3重の奸計(小沢幹事長の首相発言について 前編)


小沢幹事長の首相発言について。全2回シリーズでエントリーする。

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「首相になって本当にみんなのためにやれると皆さんが思ってくださるときがあれば、拒む必要はないとは思っている」
2009.12.21 小沢一郎 於:テレビ東京の番組収録にて


12月21日夜の記者会見で、鳩山首相は、ガソリン税の暫定税率は維持して、子供手当の所得制限は見送ると発表した。

鳩山首相が珍しく決断したのかと思ったら、21日の朝の段階では、税率を下げるよう関係閣僚に指示していたところ、小沢幹事長の怒りを買って、慌てて税率維持に方針転換していたようだ。

やはりいつもの「漂流」は健在だった。

もはや、剛腕殿の政府への影響力は日増しに増しているどころか、決定的だと言っていい。

冒頭の発言のように、ここにきて俄かに首相ポストを意識した発言といい、天下取りの意思を明確にし始めたようにも見える。

民主党の渡部恒三元衆院副議長は、「実権は握っても首相になるつもりはないと思っていたが、今度は首相になってくれるのかなと思えてくる」などと発言している。

だけど、この発言を含め、剛腕殿の動きと発言は、ある種の策略だと見る。それも3重の狙いを秘めた奸計。

それは、おそらく次の3つ。

1.鳩山首相への脅し
2.自身の献金問題に関する防御策
3.夏の参院選対策

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1.については、「現実路線へ面舵一杯」で指摘したように、ガソリン税の暫定税率維持の要望など、鳩山首相へ現実路線への政策転換を迫ってる。その為に、俺の言うことを聞かないとお前の首を獲って、首相から引きずり降ろすぞ、と脅しを掛けた。

なにも、直接恫喝なんてしなくても、脅すのなんて簡単にできる。剛腕殿が一言「首相をやってもいい。」と漏らすだけでいい。

政府も民主党も国民も、剛腕殿が一番の実力者、権力者だと知っている。鳩山首相がただの御輿に過ぎないことも。

だから、剛腕殿が「俺が首相をやる」と言うだけで、周りはそうなるのだなと思うし、それを前提にした行動を取り始める。

それだけで、鳩山首相は自分の首が危ういとビビる。脅されているのだと知る。

鳩山首相が自分の地位を守ろうとしたら、剛腕殿のいうことを何でも聞くしかない。結果として、剛腕殿の目論見どおり、政策が現実路線に転換することになる。



2.については、小沢幹事長は、鳩山システムを使って逮捕逃れを狙っているんじゃないかという観測がある。鳩山システムとは、憲法75条の「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない」を悪用して、総理大臣の逮捕には総理大臣本人の許可が要る、という矛盾した前提を楯にとった保身術のこと。

例の西松献金問題を抱えている剛腕殿は、自身が首相になることで、この「鳩山システム」によって、逮捕から逃れようとしているのではないか、とネットなどでも言われている。

確かにそうした面も否定できないけれど、筆者は、別の狙いが本旨ではないかと睨んでいる。それは、国民に対して、「自分が首相をやってもいい」と発言することで、逆に「俺をこれ以上献金問題などで攻撃しないのであれば、鳩山首相を引きずり降ろしてやるが、どうだ」と選択を迫っているのではないかということ。

検察も結構、支持率や民意を気にするから、余りに国民の反発が強いと、剛腕殿を献金問題で起訴することも躊躇しないとは限らない。

鳩山首相の首相としての資質が疑問視され、支持率が下がっている今、鳩山首相に辞めて欲しいと思っている国民は少なくない。とりわけ、自民党支持層には多かろう。それは直近の内閣支持率をみれば分かる。

それを逆手にとって、剛腕殿は鳩山首相を辞めさせたければ、自分を責めるな、と国民に迫っている。それが本当の狙いではないか。

鳩山システムは、兎に角首相でなくてはいけないという前提がある。党の幹事長という今の立場のままでは、鳩山システムは働かない。

だから、現状で逮捕・起訴を免れようと思えば、国民を味方につけるしかない。したがって鳩山首相の首と引き換えに、国民にバーター取引を掛けていると見る。



最後に3.についていえば、来年夏の参院選を睨んで、剛腕殿が、自民党所属の参議院議員の切り崩しを仕掛けていると囁かれている。先日、自民党の田村議員が離党したけれど、離党会見の日時が、西松建設事件で小沢氏の公設第1秘書の初公判の日時とほぼ同じだったことから、前もって打ち合わせされたものだろうとも言われている。

普通に考えても、自民党の参議院議員を何人か民主党に鞍替えさせてやることができれば、民主党政権も盤石に近づく。

剛腕殿が目をつけた、自民党の参議院議員に、「自分が首相になったら、君を取り立ててやるぞ、やりたい政策を存分にやるがいい。」とかなんとか囁いたら、ころっといく人がでてもおかしくない。

こうして見ると、最高実力者であると党内外共に認める剛腕殿が、たった一言「首相をやってもいい」と漏らすことの効果がどれほどのものであるのか良く分かる。

剛腕殿の発言で、周辺が一気に動きだす。今やそういう局面にある。

剛腕殿からみれば、ただ言うだけでいい。金も掛からない上に、自身の身を守りつつ、政府を現実路線に転換させ、さらに自民党を切り崩す策略。3重の奸計だといっていい。

そして、この奸計には更に先がある。

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画像「首相就任、拒む必要ない」=小沢民主幹事長

 民主党の小沢一郎幹事長は21日、テレビ東京の番組収録で、「首相になって本当にみんなのためにやれると皆さんが思ってくださるときがあれば、拒む必要はないとは思っている」と述べ、将来の首相就任の可能性に言及した。
 同時に小沢氏は「偉いポジションは好きではない。幹事長は実務だが、大臣は形式的なことが非常に多いから、あんまり僕は好きじゃない」とも語った。 (2009/12/21-19:24)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009122100812



画像「小沢君、今度は首相に」 民主・渡部氏が“ほめ殺し”?

 「実権は握っても首相になるつもりはないと思っていたが、今度は首相になってくれるのかなと思えてくる」――。民主党の渡部恒三元衆院副議長は20日のテレビ朝日番組で、発言力を強めている小沢一郎幹事長を“ほめ殺し”ともいえそうな遠回しな表現で批判した。

 渡部氏は、小沢氏が2010年度予算編成や、天皇陛下と中国の習近平国家副主席の特例会見に関し記者会見などで積極的に発言していることを「昔から表には出ないのが特徴だったが、ここ1週間は表舞台に立って、うれしそうに頑張ってるね」と変身ぶりを強調。

 小沢氏と鳩山由紀夫首相の関係についても「小沢君の方が圧倒的に力があるのは天下周知のこと」と指摘。その上で「『政府は鳩山、党運営は小沢』と分けたはずなのに、今や一極集中になってしまった」と述べた。(20日 19:32)

URL:http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091221AT3S2000C20122009.html



画像朝は暫定税率引き下げ指示→小沢怒る→維持 < 2009年12月22日 20:01 >

 ガソリン税などの暫定税率をめぐり、鳩山首相が21日朝、いったんは税率を下げるよう関係閣僚に指示したが、その後、民主党・小沢幹事長の反発などを受けて、税率維持に方針転換していたことが明らかになった。

 政府関係者によると、21日朝の関係閣僚との会議で、鳩山首相はガソリン税などの暫定税率を引き下げる方針を示し、財源にも自信を見せていたという。しかし、その後、小沢幹事長が鳩山首相と電話で協議し、「税率は維持すべきだ」との意向を伝え、急きょ、税率を現行水準に据え置くように方針変更したという。

 世論調査で鳩山首相の指導力に疑問符がつく中、政策決定でも小沢幹事長の影響力の大きさが浮き彫りになった。

URL:http://news24.jp/articles/2009/12/22/04150253.html



画像よく分かる“鳩山システム”。鳩山総理を偽装献金で捕まえるには鳩山総理の許可が必要 2009年11月26日17時00分 / 提供:デジタルマガジン

 自民党の棚橋泰文衆議院議員が鳩山由紀夫内閣総理大臣が偽装献金、脱税問題で絶対に逮捕されないシステム、通称“鳩山システム”(命名:棚橋議員)についての追求を始めた。このシステム、分かり易く言えば「鳩山総理を逮捕、起訴するためには鳩山総理の許可が必要」というものだ。

 日本国憲法第75条にこのような記載がある。

 【国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。】

 つまり、鳩山由紀夫内閣総理大臣を訴追するためには鳩山由紀夫内閣総理大臣の同意、許可が必要ということだ。警察側に「あなたを逮捕、起訴したいのですが……」と言われて、あの鳩山由紀夫が「イエス」と言うだろうか? 現職の総理大臣が逮捕となれば内閣、民主党の支持率は急落することは目に見えている。苦心して手に入れた与党の座をみすみす手放すとは考えにくい。

 もちろん、これだけで“鳩山システム”と呼ばれているわけではない。“鳩山システム”にはもうひとつ重要な要素がある。それが、偽装献金、脱税問題について問われた鳩山総理の声明だ。

 「(警察が)捜査中なので、自らにかけられている嫌疑については申し上げられない。違法性があるとは感じているが、最終判断は司法に委ねないといけない」

 自分が許可しない限り絶対に起訴されない位置にいながら、全ては司法に委ねているとし、そのうえで自らの嫌疑については捜査中ということを理由に説明は一切しない。これが“鳩山システム”の全貌である。

 なお、この“鳩山システム”はほかの閣僚に対しても流用することができる画期的なシステムでもある。鳩山総理のその見事な政治手腕にあっぱれと言うほかない。

※訴追とは検察が起訴を行うこと。逮捕と起訴は異なるが、基本的に逮捕を経てから起訴(公訴)となる。

URL:http://news.livedoor.com/article/detail/4471643/



画像自民“裏切り連鎖”へ 田村離党に“闇将軍”小沢の影 2009.12.21

 師走の永田町がキナ臭くなってきた。先週末、田村耕太郎参院議員(46)=鳥取選挙区=が自民党を離党したが、民主党の小沢一郎幹事長の影がチラついているのだ。参院で単独過半数に足りないため、民主党は米軍普天間飛行場の移設問題などで社民党に振り回されている。剛腕幹事長は、参院自民党を切り崩すことで、政界再編を狙っているのか。

 「田村氏が離党したのは、西松建設事件で小沢氏の公設第1秘書が初公判を迎えた18日。田村氏の離党会見と裁判開始の時間もほぼ同じ。これは偶然の一致ではない。事前に周到に打ち合わせされたものだろう」

 小沢戦略に詳しい自民党ベテラン秘書はこう分析する。確かに、翌19日の新聞各紙は、社会面こそ西松事件がトップ級だったが、政治面では田村氏離党をめぐる記事もそこそこの扱いで掲載された。

 田村氏は離党会見で「時代が大転換しているのに自民党は変わろうとしていない。理想とあまりに懸け離れている」と自民党を強烈に批判。当面は無所属で活動するとしたが、民主党など他党への移籍についても「あらゆる可能性の中で、一番良い選択肢を選んでいきたい」と含みを残した。

 民主党は来年夏の参院選・鳥取選挙区に、自民党の故・坂野重信元自治相の孫で医師の坂野真理氏(32)を擁立する。「保守票の分裂」と「若くて有能な女性候補擁立」。今年夏の総選挙で、いわゆる「小沢レディース」が自民党大物らを次々と撃破したときの構図を彷彿させるのだ。前出のベテラン秘書はいう。

 「坂野重信氏は鳥取選出。小沢氏と同じ旧田中派で、参院議員会長まで務めた。そんな大物の孫娘を担ぎ出されては、田村氏の再選は簡単ではない。『孫子の兵法』に精通する小沢氏にとって、こうした戦況は相手陣営を切り崩す絶好のチャンス。仮に、『初公判日の離党』という踏み絵を踏ませたとすれば、今後、何らかの候補者調整があるはず。田村氏は民主党比例から出馬するのではないか」

 実際、総選挙直後から、小沢氏による「参院自民党の切り崩し」は指摘されていた。複数の自民党参院議員が小沢氏側からの接触を認めているうえ、自民党を支援してきた組織団体への懐柔工作も続けられている。

 16日、小沢氏が鳩山由紀夫首相に提出した党の「重点要望」でも、日本医師会など、自民党支持を撤回した団体の要望は優遇され、全国土地改良事業団体連合会など、自民党支持を続ける団体は冷遇された。

 民主党は、衆院こそ絶対安定多数(269議席)を上回る307議席確保しているが、参院では114議席(江田五月参院議長を除く)しかなく、過半数の121議席に7議席足りない。このため、社民党(参院5議席)と国民新党(同5議席)との連立政権を組まざるを得ない状況に置かれている。

 ただ、連立政権はリスクを伴う。

 特に、かつて「非武装中立」を掲げ、現在も党理念に「日米安保は平和友好条約に転換させ、在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進める」と記している社民党との連立は、首相に普天間問題での決断を鈍らせ、わが国の安全保障の基盤といえる日米同盟を危うくさせている。

 首相は当初、COP15(国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議)首脳級会合が開かれたコペンハーゲンで、オバマ米大統領と首脳会談を行う方向で調整していたが、拒否された。

 田村氏が「わが国の外交安保を守る」との理由で民主党もしくは会派に入れば、民主党(参院115議席)と国民新党(同5議席)、新党日本(同1議席)を合わせて参院121議席となり、社民党抜きでも参院過半数に達することになる。社民党にあまり気遣いせずに、政治的判断を下せるようになるわけだ。

 政治評論家の小林吉弥氏は「小沢氏は、社民党支持票を『堅い』と見て、重視している。参院選まで3党連立を崩す気はないだろう。ただ、民主党の参院単独過半数に向け、水面下では着々と切り崩しを進めている。社民党抜きで過半数となれば、参院選で掲げる連立の選挙公約も民主党主導で決められる。田村氏は来年の通常国会直前か、西松建設事件での公設秘書の判決が出る3月前には民主党入党するだろう」と語る。

 自民党内では現在、複数の「離党予備軍」の存在がささやかれている。今後、駆け引きが激化しそうだ。

URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20091221/plt0912211626004-n2.htm



画像首相動静(12月21日)12月22日0時6分配信 時事通信

午前8時現在、公邸。朝の来客なし。
午前9時30分、公邸発。「暫定税率廃止という決意に変わりはないか。子ども手当は2000万円で所得制限という案が有力視されているが」に「今これから、きょう中にでもしっかりと決めてまいります」。同33分、官邸着。同34分、執務室へ。同42分、菅直人副総理兼国家戦略担当相、平野博文官房長官が入った。
午前10時27分、藤井裕久財務相が加わった。同31分、財務省の野田佳彦副大臣、丹呉泰健事務次官、勝栄二郎主計局長が加わった。同45分、菅氏が出た。
午前11時9分、藤井、野田、丹呉、勝各氏が出た。同13分、平野氏が出た。
午前11時55分、藤井財務相が入った。
午後0時7分、平野官房長官が加わった。同10分、財務省の丹呉事務次官、勝主計局長が加わった。同12分、野田財務副大臣が加わった。同16分、菅副総理、古川元久内閣府副大臣が加わった。
午後0時56分、全員出た。同58分、執務室を出て首相会議室へ。同59分、菅副総理、平野官房長官が入った。
午後1時12分、平野氏が出た。同24分、菅氏が出た。同25分、首相会議室を出て執務室へ。
午後1時51分から同2時25分まで、福田進官房副長官補。
午後2時26分、小沢鋭仁環境相が入った。同34分、松野頼久官房副長官が加わった。同42分、福山哲郎外務副大臣が加わった。同52分、佐々江賢一郎外務審議官が加わった。同3時5分、小沢氏が出た。
午後3時39分、福山、松野、佐々江各氏が出た。
午後3時47分から同4時48分まで、外交評論家の岡本行夫氏。同56分、藤井財務相、勝財務省主計局長が入った。同5時、菅副総理、平野官房長官が加わった。
午後5時26分、菅氏が出た。同30分、勝氏が出た。
午後5時33分、小沢一郎民主党幹事長が加わった。同43分、小沢氏が出た。同47分、藤井、平野両氏が出た。
午後5時48分、執務室を出て特別応接室へ。同49分から同6時4分まで、新日中友好21世紀委員会の西室泰三日本側座長らが表敬。同5分、同室を出て執務室へ。同7分、菅副総理、藤井財務相、平野官房長官が入った。同25分、古川内閣府副大臣が加わった。
午後6時33分、藤井氏が出た。
午後6時41分、平野氏が出た。
午後7時19分、菅、古川両氏が出た。
午後7時30分、執務室を出て、同31分、小ホールへ。同32分から同46分まで、報道各社のインタビュー。「子ども手当に関してだが結果的に所得制限は設けるのか」に「所得制限は基本的には設けないということに致しました」。同47分、小ホールを出て執務室へ。
午後8時49分、執務室を出て、同50分、官邸発。同51分、公邸着。
22日午前0時現在、公邸。来客なし。(了)

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091222-00000002-jij-pol

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