環境税とその負担



政府は来年4月から、ガソリン税などの暫定税率を廃止する代わりに、地球温暖化対策税(環境税)を導入する方向で検討に入ったそうだ。

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ガソリンの暫定税率はリッター25円だけれど、新たに環境税で20円上乗せされるから、安くなるといっても5円。原油価格が少し上がっただけで簡単に吹っ飛ぶ額。

それに、軽油や灯油は元から暫定税率なんてなかったから、それに環境税がつくと却って高くなる。

国民の側からすれば、トータルとして、増税になることは避けられない。一体、どれくらいの負担になるのか。

先頃、温室効果ガスの25%削減。その家計への影響を検討してきた政府のタスクフォース(有識者会議)が24日、試算をまとめたけれど、その結果は、国内だけで25%削減だと、最大76万五千円、国内で10%削減+排出枠購入15%の場合、最小で3万円となったようだ。

元々この試算は、麻生前政権でも行なっており、その時は年36万円の負担増という結果だった。

この36万円は、一般家庭の可処分所得が22万円減って、更に光熱費が14万円上がるという見積もりをそれぞれ足した結果なのだけれど、民主党政権はその計算が気に入らなかったらしく、10月末時点で、光熱費の上昇を含めずに、可処分所得の目減り分だけを負担増とするとして、負担増の額は、22万~77万円に修正すると合意していた。

ところが、11月24日になって、今度は試算結果を非公表にするという。なんでも「このまま数値が出ていくと、国民にネガティブなイメージを与えてしまう」というのがその理由らしい。

ネガティブだとかそうでないとかは、国民が決めることであって、政府は試算結果をそのまま公表すればいい。環境税を適用する時点で負担増になることは分かりきったことだから。

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慌てた政府は、タスクフォースに再試算を命じたそうなのだけれど、その試算方法を巡って、タスクフォース内で激しい対立が起きていたという。

まぁ、内部対立だけならどこにでもあることかもしれない。だけど、問題なのは、試算を行なった機関のひとつである国立環境研究所が、麻生前政権で行なった試算で36万円と弾き出したにも関わらず、鳩山政権になって、3万円、とその試算結果を大きく変えたこと。

国立環境研究所の3万円試算は、負担軽減につながる前提条件の一部手直しをした結果だそうだけれど、他の機関からは、「データの取り方が不自然だ」と批判が続出したという。

それにしても、前提条件の一部手直ししただけで、負担額が36万円から一気に3万円になるのは、どういうことなのか。仮に、百歩譲って、光熱費が劇的に下がったとしても10分の1にまで減ってしまうとは考えにくい。

こうなると、試算のやり方そのものがかなり怪しくなってくる。もしくは、温暖化対策に関する費用負担増は、元々正確に見積もれない類のものだということを意味してる。

このようなことが発覚した以上、今後出してくる試算結果については、その前提条件を含めて、全ての条件・式についてチェックしないと、とても信頼できるものにはならないと考えるべきだろう。

というのも、会議後、小沢鋭仁環境相が再試算について、「鳩山政権を応援してくれるみなさんとやりたい」と発言しているから。

、自分達の言うことを聞く相手にだけ試算させて、その意に沿った結果を出させる、という最初から結論ありきの再試算になることを自ら白状している。

ちょっと理解できない。

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画像環境税、来年4月導入検討…暫定税率廃止と同時

 政府は来年4月から、ガソリン税などに上乗せされている暫定税率を廃止し、ガソリンや軽油などの化石燃料に課税する地球温暖化対策税(環境税)を導入する方向で検討に入った。

 景気低迷の影響で2010年度は深刻な税収不足に陥ることが確実視される中、暫定税率を廃止すれば国と地方合わせてさらに約2・5兆円の税収が失われるため、環境税を導入して財源確保を図る。

 環境税導入は温室効果ガスの大幅削減方針を掲げる鳩山政権の環境政策にも合致すると判断した。

 政府が環境税導入を目指すのは、鳩山政権の試金石となる10年度予算編成で厳しい財政事情に直面しているためだ。景気悪化による法人税収などの落ち込みで国の10年度の税収は40兆円を割り込むのは必至で、暫定税率の廃止で穴が開く国の税収(約1・7兆円)を手当てしなければ、10年度予算の新規国債発行額を44兆円以下に抑えるという政府の目標達成が難しくなる。

 概算要求で95兆円まで膨らんだ歳出のカットも限界がある。27日終了した行政刷新会議の事業仕分けの成果は約1・6兆~1・7兆円程度にとどまり、目標の3兆円に届かなかった。

 政府は、民主党が政権公約(マニフェスト)で掲げた来年4月からの暫定税率廃止と財政規律の悪化を防ぐ方策を両立させるため、環境税の導入に照準を合わせている。具体的には、環境省が政府税制調査会に提出した2兆円の税収が見込まれる案を軸に検討が進む見通しだ。暫定税率廃止でガソリンは1リットル当たり現在より25円安くなる。環境省案では20円の課税を提示しており、差し引き5円の減税となる。

 しかし、環境省案は暫定税率廃止で約8000億円が消える地方財源に対する手立ては示していない。政府は交付金増額や地方環境税の創設などの財源確保策を検討するとみられる。

 この問題では菅国家戦略相、藤井財務相、原口総務相らが27日、暫定税率廃止に伴う税収減への対応策を関係省庁の副大臣らで検討することで合意した。ただ、政府内には、暫定税率を段階的に廃止することで税収減を小幅にとどめる考えや、環境税の導入時期を先送りするよう求める意見があり、最終決着まで不透明な要因も残っている。

(2009年11月29日03時00分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20091128-OYT1T01186.htm



画像環境税 Wikipedia

採用動向 [編集]
世界 [編集]
地球温暖化の対策として最も本質的な手法とも言われ、欧州のいくつかの国々でその導入が検討されている。スウェーデン、オランダ、ドイツ、イギリスなどでは既に導入されており[1]、これらの国はいずれも温室効果ガス排出量削減を実現している(京都議定書#各国の取組状況を参照)ことから、導入を検討中の国においても高い効果が期待されている。これらの国では化石燃料に課税することが一般的だが、1990年代より様々な環境税を実施しているスウェーデンでは再生可能エネルギーに対する減免・還付等を行っている[2]。

また、直接的に温室効果ガスに課税する方法でなくとも、ガソリン・軽油などの自動車燃料や原油、石炭など特定の商品(化石燃料)に物品税(個別消費税)として課税することで、事実上の環境税として機能しているものもある。

なお、得られた税金を地球温暖化対策に用いる(特定財源とする)方法もあるが(日本の環境省はこの方式による炭素税導入を提案している[3])、財政の柔軟性を削ぐことや、そもそも税の要件(公平・中立や財源安定など)にそぐわないという問題もあることから、たとえばドイツでは環境税(炭素税)導入時に税収の 9割を雇用にかかる人件費抑制に充てる(具体的には社会保険料の縮減。残り 1割は環境対策に充てられている)ことで税制中立に配慮しつつ雇用環境改善・失業率抑制も実現する工夫がされる[4]、イギリスでは税 (Tax) ではなく環境負荷に対する課徴金 (Levy) と位置付け (en:Climate Change Levy) 一般財源に組み入れる、といった工夫がされている。また両国ではガソリン税についても継続的に引き上げるとともに、公共交通機関などに減免措置を設けるといった運用がされている。

一方、アメリカでは導入への検討はほとんどされておらず、ガソリン税も安い。

環境税、およびそれを含めた地球温暖化への対策の影響には、エネルギー集約型産業などへ悪影響を与える面と、環境対応型の産業の拡大を促す面があり、全体的な影響を算出するには非常に多くの要素を考慮する必要がある。これを踏まえてドイツの産業界は炭素の価格に応じた影響を分析したレポート[5]を作成し、政策提言を行っている[6]。エネルギーコストの増加など様々な影響に対する配慮を求めてはいるものの、政府の挑戦的目標を「はっきりと」(expressly) 支持する、と表明している (P.45) 。

日本 [編集]
日本でも導入が提唱され[3]、与野党で、温度差はあるものの、議論は進められている。[7]

日本経団連では、エネルギー課税は既に過重である等として新規の環境税の導入は反対している[8]。一方で、既存エネルギー課税の環境対策への転用を認めている。2008年9月には、道路特定財源の一般財源化に伴い、既存のエネルギー課税と組み合わせて、使途を環境対策に組み替える考えを示し、容認に転じている。[9]

日本商工会議所[10]環境と経済の両立を阻害するという理由により、「導入に当たっては極めて慎重な検討が必要である」として、「まず環境税ありきとする議論には絶対反対」との姿勢を取っている。

こうした政財界の対応に対して、NGOなどから批判的意見が出されている。[11][12]

一方、日本税制改革協議会(JTR)は「税で環境をよくすることはできない」として環境税に対して批判的である。 なお、経済同友会のように税制中立や関連税例の一括見直しといった条件付きで導入に含みを持たせているところもある[13]。

URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%A8%8E



画像「政治迎合は学者生命にかかわる」 温暖化試算、お蔵入りの背景は… 配信元:2009/11/29 22:10更新

 鳩山政権が国際公約に掲げる温室効果ガスの25%削減。その家計への影響を検討してきた政府のタスクフォース(有識者会議)が24日、試算をまとめたが、政府は非公表扱いとし、来年2月までの再試算を命じた。なぜ試算は“お蔵入り”となったのか-。その背景として、不都合な結果を避けたい政権の意向をめぐり、タスクフォース内で対立や暗闘があったことが29日、産経新聞が入手した議事録などで明らかになった。

 「このまま数値が出ていくと、国民にネガティブなイメージを与えてしまう」

 24日夕、首相官邸で開かれた「地球温暖化問題に関する閣僚委員会」の副大臣級検討チームの会議。福山哲郎外務副大臣は、タスクフォースの植田和弘座長(京大教授)が提出したA4版約30枚の報告書を非公表とするよう訴えた。

 タスクフォースの主な任務は、鳩山由紀夫首相による「2020年に温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減」という目標実現のため、どれくらいの家計負担が必要かという試算。だが、報告書には、1世帯当たりで最小3万円から6万円、10万円、14万円…などと、さまざまな結果が羅列された。最大は76万5千円。前政権が民主党批判の材料とした「36万円」の2倍以上で、鳩山政権の意向に沿うはずもない。

 試算結果がバラバラなのは、5つの研究機関や大学が試算したためだ。前提条件の違いもある。全量を国内で削減すれば家計負担も増えるが、海外から「排出枠」を割安に購入できれば家計へのしわ寄せも小さくなる。ただ、何よりも深刻だったのは、タスクフォース内での意見対立だった。

 ■電子メールで応酬

 「政治に迎合するようでは、学者生命にかかわる」

 関係者によると、議論にかかわった研究機関の一人はこんな危機感を周辺に漏らした。民主党は試算に際して、温暖化対策などの効果を反映させるよう求めていたが、政策の中身すら明確でない段階で“希望的観測”を受け入れるわけにはいかないからだ。

 タスクフォースは学識経験者ら7人で構成。その下で試算したのが、国立環境研究所や日本エネルギー経済研究所、日本経済研究センターなどだ。これらは前政権の「36万円」試算にもかかわったが、政権交代後の対応は大きく異なる。

 環境省所管の国環研は民主党の意向に沿う形で、負担軽減につながる前提条件の一部手直しを行ったが、他の機関はほとんど手を加えなかった。3万円負担を試算したのも国環研だ。このため他の研究機関やタスクフォースメンバーからは「データの取り方が不自然だ」と批判が続出。国環研側は防戦を強いられた。

 メンバーや各機関はタスクフォースの会合だけでは足りず、電子メールで水面下の意見交換も行った。だが、ここでも感情的な応酬が行われ、報告書には、わざわざ国環研の試算の矛盾点まで記載された。

 ■応援してくれる人…

 一方、福山氏は24日の会議で再試算も提案、小沢鋭仁環境相らが同調した。菅直人副総理・国家戦略担当相は「試算がなかったことにするのは難しい。イノベーション(技術革新)や新産業を入れ込んだ新しい土俵で試算するように依頼した、ということを強調しよう」と指示した。

 「再試算も今のメンバーでやった方がいいのか、一新した方がいいのか」

 席上、植田氏に迫った小沢氏に対し、植田氏は「リシャッフル(再編)した方がいいと思う」と答えるしかなかった。会議後、小沢氏は記者団に「鳩山政権を応援してくれるみなさんとやりたい」と語った。

 ■タスクフォースの試算

 2020年に温室効果ガス排出を1990年比25%削減する目標に関し、国内での削減と海外からの排出枠購入の組み合わせを4通り(25%と0%、20%と5%、15%と10%、10%と15%)設定し、1世帯あたりの可処分所得の目減りを試算。国内だけで25%削減の場合、16万~76万5000円と最大の負担。最小は「国内努力10%+排出枠購入15%」で3万~28万円。

URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/330075/



画像温暖化対策の家計負担増は22万~77万円 有識者タスクフォース 2009.10.27 21:09

 地球温暖化対策の経済的な影響を試算する政府の有識者によるタスクフォース(座長=植田和弘・京大教授)は27日、2回目の会合を開いた。2020(平成32)年に温室効果ガスの排出量を1990(2)年比25%削減するという中期目標がもたらす家計の負担増について、前政権で示された年36万円から、22万~77万円に修正することで合意した。今月末に上部組織である政府の副大臣級検討チームに報告する。

 家計負担増は麻生太郎内閣のもと、国立環境研究所、慶応大産業研究所、日本経済研究センターが、それぞれの手法で試算した。それによると、平成32年時点で物価の変動を除いた実質可処分は、温室効果ガス排出を25%削減すると、現状の排出削減努力を継続した場合と比べて4・5~15・9%分目減り。太陽光発電などコストの高いエネルギーの比率が高まることなどから光熱費は65・7~81・0%上昇するとされた。

 これを受け政府側は、低い方の数値だけを採用。実額で示すため、17年の勤労者世帯の平均可処分所得479万円をもとに、20年時点での目減り分は22万円とした。光熱費は、現状から14万円の上昇となるため計36万円の負担増とした。

 こうした経緯についてタスクフォースでは批判が噴出。物価変動を除いた実質可処分所得と、光熱費の上昇分を同列に考えることは誤解を招くためで、こうした「36万円」算出の経緯を国民に明らかにすることと光熱費の上昇は参考として示すことで合意。32年時点の実質可処分所得は現状の排出削減の努力を継続した場合の591万円と比べ、22万~77万円目減りすることになる。

URL:http://sankei.jp.msn.com/life/environment/091027/env0910272109003-n1.htm

この記事へのコメント

  • kaze

    環境税の前提は、温暖化防止のCO2削減。

    もし、
    その前提が間違いだったとしたら?

    本当に、温暖化しているのか?
    寒冷化の前に温暖化する、、、という説もあるという。
    2015年08月10日 16:50

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