普天間問題は鳩山政権のアキレス腱になった


海兵隊は、アメリカにとっては、上陸急襲部隊だから、普段の訓練と機器の整備がしっかりやれて、有事の際、迅速に目的地に部隊を投入できる手段さえあればいいから、東アジアが安定して、適当な代替地があるのであれば、無理に沖縄にいる必要はない。

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冷戦が終わって、アジアの紛争に積極的に介入する意味が薄れたと、アメリカが判断したとするならば、海兵隊をグアムあたりにまで引くという選択は、別段不思議なことじゃない。

肝心なのは、海兵隊としての機能を維持できる地理的位置の確保と、訓練および整備とその費用負担をどうするか、ということ。

実は、海兵隊のグアム移転といっても、実際移転するのは、第3海兵遠征軍司令部、第3海兵師団司令部、第3海兵役務支援群司令部、第1海兵航空団司令部、第12海兵連隊司令部等、約8,000人及びその家族約9,000人であって、第三海兵師団の歩兵連隊などの実戦部隊は沖縄に留まる予定になっている。

現在、沖縄に駐留している海兵隊は約1万5千人から1万8千人くらいだから、司令部と一部の隊員合わせて半分くらいがグアムに移動することになる。

つまり、司令部機能はより安全なグアムに移すけれど、実戦部隊の半数以上は沖縄において、抑止力を維持するという、いわば折衷案。

確かに、グアムは東京から2500Km、沖縄から2400kmの位置にあり、飛行機で3時間、船で3日の位置にある。地理的にも重要な戦略拠点で、ここに司令部を置くというのも、妥当といえば妥当。

そして、抑止力となる海兵隊の実戦部隊が沖縄に留まるというのも、日本の安全保障という面から見ても意味がある。

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たとえ、イザというときに、アメリカが日本を守ってくれないのではないか、という疑念があったとしても、少なくとも、海兵隊は自分で自分の身くらいは守る筈だから、沖縄に海兵隊が存在するというだけで抑止力効果がある。しかも居るのが、世界最強のアメリカ海兵隊となれば、なおのことそう。

だから、今の鳩山政権が、普天間飛行場を県外に移すだのなんだのというのは、たとえそれで、海兵隊の機能維持と訓練の実施が可能であったとしても、みすみす、日本の抑止力効果を弱くしてしまうことに繋がってしまう。

また、移設先のグアムにしても、軍事評論家の神浦氏によれば、どうやら沖縄の司令部機能を移した時点で、グアムは一杯になってしまって、訓練場などのスペースは殆ど取れないらしい。

事実、グアムのカマチョ知事は、普天間飛行場の移設に関して、グアムに受け入れる能力はないと述べている。

こうしたことを考え合わせると、どうみても、一旦合意した辺野古沖案でしか落とし所はないように思えてくる。

だけど、鳩山首相は適当な発言を繰り返して、ここまで問題を拗らせてしまった。もう普天間問題は、はっきりと鳩山政権のアキレス腱になったように思われる。

アメリカは今月18日までに現行計画に沿った方針を示すよう要請してきている。現行案を受け入れるにしても、しないにしても、社民党の連立離脱か、日米同盟の危機を選択することになる。

場合によっては、岡田外相、北澤防衛相の辞任もあり得る。その時が、鳩山政権瓦解のしるしになるように思えてならない。

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画像在沖海兵隊7000人削減 実戦部隊手付けず 2005年10月29日

 【ワシントン28日=普久原均】日米安全保障協議委員会(2プラス2)出席のため訪米中の大野功統防衛庁長官は28日夜(日本時間29日午前)、現在約1万5千人とされている在沖米海兵隊について、在日米軍再編で兵員約7千人を削減すると明らかにした。削減数は家族や軍属を含まない。第三海兵遠征軍の司令部要員や支援部隊が対象で、ほとんどがグアムへの移転となる。2プラス2で発表する再編の中間報告に盛り込む見通し。ただし第三海兵師団の歩兵連隊など実戦部隊はそのまま沖縄に残し、「抑止力は維持」する。

 米国防総省資料(2005年3月末)によると、在日米海兵隊の人数は1万4504人。岩国基地(山口)に約3千人がいるため、沖縄駐留は約1万2千人前後とみられる。ただし、海兵隊はイラクに出動するなど人数の変動が激しいため、通常の沖縄駐留規模は1万5千―1万8千人とされている。
 海兵隊の削減人数は、9月18日に大野長官がローレス米国防副次官と都内で会談した際に決まった。6月5日にシンガポールで会談した際、ローレス氏は大野長官に対し「4500人が上限」と述べていたが、9月の会談で大野長官は「在沖海兵隊の削減は今回の再編の象徴だ」と述べ、上積みを強く求めた。
 9月の会談では普天間飛行場の移設先も内陸案か浅瀬案かで日米が鋭く対立していた。米側は「8年余が経過しても普天間は動いていない。米側が悪いとの印象を持たれる」と日本側の対応に強い不満を示した。大野長官は「今回は日本が責任を持つ」と主張、見返りにローレス氏も在沖海兵隊削減を了承した。

URL:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-8004-storytopic-3.html



画像外務省、グアム移転を検証 伊波氏提供の米文書で 2009年12月11日

 【東京】武正公一外務副大臣は10日の記者会見で、伊波洋一宜野湾市長が米側の文書を基に米軍普天間飛行場のヘリ部隊を含むグアム移転の検証を求めたことについて「(米政府の)環境影響評価(アセスメント)報告書を見る限り、沖縄から直接移ってくるという記載はないというのがわれわれの認識だ。(市長からの)文書をきちっと検証させていただこうと事務方に命じている」と述べ、省内で検証に着手したことを明らかにした。その上で、普天間のグアム移転構想自体は困難だとの認識を示した。
 省内の検証結果をまとめる期限については「いつまでにと、特に区切っているわけではない。逐次上がってくると思う」と述べるにとどめた。
 伊波市長が指摘しているグアムでの施設整備に関する米側の環境影響評価報告書について「沖縄の定員は1万8千人で、それから(報告書記載のグアムへの移転が)8千600人ということなら、残りの方々は沖縄にいるというのがわれわれの認識だ」と述べ、実戦部隊も含めてグアムへ移転する計画だと主張する伊波市長の見解との認識の違いを説明した。
 北沢俊美防衛相が米軍普天間飛行場のグアム移設は困難だとの見方を示したことについて「現地を見られて述べられたものだと理解している。そういうことなのかと私も思うところだ」と述べ、防衛相の認識を踏襲する意向を示した。
 平野博文官房長官は10日の記者会見で、普天間飛行場自体のグアム移設構想については「承知していない」と述べるにとどめた。

URL:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-154060-storytopic-53.html



画像川上拓大教授「日米関係にダメージ」 民主党の「普天間県外移転」2009年6月29日

 次期衆院選に向けて政権交代が取りざたされる民主党が掲げる米軍普天間飛行場の県外移設について、米政府や議会にも人脈があり安保政策にも詳しい川上高司氏(拓殖大教授)は、米側にグアム移転協定などの見直しを打診したことを想定し「日米関係にダメージがある。(その後の日本の安保政策に)民主党は回答を持っていないのではないか」と民主党には長期的な視点が足りないと分析した。
 25日、開かれた沖縄平和協力センター(OPAC)主催の第1回安全保障講座で見解を述べた。
 普天間飛行場の県外移設には「北海道は寒くて雪が降り、あり得ない。仕切り直すならやはり沖縄で考えるのではないか。海兵隊としては沖縄にいたいのだろう」と分析。その上で現在の日米合意案を推進させ、さらに実戦部隊の移転を再交渉するのが現実的だとの見方を示した。
 2010年1月末にも公表予定の「4年ごとの米国防戦略見直し(QDR)2010」で米軍は有事駐留も選択肢の一つに検討しており、方針決定に重要な時期にあると解説した。
 米国の政策に関連しては対中国姿勢が変化してきたと指摘。米政府は中国を脅威とせず、日常的に軍事的協調もとり始めており、中台戦争も起きないとの見方を紹介。米中接近で「戦略的協調路線」を進めていると状況の変化を解説した。

URL:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-146449-storytopic-53.html



画像米議会 沖縄海兵隊 グアム移転費「満額」に 「普天間」11年度検討 出典 読売新聞 12月10日 朝刊

米議会の両院協議会は8日、2010会計年度の駐沖海兵隊8000人のグアム移転に関する予算を、国防総省の要求額に近い約3億1000万ドルとすることを認めた。

グアム移転費用に関しては、下院は要求通り認め、上院は7割を削減して可決したが、両院が共同でまとめた軍事施設建設に関する最終法案では、普天間問題の進展は本格的に考慮しないことにした。

米議会筋は「普天間問題は2011会計年度の予算審議で本格的に考慮する」としている。

グアム移転に関する環境影響評価が来年夏まで続き、予算執行はいずれにしてもそれ以降になるため、普天間移設問題との関連は11会計年度の予算審議で検討すれば十分というわけだ。

議会が予算法案に先立って審議した、予算の大枠を決める国防予算法権限法では、グアム移転の予算を要求通りに認めた事情も影響しているようだ。


コメント
私は米上院議会が在沖海兵隊のグアム移転予算の7割をカットしたのは、日本政府の普天間飛行場の移設問題(遅れ)のためではなく、米海兵隊の側に事情があると指摘してきた。

そのように思うのは、「米海兵隊トップ 普天間移設、修正に言及」(日本経済新聞 09年6月5日 夕刊)と、「在沖海兵隊 グアム移転 訓練維持に懸念 司令官発言で波紋」(毎日新聞 09年6月7日 朝刊)の記事が報じたように、米海兵隊のトップレベルで、グアム基地への不安が強いことを知ったからだ。

海兵隊トップのコンウェン総司令官が、「沖縄からグアムに移転する米海兵隊の再編計画を修正したい」と上院軍事委員会で証言した。「グアムでは普天間飛行場の能力が得られない」とも発言している。

その理由を正確に知りたくて、私はグアムに行ったことはすでに書いた。そしてグアムではセスナをチャーターして空から在沖海兵隊がグアムに移転する予定の土地を見た。

そしてその狭さにあ然としたのだ。米海兵隊の1個師団の主力が移駐するにはあまりにも狭かったからだ。海兵隊のMV22が離発着する十分な滑走路を造ることも難しく、島内に演習場を造ることも難しかった。グアム移転で米海兵隊の首脳が頭をかかえる理由がすぐにわかった。

またグアムのアプラ米海軍基地も、在沖海兵隊(海兵第3師団)のための強襲揚陸艦、ドッグ型揚陸艦、事前集積戦、高速輸送船などを待機させるためには狭いように感じた。

しかし日本のメディアの中には、米上院がグアム移転費用の7割をカットしたのは、日本政府の普天間飛行場の移設の遅れが原因と報じた。これは今でも間違った指摘だと思う。あくまでアメリカ側にその原因(7割カットの)があったのである。

昨日、東京新聞は米軍座間基地に移駐する米陸軍・第一軍団司令部の移転計画が中止と報じた。今年になって、韓国の在韓米軍の第8軍団司令部がハワイ移駐も延期されている。(※本日のメールにお返事を参照してください)

このようにイラクとアフガンの戦争に足を取られている米軍は、米軍再編計画に大きな遅れを生じていることは間違いない。

メディアが鳩山政権を批判することは問題ないが、根拠のない理由を考えて、国民の世論を別な方向に誘導することは危険である。

今は誰もが、普天間移設問題で頭を冷やし、落ち着いて雑念を払い、何が最もよい解決法かを考えるべきと思う。アメリカの国防省にもそのことを強く求めたい。

URL:http://www.kamiura.com/whatsnew/continues_256.html



画像普天間受け入れ能力ない=在沖海兵隊移転で限界-グアム知事

 【ワシントン時事】AFP通信によると、米領グアムのカマチョ知事は9日、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設に関し、グアムに受け入れる能力はないと記者団に述べた。
 知事は、在日米軍再編に伴ってグアムに移転する沖縄の海兵隊を受け入れるだけで手いっぱいであることを強調し、「グアム島の受け入れ能力には限界があり、普天間飛行場のグアム移転は不可能」と語った。米軍の計画では、海兵隊約8500人とその家族9000人がグアムに移る。 
 普天間飛行場の移設問題では、社民党がグアムを移設先候補の一つに挙げている。(2009/12/10-11:47)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009121000361



画像普天間問題、18日までの結論要請=一部ヘリ訓練を静岡に移転-米高官

 【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は11日、訪米した国民新党の下地幹郎政調会長と国務省内で会談した。沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題について、キャンベル氏は米国の2010年度予算の暫定措置が切れる今月18日までに日本政府が現行計画に沿った方針を示すよう求めた。また、米政府が海兵隊ヘリコプター訓練の一部を静岡県の自衛隊の東富士演習場に移転する負担軽減案を提示したことを明らかにした。
 キャンベル氏は「早めに結論を出した方がいい」と指摘。同席したドノバン国務筆頭副次官補は、解決の遅れは来年2月からの11年度予算審議にも悪影響を及ぼすとの見方を示した。
 一部移転は、同飛行場代替施設を沖縄県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部に建設する現行計画を前提に、現在は同県内の別の基地で行われている陸上部隊との合同演習を一定期間移す内容。4日に東京で行われた移設問題に関する閣僚級作業グループの会合で示されたという。 
 東富士演習場は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告に盛り込まれた沖縄県の県道104号線越え実弾砲撃演習の分散移転先の一つとなっている。
 キャンベル氏はまた、鳩山由紀夫首相が先月の日米首脳会談で「Trust me(私を信じてほしい)」と発言したことについて「首脳同士での言葉を非常に重く受け止めている」と表明した。
 これに対し、下地氏は沖縄県内移設に強く反対する社民党と連立を組んでいることや、来年に同県知事選を控えていることを説明し、日本側の事情への配慮を求めた。(2009/12/12-11:59)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009121200162



画像普天間移設:米軍訓練移転案に静岡知事反発

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題で、海兵隊ヘリコプター部隊の訓練拠点の一部をキャンプ富士(静岡県御殿場市)に移すとする米側の提案に対し、静岡県の川勝平太知事は12日、「政府から聞いていない」と、強く反発した。

 知事は同県沼津市で取材に答え、「政府はどういう腹を決めているのか。政府の腰の据わり方を決めるのが筋だ。日本の国防、安全保障について政府がどんな絵を描くのか分からない限り、要求されて、はい、分かりましたと言うわけにもいかない」と述べた。【田口雅士】

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091213k0000m010063000c.html

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