梯子を外された剛腕

 
続報があったので、更にエントリーを続けます。

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今上陛下と習近平氏の特例会見が正式に設定される2日前の今月9日に、中国高官が「陛下のご健康に配慮し会見を見送るなら、やむを得ない」と日本側に伝えていたことが分かったとの報道があった。

報道では、複数の中国関係者が明らかにした、となっているけれど、別に、明らかにしなくてもよかったところを、このタイミングでわざわざ明らかにしたのだから、その狙いは推して知るべし。

リークした黒幕が中国当局なのか、はたまた国内の反小沢派の誰かなのかどうかは分からない。だけど、結果として、600人もの大訪中団を引き連れていった、幹事長殿は見事に梯子を外された格好になった。

習近平氏が訪日して陛下に会うところまではよかったけれど、今頃、こんな情報をリークしなければならないということは、どうやら、陛下と習近平氏の特別会見の影響は、中国共産党にとってもネガティブに働くと判断されたということだろう。あるいは、上海閥の習近平氏に対する北京閥の巻き返しか。

それにしても、この段階で、中国がこの声明をリークして、梯子を外しにかかったのは意外であった。もしかしたら日本人が思っている以上に、日本の世論というものを気にして、自身の外交にまで配慮するということが分かったのは今回の収穫かもしれない。

なんにせよ、おおごとになってきた。テレビ報道は兎も角としても、紙媒体メディアの手の平返しは凄まじい。

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さて、今週の文春、新潮が小沢一郎幹事長に怒りまくっている。宮内庁が主張した1か月ルールを踏みにじって、習近平副主席を天皇に会見させたことについてだ。小沢は虎の尾を踏んでしまったようだ。

新潮は「『天皇陛下』を中国共産党に差し出した『小沢天皇』の傲岸」、文春は「小沢と鳩山は天皇に土下座して謝れ」と、戦前の週刊誌かと見間違えるようなタイトルで、小沢のやり方を非難している。

どちらも、小沢幹事長が訪中した際、胡錦涛主席と民主党議員との個別のツーショットを撮ってもらえることと引き替えに、ルールを無視し、鳩山首相と平野官房長官を恫喝して、天皇に会わせたことに怒り心頭だ。

羽毛田信吾宮内庁長官が、緊急記者会見を開いて「大きくいえば陛下の政治利用ということ」だと批判したのを受けて、小沢幹事長が、「国事行為は、内閣の助言と承認で行われるんだよ。天皇陛下のお体が優れない、体調が優れないというならば、それよりも優位性の低い行事はお休みになればいいじゃないですか」と反発したことで、火に油を注いでしまった。

まず、国事行為について。「皇室外交は『国事行為』ではなく『公的行為』です。政治家を何年もやっていて、こんな基本的な間違いをすること自体、皇室外交に対して、いかに無知かを晒け出している」(静岡福祉大学高橋紘教授・文春)

天皇の政治利用については、「今回のことは天皇の政治利用そのもの。輪をかけるように小沢さんは140人もの議員を連れて訪中している。これはまさに朝貢外交で、自ら中国の支配下に入るようなものです」(日本大学百地章教授・新潮)とバッサリ。

「判断は間違っていなかったと思う」と発言した鳩山首相には、アナタが総理になったことが、大間違いでした(新潮)とにべもない。



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これは、鳩山政権にとっては大きな痛手。これは来年の通常国家で審議する予定であった外国人地方参政権法案も出しにくくなったし、陛下の韓国訪問にも影響を及ぼすようにも思われる。

陛下との会見を見送ることを中国が一旦容認していたという今回の報道は、鳩山政権、とりわけ幹事長殿のごり押しであったことを決定付けるもの。ここまで来てしまったら、何をどう言おうと大きくイメージダウンすることは避けられない。

いつまでもこの件で突っ張っていると、国民の意識は鳩山政権を見限って、次の内閣を意識し始める。

だけど、次に誰が首相になったとしても、今の国民の目は、皇室に対する態度がどうなのかを注視するようになっている。もちろん皇室を蔑ろにする人物は受け入れられない。

となると、必然的に皇室にきちんと配慮する人物を立てることになり、今の幹事長殿の姿勢・発言を否定するところから始めなくてはいけなくなる。

自民党を否定することで政権を奪取した民主党が、今度は、政権奪取の立役者であった幹事長殿を否定しなければ、政権を維持できなくなるかもしれないという皮肉。

因果は巡るとはよく言ったもの。壮大なブーメランではある。

「漂流」首相殿では自らの幹事長殿を否定はできまい。いつものように、何も決めることができずにズルスルを引きずられることになる公算が高い。この件に関しては、いつまでもマスコミの援護があるとも思えない。

放置すれば、時とともに、他の民主党議員への風当たりも強くなってくるだろう。幹事長殿に一言の異論も言えないようであれば、国民からは、彼らも幹事長殿と同類と見なされ、皇室を蔑ろにする逆賊の目で見られるようになる危険すらある。

逆に、特別会見について早々に異議を唱えた議員には陽が当たるだろう。例えば、特別会見は今回限りにするべきだといった、福山外務副大臣や、今からでも止めるべきと発言した渡辺総務副大臣とか。

次期首相は、反小沢の旗色を鮮明にした人達の中から出てくるような予感がする。

また、連立与党を組んでいる、国民新党や社民党も特別会見には反対していたから、俄然立場が強くなってくる。鳩山首相も益々彼らに配慮するようになるだろう。

今ならまだ間に合うから 撤回したほうがいいよ 

もっと勘違いしてしまう前に



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画像天皇会見いったん見送り容認 「健康配慮なら」と中国側

 天皇陛下と習近平・中国国家副主席の特例会見をめぐり、会見が正式に設定される2日前の今月9日ごろ、中国高官が「陛下のご健康に配慮し会見を見送るなら、やむを得ない」と日本側に伝えていたことが17日、分かった。複数の中国関係者が明らかにした。

 11月下旬から特例会見を求め続けてきた中国側が、交渉終盤で見送り容認姿勢を示していたことが判明したのは初めて。10日からの訪中を控えた小沢一郎民主党幹事長の意向を受け、首相官邸による政治判断で方針転換し、特例会見が実現した実態が裏付けられた。

 中国筋によると、この中国政府高官は9日ごろ、日本側と中国国内で協議。日本側が「陛下はご高齢であり、健康状態を勘案してほしい」と説明したところ、高官は「そういう話なら会見見送りは理解できる。共産党指導部を説得できる」と受け入れた。

 中国側は同時に、宮内庁の「1カ月ルール」を守らなかった事実を認める一方で「前向きな対応を求めたい」と主張。「1カ月ルール」を理由とした会見見送りには難色を示したという。

 この中国高官は日本大使館勤務を重ねた日本通として知られる。

URL:http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121701000876.html



画像特例会見で菅氏「他の行政庁と違う」 ほかの閣僚は小沢氏擁護 2009.12.15 21:46

 天皇陛下と習近平中国国家副主席の特例会見をめぐり、民主党の小沢一郎幹事長が15日も羽毛田信吾宮内庁長官の辞任を要求するなど問題は拡大している。鳩山由紀夫首相は同日、「こういう状況になったのは大変残念だ」と、自身の指示が問題を起こしたことを棚に上げて宮内庁に不快感を表明。菅直人副総理・国家戦略担当相は羽毛田氏に一定の理解を示したが、ほかの閣僚からは、陛下の体調に配慮するため1カ月前に会見を申請する「1カ月ルール」を無視して小沢氏らに同調する声が相次いだ。

 15日昼、警備陣が固める都内のホテルに車で着いた小沢氏は、複数の警護官に囲まれながら、自身の政治資金パーティーの会場へ進んだ。パーティーでは小沢氏の怒りの矛先はマスコミにも向いた。

 「おれはまったく正しいことを言っているのに、なんで新聞に書き立てられるんだ。テレビも批判してるが、誤解されている!」

 小沢氏の前日からの強気が伝染したのか、鳩山首相は15日朝、「(習氏は)将来のリーダーになる可能性の高い方だ。もっとお喜びの中でお迎えすべきでは」「外交的な話を(1カ月ルールで)お役所仕事のようにすぱっと切っていいのか」と不満を表明した。

 長妻昭厚労相は「(特例会見は)政治利用でなく適切な判断だ」、亀井静香郵政改革・金融相は「次の主席にお会いするのは当たり前だ」と述べた。仙谷由人行政刷新担当相は「政治利用をうんぬんするのも政治利用になる。皆さん(マスコミ)もしてほしくない」と、議論を封殺した。

 ただ、菅直人副総理は「陛下の体調に気をつかうのは宮内庁長官の仕事の大きな部分だ。陛下のそばにおられ、他の行政庁(の事務次官)とはやや性格が違うところもある」と、羽毛田氏に理解を示した。(榊原智)

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091215/stt0912152146012-n1.htm



画像天皇特例会見で大阪市議会が首相らに「反省」求める決議 2009.12.17 21:38

 大阪市議会は17日の本会議で、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見について「政治的色合いの強い日程設定で、小沢(一郎)民主党幹事長や鳩山(由紀夫)首相の対応に強い憤りを感じ、反省を求める」などとした決議を、自民、公明、共産各党の賛成多数で可決した。

 決議は「これまで踏襲されてきた『30日ルール』がほごにされた」とし「天皇陛下を政争の具にし、政治利用するようなことがあってはならない」としている。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091217/lcl0912172140010-n1.htm



画像天皇の特例会見問題で有識者らが小沢氏や首相官邸の対応を批判 2009.12.17 18:02

 自民党の「天皇陛下の政治利用検証緊急特命委員会」(委員長・石破茂政調会長)は17日、党本部で会合を開いた。出席した有識者らは、天皇陛下と中国の習近平国家副主席との「特例会見」を働きかけた民主党の小沢一郎幹事長や首相官邸サイドを批判した。

 大原康男国学院大教授(皇室制度史)は特例会見があった15日は宮中で「賢所御神楽(かしこどころみかぐら)の儀」の祭祀が行われたことを明らかにし、「(お出ましになった)天皇陛下がお心を安らかに保たれなければならない日だった」と語った。小沢氏が「30日ルール」を「法律ではない」と発言したことには「宮内庁は宮内庁法第2条に基づきルールを作った」と反論した。

 また「他の国にはルールを守るよう求め、中国の無理強いだけを認めるのは極めて卑屈な政治的配慮だ」と、首相らを批判した。

 百地章日大教授(憲法学)は「30日ルールは、自社さ連立政権で、鳩山由紀夫首相が新党さきがけ代表幹事だったときにできた」と述べた。羽毛田信吾宮内庁長官が小沢氏の辞任要求を拒否したことについては「30日ルールを無視した内閣の政治的要求を拒否するのは当然だ」と擁護した。

 また、外務省側は特例会見までの経緯について口頭で追加説明したが、文書での回答は岡田克也外相の指示を理由に拒否した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091217/stt0912171804003-n1.htm