫りつつある特捜部の足音を聞き、それに対抗するために権力集中を狙っているのではないか」(自民党中堅)との、うがった見方も出ている
URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20091222/plt0912221606006-n2.htm
この記事へのコメント
yutaro
胡錦濤にとっては習近平は言うなれば「叔父子」みたいな存在。
だから小沢が習近平来日の際に党とのパイプを吹聴するのは、意外と面白くないはず。
だから当局が「いや、ウチは陛下の体調が良くないならという事で一旦了承してましたよ」と公表した時、震え上がったかも。
(小沢が習近平とのパイプを作ろうとした意向は、当初会見の予定があった事から伺える)
一方当局は、小沢が溝に突き落とされれば日本国民が喜ぶ事を既に知っている。
要は今回の件で、小沢は当局(というか胡錦濤)に脅された事になります。
今回の件を機に、小沢自身が傀儡に転落するかもしれない・・・
まあ楽観的な見方かもしれませんが、奸計については中国人には勝てないって事を言いたかっただけです(苦笑)。
tairon
ところで、今回の首相なってもいいよ発言、私としては、俺の鳩チャンをあまり追い詰めると次は俺が首相になっちゃうよと鳩山脱法行為事件を援護したのではないかと思っておりました。
相続税逃れとか多少の金のことでとやかく言うと俺怒っちゃうもんねって国民を脅しあげたのかと思っていました。