名護市長選と普天間

 
「ひとつの民意の答えとしてはあるんでしょうけど、検討する上で、斟酌してやらなければいけない理由はないと思う」
平野官房長官 1月25日


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今月24日に行なわれた、沖縄県名護市長選は、受け入れに反対する新人の前市教育長・稲嶺進氏が、容認派の現職・島袋吉和氏を接戦で破って初当選した。

これで、辺野古への移設は困難になったと見られている。

それを受けてか、鳩山首相はゼロベースで見直すなんてコメントした。今度はなにやら、徳之島に移設するのはどうか、なんて報道もされているようだけれど、徳之島の町長らは速攻で断っている。

大体、自民党政権時に13年もかけてようやくのことで合意した辺野古以外に簡単に代替地が見つかるなんて考えるほうがおかしい。大概の案は検討しつくされていると考えるべきだろう。

だから、「普天間問題は5月になっても決着するとは限らない 」のエントリーでも指摘したけれど、実際問題、政府には殆ど選択の余地は無くて、普天間のままか辺野古への移設かの二択しかないのが現実。

平野官房長官は、25日に「名護市選挙結果斟酌せず」発言をして、翌26日には、「移設先決定に地元自治体の合意は必要ない」発言をしているから、やはり政府内部では辺野古への移設を念頭に置いていると思われる。 

民意があれば何でもできるなどと、夢を見ていた100日はとうに過ぎ去って、現実と向き合わなければならない時を迎えている。自民党の石破幹事長の言葉を借りれば、「今ごろそんなことがわかりましたかと。そういうことがわかるのに、100日もかかりましたか」という現実。

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自民党政権で合意済みだった普天間移設案を、自分達でワザワザ引っ繰り返して、今の事態を引き起こしているのだから、最終兵器「ジミンガーZ」も呼べない。

現実を目の当たりにして、慌てふためくだけなら兎も角、節操なくあちこちに声をかけては断られ、反発を受ける姿は見ていて見苦しい。

沖縄の民主党支持者達も、そろそろ堪忍袋の尾が切れるのではないか。

とはいえ、現政権のなりふり構わない姿を見ていると、出てくる案にはなんでも飛びついては、ぶち上げ、少しでも合意できそうな案が見つかれば、それにするという「場当たり的」な解決策を選びそうで心もとない。

尤も、移設する当の相手はアメリカ海兵隊なのだから、彼らが納得して受け入れられる案でしか合意できないことは確実。どこをどう見ても、やっぱり詰んでいる。

鳩山首相は、5月に決着なんていっているけれど、それは夏の参院選で過半数を確保できて、連立を解消してもなんら問題ない、という見込みがあってようやく踏み切れる話。

小沢問題で内閣支持率が急落して、夏の参院選が危ぶまれる今の状況では、連立解消なんて口が裂けても言えない。

だから、どうしても5月に決着させたいのなら、官邸は自分達の首と引き換えにするしかないだろうと思われる。それすら出来ないのであれば、普天間はそのまま残ることになる。

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画像名護市長選 普天間移設反対派が勝利 辺野古案困難に

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設受け入れの是非を争点にした沖縄県名護市長選は24日投開票され、受け入れに反対する新人の前市教育長・稲嶺進氏(64)(無=民主・共産・社民・国民推薦)が、容認派で自民、公明両党の支援を受けた現職・島袋吉和氏(63)(無)を接戦で破って初当選した。移設先を再検討中の鳩山首相は市長選の結果を判断材料にするとしており、1996年の普天間返還合意後、日米両政府が名護市で進めてきた移設計画の実現は極めて困難になった。在日米軍の再編計画全体の行方にも影響を与えそうだ。

 当選後、稲嶺氏は「私は皆さんに辺野古の海に基地は造らせないと約束した。その信念を貫く」と述べた。

 返還合意後に移設先として浮上した名護市では、97年に受け入れの賛否を問う市民投票を実施し、反対票が過半数を占めた。しかし、98年以降に行われた3回の市長選はすべて容認派の候補が勝利。日米両政府は2006年、米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に移設する現行計画で合意した。今回は政権交代後に鳩山首相が見直しを表明し、「県外、国外移設」を望む県民世論が高まるなかでの選挙戦となった。

 稲嶺氏は名護市への移設反対を前面に出し、政権与党とのパイプの太さを強調し、基地とリンクしない振興策を主張。不況で苦しむ市民に浸透した。両氏の票差は1588票だった。

 政府・与党は2月第2週に開く「沖縄基地問題検討委員会」で各委員が新たな移設案を提示し5月までに結論を出す予定。海上自衛隊大村航空基地(長崎県大村市)、佐賀空港(佐賀市)、下地島空港(沖縄県宮古島市)などが浮上しているが、地元は強く反発している。

 投票率は76・96%で前回06年(74・98%)を上回った。全投票者数に占める期日前投票の割合は41・21%。

(2010年1月25日 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/okinawa/news/20100126-OYT8T00277.htm



画像「名護市選挙結果斟酌せず」 平野官房長官に与野党から批判 2010/1/26 20:22

米軍普天間基地移設受け入れが争点となった名護市市長選で反対派が当選したことについて、平野博文官房長官が2010年1月25日、「選挙結果を斟酌していたら何もできなくなる」という趣旨の発言をし、与野党から批判が相次いでいる。

平野官房長官は26日にも、移設先決定に地元自治体の合意は必要ないという認識を示し、今後非難が高まりそうだ。

2010年1月24日、沖縄県名護市長選で新人の稲嶺進氏が現職候補を破って当選した。稲嶺氏は民主、共産、社民、国民新党などが推薦。米軍普天間基地の同市受け入れに反対を掲げており、日米政府が合意した現行案の実現は困難になった、と受け止められていた。


▼「この官房長官問題多すぎですね」

鳩山首相は市長選前の15日、市長選の結果と政府の決定に関して「全く無縁ではない」と発言。「5月までの間に名護市民の思いも斟酌しながら、最終的な結論をできるだけ早く導くよう努力したい」と述べていた。このため反対派の勝利で現行の名護市への移設案は実現困難になったと思われていた。しかし、市長選から一夜明けた25日、平野官房長官が選挙結果について

「ひとつの民意の答えとしてはあるんでしょうけど、検討する上で、斟酌してやらなければいけない理由はないと思う」
と述べて、現行案は選択の一つとして消えていないことを示唆し、鳩山首相とも違った見解を示した。

この平野官房長官の発言に対して、与野党から批判が殺到した。沖縄県出身の国民新党・下地幹郎政調会長は「現実離れした話。民意を大事にしないでこの問題を論議するのはおかしい」と非難。自民党の石破茂政調会長も「選挙の前に言うべきだった。終わってから言うのは政府として無責任だ」と指摘した。

テレビでも、平野官房長官を非難する声が相次いだ。元朝日新聞社論説委員のジャーナリスト・萩谷順さんは、26日出演した情報番組「やじうまプラス」(TBS系)の中で「官房長官は鳩山内閣の弱点といわれてきたが、全くそのとおり」と指摘。「『斟酌』という言葉は上から目線の言葉で、沖縄の人たちが怒るのは当たり前。辺野古で仕方がないと思っている人でもこれは怒る」とし、「この官房長官問題多すぎですね」とコメントしている。


▼「合意ないと物事進められないのか」

一方の鳩山首相は25日夜に、「ゼロベースで最適なものを選びたいので、あらゆる可能性がまだ含まれている」と名護市への移設案が選択肢から除外されたわけではないという見解を表明。名護市長選の結果については「それはそれとして、一つの意思だと受け止める必要がある」とし、事態はさらに混とんとしている。

しかし、26日午前の会見で平野官房長官がまた「地元の合意がないと物事を進められないのか」と発言。「民意を軽視しているということではない」とも釈明したが、移設先の決定に地元の合意は必要ではないという認識を再び示した。

平野官房長官の発言は、今後地元や与野党からの非難を加速させる恐れもある。琉球新報によると同日、沖縄県選出・出身の与党・無所属議員からなる「うるの会」(会長・喜納昌吉民主党沖縄県連代表)が都内で会合を開き、平野官房長官に民意を尊重するよう抗議することを決定。28日までに抗議文書を送るという。

URL:http://www.j-cast.com/2010/01/26058771.html




画像普天間の移設候補地 鳩山首相「徳之島も選択肢の一つ」 2010年1月27日10時53分

 鳩山由紀夫首相は27日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の新たな移設候補地として鹿児島県の徳之島が浮上しているとの報道を受けて、「いろいろなものが検討される可能性がある。そのことを否定するつもりはない」と述べ、選択肢の一つとの考えを示した。首相公邸前で記者団に答えた。

 首相は移設先決定に向けた今後の見通しについて「いろんな考え方があるが、ゼロベースでやると決めた。どこが一番適切なのか。国民、沖縄の皆さんにも理解されて、そして米国にも分かってもらえるものを5月までに出すと決めて、今行動している。検討状況を冷静に見守って頂くとありがたい」と述べた。沖縄県名護市長選の結果を「斟酌(しんしゃく)しなければならない理由はない」などとした平野博文官房長官の発言が波紋を呼んでおり、事態の沈静化を図った発言とみられる。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/0127/TKY201001270154.html



画像徳之島の町長、官房長官との会談拒絶「移設は不可能」2010年1月27日13時1分

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として鹿児島県の徳之島が浮上していることについて、同島の町長らは27日、鳩山由紀夫首相に近い民主党の国会議員から打診されたことは認めたが、拒絶したことを明らかにした。

 伊仙町の大久保明町長によると、徳之島の3町長は25日、この国会議員と会った。「普天間の代替施設を徳之島のどこかに造りたい」という話で、平野博文官房長官との会談を要請されたという。

 ただ、3町長は検討の結果、平野氏とは会わないと決め、26日にこの国会議員に伝えたという。大久保町長は取材に対し「普天間の徳之島移設は不可能で、正式に断ったはず。今後、話が進展することもない」と語った。

 徳之島町の高岡秀規町長も「打診はあったが、正式に断った。基地は地域に大きな負担がかかる」と述べた。

 2千メートルの滑走路がある徳之島空港を抱える天城町の大久幸助町長も「個人的には、長寿・子宝の癒やしの島に米軍基地はそぐわないと思う。ナンセンスな話だ」と強調した。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/0127/SEB201001270017.html

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