「詰めろ」がかかった普天間問題


・・・私は必ずしも、性急にやろうとして、むしろそのことによって、結果としてうまくいかないというようなことの方が後に禍根を残すことになると、むしろしっかりと正しい方向を、お互いの了解のもとで作り上げていく、それにはそれなりの時間が必要だということも私は、アメリカの方にもわかってもらいたい。
2009.10.22 鳩山首相

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産経新聞によれば、岡田外相が「年内決着」に向けて米側との折衝を続けていた11月、鳩山首相は「何でそんなに急ぐのかなあ…」と、周辺に漏らし、岡田外相の言動に批判的な視線を向けていたそうだ。空気が読めないどころじゃない。

アメリカは、一部ヘリ訓練を静岡に移転する妥協案を示すなどして譲歩の姿勢を示しつつ、18日までの回答を求めてきている。ほとんど最後通牒と見ていい。

それに対して、鳩山首相は、「米国の思いは事実関係も含めて勉強させていただくが、(米政府から)正式にうかがっていない。コメントはこれ以上言わない。」などとコメントしている。

岡田外相は、12月5日に那覇市内の会見で、普天間移設問題を一方的に白紙に戻せば、アメリカとの信頼関係がなくなって、普天間は返還されなくなるとの見通しを述べているから、もしも、18日に日本政府が現行案の受け入れを基本線とする回答ができなければ、普天間移設問題はおろか、海兵隊のグアム移転そのものが無くなる可能性だってある。

鳩山首相とすれば、来年1月の名護市長選後か、来年夏の参院選が終わってからで大丈夫だろうなんて、悠長に構えているのかもしれないけれど、おそらく18日で、普天間問題についてはチェックメイトになる。



今のままでは、鳩山首相は、現行案での受入を回答する見込みは少ないだろう。だけど、そうして先延ばししたとしても、おそらく次のチャンスはもう訪れはしない。

普天間は返還されず、この問題に関して、アメリカは二度と交渉のテーブルにつくことはないだろう。少なくとも鳩山政権の間は。

悪くすれば、民主党政権中、もっと悪ければ、たとえ自民党がまた政権を担当することになったとしても、当分返還はないものと思われる。

そうなったら、いくら名護市長選で、現行案反対派が勝とうが、受入派が勝とうが関係ない。参院選で民主党が過半数を取ったとしても、それは変わらないだろう。

そのときになって、さぁ返還交渉だなんだと鳩山首相が意気込んだとしても、首脳会談はおろか、外相・事務レベルでも、会ってくれることすらできない可能性は高い。

10月12日の会見で、鳩山首相は、性急にやろうとして、うまくいかないことの方が、後に禍根を残すことになる、なんて言っているけれど、先送りにすることで禍根を残す場合だってあることも考えたほうがいい。

だから、これ以上先送りしたら、何も変わらないまま、普天間問題は終了する。沖縄がどんなに政府を突き上げようと、鳩山首相に声を上げようと、どうにもならなくなる。アメリカは鳩山政権を見限っているから。

局面としては、もう「詰めろ」が掛かっている。「受け」は現行案受入れの一手のみ。

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画像普天間問題、がけっ縁の首相 危機感なし?18日期限「正式に聞いてない」 2009.12.12 22:24

 米軍普天間飛行場の移設問題で、米政府が日本政府に対し、18日までの結論を求めてきたことで、鳩山由紀夫首相はいよいよがけっ縁に追い込まれてきた。

 普天間飛行場の県外・国外移転を主張する社民党に配慮し、日米同盟よりも連立政権維持を優先する鳩山首相にとって、与党との調整を考えれば18日までの回答などほとんど不可能に近いためだ。

 だが、米政府の不満が限界点に達しつつある中、首相の言動からは危機感が伝わってこない。

 「米国の思いは事実関係も含めて勉強させていただくが、(米政府から)正式にうかがっていない。コメントはこれ以上言わない」

 首相は12日夕、視察先の都内で記者団の質問にこう答えた。11月の日米首脳会談以降、移設問題の決断時期について、「越年」「年内」と揺れる発言を繰りかえしてきた首相だが、本音は「問題の先送り」(民主党関係者)とされる。

 「何でそんなに急ぐのかなあ…」

 岡田克也外相が「年内決着」に向けて米側との折衝を続けていた11月、首相は周辺にこう漏らし、岡田氏の言動に批判的な視線を向けていたという。

 最近、米政府高官と接触した民主党議員は「首相はことごとく日米同盟の根幹を揺るがす政策をとっている。米側からは『この人は本当に一緒に仕事のできる人物なのか』という不信感を伝えられた」と語る。

 米国の関与を明確にしないままの東アジア共同体構想やいわゆる「核密約」の検証のほか、在日米軍駐留費の日本側負担(思いやり予算)の削減、インド洋からの海上自衛隊の撤退…。

 オバマ大統領との首脳会談では普天間問題の早期解決に自信を示し「トラスト・ミー(私を信じて)」といいながら、翌日には、日米合意に基づく現行計画を前提とせずに協議する考えを表明。国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の開かれているコペンハーゲンで日米首脳会談を希望する首相に対し、米政府は公式要請のない段階で会談の開催を拒否し、不信感をあらわにした。

 極めつけは、小沢一郎幹事長による600人規模の大訪中団だ。「米国よりも中国を重視する鳩山政権への猜疑(さいぎ)的な姿勢が決定的になった」(政務三役)との見方もある。

 11日、鳩山首相との会談後、社民党の福島瑞穂党首は、「方針が出るのはだいぶ先のこと」とし、国民新党の亀井静香代表も「(決着は)何月何日という話ではない」と述べ、長期化するとの見通しを示した。

(船津寛)

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091212/plc0912122227011-n2.htm



画像外相危機感、普天間「白紙なら米の信頼失う」

 岡田外相は5日夜、那覇市内で記者会見し、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について、「日米合意が実現出来ずに一方的に白紙に戻せば、信頼関係がなくなる。今の日米同盟の現状に非常に強い危機感を持っている」と述べた。

 2006年に日米が合意した現行計画をめぐり、鳩山政権が見直しを進めているばかりか、鳩山首相が年内の決着を先送りする方針を固めたことに対し、米側が強く反発していることへの懸念を表明したものだ。

 外相はそのうえで、「(年内の決着は)容易でないが、打開するには一定の決断をしなければいけない」と述べ、鳩山首相が早期に政治決断を下す必要がある、との考えを強調した。

 外相は同日夜、仲井真弘多知事と那覇市内の知事公舎で会談し、日米協議の現状などを説明した。

 これに先立ち、外相は同日、名護市などで民主党支持者らとの意見交換会に出席。会合では県外移設を求める声が相次いだが、外相は「皆さんの思いはわかったが、米国がかなり厳しい。現行案が白紙になれば、普天間の危険性は固定される」と述べた。

 同市辺野古を移設先とする日米合意が実現しない場合、普天間は返還されずに固定化する、との強い危機感を示したもので、4日の米側との協議で米側が示した懸念をそのまま伝える形となった。

 一方、鳩山首相は5日夕、首相公邸で北沢防衛相と50分間会談し、普天間問題について協議した。

 首相は会談後、「時間的問題も含めて、幅広く検討しなきゃいけない。日米関係は大事だから、それも含めて話した。(結論は)まだ見えない」と述べた。公邸前で記者団の質問に答えた。

(2009年12月5日22時05分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091205-OYT1T01014.htm



画像普天間移設が争点の名護市長選で県内移設反対派が候補を一本化 2009.11.17 23:49

 米軍普天間飛行場の移設受け入れの是非が争点となる来年1月の沖縄県名護市長選で、民主・社民党が推薦を決めている元市教育長、稲嶺進氏(64)と、共産党が推薦する方針だった大学非常勤講師、比嘉靖氏(65)の両陣営が17日夜、候補者を稲嶺氏で一本化することに合意した。

 両氏はいずれも新人で、同飛行場を名護市へ移設する現行計画に反対を掲げ出馬表明していた。条件付きで名護市移設を容認する現職の島袋吉和氏(63)との一騎打ちとなる。

URL:http://sankei.jp.msn.com/topics/politics/12070/plt12070-t.htm



画像普天間結論「名護市長選後で構わぬ」22日の鳩山首相 2009年10月22日20時17分

 【続・普天間基地】

 ――普天間移設問題だが、今日の閣議後に岡田外相と北沢防衛相が会った際に年内中に結論を出すということで一致したという話も出ているようだが。

 「ええ、一致していません。別にそのような結論を出したわけではありません。これは岡田外務大臣と、ゲーツさんとの間でそういう話が出たという話を仄聞(そくぶん)しているところではあります。しかし私、との間ではゲーツ国防長官はそういう話をされたわけではありません。私は私の思いで、急ぐ気持ちはわかると、日米合意も重いということはわかると、しかし政権をとったばかりだと、まだ1カ月あまりだと、そのような中ですべて私どもが選挙で公約したさまざまなメッセージもあると、県民のみなさん、沖縄県ですけれども、県民のみなさんの総意というものもしっかりとうかがって行かなければならない。それなりの時間というものが必要だということも理解をしてもらいたいと、いうことをこれは岡田外務大臣と会われた後、私に会っていただいたわけですから、その時に私はそのように強く申し上げてまいったわけであります。従って私はそのようなタイムリミットを設けてですね、オバマ大統領が来られた時に必ずそれまでにという話とはとらえておりませんで、むしろオバマ大統領にとってみれば、それは内政の問題もありますけど、外交の問題とすればアフガニスタン、パキスタンの支援の問題の方がある意味ではるかに大きなテーマだとそのように認識をしておられますから、その思いをしっかりと私どもとすれば日米の協力関係の中で作り上げて日本としての支援策というものを打ち出すことの方がですね、我々とすればまずすぐにやるべき仕事ではないかと、そのように考えています」

 ――確認だが、名護市長選後に決定するという考えに変わりはないか。

 「うん、基本的にはその後でもかまわないと、そのように思っています。それは、先方とすれば急ぎたいという気持ちは分かります。で、その時までに沖縄の県民の合意というか、理解というものが求められたり、あるいは、日本の国民のみなさんの意志というものも一つにまとまるというようなことになればですよ、連立与党というものの合意もありますけれども、そのへんがすぐにまとまるという状況であればですね、それは早まることもありうると思いますが、私は必ずしも、性急にやろうとして、むしろそのことによって、結果としてうまくいかないというようなことの方が後に禍根を残すことになると、むしろしっかりと正しい方向を、お互いの了解のもとで作り上げていく、それにはそれなりの時間が必要だということも私は、アメリカの方にもわかってもらいたい。そう思っています」


URL:http://www.asahi.com/politics/update/1022/TKY200910220430_02.html

この記事へのコメント

  • クマのプータロー

    鳩山総理の発言がアメリカ軍基地の恒久化を目指したものであれば、奸計と言い得るでしょう。国内の9条原理主義者にも与える影響は小さいとはいえません。政権が交代しても、自らの目指す国家にはならないと思い知らされた彼らにどのような変化を起こすかは注意深くヲチしてみたい気がします。
    2015年08月10日 16:49

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