普天間問題
普天間問題がおおごとになってきた。政府は、移設先の方針決定を来年7月の参院選後まで先送りする方針を固め、そうアメリカに伝えたと報道されている。
かねてから年内決着を要望していたアメリカは、在日米軍再編全体が破綻する可能性を上げて、これに強く反発して、近く行なわれる予定だった、日米同盟協議についても「普天間移設問題が解決されるまでは協議に応じない」と延期を通告した。
自民党の石破政調会長はこの件に関して、「信頼をおけない政権と話しても意味がないという米側のメッセージだ」と強い懸念を表明している。
在日米軍再編とは、2005年10月に日米間で合意され、翌06年に策定された、所謂「再編ロードマップ」のこと。
沖縄にいるアメリカの海兵隊をグアムに移転することも、このロードマップに沿ったものであり、普天間飛行場の代替施設となる辺野古沖の滑走路についても、これに記載されている。
このロードマップを読む限り、在沖縄海兵隊約8000名とその家族約9000名は、2014年までに沖縄からグアムに移転し、普天間飛行場の代替施設である辺野古沖の滑走路も2014年までに完成させるとなっている。
しかも、ご丁寧なことに、普天間などの土地の返還は、海兵隊とその家族がきちんとグアムに移転できること、そしてその為に、日本が辺野古沖の滑走路建設とグアム移転費用についてちゃんと面倒をみること、が条件としてついている。
返してほしけりゃから面倒みろよ、と少々上から目線の物言いにも見えなくもないけれど、両国合意の元に策定されたロードマップである以上、それを粛々と履行するのは当然といえば当然。
たとえ政権交代しようがしまいが、相手国からみれば日本国に変わりはないのだから、当たり前。
それを民主党というか、鳩山政権がちゃぶ台返ししようとした。その挙句、こんなことになってしまった。アメリカと沖縄の双方にいい顔しようとして、結果的にどちらにも信用されなくなる愚をおかしている。
沖縄県民は、民主党にだまされたと不信感を露にし、オバマ大統領は、時間の無駄だと、コペンハーゲンでの日米首脳会談を拒否してる。
岡田外相は、もう限界だ、と辺野古移設を受け入れるしかないと述べ、北沢防衛相は、日本に責任があると、自ら言及している。
鳩山首相は、いつのまにか、すっかり孤立してしまっている。政権としてはかなり危険領域にある。本人がそれを自覚しているかどうかは別として。
もしかしたら、アメリカを怒らせて、彼らをして日本から全面撤退させようという腹積もりかなにかがあるのかもしれない。だけど、それならそれで、国防についてもっと真剣に考えておく必要があるし、国防費だってずっと増やさなくちゃいけない。
そこまで考えて、鳩山首相が行動しているのかどうかは分からない。残された時間は少ない。
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普天間問題『首脳会談は困難』 外相日米同盟協議も先送り 2009年12月9日 朝刊
岡田克也外相は八日の記者会見で、鳩山由紀夫首相が十八日にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第十五回締約国会議(COP15)首脳級会合の際に調整しているオバマ米大統領との首脳会談について「全体のスケジュールが厳しい中で、温暖化問題以外で時間が取れるというのは考えにくい」と述べ、正式な会談の設定は困難との見通しを明らかにした。
首相は首脳級会合までに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に関する日本政府の方針を決定し、大統領に直接伝える意向を示している。
首相は八日午後、岡田氏、平野博文官房長官、北沢俊美防衛相、前原誠司沖縄北方担当相と官邸で政府方針について協議。この後、記者団に「(政府方針は)かなり詰まってきているが、議論がまだ必要なところがある」と述べ、調整を急ぐ考えを強調した。
また、岡田氏は八日の会見で「普天間問題を解決せずに、同盟の在り方を議論する気持ちになれない」と述べ、先月の日米首脳会談で合意された同盟関係の深化に向けた新たな政府間協議の開始が、来年以降に先送りされる見通しも示した。
URL:http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009120902000100.html
石破氏、同盟深化協議見送りで政府を批判 12月9日13時45分配信 産経新聞
自民党の石破茂政調会長は9日午前の記者会見で、米国が日本政府に同盟関係深化の政府間協議の先送りを通告したことについて「信頼をおけない政権と話しても意味がないという米側のメッセージだ」と論評し、問題は政府にあることを強調した。
また「わが国の外交の基盤は安定した日米同盟だ。日米同盟が揺らぐことは看過できない」と指摘。「日米同盟は極東の平和と安定を目的としている。同盟が持つ抑止力への信頼が揺らぐことは、日本だけの問題ではない」とも述べ、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐる日米協議の悪影響が、アジア・太平洋地域に及ぶ可能性に懸念を示した。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091209-00000556-san-pol
「民主党にだまされた」 沖縄県民に広がる鳩山政権不信 2009.11.29 22:08
住宅地(手前)に隣接する米軍普天間飛行場=今年11月8日、沖縄県宜野湾市 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、鳩山政権の言動が二転三転し、方針を決まらないことに、沖縄県民の不信感が高まっている。「県民の心をもてあそぶことは許せない」「閣僚の一人や二人が首を差し出しても収拾がつかない」。こんな過激な声も出始めた。
普天間は琉球八社の一つ「普天満宮」の門前町として栄えた。15世紀半ば、熊野権現を合祀(ごうし)したものと伝えられ、熊野権現と琉球古神道神が祭神。境内は住民の憩いの場で、基地に囲まれた神社という緊張感はない。
だが、赤瓦屋根の社殿裏手の駐車場の金網越しには「キャンプ・フォスター」。そして普天間飛行場が続く。遠くで離着陸する戦闘機の爆音が響く。
日米両政府が、普天間飛行場返還で合意したのは平成8年。11年には名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に代替施設を建設することが閣議決定されたが、それから10年。計画は進まない。それどころか、民主党政権発足後は、鳩山由紀夫首相や閣僚の言動がぶれ、移設そのものを危ぶむ声が出始めた。
親子連れで参拝に来た40代男性は「どこでもいいから早く撤去してほしい。移設は衆院選前から決まっていたが、移設されないのではないかという不安も出ている。今の政府は一晩で言動が変わるから信用できない」と不満をぶつけた。
普天満宮近くの商店街でも同様の声が強い。
昭和30年から商店街に住んでいる80代女性はこう言って声を荒らげた。
「新聞で鳩山さんや閣僚の発言を読むたび、バカ野郎と怒鳴ってしまう。民主党にだまされた」。居合わせた40代の高校教諭も「ヤマトンチュ(大和人=本土側)は真剣に考えていないことがよく分かった。民主党も選挙の時は『早く撤去して危険を排除する』と言い張ってきたのに」。
70歳の男性も「いつ事故が起きるか不安で仕方がない。辺野古で決まったのだからそれでいいじゃないか」と、爆音をあげる戦闘機を見上げた。
県内の自治体首長経験者は「民主党は衆院選で『県外』を訴えたが、具体的な構想が全くなかったわけだ。あてもなく、ただ『県外』を強調し、反自民を印象づけることしか頭になかった。沖縄県民に過度な期待感を持たせた罪は大きい。沖縄はかわいそうだとか、口先だけの同情の声は出るが具体的な考えは全くない」と語った。
平成11年、辺野古への移設受け入れを表明した稲嶺恵一前知事は「当時、県外が望ましいが、その可能性がないとすれば、苦渋の選択をしなければならなかった。7カ所ぐらい候補地を上げたが、結局、辺野古しかなかった。早期に普天間から移すことが優先された」と辺野古移設案の経緯を話す。
前出の首長経験者は沖縄を活火山に例え、県民感情をこう代弁した。
「活火山は、普段は何でもない山だが、一度、穴を開けるとマグマが飛び出してくる。今の沖縄県民の感情はこのマグマに似ている。首相や岡田克也外相らが、勝手に無責任な発言をして、やたらと穴を開けてしまった。期待感を持たせて裏切られたときの反動は大きい」
首相は、民意尊重を錦の御旗(みはた)に、来年1月の名護市長選の結果を注視するという。市長選は、現職の島袋吉和氏(63)と普天間の県外移設をスローガンとする元市教育長の稲嶺進氏(64)との一騎打ちになる公算が大きいが、どちらにしても、禍根を残すのは必至だ。
自民党沖縄県連すら態度を変えた。27日の議員総会で、鳩山政権が年内に移設先の結論をまとめない場合は県内移設容認の姿勢を転換し、県外移設を求めていくことを確認。記者会見した翁長政俊幹事長(県議)は名護市長選で現行計画の是非が最大の争点になる見通しとなっていることを踏まえ「県民に責任を押しつける手法は無責任」と、政府に年内の決定を迫った。
64年前、沖縄地上戦で大きな犠牲者を出した沖縄県民に、再び、つらい選択を迫っていることに、民主党政権はまだ気づいていないようだ。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091129/plc0911292214015-n1.htm
米「日本、合意破棄なら…」首脳会談拒否を予告
日本外相「閣僚級会議中断」…防衛相は日本の責任論主張
日本・沖縄の普天間米軍基地移転をめぐる日米の対立が両国首脳会談と外交交渉を一時中断する事態にまで広がった。こうした渦中に北沢俊美防衛相が日本の責任論を主張し、波紋が大きく広がっている。
◆米「首脳会談拒否」=米国は気候会議が開催されているデンマーク・コペンハーゲンで18日に行われる予定だったバラク・オバマ米大統領と鳩山由紀夫首相間の首脳会談を拒否するという意をほのめかした。NHK放送は9日、米行政府高位官僚の言葉を引用し「既存の日米合意に基づいて沖縄県内移転を推進するのなら会う用意があるが、連立政権の課題など国内事情を説明する席なら時間の無駄になる」と報道した。一言で合意を守るという鳩山首相の確答がない限り、首脳会談実現は難しいということだ。
鳩山首相は18日、コペンハーゲンで普天間基地移転問題に関する最終決定を延ばすほかない日本の国内事情をオバマ大統領に直接説明する予定だった。
◆日本も「閣僚級会議中断」=8日夜、岡田克也外相は記者会見で、普天間基地移転問題をめぐり、日米両国が進行してきた閣僚級会議を中断すると発表した。日本政府内で論議が済めば、日米実務会談はする必要がない場合があるとも述べた。
先立ってこの日午前、米国が先月から行ってきた日米同盟協議会議を無期限延期すると一方的に日本に通告したことに対抗するものであるわけだ。米国は4日、東京で行われた米軍基地移転2次実務会談の進展が何もないまま、これに対する不満の表れとして日米同盟協議会の延期を発表した。同盟協議会議は来年、日米安全保障条約改正50周年を控えて戦後最大の友邦関係を形成してきた両国が、同盟強化案を模索する象徴的な意味がある交渉だ。
◆日本の防衛相はかみ合わず=9日、グアムを訪問して現地の米空軍基地などを視察した北沢防衛相は、日本政府がこの問題の結論を延ばすことについて「在日米軍再編に相当な影響を及ぼすだけに日本に責任がある」と主張した。共同通信は「交渉当事者である閣僚が日本の責任に関して言及するのは極めて異例的なこと」と報道した。
先月、日米首脳会談で「私を信じてほしい」と言った鳩山首相の発言に期待したオバマ行政府は、今月に入って公開的に日本孤立戦略を広げている。気候会議を控えてオバマ大統領が各国首脳と電話外交をしながらも鳩山首相とはしなかった。また駐日米国大使は日本の外相に「強い裏切りを感じた」という感情的な表現も躊躇しなかった。とうとう岡田外相が「米国が望むとおりに年内に結論を出そう」と説得したが、鳩山首相は「18日の気候会議首脳会談前に論議を終えて米国側に伝達する」というあいまいな立場ばかり繰り返している。
URL:http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123786&servcode=A00§code=A00
日米協議「もう限界」 岡田外相、普天間解決に危機感 2009年12月6日3時55分
岡田克也外相は5日、那覇市で地元紙の沖縄タイムス社の岸本正男社長らと会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐる日米協議について「2カ月間みっちりやってきた。もう限界だ」と述べた。鳩山内閣は年内決着を見送ったが、同県名護市辺野古に移設する日米合意の履行を求める米側の反発は強く、辺野古以外にこだわれば移設そのものが困難になるとの厳しい認識を示したものだ。
同席者によると、岡田氏は岸本氏との会談で、これまで模索してきた嘉手納基地への統合について「難しい」と表明。「(現行計画は)日米間で煮詰まっていた話。元に戻って議論とはならない」「選択肢はもうない」などと、辺野古移設を受け入れるしかないとの考えを示した。
岡田氏はこの後の記者会見で、「合意が実現できない時に(日米間の)信頼関係がどれだけ維持されるのか。日米関係の現状に、非常に強い危機感を持っている」と語った。また、問題の先送りは解決につながらないとも強調。「外相として打開しなければいけないと思っている。打開につながる決断が何か、首相を含めて協議している」と語り、ぎりぎりの妥協策を探りたい意向だ。
ただ、鳩山政権は、辺野古移設を決断すれば、社民党を含めた連立政権がもたないと判断している。新たな策を見つけるのは極めて困難な情勢で、対米交渉上、新たな移設先の検討の余地がないなら、移設問題は暗礁に乗り上げる可能性が高い。
日米作業部会に出席した米政府当局者らと4日に会った民主党関係者によると、当局者らは移設が進まなければ普天間飛行場の老朽化した施設を更新する予算措置を取る可能性を伝えた。岡田氏の発言の背景には、こうした措置が取られれば、現状の固定化につながるとの危機感があると見られる
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1205/TKY200912050426.html
再編実施のための日米のロードマップ(仮訳)平成18年5月1日
ライス国務長官
ラムズフェルド国防長官
麻生外務大臣
額賀防衛庁長官
概観
2005年10月29日、日米安全保障協議委員会の構成員たる閣僚は、その文書「日米同盟:未来のための変革と再編」において、在日米軍及び関連する自衛隊の再編に関する勧告を承認した。その文書において、閣僚は、それぞれの事務当局に対して、「これらの個別的かつ相互に関連する具体案を最終的に取りまとめ、具体的な実施日程を含めた計画を2006年3月までに作成するよう」指示した。この作業は完了し、この文書に反映されている。
再編案の最終取りまとめ
個別の再編案は統一的なパッケージとなっている。これらの再編を実施することにより、同盟関係にとって死活的に重要な在日米軍のプレゼンスが確保されることとなる。
これらの案の実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本国政府が負担するものである。米国政府は、これらの案の実施により生ずる運用上の費用を負担する。両政府は、再編に関連する費用を、地元の負担を軽減しつつ抑止力を維持するという、2005年10月29日の日米安全保障協議委員会文書におけるコミットメントに従って負担する。
実施に関する主な詳細
1.沖縄における再編
(a)普天間飛行場代替施設
日本及び米国は、普天間飛行場代替施設を、辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置し、V字型に配置される2本の滑走路はそれぞれ1600メートルの長さを有し、2つの100メートルのオーバーランを有する。各滑走路の在る部分の施設の長さは、護岸を除いて1800メートルとなる(別添の2006年4月28日付概念図参照(PDF))。この施設は、合意された運用上の能力を確保するとともに、安全性、騒音及び環境への影響という問題に対処するものである。
合意された支援施設を含めた普天間飛行場代替施設をキャンプ・シュワブ区域に設置するため、キャンプ・シュワブの施設及び隣接する水域の再編成などの必要な調整が行われる。
普天間飛行場代替施設の建設は、2014年までの完成が目標とされる。
普天間飛行場代替施設への移設は、同施設が完全に運用上の能力を備えた時に実施される。
普天間飛行場の能力を代替することに関連する、航空自衛隊新田原基地及び築城基地の緊急時の使用のための施設整備は、実地調査実施の後、普天間飛行場の返還の前に、必要に応じて、行われる。
民間施設の緊急時における使用を改善するための所要が、二国間の計画検討作業の文脈で検討され、普天間飛行場の返還を実現するために適切な措置がとられる。
普天間飛行場代替施設の工法は、原則として、埋立てとなる。
米国政府は、この施設から戦闘機を運用する計画を有していない。
(b)兵力削減とグアムへの移転
約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む。
対象となる部隊は、キャンプ・コートニー、キャンプ・ハンセン、普天間飛行場、キャンプ瑞慶覧及び牧港補給地区といった施設から移転する。
沖縄に残る米海兵隊の兵力は、司令部、陸上、航空、戦闘支援及び基地支援能力といった海兵空地任務部隊の要素から構成される。
第3海兵機動展開部隊のグアムへの移転のための施設及びインフラの整備費算定額102.7億ドルのうち、日本は、これらの兵力の移転が早期に実現されることへの沖縄住民の強い希望を認識しつつ、これらの兵力の移転が可能となるよう、グアムにおける施設及びインフラ整備のため、 28億ドルの直接的な財政支援を含め、60.9億ドル(2008米会計年度の価格)を提供する。米国は、グアムへの移転のための施設及びインフラ整備費の残りを負担する。これは、2008米会計年度の価格で算定して、財政支出31.8億ドルと道路のための約10億ドルから成る。
(c)土地の返還及び施設の共同使用
普天間飛行場代替施設への移転、普天間飛行場の返還及びグアムへの第3海兵機動展開部隊要員の移転に続いて、沖縄に残る施設・区域が統合され、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となる。
双方は、2007年3月までに、統合のための詳細な計画を作成する。この計画においては、以下の6つの候補施設について、全面的又は部分的な返還が検討される。
キャンプ桑江:全面返還。
キャンプ瑞慶覧:部分返還及び残りの施設とインフラの可能な限りの統合。
普天間飛行場:全面返還(上記の普天間飛行場代替施設の項を参照)。
牧港補給地区:全面返還。
那覇港湾施設:全面返還(浦添に建設される新たな施設(追加的な集積場を含む。)に移設)。
陸軍貯油施設第1桑江タンク・ファーム:全面返還。
返還対象となる施設に所在する機能及び能力で、沖縄に残る部隊が必要とするすべてのものは、沖縄の中で移設される。これらの移設は、対象施設の返還前に実施される。
SACO最終報告の着実な実施の重要性を強調しつつ、SACOによる移設・返還計画については、再評価が必要となる可能性がある。
キャンプ・ハンセンは、陸上自衛隊の訓練に使用される。施設整備を必要としない共同使用は、2006年から可能となる。
航空自衛隊は、地元への騒音の影響を考慮しつつ、米軍との共同訓練のために嘉手納飛行場を使用する。
(d)再編案間の関係
全体的なパッケージの中で、沖縄に関連する再編案は、相互に結びついている。
特に、嘉手納以南の統合及び土地の返還は、第3海兵機動展開部隊要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転完了に懸かっている。
沖縄からグアムへの第3海兵機動展開部隊の移転は、(1)普天間飛行場代替施設の完成に向けた具体的な進展、(2)グアムにおける所要の施設及びインフラ整備のための日本の資金的貢献に懸かっている。
2.米陸軍司令部能力の改善
キャンプ座間の米陸軍司令部は、2008米会計年度までに改編される。その後、陸上自衛隊中央即応集団司令部が、2012年度(以下、日本国の会計年度)までにキャンプ座間に移転する。自衛隊のヘリコプターは、キャンプ座間のキャスナー・ヘリポートに出入りすることができる。
在日米陸軍司令部の改編に伴い、戦闘指揮訓練センターその他の支援施設が、米国の資金で相模総合補給廠内に建設される。
この改編に関連して、キャンプ座間及び相模総合補給廠の効率的かつ効果的な使用のための以下の措置が実施される。
相模総合補給廠の一部は、地元の再開発のため(約15ヘクタール)、また、道路及び地下を通る線路のため(約2ヘクタール)に返還される。影響を受ける住宅は相模原住宅地区に移設される。
相模総合補給廠の北西部の野積場の特定の部分(約35ヘクタール)は、緊急時や訓練目的に必要である時を除き、地元の使用に供される。
キャンプ座間のチャペル・ヒル住宅地区の一部(1.1ヘクタール)は、影響を受ける住宅のキャンプ座間内での移設後に、日本国政府に返還される。チャペル・ヒル住宅地区における、あり得べき追加的な土地返還に関する更なる協議は、適切に行われる。
3.横田飛行場及び空域
航空自衛隊航空総隊司令部及び関連部隊は、2010年度に横田飛行場に移転する。施設の使用に関する共同の全体計画は、施設及びインフラの所要を確保するよう作成される。
横田飛行場の共同統合運用調整所は、防空及びミサイル防衛に関する調整を併置して行う機能を含む。日本国政府及び米国政府は、自らが必要とする装備やシステムにつきそれぞれ資金負担するとともに、双方は、共用する装備やシステムの適切な資金負担について調整する。
軍事運用上の所要を満たしつつ、横田空域における民間航空機の航行を円滑化するため、以下の措置が追求される。
民間航空の事業者に対して、横田空域を通過するための既存の手続について情報提供するプログラムを2006年度に立ち上げる。
横田空域の一部について、2008年9月までに管制業務を日本に返還する。返還される空域は、2006年10月までに特定される。
横田空域の一部について、軍事上の目的に必要でないときに管制業務の責任を一時的に日本国の当局に移管するための手続を2006年度に作成する。
日本における空域の使用に関する、民間及び(日本及び米国の)軍事上の所要の将来の在り方を満たすような、関連空域の再編成や航空管制手続の変更のための選択肢を包括的に検討する一環として、横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件を検討する。この検討は、嘉手納レーダー進入管制業務の移管の経験から得られる教訓や、在日米軍と日本の管制官の併置の経験から得られる教訓を考慮する。この検討は2009年度に完了する。
日本国政府及び米国政府は、横田飛行場のあり得べき軍民共同使用の具体的な条件や態様に関する検討を実施し、開始から12か月以内に終了する。
この検討は、共同使用が横田飛行場の軍事上の運用や安全及び軍事運用上の能力を損なってはならないとの共通の理解の下で行われる。
両政府は、この検討の結果に基づき協議し、その上で軍民共同使用に関する適切な決定を行う。
4.厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐
第5空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐は、F/A-18、EA-6B、E-2C及びC-2航空機から構成され、(1)必要な施設が完成し、(2)訓練空域及び岩国レーダー進入管制空域の調整が行われた後、2014年までに完了する。
厚木飛行場から行われる継続的な米軍の運用の所要を考慮しつつ、厚木飛行場において、海上自衛隊EP-3、OP-3、UP-3飛行隊等の岩国飛行場からの移駐を受け入れるための必要な施設が整備される。
KC-130飛行隊は、司令部、整備支援施設及び家族支援施設とともに、岩国飛行場を拠点とする。航空機は、訓練及び運用のため、海上自衛隊鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開する。KC-130航空機の展開を支援するため、鹿屋基地において必要な施設が整備される。
海兵隊CH-53Dヘリは、第3海兵機動展開部隊の要員が沖縄からグアムに移転する際に、岩国飛行場からグアムに移転する。
訓練空域及び岩国レーダー進入管制空域は、米軍、自衛隊及び民間航空機(隣接する空域内のものを含む)の訓練及び運用上の所要を安全に満たすよう、合同委員会を通じて、調整される。
恒常的な空母艦載機離発着訓練施設について検討を行うための二国間の枠組みが設けられ、恒常的な施設を2009年7月又はその後のできるだけ早い時期に選定することを目標とする。
将来の民間航空施設の一部が岩国飛行場に設けられる。
5.ミサイル防衛
双方が追加的な能力を展開し、それぞれの弾道ミサイル防衛能力を向上させることに応じて、緊密な連携が継続される。
新たな米軍のXバンド・レーダー・システムの最適な展開地として航空自衛隊車力分屯基地が選定された。レーダーが運用可能となる2006年夏までに、必要な措置や米側の資金負担による施設改修が行われる。
米国政府は、Xバンド・レーダーのデータを日本国政府と共有する。
米軍のパトリオットPAC-3能力が、日本における既存の米軍施設・区域に展開され、可能な限り早い時期に運用可能となる。
6.訓練移転
双方は、2007年度からの共同訓練に関する年間計画を作成する。必要に応じて、2006年度における補足的な計画が作成され得る。
当分の間、嘉手納飛行場、三沢飛行場及び岩国飛行場の3つの米軍施設からの航空機が、千歳、三沢、百里、小松、築城及び新田原の自衛隊施設から行われる移転訓練に参加する。双方は、将来の共同訓練・演習のための自衛隊施設の使用拡大に向けて取り組む。
日本国政府は、実地調査を行った上で、必要に応じて、自衛隊施設における訓練移転のためのインフラを改善する。
移転される訓練については、施設や訓練の所要を考慮して、在日米軍が現在得ることのできる訓練の質を低下させることはない。
一般に、共同訓練は、1回につき1~5機の航空機が1~7日間参加するものから始め、いずれ、6~12機の航空機が8~14日間参加するものへと発展させる。
共同使用の条件が合同委員会合意で定められている自衛隊施設については、共同訓練の回数に関する制限を撤廃する。各自衛隊施設の共同使用の合計日数及び1回の訓練の期間に関する制限は維持される。
日本国政府及び米国政府は、即応性の維持が優先されることに留意しつつ、共同訓練の費用を適切に分担する。
URL:http://www.mofa.go.jp/mofaJ/kaidan/g_aso/ubl_06/2plus2_map.html
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