在りて有る海兵隊の抑止力


海兵隊とは、陸・海・空軍のどれからも独立した軍で、陸、海、空の3軍に更に海兵隊を加えて「4軍」と呼ばれる存在。

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アメリカ海兵隊は、地上・海上・航空など陸海空軍の全機能を備え、上陸・空挺作戦などを任務とする緊急展開部隊。陸上作戦、海上作戦、航空作戦の全てをこなす精鋭部隊であって、戦場最前線の危険な作戦に従事する。

海兵隊の発足は、独立戦争中の1775(安永4)年にまで遡る。当時、イギリスに海兵隊があったために、同じ組織を作ったことがその始まりだという。

その頃の海兵隊は、帆船同士の海上戦で、相手の船に乗り移って白兵戦を行う際の切り込み部隊とにての任務を行ったり、艦内の秩序維持のための警察組織の役目を担っていた。

やがて、帆船から蒸気船の時代になると、船同士での白兵戦もなくなって、海兵隊は陸に上がり、国内外の海軍基地の警備、パナマ運河地帯の防御、海外緊急派遣用兵力という新たな任務に従事するようになった。

そのころでも、海兵隊は一万人程度の部隊だったのだけれど、二度の大戦を経て、兵力がどんどん強化され、今では、陸では、M1エイブラムスを始めとする270両を超える戦車、軍用車両。空には、F/A18ホーネット、AV-8Bハリヤー、F-35(運転試験中)などの200機以上の航空部隊を保有する3個師団、総兵力18万人という組織になっている。

海兵隊は、上陸・空挺といった軍の性格上、勇猛果敢で強力な部隊。その訓練はアメリカ4軍の中で最も厳しいと言われている。

中でも有名なのは、パリス・アイランドとサンディエゴで行われる新兵訓練。通称「ブート・キャンプ」

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ブート・キャンプに到着した新兵は、全員丸坊主のクルーカットに刈り上げられ、裸で身体検査を受け、一緒に風呂に入り、同じ軍服を着る。

小隊の指導はドリルインストラクターと呼ばれる訓練下士官が仕切り、どんな小さなミスも見逃さない。学歴も家柄も人種も一切関係ない。「自由を奪われ、地獄をもらう」と言われるほど。

訓練は約11週間に及び、第一次、第二次、第三次と3つの訓練期間に分かれる。

第一次訓練期間は、最初の数週間で、海兵隊の歴史と伝統、軍規、銃の取り扱い、基礎教練、応急手当、銃剣訓練などの基礎訓練を行う。障害物コースを走り、一回目の体力検査を受ける。

第二次訓練期間は、射撃訓練で、最初の一週間は、射撃体勢に入る訓練、安全の為の訓練、射撃のテクニックを学習し、次の一週間で、実際にライフル射撃を練習する。最終日には、射撃の資格取得の試験があるのだけれど、このときの射撃の得点で、特級射手(グランドマスター)、一級射手(シャープシューター)、二級射手(マークスマン)に分類されることになる。

海兵隊は「every marine a rifle man」の方針をとっており、職種如何を問わず、全員が銃を撃てる海兵隊員として育成される。

第三次訓練期間は、基地内の歩哨任務や、銃剣訓練・水泳および個人指導の戦闘訓練、強襲揚陸作戦やヘリボーン教練などを行う。ブート・キャンプの最後の数日は、テスト、最終検閲、体力テストのためのランニングや卒業式の準備になる。

正式な卒業式の前には、内輪の卒業式と呼ばれる、54時間不眠不休トレーニングが行われる。締めくくりに「心臓破りの丘」(約23km)を駆け上がり、頂上で訓練下士官から1人ずつ卒業を言い渡される。

こうした地獄の訓練を終えた新兵は見違えるほど逞しい戦闘員に成長するという。



アメリカ海兵隊は3つの海兵遠征軍と1つの予備役部隊で組織されていて、沖縄にいる海兵隊は、その中のひとつである第3海兵遠征軍に所属している。

この部隊は、アジアから中東に至る地域での、紛争地域に迅速に展開できるように配置されている。 緊急展開時には、佐世保に駐留する第7艦隊揚陸艦部隊と、沖縄に展開するこの遠征軍が一体となって行動するとされている。

そんなアメリカ最強、すなわち世界最強といっていい海兵隊が、沖縄に鎮座ましましていること自体、周辺諸国に対する強力な牽制、抑止力になっていることは否めない。

少なくとも、通常兵力で、沖縄在日米軍にケンカを売ろうなんて考えることは、まずないだろう。

だから、そうした強力無比な軍が何処に配置されているか、ということは、安全保障を考える上では非常に重要で、居るだけで抑止力効果があるという視点を忘れちゃいけない。

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